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聖剣 ミカエル・ソード

久々更新……

「双翼!!何がどうなって……。それに、ミカエルって!!」

「話は後!!」


戸惑う愛華の手を取って、双翼は無我夢中に走り続けた。後ろからは、どこから湧き出たのか分からぬ黒い塊の集団。悪魔の群れだ。悪魔は間違いなく、愛華を狙っている。そして、魂のみの存在となっている双翼も。


「マナ!こっち!」


曲がり角を見付けて、双翼は曲がり角に入った。悪魔の群れは半分に別れた。


(一体、どうすれば……)


双翼には、悪魔と戦う力も魔力も無い。元々、部活にも入ったことが無いのだ。一時期、無理矢理運動部に入れられたが、長くは続かなかった。


「きゃっ!」

少しペースを早めすぎてしまったか。愛華が足がもつれて転んでしまったのだ。


「大丈夫!?マナ!」


双翼は迷わず愛華を起こしに近付いた。

その瞬間、廊下の窓から黒い物体が窓を突き破ってきた。翼が生え、手足が長く頭が大きい。しかも、背丈は天井に届く高さだ。頭には複眼なのかの様に、赤い点が集まっていた。


「人間の、美味そうな魂……」


悪魔の長い手が勢いよく伸びる。双翼は、反射で愛華の前に立った。あの手に貫かれれば、間違いなく自分は完全な死を遂げる……。それでも、幼馴染みを守りたい……!!

双翼に悪魔の手が届く前に、バリアのような物が悪魔の手を弾いた。そして、ミカエルの羽根が双翼の手からすり抜け、彼の前で光輝いた。強烈な聖なる光は、群がっていた悪魔を浄化していった。


「なんだ……!?その、光は……!!」


目の前の大型の悪魔が苦しむ声を出す。光輝いていた羽根は、1つの剣の形に姿を変える。双翼は、柄と思える部分を両手で握る。すると、纏う光が弾け飛び、美しい刀身を持つ一本の剣が姿を現した。


「剣……?って、重!?」


剣の重さに、双翼は剣先を床に着けてしまった。


「驚かせておいて、その程度か。笑わせるな!!」


悪魔の腕が再生し、再度双翼に向けられる。双翼は、何とか剣先を床から離す。双翼は剣を構えて防御を取る。悪魔の腕は双翼を剣ごと突き飛ばした。


「うわっ!!」

「所詮、魂のみの存在。我が悪魔に太刀打ち出来るはずが無かろう!!」


巨大な悪魔の伸ばされた腕は、床に突き刺さっている。そして、悪魔の腕は床から離れた。


「悪足掻きはここまでだ。大人しく喰われろ!!」


悪魔の腕は再度双翼に伸ばされる。


「う、うわあぁぁぁ!!」


双翼は、叫びながら重い剣を振るった。剣の重さに振り回されて双翼は転倒するが、斬り落とされた悪魔の腕は、粒子状に分解され、散った。


「残念だな、小僧。腕ぐらいいくらでも……」


悪魔は、身体の一部を失っても再生する事が可能だ。身体を砕かれても、悪魔の魂が消滅しなければいくらでも蘇る。無論、その分何百、何千年の時が必要とされる代償はある。

だが、双翼に斬られた腕は再生する事は無かった。


「バカな!?再生しないだと!?」

「うわああぁぁぁぁ!!」


立ち上がった双翼は、剣先を床に着け引きずるように走り出した。剣先が床を削る。


「喰らええぇ!!」


双翼は、渾身の力で悪魔を逆袈裟斬りをした。悪魔の身体には、双翼による斬り傷が出来た。


「ふん。そんな傷は、なっ……!?」


斬り傷から、黒い粒子が吹き出した。


「バカな!?力が、力があぁ!!」


巨体な悪魔が、徐々に消滅していく。そして、赤い複眼は双翼を睨んだ。


「覚えていろ小僧!!この恨み、必ず……!!」


そして、黒い身体は粒子となって霧散する。その中から、田村の姿が現れた。


「田村先生!」


愛華は、倒れた田村の元に向かった。


「大丈夫だよ。愛華ちゃん。」


いつの間にか、ミカエルではない天使の姿。ラファエルの姿があった。


「ラ、ラファエルさん!?」

「えっ!?アレがラファエル!?」

「ゆっくりと話すのは後。まずは、この人間が安全かを看なくては……」


ラファエルは、倒れた田村に手をかざした。


「悪魔の気配が全く無い……。全てが、浄化されている……?」


ラファエルは驚愕していた。悪魔に憑依された人間は、完全に後遺症や毒気が抜けるまでかなりの時間が掛かる。それなのに、この人間は後遺症も毒気も綺麗さっぱり無くなっているのだ。


「ラファエル、ミカエルの救出も終わらせたぞ。」

「悪いな、ウリエル……」


すると、ウリエルの肩を借りているミカエルも合流した。


「ミカエル。あなたともあろう実力者が、なぜ……」

「名も無き低級の悪魔。としては、異常な強さだった……。それとも、鈍ったか……」

「話は後だ。ラファエル、その人間は?」

「大丈夫だよ。ただ、後遺症も毒気も無くなっている……」


天使達の会話に、双翼と愛華は全く追い付いていなかった。


「とりあえず、双翼。お前には後で話がある。そして、そこの人間。愛華と言ったか。悪いが今回の出来事に関する記憶を、消させてもらう。」


ウリエルは愛華に近付き、頭にそっと手をかざした。すると、愛華も倒れた。


「マナ!」

「大丈夫だ。目が覚めた時には、今回の事は綺麗に忘れている。では、戻ろう。」


双翼は、後ろ髪が引かれる思いでラファエルに回復してもらったミカエルの背に乗った。


*


「すっげぇ!!天使の羽根を武器化するって!神様初耳だy」

「嘘つけ!!知ってること吐けやゴルァ!!」


オーバーリアクションな神に対し、ミカエルは荒い口調で胸ぐらを掴んだ。


(相変わらず神様の前だと、天使じゃねぇ……)

「ミカエルと同意見です。我々天使の羽根を物体に変化させるなど、聞いたこともありません。」


顔が引きつる双翼に気付かず、ウリエルは話を進める。


「いやー。今回の事はホント初めてだって。」

「まだシラを切るつもりか!?えぇ!?」

「ぐ、ぐるじい!!死んじゃう死んじゃう!!」

「不老不死だろうが!!」


とうとうミカエルは、神の首を締め始めた。


「ミカエルさん。よく堕天されませんね……」

「ミカエルがいなくなったら、この天魔界は機能しなくなるからな。」


普通、神に逆らう。ましては暴行を加えれば間違いなく天使達は堕天の処罰をされる。が、どうやらミカエルは失う訳にはいかない存在のようだ。


「ぜぇ、ぜぇ……。本当に知らないんだってば……」

「本当か?神に誓うか?」

「誓います!!」


自分に誓ってどうすんだ。と、双翼は思ったが心に留めた。


「とりあえず、ツバサ君。君はかなり特殊な存在のようだ。よし。君を、魂から天使に転生させるよ。」


神の言葉に、ミカエルとウリエルは神のいる部屋から退出した。


「転生の儀式は、神と魂のワンツーマンだからね。それぐらい、神聖な儀式なのさ。」


神が両手を前にかざすと、双翼の足元に魔法陣が浮かび上がった。無論、神の手の先にも魔法陣が浮かび上がっていた。


「いくよ。ツバサ君。『迷える魂を、天界の守護者に転生す。これは、我が名の元に命ずる、正当な行為である。』」


神の真面目な声と共に、双翼に光が包んでいった。

神様が真面目になった回。

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