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天使の仕事は、御迎えだけではない。

天使の御仕事紹介。

「そういえばミカエル、コイツは?」

「彼はツバサ。クソ神のいつもの手違いで天に召された少年だ。」

「またかよ……。俺はルシファー。ホントはルシファエルって名前なんだが、破門されたから改名したんだ。まっ、ヨロシクな。」


ルシファーは、双翼に自己紹介する。


「ルシファーって、悪魔ですよね?七つの大罪で傲慢を象徴してる悪魔ですよね?」

「ツバサ、君は本当に私たちを知っているな……。その通りだよ。」


双翼の言葉に、ミカエルは感心する。


「ん?魂ってことは就活か?」

「はい。まあ……」

「わりぃ、邪魔したな。じゃあな、ミカエル!!」


すると、ルシファーは手を振って帰っていった。


「さて、ツバサ。まずは、機動警察部隊の基本中の基本。巡回に参加してもらう。」


ルシファーが帰ったのを見届けた後、ミカエルは双翼に説明した。


「巡回って、何ですか?」

「簡単に言えば、下界。君が今まで生きていた人間界の見回りだ。」


双翼の疑問に、ミカエルは丁寧に説明した。


「ミカエルさんと、見回りをするんですか?」

「そうだな……。あ、ツバサ。君はその姿のままでいいのか?」


ミカエルから放たれた言葉に、双翼は疑問を持った。


「その姿のままって、なんですか?」

「いや、君は死んでしまう前の格好のままだから、我々の姿に合わせるか?」 ミカエルの言葉で、双翼はやっと疑問が晴れた。今の双翼の格好は制服のままなのだ。


「僕、この制服をまだ一日も着ていないので、このままでいいです。」

「わかった。では、行こう。」


ミカエルに引っ張られ、双翼は人間界へと向かった。


*


「掴まっていろよ、ツバサ。魂はまだ飛べないからな!」

「はい!」


ミカエルが一対の翼を美しい六枚の翼に変え、それらを羽ばたかせて、人間界を飛んでいた。双翼は、飛んでいるミカエルに邪魔にならないようにしがみついていた。翼を持たない魂は、人間界に落ちてしまう。最悪、落ちた際に動物や物。人に落ちてしまえば憑依してしまうのだ。


「僕の街だ……」「どうだ?空から見た感想は。」

「空から見るのも凄いですけど、もう一回この街を見れるのが嬉しいです……」


大切な物は、失ってから気付く。双翼は、死んだと言う事実を突き付けられた際に、もう二度とこの街には帰れないと思っていたのだろう。


「ミカエルさん……」

「どうした?」

「家族や、幼馴染みの様子を見ること出来ますか?」

「わかった。悲しみに暮れている人間は、悪魔の絶好のターゲットだからな。」


ミカエルは、双翼の自宅へと向かった。


*


「ここか?君の家は。」

「はい……」


双翼は、見慣れた自宅へと到着した。瓦屋根の二階建て。丁度、隣にある同じ瓦屋根の二階建ての家は、篠原 愛華の自宅だった。


「とりあえず、家自体には悪魔はいないようだな……」

「あの、ミカエルさん……。僕の家にお坊さんがいるんですけど……」


双翼の自宅の屋根の天辺には、お坊様が座禅を組んで座っていたのだ。


「この日本では、仏壇を使う人が多いだろ?その仏壇に宿る精だ。時には、ヤモリの姿となって家の巡回をしているんだ。」

「ヤ、ヤモリですか?」

「ああ。ヤモリは、家を守る。家守(やもり)とも呼ばれているだろ?」

「なるほど……」


ミカエルの説明に、双翼は納得した。


「あれ?マナの家には天使がいる……」

「おそらくそのマナと言う子が、強く天使を崇高しているのだろう……。我々は、我々を信じてくれる人間には力を貸すからな。」


ミカエルの言葉に、双翼は思わず微笑んだ。


「よし。家は大丈夫として、問題は個人だな……」

「母さんは家にいると思うし、父さんは仕事……。李奈とマナは学校かな……」

「人手がいるな……。ゾフィエル!」

「はっ。」


ミカエルが呼んだ瞬間、ゾフィエルと呼ばれた天使が現れた。短い銀色の髪に、前髪で右目を隠し、さらけ出している左目は、冷たい印象を受ける灰色であった。


「うわっ!?いつのまに!?」

「ゾフィエルは、我々天使の中でも、最速を誇る男だ。」

「ミカエル様、御命令は?」

「ツバサの父親の様子を見てきて欲しい。わかるな?」

「承知。」


そして、ゾフィエルはフッと消えた。


「わかるんですか?ゾフィエルさん……」

「とても近い血縁関係者は、魂の周波数はほぼ同じだからな。大丈夫だろう。」


ミカエルの言葉に、双翼は更に知識を溜め込んだ。


「君の友人と妹は?」

「あ、はい。高校と中学は同じ通り道にあります。」

「わかった。では、行こう。」


ミカエルは双翼の指示に従って中学校と高校に向かった。


*


「李奈……。大丈夫そうでよかった……」

「少し不安ではあるが……。あ、君の高校に着いたぞ。」


中学校で李奈の様子を見た後、高校に向かっていた。


「まずいな……。夕暮れか……」

「夕暮れ、ですか?」

「夕暮れは、悪魔が活動し始める時間だ。嫌な予感がする……」


ミカエルは、少し焦っていた。


「あ、マナ!」


双翼が指をさした方向は教室だった。教室には、愛華が一人残っていた。


「いかん!悪魔があの子を狙っている!」

「えぇ!?」


ミカエルは、教室に突っ込んで行った。


*


「ふぅ……」


愛華は、教室の机に置いてある一本の花瓶の水を入れ替えていた。その机は、双翼が座るはずだった机だった。


「双翼……」


愛華が塞ぎ込んでいる所に、担任の田村が入ってきた。


「篠原さん……」

「田村先生!?ごめんなさい、すぐに帰ります。」

「待ちたまえ。」


すると、田村は愛華の腕を掴んだ。


「せ、先生……?」

「君の悲しみはわかる。だから、その悲しみを魂ごと寄越せ!!」


瞬間、田村の口が裂け、口の中から全身が真っ黒で、目と思える赤い二つの点。口と思えるぱっくりと裂けたように開いた真っ赤な穴。その周りには牙のような鋭い突起物が並んでいた。そして、手足のような四本の棒状なもので体を支える生物が現れたのだ。


「い、いやあぁぁぁ!!」

「はあぁぁぁぁ!!」


教室の窓から、何かが突っ込んできた。短い銀色の髪に三対の純白の翼を持った男だ。そして、その男にしがみついてる少年。少年には、見覚えがあった。


「ミカエルさん!?あいつは……」

「名も無き低級の悪魔だ。ツバサ、彼女を頼む。それと、これを君に。」

「え!?でも……」

「それは私の羽根だ。私の魔力で君を一時的に実体化させることが出来る。早く!」


そのやりとりを見ていた愛華は唖然としていた。翼のある男はミカエル。少年はツバサ……

そして、少年はこちらに近づいた。


「行こう、マナ!ミカエルさんが何とかしてくれる!」


力なく座っていた愛華の腕を掴んで、少年は愛華を立たせた。


「まさか、双翼!?」

「そう!とりあえず、行こう!」


愛華は、純白の羽根を握る双翼に引っ張られた。


「四大天使のミカエルか……。そんな大物が来るとはな……」


悪魔は不気味に笑っていた。


「悪いが、早急に片付けさせてもらう。」


ミカエルは携えた剣を抜き、刀身を指でなぞる。すると、ミカエルの足下に魔法陣が浮かび上がった。


「『悪を貫き、その不浄の魂を浄めよ!聖なる光-ホーリー・ブライト-!』」


ミカエルが詠唱をすると、悪魔を中心に光が破裂した。無論、聖なる力によって発せられた光に、悪魔はその身体を粉々にされた。


「ハハハハハ、俺だけだと思うな?」

「なに!?」


ミカエルは、瞬時に大量の悪魔の力を感知した。どうやら、この学校に集まっているらしい。だが、これだけ大量の悪魔をどうして感知出来なかったのだろうか……


「俺の吐く息は、貴様ら天使の感知能力を一時的に低下させるものなのさ……」

「ぐっ!?不覚!!」


ミカエルは、双翼の後を追おうとしたが、バラバラにされた悪魔がミカエルの身体にまとわりついた。


「なに!?」

「ハハハハハ、そう簡単には行かせん……」


悪魔は、ミカエルを拘束した。

アレ?シリアスになってしまった……(・ω・;)


あ。ヤモリのくだりは捏造です(・ω・`)

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