天使や悪魔にも仕事があり、就活もしている。
久々過ぎる更新……
「お見苦しい所をお見せして申し訳ない。えっと、君は……」
「双翼です。天月 双翼。」
事態がある程度落ち着いた後、ミカエルが本題に入る。
「ツバサ?」
「はい。双子の翼と書いて、双翼です。」
「中二病……」
「やめてください!!気にしてますから!!」
中二病と小さく呟いたアズラエルに、双翼は突っ込む。
「ところで、ミカエルさんはなんで呼ばれたんですか?」
「まあ。法律上転生するまでは、魂は天使の仕事を手伝うことになっているんだ。」
双翼の質問に、ミカエルは真面目に答える。
「そうだ。僕は死んでるんだった……」
「ああ。死者は死んだ後に魂となる。魂は転生の機会を待つか、天使となるか。選択は二つしかない。」
ウリエルが眼鏡を押し上げながら説明する。
「その転生の機会は……」
「すくなくとも、あなたの同世代が、手違いもなくちゃんと寿命が尽きて死んだ後ね……」
手違いを強調して、アズラエルは答える。
「それって……、後90年近くは転生出来ないのかよ!!」
「仕方ないでしょ……。法律だもの……」
「諦めろ。法律だ。」
「定められた法を背くことは出来ない。」
「法律、法律って、どんな法律だよ!!」
双翼が突っ込むと、ウリエルが所持している辞書のような本を双翼に見せる。
「我が天魔界の憲法だ。」
双翼は驚愕した。なぜなら、双翼が生まれ育った国、日本の憲法。日本国憲法に表記が似ているからだ。
「しかし、凄い量……」
「裁判官たるもの、これぐらい当然だ。」
ウリエルはきっちりと答える。
「って、裁判官?」
「ああ。ウリエルは裁判官だ。私は機動警察部隊長。アズラエルは生死管理局総合責任者代表だ。」
双翼の疑問に、ミカエルは丁寧に答えた。
「天使にも職があるんだ……」
「働かざる者食うべからず。」
「天使の言う台詞じゃないですよ、ウリエルさん!!」
最もな意見だが、慈悲深い天使の言うことではないと、双翼は突っ込みを入れる。
「そうだ。情けは人のためならずだからな!」
「意味違います!!ミカエルさん!!」
力説するミカエルに、双翼は突っ込みを入れる。
※情けは人のためならずとは、人に情けをかけるとめぐりめぐって自分に返ってくる。という意味である。※
「とりあえず、最初は機動警察部隊をオススメするわ……。あ、転職OKだから……」
「あ。はぁ……」
小さく呟くアズラエルに、双翼は答える。
「では行こう、ツバサ。」
「は、はい!」
爽やかに手を差し伸べるミカエルに、双翼ははっきりと答えた。
*
「ここが、機動警察部隊の本部だ。」
「はぁ……」
ミカエルに着いていった先には、建物があった。あえて言おう、日本の警察署である。なぜ、ここまで日本寄りなのか、全く不明である。
「さあ、中に入りたまえ。」
ミカエルの言われ、双翼は建物に入った。
*
建物には、どこを見ても純白の羽を持つ天使ばかりだ。さすがというところだ。
「あら?新しい子ですか?」
「こんにちは。」
すると、二人の天使が話し掛けてきた。一人は、長い金色の髪にサファイアのような青い瞳を持った女性で、もう一人は、短い銀色の髪に空色の瞳を持った男性だった。
「紹介しよう。彼女はガブリエル。彼はラファエルだ。」
ミカエルは紹介する。ガブリエルと紹介された金髪の女性は、初めまして。と答え、ラファエルと紹介された銀髪の男性は、よろしく。と答えてくれた。
「僕は、天月 双翼です。よろしくお願いします。」
双翼は頭を下げた。よかった。まともな上に優しそうな人達だ……
「ツバサ君ね。可哀想に、あのクソ神のせいで……」
ガブリエルの一言に、双翼は反射的に頭を上げた。
「はい?」
「ホントに、あんな人でなしが神に……。あ、人じゃないか……」
「落ち着いて、ガブリエル。僕だってさっさと解剖したいけど、ツバサ君が怖がっちゃうから。」
「いやおっかねぇよ!!神様もだけど、あんたたちホントに天使!?」
おっかないことをさらりと言うガブリエルたちに、双翼は思わずツッコミを入れた。
「あの神様、信頼されているんですか?」
「さあ。まあ、信頼出来る器なら、アザゼルやシャムハザ、アスタロト。……、ルシファーがあんなことを……」
ミカエルの暗い表情に、双翼は思わず口を閉じた。ミカエルの口から出た名前は、みんな堕天使の名前だ。ミカエルの口ぶりからすると、同期なのだろうか……
「ミカエルさん……、あの……」
「神の冷蔵庫から勝手にケーキを食べるなんてことを……」
ミカエルの言葉に、双翼はずっこけた。
「はい!?」
「もっとも不満を持っていたのが、その四人なんだ。そして、神に対する嫌がらせとして、冷蔵庫から勝手にケーキを食べて、追放された……」
「ちょ、四人の行動のレベルが低すぎるんですけど!?」
「だから!!冷蔵庫じゃなくてリビングにある御菓子にしろって言ったのに!!」
「あんたもかよ!!」
ミカエルが後悔しながら叫ぶが、ぶっちゃけ内容が幼稚過ぎる……
「なんなんですか、まったく……」
「チョリーッス!ミカエル!元気にしてるか!?」
突如聞こえた声に、双翼は振り向く。そこには、漆黒の髪に血のような赤い瞳を持つ男だ。ぶっちゃけ言ってチャラい。
ただ、彼の背中には、蝙蝠のような翼があった。
「あなたは……?」
「ルシファー……」
ガブリエルの呟きに、双翼は驚愕した。
「ルシファーって……」
「チョリーッス!ルシファー!元気だぞ!」
ミカエルの返事に、双翼はずっこけた。
「チョリーッスって流行ってんのかよ!?」
「まあまあ気にするな少年!!」
ルシファーは双翼の背中をバスバスと叩く。
「ところで、何の用だ?」
「聞いてくれ、ミカエル。俺、就職先が見つかったんだ!!」
「よかったじゃないか!どんな仕事なんだ!?」
「ニートの介護。」
「偉いぞ!人助けではないか!」
「ニートの介護って、ニートいるのかよオォォォ!!」
爽やかに会話する二人に、双翼は突っ込みをいれる。
悪魔までこんな調子だなんて、一体なんなんだ、この死後の世界は……
ルシファーもこんなノリです。