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ある光景「プレゼント」

「ママー、また神社に行こうよ」

 石段の前で立ち止まった少女は、小高い丘の頂を指差しながら聞いた。

「ええ、いいわよ」

 母親がそう言い終わった時には、少女は赤いランドセルを上下に揺らしながら、朱色の鳥居をくぐっていた。鬱蒼とした木々のトンネルを抜けるように、七十段もの石段を上っていく。その石段を上りきった所にある、もう一つの朱色の鳥居の向こうに目的の場所がある。

「今日もいるかなー?」

 長い石段を上った疲れを感じさせないまま、その神社へと駆けて行く。

「ふうーっ、どう? 居た?」

 ようやく上って来た母親は大きく息を吐いて、体を落ち着けてから娘の元へと歩いていく。

「あれ? いないよー。昨日まではいたのに……」

 少女の顔が曇る。

「きっと、今日は何処かで遊んでるんじゃないのかな?」

 母親は娘の不安を感じ取り、それを拭ってやるように言った。

「今日も会えると思ったのにな……。昨日あげたプレゼント、気に入ってくれたかな?」

 振り向き、大きくて澄んだ瞳が同意を求める。

「そうね。気に入ってくれたと思うよ。明日はお礼を言いに、きっと会いに来てくれるよ」

「そうだよね、明日は会いに来てくれるよね」

 少女に笑顔が戻った。立ち上がって右手を差し出すと、母親の左手がそれを優しく包み込んだ。




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