Glay sky
私はこの村しか知らない。
この村の向こう側にはどんな世界が広がっているのかもわからない。
気にならないわけじゃないけど、でもそんなに好奇心旺盛に知りたいわけでもない。
だって、今の私にはこの村が大きな「世界」なのだら。
Glay sky
「おーい!アリア!」
木の上で灰色掛かった空を眺めながら少し肌寒い風をそよそよと受けていると、叫ぶように私の名前を呼ぶ声が下の方から聞こえてきた。
ふ、と声のする方を向くとそこには、手をぶんぶんと振りながらにこにこ笑う短髪が目に入ってきた。
「リク」
「降りてこいよー!」
「ふふ、登ってこればいいじゃない」
「む、俺が登れないの知っててそういうこというか!?」
意地悪く微笑みながらそう大きな声で告げれば、拗ねたようにそうもごもご呟く幼馴染のリクを見て、私はクツクツ笑いながら冗談だ、と木の上から地上へと降り立った。
「よく登れるなぁ」
「簡単だよ、こんなの」
手に付いた木屑をぱんぱんと払いながら雨が降るかもな、なんてそんなことを考えていると、リクは本当に感心したようにそう言った。
「だって僕も何回か挑戦したけど、やっぱり無理だよ。高いとこ怖いし…」
「なっさけないなぁ…男だろ?」
「そ、それは関係ないだろ!?アリアだって女の子じゃないか!」
「女が木を登っちゃいけないなんてきまりはないだろ?」
まぁそんなことを言ってしまえば男が木を登らなくちゃいけない決まりもないんだろうけど、なんてことは言わないでおいた。
そんな私の考えに気付いているのかいないのか、リクははぁ、とため息を一回吐いた後、空を見上げて雨が降りそうだね、と呟いた。
「…アリアはさ、この村を出てみたいと思わない?」
「思わないね」
「早いなぁ、ちょっとは考えたの?」
「丁度さっき考えたところだからな」
シンクロした思考に流石幼馴染、なんて苦笑しながらそう返すと、リクはふーんと呟いた後、僕は今度お城に出ていた所謂「御触れ書き」に行ってみようと思うのだと告げた。
「…本気か?」
「僕は真剣さ」
「まぁ、リクがそういうなら私は止めないけど…」
頑張ってこいよ、なんて肩を叩けば、リクは眉間にしわを寄せながらうんと笑った。
じゃあまた明日、と大きく手を振りながら走り去っていくリクを見送りながら私は遂に曇天になってしまった空を仰ぎ見ながら深い深い息を吐いた。
いくな、なんてそんな無責任なこと言えないけどどんな危険が待っているのか分からない外界になんて行かなければいいのに、と表情を曇らせる。
ずっと私の後ろばかりを追っていた幼馴染というよりは弟みたいだったリク。
泣き虫で、私に守られてばかりで、なのに一番に私の心配をする奴。
「…ばか」
行くなら、気持ちぐらい伝えてからいけ、馬鹿野郎。
とうとう降り始めた雨は、まるで私たちの心の中のようだ、なんて虫唾が走るような思考が頭をよぎって、私こそばかじゃないのかと涙をこぼしながら笑ってみた。
【end】
伝えてくれたのならば、私も笑って告げることができたのに。
ファンタジー?ど こ が ^p^
正直、スマンかったww
ファンタジーは読まないし書かないしなので酷い出来ですねすみません。
次も苦手克服と称して何か書こうと思います…。
ここまで読んでくださり、ありがとごじました!!
雪梨
20100714