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プロローグ

「被告人アドラン。金色の勇者パーティーに対しSNS上で執拗な粘着を行い、悪質な誹謗中傷およびプライバシーの侵害を繰り返した罪は重い。よって、魔界送りの刑に処す」


厳かな法廷に、裁判官の冷徹な声が響き渡る。


「ちょっと待ってくださいよぉ! 俺を追放した勇者への仕返しに、ちょっとネカマ垢で引っ掛けて、アイツのキモい裏DMを晒してやっただけじゃないっすかぁ!」


アドランは必死に身を乗り出して叫んだ。


「いいですか皆さん、聞いてくださいよ! こいつ、ネカマの俺に向かってなんて送ってきたと思います? 『俺のシックスパックで遊んでみないか? きっと君の指先、筋肉の迷路で迷子になっちゃうよ』……ですよ!? ぷぷぷ、ぷぷぷぷぷ! これのどこが英雄なんすか! むしろ公序良俗のために晒したのは社会正義でしょ!」


「……言質げんちは取れた。これにて閉廷とする」


──ドン!


無情にも、裁判官が木槌ガベルを叩きつけた。


法廷の傍聴席、最前列には被害者である金色の勇者──アレクサンドルが座っていた。

彼は自慢の金髪をかき上げ、鏡で自分の顔色をチェックしながら、心底軽蔑しきった目で俺を見下ろす。


「開示請求してみれば、裏でこんな陰湿なことをしていたなんて……。やはり君をパーティーから追放したのは正解だった。君は、救いようのないクズの極みだよ」


執行官に両脇を抱えられ、床を引きずられながら、俺は最後のリプライを叫ぶ。


「いつまでも人気インフルエンサーでいられると思うなよ! 遠征先の宿で、俺が楽しみにしてた限定プリンを勝手に聖女に献上したこと、俺は一生許してないからな! 魔界の掲示板に、聖女が『勇者は筋肉ナルシストでマジキモい』て言ってた事、書き込んでやるからなあああああ!!」


  *  *  *


魔界。

そこは、人権も倫理も存在しない、力こそがすべての暗黒世界。


フォロワーの数が魔力に反映されるこの世界で彼は生き残れるのか。

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