表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

暗闇の森で、夜を選ぶ

作者:July
 暗闇の森――昼でも夜のように静かなその場所に、一人のヴァンパイア・ヴァイスが住んでいる。
 長命で不死の彼は、他者と深く関わらず、孤独を選んで生きてきた。

 ある夜、彼は森で迷っていたハイエルフの少女・フィーネと出会う。
 彼女は実年齢三百三十六歳。しかし里の規範の中で育ち、精神年齢はまだ十六歳のまま。
 「自分で何も選ばずに生きてきた」ことに疑問を抱き、衝動的に里を出てしまったのだ。

 行き場を失った彼女を、ヴァイスはひとまず自らの住処へ迎え入れる。
 無口で不愛想だが、彼は言葉より行動で彼女を気遣い、生活を整え、危険から遠ざける。
 やがて二人は、暗闇の森でひとつ屋根の下、静かな同居生活を始めることになる。

 生活を共にする中で、フィーネは初めて「守られる安心」を知り、
 ヴァイスは、誰かと共に朝を迎える日々に心を揺らされていく。
 しかし長命であるがゆえに、彼は知っていた。
 誰かを想うことは、必ず「失う未来」を引き受けることだということを。

 外の世界が二人の関係に介入し、選択を迫られたとき、
 フィーネは「守られる存在」であることを拒み、自らの意思で彼の隣に立つ。
 その姿に、ヴァイスは初めて気づく――
 これは保護ではなく、恋なのだと。

 変わらない者と、変わっていく者。
 時間の流れが異なる二人が、それでも「一緒に選び続ける」ことを決めたとき、
 静かな夜は、かけがえのない居場所へと変わっていく。

 これは、
 長命であることを理由に恋を避けてきたヴァンパイアと、
 世界も恋も知らなかったハイエルフが、
 互いを選び、共に生きることを決めるまでの、静かな恋の物語。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ