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第7話 ルーチェ


朝私はフカフカのベッドで目を覚ます。

フィーリアさんの家のベッド気持ち良すぎる…これに比べたら宿屋のベッドなんて地面と変わらないよ。


二度寝も考えたが流石に人の家では…

そんな事を考えながら枕に顔を埋めているとドアが開きフィーリアさんが顔を出した。


「あらあら、よっぽど疲れていたのね。私はもう出るけど鍵はリオルに渡してあるからもう少し休んでいても良いわよ?」


本当に天使のような人だ…。ちゃんと昨日はベッドを汚さないように細心の注意を払って発散したから疲れてるだけなのに…。


まぁ後ろめたいよね。


「そろそろ起きます。もしかしたら私指名の仕事が入ってるかも知れないので…」


「あら、ご指名なんてすごいじゃない。じゃあお互い頑張りましょうね」


フィーリアさんはそのまま家を出て依頼に向かった。完璧女子だ…。頭の上の掠れて読めないフェチが気になるけどいつ読めるんだろ。


ベッドから起き上がり着替えをしリビングに向かうとリオル君が朝食をとっているところだった。


「あ!おはようございますカエデさん!ちょっと待って下さいね!今朝食準備しますので!」


「おはようリオル君、朝食なんてそんな…」


「いえいえ、せっかく作ったので食べて行って下さい」


良い子だよなぁ…。昨日真剣にふくらはぎを揉んで興奮してた子とは思えない。


気持ち良かったなぁ…。思い出すだけで少し股が疼く…。


リオル君が準備してくれた朝食を食べながら一息、目玉焼きとスープ、パン。朝食とはこうあるべきだね。


「リオル君は何の仕事してるの?この町には住んでないみたいだけど」


「僕は一応画家をしています。まぁギリギリ食べていけるくらいしか売れませんけどね」


画家!?芸術家だったのか…そういえばふくらはぎの曲線美とかに興奮する画家は多いとか聞いた事あるかも。


「すごいね!今度描いた絵見せて欲しいな」


「良いですよ、今回はこの町の風景を描きにきたので出来上がったら」


「約束ね!」


「はい!もし良かったら今度その…カエデさんに絵のモデルを依頼しても良いですか?」


私がモデルさんに?どこまで脱げば良いんだろ…角度によってはひどく卑猥な絵になるけど良いのかな…。


「良いけど…せめてパンツくらいは履きたいかな…どうしてもって言うなら全部脱いでも良いけど…」


「ち、違います!普通に全部着て下さい!普通の絵です!普通の!」


顔を真っ赤にして慌てふためくリオル君…。

そうだよね。普通は脱がないよね。芸術は奥深いものだ。

でも私は裸の絵の方が好きだな。


「そ、そうだよね。ちょっと勘違いちゃった!時間がある時声かけてくれたらいつでも良いよ!」


「ありがとうございます!」


しばらく談笑し、気がつけば結構な時間が経っていた。

そろそろ仕事行こうかな。服出来てたらいいけど。


「じゃあそろそろ私行くね、色々ありがとう」


「はい、それじゃあモデルの件宜しくお願いします!」


リオル君に挨拶をして私は荷物を持ってギルドへ向かう。

受付にはいつものリンさん。休みあるのかなこの人。


「リンさん、私宛ての依頼とか来てませんか?」


「カエデさん宛てっすか?来てないっすねぇ。あ!もしかしてちくちくマーメイドのオルランドゥ姐さんの所っすか?」


オルランドゥ姐さん?長いのに語感が良すぎて覚えやすすぎる!

イメージもピッタリじゃないか。


「オルランドゥ姐さんって言うんですね。近いうちに私宛ての依頼を出してくれるって言ってたので」


「あの人仕事早いっすから遅くても明日には依頼来るんじゃないっすか?」


明日かぁ。昨日フィーリアさんの家に泊めてもらったしお金にも少しだけ余裕がある。

今日は町の中を散策でもしようかな。


「じゃあ今日の仕事の紹介は大丈夫です。ちょっと町を見て回ろうかな」


「お、良いっすね!私のオススメのパンケーキ屋さん紹介してあげるっす!」


パンケーキ!確かに甘いものが食べたい気分!リンさんに店の場所を聞きギルドを出る。

この町に来て忙しかったからのんびり町を見る事も無かったからね。


気持ち良い風が吹き抜け太陽の暖かい光が降り注ぐ、絶好のお散歩日和だ。


賑やかな街並みの中パンケーキ屋さんを目指してのんびり歩く。

旅行にでも来ている気分、そして嫌でも目に付く人々のフェチ…。


尻、胸…この辺はまぁいざと言うときに執拗に揉んだりするんだろうな。


下乳、脱ぎかけ…着替え途中、使用済み!?中々に変態でとても良いと思います。


パンチラやブラチラもいるな、ツンデレとかお姉さんとかもいるんだ、ノーパン…これは勇気がいるな…。


街並みよりも人のフェチや性癖見ていた方が面白いまである。

まぁなんていうかこう…ムラムラします!


その時急な突風が吹き抜けスカートがフワリと捲れ上がった。


「きゃっ!」


慌ててスカートを押さえて辺りを見渡すが…誰にも見られてない…かな?


こういう不意なのはやっぱり恥ずかしい…。

この前みたいにわざと着替えを覗かせるとか…手ブラをして見せるとかとは違う。


同じ見られるでも見せるのと見られるのは明確に違う!気がする!


だって準備出来てないじゃん。もしかしたらパンツ汚れてるかも知れないし、咄嗟に手ブラなんかしたら乳首まで見えちゃうかも知れない。

着替えだって急に見られたら全部見られちゃうかも知れないじゃん。


でもそれはそれで興奮でするな…。


でもやっぱり一応女の子ですし…見せる相手は選びたいというのが本音なのかも…。


見られて興奮する微かにエッチな私にも乙女心はちゃんとあるんだ。


そんな事を考えながら歩いていると目的のパンケーキ屋さんに到着した。


白を基調とした可愛い外装、入り口の花壇には色とりどりの花が咲き誇っている。

女の子が好きそうな店。第一印象はまさにこれ。


扉を開くとカランカランと鈴が鳴り、それに気がついた店員のお姉さんが近寄ってくる。


「あら、初めてのお客様ね!いらっしゃいませ、お持ち帰り?それとも中で食べていくのかしら?」


「食べていきます!ギルドのリンさんからこのお店の事を聞いて来ました」


「あら、リンちゃんの紹介なのね。それじゃあ少しサービスしなきゃね!空いてる席に座って、メニューは席にあるから」


私は窓際の席に移動してメニューを眺める。次の瞬間イチゴみたいな果物がふんだんに使われたパンケーキに目を奪われた。

ストロベの実って言うんだ、これは確定的に明らかなイチゴ。


「ご注文はお決まりかしら?」


「はい!この!これが良いです!」


「うちの一番人気よ、じゃあちょっと待っててね」


イチゴのパンケーキ!前世ではオシャレな店ばかりで一人で入れなかったなぁ。


いや…別に行っても良かったのかな…今みたいに色んな人と出会って…友達になったりして一緒にオシャレして…。


もっと外に出てれば彼氏なんか作ってみたりできたのかな…。


「おまたせ!あとこの紅茶はサービスね、ゆっくり楽しんでちょうだい」


「わぁ!ありがとうございます!いただきます!」


大好きなイチゴ(ストロベの実)にフォークを刺して口に入れると甘酸っぱい果汁が溢れ出す。

前世のイチゴより甘くて美味しい!


パンケーキもフワフワだ!手が止まらない!


「気に入ったみたいね。そんなに美味しそうに食べて貰えると私も嬉しいわ」


「はい!とっても美味しいです!絶対通います!」


「嬉しい事言ってくれるじゃない。期間限定のメニューもあるから飽きさせないと思うわ」


リンさん…ありがとうございます…こんな良いお店紹介してくれて…。


夢中で食べていると入り口のドアが開き可愛らしいフリフリの服を着た女の子が入って来た。


「こんにちは!ストロベの実のパンケーキ一つ!」


「いらっしゃいルーチェちゃん。用意するから座って待っててね」


「はーい!」


栗色の髪の毛でパッチリお目目の女の子。歳は私のちょっと下くらいかな?

そして頭の上には…“味”…?


味って何?何の味?


私が困惑しながら女の子の顔を見ていると目が合った。


「綺麗な黒髪…素敵…。見た事無いけど旅人さんですか?」


「最近山奥からこの町に来たカエデです。旅人というか…まあ今はここの宿屋にお世話になってます」


「そうなんですか、良かったらご一緒しませんか?私も一人なので!」


「はい!喜んで!」


女の子の友達ができるかも!一緒にパンケーキを食べにいくような友達!


「カエデちゃんね、私はルーチェ!あ!口元にクリームついてるよ!」


「え?」


「取ってあげる!あむっ…」


!!?


急に口元に生暖かい感覚…!初対面の女の子に口元あむってされた!ちょっとペロペロされた!


「おいしい〜!やっぱりここのクリーム美味しいよね。カエデちゃんの味も結構好きかも!」


回収!


初めて女の子のフェチが見えたと思ったら無自覚にフェチを満たしてるの?

それとも確信犯?


でも…私も人に比べたらエッチな方だし…実は良い友達になる…のか?


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