その女危険につき
「このゲームについていろいろ教えてあげるだと?」
このメールの送り主の名前は凛と書かれていた。アイコンはとても美人な女子のアイコンだった。
このメールを怪しいと思いつつ、この、ゲームについて知りたいというのも本当だった。しかし、慣れないこの戦いに疲労していた俺は、帰りながらメールを返した。
「本当にこのゲームについて教えてくれるのか?」
「そうだよー。君が今日殺した人は、田中進次郎っていう名前でね、私もそいつを殺して欲しいって依頼が来てたんだよ。そしたら君とそいつの対戦が開始してたからさぁー見ていたら相手が油断していたとはいえ勝っちゃったから、私の依頼も無くなったし、そのお礼でね、」
「そうなのか。なら…」
「まぁ、すぐには教えないけどね」
「は?」
「明日の午後9時に、東京都T区の海柱公園に来てねー。そうしたら色々教えてあげるよ」
なんだこいつとは思ったが、教えてもらう立場だし、こっちも疲れているから、あまり気にしなかった。
明日の午後9時、土曜日だから時間はたっぷりあることだしそれまでに自分でも調べてみようと思った。
〜〜翌日〜〜
起きてから、いろいろ調べてみたらわかったことがある。まず俺のスキル「インフィニティーガンズ」は
自信の手に持ってる銃の銃弾を無限に生成でき、自動で装填してくれるスキルということだ。でも、
このスキルにもデメリットがある。それは銃弾を生成するたびに、体力を消耗する。だから実質、生成できるのは有限。使い過ぎれば、気を失う恐れもある。
と、このゲームの自身の能力説明欄に書いてあった。
そして、このゲームで得たポイントは、ゲーム内の
ショップで色々と交換できるらしい。
例えば、さまざまな武器や爆弾と交換できるらしい。
それ以外のことは、特に説明書や使い方などの欄は
なくわからなかった。
約束の時間の午後9時に近づいてきた。
俺はまだ疑いつつも、指定された海柱公園に向かっていた。念の為、ゲーム内ショップでサバイバルナイフを買った。
「こんなナイフに10ptも使うのかよ。普通に買った方が断然安いじゃねーかよ」
しかしショップ説明によると、このショップで買ったものじゃないと、このゲームの対戦では使えないらしい。
そうこう言っているうちに、目的の海柱公園に
着いた。
「おーい、着いたぞー。いねーのかー!」
大声で呼びかけてみた。すると木の上から、誰かが飛び降りてきて、プレイドームの上に静かに着地した。
「そんな大声で叫んだら、近所迷惑だぞ〜」
そこにいたのは、チャットしてきたアイコンにそっくりな美少女だった。
「お前が俺にチャットしてきた人か?」
試しにそう聞いてみた。すると、
「そうだよー。私が凛だよ~」
この女の子で間違いないようだ。
「このゲームについて色々教えてくれるんだよな?」
と、未だに少し疑いつつ聞いてみた。すると、
「まぁ、私と戦って勝ったらねー」
「はぁ?!」
俺は昨日のことを思い出した。なぜなら、負ければ昨日のおじさんみたいに黒い立方体に飲み込まれ、死んでしまうことを思い出したからだ。
「おまっ、何言ってんだ。負けたら、黒い立方体に飲み込まれて死ぬんだぞ。万が一俺が勝ったら、このゲームについて聞けなくな、
そんな俺が喋ってるのを遮るように、凛が
「えーwまさか勝つ気でいるの〜wまぁいいやwなんか勘違いしてるみたいだけど、黒い立方体に飲み込まれるのは、対戦中に死亡した場合と、対戦終了後、
負けた奴はポイントがその対戦成績に応じて減らされて、ポイントがマイナスになった奴だけだから変な心配はしなくていいよ〜」
そんな彼女の言葉に俺は、
「じゃあ、なんで戦う必要があるんだよ」
そう俺が聞くと、彼女は、
「だって、このゲームについて教えたって、弱かったらどうせすぐ死んじゃうんだし教える必要ないじゃん。大丈夫!手加減はしてあげるから」
それに俺が動揺していると、彼女はスマホを取り出し、対戦と書かれたボタンを押した。
(俺がそれを押した時は何も起きなかったが...)
そう考えていると、スマホからあの時と同じ
《対戦相手が決定しました》
「じゃあ始めよっか♡」
そういうと、彼女は手をこちらに伸ばして
「フォルテ」
気づいたら俺は近くの木に吹っ飛ばされていた。
「は!?今、何が起きた?」
何が起きたかわからない俺の手にはあの時と同じ拳銃があった。その拳銃を俺はすかさず彼女に向け、引き金を引いた。
バン!
放たれた銃弾は彼女に向かって飛ぶ。
(当たる!)
そう思ったのも束の間、彼女は再度手をこちらに伸ばして
「リタルダント」
そう言うと、放たれた銃弾の速度が段々と落ちていき
彼女はその銃弾を手でキャッチした。
(なんだこいつの能力は?でもこいつ、さっきからフォルテとリタルダントって言ってたな。もしかしたら音楽記号を具現化する能力か?)
そう俺が考えていると彼女が俺の心を見透かしたかのように、
「私のスキルが何か気になり始めたんじゃない?
そんな君に教えてあげるよ!私のスキルは、
音楽の女王