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モンパルナスの欠けた月

 九章


 革命記念日前夜のパリはあちこちでパーティが開かれ、音楽や笑い声が街中に溢れている。だが、ジジはそんな騒ぎに目もくれず、前を見据えて鮮やかにベントレーのハンドルを切り、猛スピードで大通りを駆け抜けて行った。何度か他の車にぶつかりそうになったが、それでもスピードを緩めることはなかった。

「今夜はどこでもパーティをやってる。大使と古賀武官は内務大臣主催のパーティだし、陸軍武官や一等書記官たちもどこかのパーティに招待されてる。招待されてない人は家で家族と一緒に過ごしてるわ。だから、日本大使館の警備は手薄なの」

 ジジの言葉に丈太郎はハッとした。その通りだ。今夜の警備は当直の三等書記官に2人のフランス人警備員の3人だけだった。ジジの声は差し迫っていた。

「今夜、当直の人たちに“大使からの差し入れ”が届くの。その豪華な夜食には、たっぷり睡眠薬が入ってる。警備の人たちが寝込んだ頃、悪党が大使館に忍び込んで、海軍武官室の金庫から、あんたの黒いカバンを盗み出す。だから、奴らが来る前に日本大使館に行かなきゃ」

 ハンドルを握るジジは後悔の気持ちをにじませていた。

「大使館の鍵、海軍武官室の鍵、金庫の鍵・・・・・全部あんたが寝ている間にあたしが合鍵の型を取った。今夜のあたしの役目は、あんたが何かを思い出して大使館に近づかないように見張ること・・・・・・」

 満天の星空の下、ジジと丈太郎を乗せたベントレーは、エンジンをうならせてパリの街を駆け抜けていく。大きな月と瞬く星たちは、人間たちのあわただしい行動を心配そうに見守っていた。

 しばらく黙って運転していたジジは、苦しみを吐き出すようにつぶやく。

「・・・・・お金がなくて、頼れる人がいなくて、毎日心細くて、ただ、幸せになりたいってことだけを願ってきた。ある日、ベルギー人武器商人のフレデリック・レナールに出会ったの。レナールは最初は優しかった。軍人や政治家と食事やお酒を付き合って、相手が口を滑らせた軍隊や武器の情報を教えればお金をくれるって言った。簡単な仕事・・・・・最初は軽い気持ちだった・・・・・・」

 美しいジジに男たちは気分を良くして、酒の酔いもあって秘密の情報を漏らしてくれた。“この女は使える”と思ったレナールの要求はエスカレートしていく。次第に本性を現したレナールは冷酷な顔で、男たちに抱かれろと命令した。ジジを抱いて男の気が緩んだ隙に情報を盗み出せと。

 ジジはやっと、自分がとんでもないことをしてるのに気づいた。やめたかった。だが、レナールはやめたらジジの体を切り刻んで、セーヌ河にバラ撒いてやると脅した。

「とても怖かった。怖くてやめられなくて、今までズルズルと・・・・・・あたしは、こんなことするつもりじゃなかったのに・・・・・・」

 ジジの顔は苦悩に満ちていた。後悔で唇をきつく噛んでいる。丈太郎の胸はいっぱいになった。幸せを夢見ていた普通の女の子が小銭稼ぎに軽い気持ちでやったことで、次第に大きな悪事に進み泥沼にはまっていく。

 大都会は華やかで嘘つきだ。いつも楽しそうで、人間にいろんな幻想を見せる。本当は幸せなど自分で見つけるものなのに、「ほら、こっちに来ればすぐ幸せになれるよ」と誘惑し、弱い人間をひどい目に遭わせる。

 レナールという都会の嘘にひっかかったジジは、自分が甘かったと言えばそれまでだ。だが、そう片付けてしまうのは厳しすぎる。ジジには悪意や大きな野望があった訳ではない。ただ、金があれば寂しい生活から抜け出せると思っていただけなのだ。

 丈太郎はイブニングドレスを着たままの、ジジのむき出しの肩にそっと触れた。

「ジジ、もういい・・・・・大丈夫。これからは、きっとうまくいくよ」

 前を見つめたまま、ジジの両目からスッと一粒の涙が流れた。

「あんたに出会えて本当によかった。あんたと一緒なら、お金なんていらない・・・・」

 涙は彼女の心を洗い流すような、とても清らかな雫だった。


 飛ぶように流れていた景色が急ブレーキで止まり、ジジはベントレーを日本大使館の裏門につけた。2人は車から飛び降りて鉄の門を押す。普段はしっかり閉まっているはずの門はギーッと音を立てて開いた。

「奴ら、もう!?」

 そう叫んで丈太郎は大使館の中に入った。後ろにジジも続く。裏口のすぐ横にある守衛詰め所には誰もいなかった。丈太郎が先に進んでいくと、職員用の食堂のドアが開いていた。食堂の中はテーブルの上に大きなバスケットが置いてあり、バスケットの周囲には豪華な“差し入れ”を食べた形跡がある。テーブルの下に三等書記官と守衛2人が倒れていた。

「大丈夫ですか!? しっかりしてください!」

 丈太郎が三等書記官に駆け寄り揺り起こそうとするが、ジジが叫ぶ。

「3人は睡眠薬で眠ってるだけ! それより海軍武官室に!」

 丈太郎は弾かれたように階段に向かって、3階にある海軍武官室まで一気に駆け上がった。いつもは古賀大佐により、鍵がかけられている海軍武官室のドアは簡単に開く。丈太郎は覚悟を決めて礼装のために腰に吊るしたサーベルの柄に手をかけ、武官室に飛び込んでドアの横にある電灯のスイッチを入れた。

 だが、武官室には誰もおらず、部屋の隅にある金庫の扉は半開きになっていた。金庫に駆け寄り中を見る。丈太郎が今回の視察で集めた資料や、それをもとに書いた仮報告書が入っている黒いカバンがなくなっていた。丈太郎は愕然とした。

「しまった! 遅かった!」

 その時、ジジが遅れて海軍武官室に入ってきた。丈太郎の呆然とした様子を見て状況を把握した。部屋を見回したジジの視線は、壁にかけられている大きな時計で止まった。

「ジョー! まだ間に合うかもしれない! レナールは今夜のうちにル・ブルージュからベルギーに逃げるの! あいつが飛行機に乗る前に捕まえればカバンを取り戻せる!」

 丈太郎の目は光った。砕けそうになっていた膝に再び力が入る。

「ジジ! ル・ブルージュに行こう! 悪党を逃がすもんか!」

 2人は海軍武官室を飛び出した。


 パリの北東にあるル・ブルージュ飛行場まで、ジジは再びベントレーを飛ばした。ベントレーは大排気量にモノを言わせてグイグイ加速する。そのスピードは飛行機の速度に慣れている丈太郎でさえ「速い!」と思うほどだった。

 ジジは猛スピードでカーブを曲がり、アウトに大きくスライドしたテールをカウンターを当てて立て直す。そして、アクセルを踏み込んで矢のような速さでカーブを立ち上がって行った。

 まるで1923年からフランス中部の町、ル・マンで始まった24時間耐久自動車レースのワンシーンを見ているようだった。ただし、ル・マンではドライバーがイブニングドレスにハイヒールで運転することはない。ジジはそんなレース顔負けのすさまじいスピードにも平然としていた。

「レナールはフランスが革命記念日に浮かれてる間に、ベルギーからドイツに入るつもりよ。あいつは、あるドイツ人の手先になってるの。レナールの雇い主はアドルフ・ヒトラーっていう男。近頃ドイツで急成長してるナチスっていう政党の党首よ。世界大戦で負けたことを恨みに思って、まだ権力を握った訳でもないのに、今から対フランス戦争の準備をしてるの」

 ベントレーは道路の大きな段差を飛び越えた。一瞬、車体が宙に浮き、派手な音を立てて着地する。着地の際に腹をこすったベントレーは、石畳の上で盛大に火花を上げた。ジジは眉一つ動かさずに話を続ける。

「ヒトラーはフランスが北部国境に計画中のマジノ・ラインにすごく関心を持ってる。だから、建設前と建設後のフランスの防空体制の変化を見比べて、そこからマジノ・ラインの戦力を分析しようと思ったの。それで目を付けたのが、あんたが調べたフランスの最新防空情報。調べてみると、あんたは勤務時間が終わると書類を黒いカバンに入れて、海軍武官室の金庫に保管してるのがわかった。だから大使館から盗むことにしたの」

 丈太郎は恐ろしくなった。アドルフ・ヒトラーとは、次の世界大戦を引き起こしかねない危険極まりない人物だ。自分とジジが、想像もしなかった大きな陰謀に巻き込まれていたことを知った。



 深夜のル・ブルージュ飛行場は静まり返っていた。民間機のエリアは真っ暗で誰もいる様子はなく、軍用機のエリアも管制事務所だけに明かりが灯り、事務所の中には当直の士官といつもより数が少ない警備兵がいる程度だった。今夜は革命記念日前夜祭なので、フランス軍は兵たちへの粋なプレゼントとして、当直の者の数を減らしていた。

 丈太郎とジジが到着した時、滑走路の端に1機のがっちりした形の戦闘機が離陸態勢で止まっているのが見えた。周囲が静かなだけに飛行機のエンジン音が余計に大きく聞こえる。

 戦闘機は丈太郎とジジが見ている前でエンジンを大きくうならせて、ゆっくり前に進み始めた。そして徐々にスピードを上げていき、40ノットほどまで加速して軽やかに飛び立った。月明かりだけの暗い滑走路にも関わらず左右にブレることのない、見事な離陸であった。

「くそっ!」

 丈太郎は悔しさのあまり、ベントレーのダッシュボードを拳で叩いた。たった今飛び去った戦闘機が残していったエンジン音は、最近ル・ブルージュに現れたカーチスR3C-1のもの、つまり、フレデリック・レナールの飛行機であった。

 丈太郎は唇を噛みしめた。ベントレーを疾走させてきたジジも落胆している。カーチスのエンジン音はもう聞こえてこなかった。

「ジョー・・・・・・」

 慰めるようにジジは丈太郎の肩に手をかけた。だが、丈太郎はギラリと目を光らせる。

「まだ勝負は終わっちゃいない。レナールを追いかけるんだ」

 ジジは目を見開く。

「追いかけるって、どうやって?」

 丈太郎の目は軍用エリアの格納庫に向けられていた。

「フランス軍から飛行機を借りる。君を苦しめた奴を野放しにはしない!」

 そしてジジに視線を移した。

「君はパリに戻れ。モンマルトルには帰らず、古賀大佐に保護してもらうんだ。僕が手紙を書くから、それを見せれば大佐は君の安全を保証してくれる」

 だが、ジジは激しく首を振った。黒髪が乱れる。

「いや! あたしも一緒に行く。もう、あんたと離れるのはいや。それにあたし、パリからベルギーまで飛行機で行ったことがある。丘や森を覚えてるから道案内ができる。道案内がないと、どこを飛んでいいのかわかんないでしょ?」

 丈太郎とジジは見つめ合った。

「本当に危ないんだぞ。死ぬかもしれない」

「絶対死なない。あんたと一緒だから」

 一瞬だが2人の視線は熱く重なり、心は一つになった。


 フランス軍の格納庫前では、若い歩哨がいまいましげに腕時計を見ていた。まだ交替までに1時間以上ある。彼はパリで最も盛り上がる夜に飛行機の番人をしている自分が、かわいそうになった。夜空に浮かぶ明るく大きな月を恨めしく見上げる。

「何でこんな日に当直なんだよ・・・・・・・」

 月から地上に視線を戻した彼は、信じられない光景を見た。目の前に黒いイブニングドレスを着た絶世の美女が立っており、自分に向かって微笑んでいるのだ。月明かりに輝く笑顔は、とろけるほど魅力的だった。

「ごめんなさい。パーティに行く途中で迷ってしまったの。道を教えてくださる?」

「はあ・・・・・・」

 歩哨はフラフラと美女に歩み寄った。物陰に隠れていた丈太郎は歩哨の後ろに忍び寄り、首筋に角材を叩き込んだ。歩哨は自分の身に何が起こったのかもわからないまま、その場に倒れ込む。

「すまない。少しの間、気を失っててほしい。」

 丈太郎は歩哨を縛り上げ、格納庫の隅に隠した。ジジはそれを誰かに見られないように見張っている。歩哨を片付けた丈太郎は格納庫の奥にある倉庫に行き、2人分の飛行服に飛行帽、ゴーグルなどの一式を持って来た。

「ジジ、これに着替えるんだ。ドレスじゃ飛行機に乗れない」

 そう言って自分もパーティ用の白い軍装から着替え始める。

 丈太郎は着替え終わったジジの飛行服をしっかり点検して、勝手知ったる格納庫の中の飛行機を見渡した。どれも見慣れた飛行機ばかりだが、その中でアメリカ製のダグラスDT爆撃機に目をつけた。

 ダグラスDTは前後2人乗りで、爆弾を搭載していない時は強力なエンジンパワーでかなり速く飛ぶことができる。爆弾という重い負荷に耐えられるように機体は頑丈にできているし、このダグラスDTには、実験用にフランス軍が施した“特別な仕掛け”がしてあった。

 燃料を確認すると満タンであり、前部と後部座席に付いている機関銃の弾倉には実弾も入っている。生身の人間に向かって発砲したことはないが、レナールのような奴が丸腰で阻止できるとは思えない。

 丈太郎は後部座席のシートの横に取り付けてある予備弾倉の重さを確認し、ジジと一緒に物を動かして格納庫内でダグラスの通り道を作った。エンジンの下の穴にクランク棒を差し込む。

この頃の飛行機には現在のようにセルモーターはないので、始動の際にはクランクでエンジンに回転の弾みをつけてやらねばならない。丈太郎はジジにクランク棒を握らせた。

「僕が合図したら、この棒を力いっぱい右に回すんだ。1発でエンジンをかけないと、何度もやってると警備兵が来る。頼むよ」

 飛行帽にゴーグルをつけたジジは、返事代わりにゴーグルの中で大きな目をパチパチしている。丈太郎はコックピットに乗り込むとレバーを点火位置に合わせ、チョークをいっぱいに引きスロットルレバーを何回かあおる。

「ジジ、いいか! 目いっぱい回すんだぞ! アン、ドウ、トロウ、回せ!」

 ジジは体重をかけて力の限りクランクを回した。2枚のプロペラがゆっくり動く。丈太郎はタイミングを見計らい慎重に点火ボタンを押した。

 プル、プル、プルルル、ブォン! ブロロロロッ!

 エンジンは1発でかかった。丈太郎はコックピットから飛び降りて、プロペラの風圧に吹き飛ばされて翼の下でひっくり返っているジジを抱き上げた。そして後部座席に座らせる。丈太郎はジジのシートベルトをつけながら、エンジンの音に負けない大声で言う。

「機関銃を撃ったことはある!?」

「あるわけないじゃない!」

 大声で怒鳴り返すジジに、丈太郎は後部座席に備え付けの機関銃の操作を教える。

「このツマミが安全装置! これをひねって上の撃鉄レバーを引いたら引き金を引け! それで弾が出る! 敵を見つけたらとにかく撃て! 当たらなくてもいい!」

 そしてジジの足元を指差す。

「弾がなくなったら、ここに予備の弾倉がある! 上のピンを横にひねったら交換できるから、交換したらまたレバーを引いて撃ちまくれ! 弾の無駄づかいでいいから!」

 そんなことをしているうちに、ダグラスのエンジン音を聞きつけた警備兵数人が管制事務所から出てきた。笛の音が鳴る。

「誰だ! エンジンを止めて飛行機から降りろ!」

 だが、丈太郎はコックピットに戻りエンジンの出力を上げる。計器板の横についた雨どいのような形の伝声管に向かって怒鳴る。

「ジジ、聞こえるか! 警備兵が来た! すぐに上がるからつかまってろ!」

 丈太郎は出力を上げラダーペダルを踏んだ。ダグラス爆撃機はゆっくりと格納庫を出て、機首を滑走路に向けた。そしてそのまま前進し始める。警備兵の笛はさらに鳴る。

「止まれ! 止まらないと撃つぞ!」

 ウーウーウーッ

 飛行場中に警戒警報が鳴り響き、管制塔のサーチライトが点灯すると強烈な光がダグラスを捉えようとした。

 パンッ! パンッ!

 警備兵が威嚇射撃をする。丈太郎は伝声管に叫ぶ。

「ジジ! 機関銃をサーチライトに向けて適当に撃て! 脅しだから当てるんじゃないぞ!」

 少しの間の後、後部座席から機関銃のすさまじい銃声が響いた。

 ダダダダダッ!

 だが、まぐれ当たりでサーチライトが割れた。ダグラスを照らそうとしていた光は消える。警備兵たちは地面に伏せ、もう威嚇ではなく本気でライフル銃を発射した。

 ダグラスはようやく滑走路の端についた。

「ジジ、行くぞ!」

 ダグラスのエンジンはうなりを上げ、前に進んで徐々にスピードを上げていく。

「止まれ!」

 パンッ! パンッ! パンッ!

 警備兵は撃ってくるが、距離が遠すぎて当たらない。しかし、兵の数はどんどん増えていく。丈太郎はライフルの銃口から出る発射炎の数が多くなっていることに気づき、スロットルレバーを一気に手前に引く。機体はどんどん加速していった。速度計がグングン上昇していく。

「・・・・・・30、35、40、45・・・・・飛べ!」

 丈太郎は操縦桿を両手で引き上げた。

 ダンッ!

 ダグラスの車輪は大地を蹴り、急角度で上昇した。丈太郎は爆撃機とは思えないほどの角度で機体を持ち上げた。黒い地面が恐ろしい速さで遠くなる。高度が上がるにつれて、パリの灯が鮮やかに見え始めた。

 ようやく水平飛行に移り、丈太郎は伝声管に向かって言う。

「ジジ、大丈夫!? ケガはない?」

 伝声管からはジジの興奮した声が聞こえてきた。

「すごい! スリル満点だよ! こんなの初めて!」

 無邪気な声に丈太郎は苦笑いする。

「とりあえず北に進んでるけど、針路はこれでいいの?」

 ジジは周囲を見回した。夜とはいえ大きな月の明かりで地上の地形は何となくわかる。

「もっと右。あの森のちょっと横を越えて行かなきゃ」

 丈太郎は困惑した声を出した。

「“右”じゃわからない。もっと具体的に言って。自分の周りを時計の文字盤に見立てるんだ。自分が中心にいるつもりで、真正面なら12時の方向、右の真横なら3時の方向と言ってくれ」

 ちょっとジジは考える。

「うーんと・・・・・2時の方向」

「2時の方向だね、了解!」

 丈太郎は操縦桿を少し右に倒した。ダグラスはバンクして針路を2時の方向に変針した。


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