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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

田舎暮らし 『消防団』

田舎暮らしでの体験談です。

私の雑稿を読む人など、そこそこ歳のいった人たちと思われますので既に『経験済み』のという人も多い事でしょう。

もし、『まだ知らない』という方がいましたら、先ずこの感想文を読んでから熟考してみて下さい。

そこそこ以上の田舎に住んでいて、『順番だから消防団をやってくれ』と言われた事はありますか?

地元に住んでいて27、8歳〜35歳までに声がかからなかっら、恐らくもう大丈夫でしょう。田舎に住んでいてその人生は、かなりラッキーだと思って良いと思います。

先ず、私は28歳の時に地元に戻ってきて以来、地元の心療内科(精神科)の病院に勤務しています。とは言っても医師ではなく、カウンセラー、ケアマネジャー、相談支援専門員というしがない資格の数々で病院内に間借りして、上(病院)からの患者の話を聞いたり今後のプランを立てたりして、病院から対価を貰っているだけのしがない職業です。ここに関しては別に何と思って頂いても構いませんが、一応社会的に緊急の呼び出しもある病院関係者として扱って頂いています。

元来、消防団というのは警察官と医療関係者は入ってはいけないという原則があるらしいのですが、私が住んでいるこの田舎町のような土地では適齢の人間が地区に一人もいない事も珍しくなく、医者であろうと医院長でもなければ消防団に入って頭数を揃えなければならないような超法的な地域というのも実在しています。そういった場所の消防団員は次の若者が地区に入って来るまで10年でも20年でも平気で続けている人もいるというか、大半は10年以上続けているオッサンばかりです。地元の消防団がこのような状況であったなら先ず危ないと思って間違いないです。消防団を長年続いている人っていうのは、辞められないのではなく、辞めないんですよ。ごく一部の人たちにとって、消防団っていうのはパラダイスのような居場所となっているので。

以下、一種の『ネタバレ』みたいに書きますので、知りたくない人はここまででやめておいた方が良いです。

先ず、消防団というのはホントに地の頭が悪い人達によって構成されています。というか、仕切ってるのは地元の反○の人達というか、本職の極道にはなれなかったものの近所のジジババには恐れられるくらいのワルでいたい、って思っている人達の集まりです。

若い頃にはバイクを乗り回して地元の道なら田んぼ道でも全部分かってるけど、高校は中退したから隣町の工場にすら就職出来なくて実家の土建業を継いでいるとか、セメント工場でブロック作ってるとか。そういった人達を頂点とする完全なピラミッドの縦社会です。

消防団って、ある意味でそういった人達の救済措置みたいな制度でもあって、とりあえず入団すれば『準公務員』という肩書きが貰えて、帽子や制服、靴まで支給され、田舎の年寄り達から「立派になったなぁ」と言われます。また、給料としては2年で10万円くらいの微々たる額ではありますが、その他に各地域の一軒一軒から『消防団活動費』というのを一年ごとに徴収していて、これが一軒あたりは大した額ではなくてもそれが地域全戸から集まると余裕で数十万円集まります。大体、週に一回夜警の巡回で一時間くらい消防車を走らせたって燃料代は本部から出るし、月1で放水やったって下っ端が完璧にホース干したり畳んだりさせられるのでホースなんて何年も買い換える必要も無い。ならば一体何に『活動費』が使われているかといえば、それは全部三年目以上の団員の飲み代と風俗代になります。

おそらく彼らは、若い頃に親の金でそれなりに遊び倒してきたのでしょうが、実際に自分で稼がなきゃならないようになってから自分の稼ぎだけではそんなに遊べなくなって、それでも若い頃に味わった遊びを忘れられなくて、そこに『活動費』という名目で近所の各家庭が無条件で遊ぶ金をカンパしてくれるような場所があったら、そりゃ辞めないでしょう。見た目はワルでイケイケなノリで金持ってる割に社会貢献してる準公務員なんて言ったら何処のクラブに行ってもメチャクチャモテますし、コンパニオンだって会場入るなりいきなり全裸のスパコンしか呼ばない豪遊が毎週末出来ます。お金だけじゃなく『準公務員』なんて立場で詰所では後輩の教員や医者に『指導』なんて言って堂々と上からモノを言える場でもあるので。

消防団っていうのは、完全に継続年数による年功序列です。私が入れられた消防団の班長というのは、若い頃にシンナーでも吸い過ぎたのか歯と眉毛と右手の指が二本無い40前くらいの太った男でした。以前働いていた鉄工所のプレス機に指を挟んで指を失い、今はセメント工場でフォークリフトの運転手をしていると言っていました。新入団員がタダで酒を飲めるのは歓迎会だけでした。しかし、私の時は行った先の居酒屋でこの班長がトイレで暴れて小便器の仕切り板みたいのをエルボーで全部叩き落としたため、その弁償代として団の経費は全部飛び、結局飲み代はみんな自腹で払いました。店から出た後も駐車場で白いベンツに乗った多分ヤ○ザの人達と大乱闘になり、本当に酷い歓迎会でした。

その後も、私は仕事の関係上、平日に「6時から消防団の巡回なんで帰ります」なんて言って仕事抜ける訳にはいかないし、火事だからっていってカウンセリングを途中でやめて火災現場に向かうこともできないです。とハッキリ言っておいたにも関わらず、誤報でもなんでも現場に来なかったということで、その度に罰金として2万円から一度7万円という高額な飲み代、風俗代を請求される日々が続きました。

田舎町であれば、防災無線で鳴る火災の発生など1、2ヶ月に一回くらいだと思われるでしょう。でも、実際には誤報やボヤなどの通報というのは一週間に一回くらいあるもので、そういった通報は本所や近所の分団が誤報だと確認がとれるまで団員にはとりあえず集合と現場急行の指示が出続けます。

こう言っては語弊がありますが、そんなのホントに四六時中地元の空の下にいる人達だけでやってくれと言いたくなりました。

いくら自宅は地元といっても私の勤務する病院は隣の市にあり、家まで戻るにしても車で30分以上かかるんです。

それを毎回毎回「なんで現場に来なかった!」とか詰め寄られて罰金とられて。現場に行ったという人たちも、車なんて一台も通らない田舎道の交通整理に立って、結局本所の消防署員の人たちが火を消すのを遠目に眺めて終わり、そのまま本業の仕事は早退で、来なかった人達から金をとって火事の興奮冷めやらぬまま飲みに行って風俗に行って帰って寝ると。

確かにね、カウンセリングとか社会福祉とかの観点で見てしまうと、こういった『絶望的に女気の無い人達』には消防団みたいな精神的な慰労の場所というのが社会の中に何かしら必要なんだとは思います。正直、この人達は消防団という特殊なルールのある世界を知らないままだったら精神的な爆発を起こして何らかの犯罪を犯してしまう可能性が非常に高いと思います。しかし、そういった人達の人生の謂わばマル福みたいなものの負担を地元の人達だけで負担し続けていかなきゃならないのっておかしいと思ってしまいます。

この制度の根本的なところから改正すべき議員なども、何故か消防団側から飲み会などに呼び出され、ヘコヘコして飲み代を出したりしていました。田舎ってこういうところが本当にダメです。班長とか分団長とか昔からのワルで無駄に顔が広いので票を失いたくない地元の政治家など全くものを言えない。

この余りの為体に私は広域本部に直接『この3ヶ月で消防団に取られた11万円を返してくれ』と言いに行った事もありますが、県の消防本部としてはそんな不祥事は絶対に公表されてはならないと思ったようで、そんなことは『無かった』事として揉み消されました。しかも、『無かった』事になったにも関わらず、それを理解できない頭の悪い団員達が私の自宅に押し掛けて来て「なんで喋った」だの「今度喋ったらこの家ごと一家まとめて燃やす」だのと言って脅しを掛けてくる始末。結局、私はそれを予期していたので、その夜のやりとりをiPhoneのボイスメモで録音しておいたため、それを「警察とニュース番組に送ってやろうか」とヘタレ議員と消防本部に逆脅しをかけて、これまで大体取られた分をキッチリ全額一括で回収しました。しかも、その後も一年間、消防団に居続けてやりました。

当然、そんな不祥事を大ぴらにした分団なので、以降、定例にしても巡回にしても本所の署員が毎回一人、解散後まで監視で付いて回るようになったため上の連中も金銭強要は勿論、無駄口の一つも叩けなくなり、一年も過ぎた頃には社会のルールとか現実とかが少しは分かったようで、みんな金も覇気も無いしょぼくれた中年になって落ち着いたので、私は3年目でキッパリ辞めました。

少しは制度改革出来たとは思っていますが、これで良かったのかと今でも考えてしまう時があります。

私が入団した当初、詰所の近所の家の庭に繋がれていた飼い犬を盗んできてヤミ鍋にして酒のつまみに食ってしまったような連中と、人生に疲れて溜め息しか声の出ないような中年の集まりと、どっちが良いですか?

どっちも嫌なら消防団になど入らない事です。 どっちの世話もしたくないなら消防団になど入らない事です。

堕ちるのは脱力してれば良いだけなので簡単ですが、元の高さまで戻るだけでも物凄く大変なので、お気を付けあれ。

助言というか、体験談です。

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[良い点] 地元の友人から聞いた話とほぼ同じでやっぱり消防団ってそういう連中なのかな。と思いました。とても面白かったです。 [一言] 私は地元の友人の結婚式に出て、その二次会場の小さなスナックで友人の…
[良い点]  感想を書くのが遅くなりました。  私もサラリーマン家庭に生まれて、人がいないからって言う理由で、消防団員にさせられたクチです。ですんで、そこかしこにあるあるが散見されて面白かったです。 …
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