第一章「霊」
俺、雪月花海利はその日、目覚まし時計の耳をつんざく様な音によって起こされた。
朝五時、朝食はパンの上にベーコンと卵焼きをのせたものだ。
ベーコンと卵焼きの焼き加減が、丁度良い感じになったので、とてもジューシーであった。
俺は朝食を食べた後、未だに寝ている親のために朝食を作って置いていってやった。親といっても、家は母子家庭だから母親しかいない。
「今日から俺のスクールライフが始まるのか〜。」
俺はため息交じりで、そう呟いた。
もし、本当に変人、奇人の集う学校という噂が本当だったら、俺はとてつもなく場違いな男になってしまうではないか!!
「まぁ、そういうなって!!」
「!?」
後ろを振り返ると幼馴染の片桐霊がたっていた。
「勝手に人の家の中に入ってくるなクラッシャーッ!!!」
「ガフっ!!」
霊は、華麗に宙を舞い、地面に崩れ落ちた。
気のせいか?殴った瞬間ゴリゴリと奴の体から音がした。
「あ、あいかわらず恐ろしいパンチだな。」
霊が口から血をだしながら言った。
「お前も相変わらず、名前のとおり霊みたいに、静かに人に近づくのが得意だな。」
俺はにやりとして言いかえした。
奴もさすがにその言葉には苦笑した。
その後、海利が霊に応急処置をほどこし、無事霊は復活!!とまではいかなかったが、いつも通り元気になった。
「なぁ〜に、本当に変人や奇人が集まってるはずないだろ。」
ふと、霊が言った。
「変態に言われても、威厳がねぇ〜な〜。」
その後、霊が俺を睨んできたので、謝っておいた。
「まぁ、そんなことは学校に行ってみないと分からないよな。」
俺が冷静に言うと奴はそれに同意した。
俺は早速、学校に行く準備をし玄関で待っている霊のところに行った。霊の家は俺の家の後ろなので、すぐにアイツは俺の家に来ることができる。
霊は、見た目はとてもスタイルの良い少年なのだが、中身が崩壊しているので、アイツを見た目だけで判断してきた女子が、泣いて帰っていくのを何度も見たことがある。
本当にもったいない奴だ!!
「よぉ。待たせたな。」
「ハッハッハッハッ!!待ってないよ少年!!」
しかし、俺としてはテンションがとても高いコイツが友達で本当に良かったと思う。俺がそう思っていると、奴は俺の肩をたたいて言った。
「さぁ、行こうじゃないか!!例の学校へ!!」
俺は、前をつかつかと歩いていく頼もしい友の後ろについて行った・・・