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異世界チートはお手の物  作者: スライド
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第18話 ユウトVSベイル

 俺とベイルは剣道の達人同士が睨み合ってるかの如く、お互いの様子を伺っている。

 傍から見ればただ黙って見つめ合ってるようにしか見えないだろう。しかし、俺とベイルにしか分からないやりとりが行われているのだ。何だこのおっさん。まったく隙がないぞ。


「何だ来ないのか? じゃあこっちから行かせてもらうぜ」


 そう言い終えた途端、予備動作なくベイルの姿が掻き消えた。


(なっ!!)


 そして一瞬で俺との間合いを詰めたベイルが、俺の顎を狙いアッパーをかましてくる。俺はなんとか反応し、状態を反らしてギリギリでその攻撃を回避し、即座に後ろへ飛んで距離をとる。


「ほう、避けたか。やるじゃねえか。俺と戦ったほとんどの奴は今ので一発KOなんだが。これは久々にかなり楽しめそうだな」


「そうかい。じゃあ今度はこっちから行くぜ」


 思い切り地面を蹴り距離を詰め、ベイルの顔面に右脚で蹴りを入れる。しかし、なんなくそれはかわされてしまう。

 だが、避けられるのは想定内だ。俺はすぐさま身を翻し、左脚で蹴りを叩きこんだ。


「おっ!」


 俺の蹴りは直撃こそしなかったが、ベイルの左肩をかすめた。

 少し驚いた顔になるベイル。


「避け切ったと、思ったんだがな!」


 即座に反撃の拳を打ってくるベイル。少し態勢を崩していた俺は、攻撃を腹にまともに受けてしまう。


「―――――――ッ!!」


 予想の何倍も重いパンチに一瞬意識が飛びかける。

 ただのパンチがなんつー威力だ。こんなの何発もくらったらただじゃ済まねえぞ。

 俺は急いでベイルと距離を取ろうと後ろへ飛んだ。しかし、その動きは完全にベイルに読まれており、あっという間に距離を詰められ、超絶パンチの応酬が始まる。


「くっ!!」


 俺はなんとか両腕でパンチをしのぎ、逃れる隙を伺う。だが、一度パターンにハマった獲物を逃すまいと、見事なベイルの連携攻撃が降り注ぐ。


「どうしたどうした! 防ぐだけで精一杯かユウト!」


 ベイルの攻撃が更に激しさを増す。凄まじい戦闘に周りの観客達は大盛り上がりとなっている。

 くそっ! このままじゃ負ける! とにかく集中しろ俺。これだけの連撃だ。必ずどこかで隙が生まれる。そこを突くしかねえ。

 そう考えていたまさにその時だった。ベイルが大振りのパンチを放ってきた。ここしかない!!


 俺はパンチをかわすと、パンチを空振りしてわずかに隙ができたベイルの顔面へと即座に最大限の速さで渾身の右ストレートを打ちこむ。


「うおっと!!」


 だが、そこはS級冒険者。バランスを崩しながらもそれをかわす。……が、それは俺の読み通りだ。俺は高速で体を真横に回転し、顔面へと裏拳を叩きこんだ。


「がっ!!」


 見事に裏拳が直撃し、ベイルの口から声が漏れる。やった! ダメージ与えたぞ。

ただでさえ盛り上がっていた周りの観客たちが、また一段と大盛り上がりとなる。


 俺とベイルは互いに一旦距離を取った。


「がっはっはっは! ユウト! 強いだろうとは思っていたが、予想以上の強さだな! お前、普通にS級並みの実力はありそうだな。マジですげえぞ」


「そ、そうか? そりゃどうも」


 S級からそこまで言ってもらえたのはなかなかに嬉しい。俺は照れ隠しに頭をポリポリとかいた。


「ま、勝つのは俺だけどな。次で勝負を決めてやるぜ」


 そう言って一段と気迫が増すベイル。

 やばいな。どうやら気合いを入れ直したっぽい。こりゃちょっとでも集中力を欠いたらそこでゲームセットだな。俺も次で決めるつもりでかかろう。


 俺とベイルは同時に踏み込み、お互いに一瞬で距離を縮め、ラストアタックを決めに行く。

 しかし、どちらの攻撃も放たれる事はなかった。


「エミリアさん!!?」


 突然のミーシャの叫び声に俺もベイルも動きを止める。

 何事かと目を向けると、信じられない光景が飛び込んできた。


「エミリア!!」


 エミリアが地面にぐったりと倒れていた。

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