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異世界チートはお手の物  作者: スライド
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第17話 S級冒険者ベイル

「エ、S級……? マジで?」


「そうよ! 冒険者歴30年を超える大ベテランのS級冒険者よ。しかもただのS級じゃないわ。初めてS級と呼ばれる冒険者となったのが、このベイルさんなのよ。更にはトロール1000体を1人で討伐したとか、突如現れたカイザードラゴンを一撃で仕留めたとか伝説的エピソードも数知れずで……。とにかくすっごい人なの。まさか会えるなんて……」


 エミリアのこの反応。どうやらマジのようだな。まあ確かにめっちゃ強そうな感じではあるしな。いやはや、まさかこんな突然S級冒険者に出会うとは……。


「おう嬢ちゃん。そんなに褒められると照れるじゃねえか。まあカイザードラゴンを一撃ってのはかなり話が盛られて世間に伝わってるがな。流石の俺でも一日がかりで倒したよ」


「そ、そうなんですか。それでもすごいです。本当に」


 カイザードラゴンの強さは良く分からんが、ドラゴンって言うとファンタジー系の小説じゃあ最強クラスのモンスターだし、それを倒したって事はやっぱこのおっさんは滅茶苦茶な強さなんだろうな。

 にしてもエミリアの奴、珍しくテンションがあがってやがるな。憧れの冒険者に会えて喜んでるって感じなのかねえ。


「ところでお前たち3人は冒険者なんだよな? 何て名前なんだ? 教えてくれや。半年くらい休んでて久々にギルドに顔出したから、知らない顔の奴が多くてよ。朝から初めて見る奴に名前聞いて覚えてたんだわ」


「そうだったんですか。私はエミリアと言います。冒険者になって3ヵ月くらいで、今はB級です」


「おお、B級なのか。女でしかもその歴でB級とは将来有望だな。よろしくエミリア。

えーっと、次はそっちの小さい嬢ちゃんだな」


「あ、はい! 私はミーシャって言います。えっと、冒険者には今日なったばかりでE級です」


「へえ、新米中の新米ってことか。まあ冒険者もいろいろ大変だけどよ、楽しくやっていくのが一番の成長へのコツだから、その辺を忘れずに頑張るんだぞ、ミーシャ」


「は、はい! 頑張ります!」


「最後はお前だな、そっちのひょろいの」


 ひ、ひょろいって……。あんたと比べたら大概の人間がひょろくなるとおもうぞ。まあいいや、俺がひょろいのは事実だし。


「俺はユウトだ。冒険者になって1ヶ月いかないくらいかな。今はエミリアと同じB級だ」


 そう自己紹介すると、ベイルは何やら怪訝そうな顔になった。


「B級……? お前が? 本当に?」


 ……む。なんだその反応は。俺みたいなひょろいのがB級もある訳ないってことだろうか。失礼な。

 俺の表情を見たのか、慌ててベイルが言葉を訂正してきた。


「おっと、すまん。言葉が足りなかったな。なにも俺はユウト、お前がB級より下なんじゃないかと思って聞き返した訳じゃないぜ。A級は間違いなくあると思ったから、ちょっと驚いちまってな。確かにお前は見た目は強くなさそうだが、なんだろうな……これは俺の長年の冒険者としての勘だが、お前はそこらの奴らとは何か違う感じがする。実はめっちゃ強いんじゃないかお前?」


 な、なんだこのおっさん。俺のチート能力を一目で見抜いたのか……? いや、流石にそれはないか。感じがするって言う曖昧な言い方だし。だが、俺の強さを一目で見切ったのは確かのようだしな。さすがS級と言ったところか。


「ま、まあ実力は高い方だとは自分でも思ってるけど、俺は現時点ではB級冒険者だ。それ以上でもそれ以下でもないよ。将来的にはS級を目指してはいるけどな」


 俺はそれっぽい事を言って誤魔化した。


「がっはっはっ! S級か。いいねえ、目標は高い方がいい。気に入ったぜユウト。がっはっはっは!」


豪快に笑うベイル。なんか知らんが、気に入られたなら俺も素直に喜んでおくとしよう。

ひとしきり笑い終えると、ベイルは少し考える仕草をしてから俺に提案をしてきた。


「ユウト、良かったらなんだが、俺と軽く勝負してみないか?」


「え、勝負?」


「ああ、ちょっとした俺の気まぐれなんだが……、どうだ?」


 S級冒険者が俺と戦いたいだって? マジか。これは願ってもない展開だな。答えはもちろん決まっている。


「いいぞ。エミリア、ミーシャ、悪いな。クエスト行くのはこの勝負の後にしよう」


「え、ええ。まあいいけど。個人的にも気になる勝負ではあるし」


「はい、私もユウトさんとベイルさんが戦うとこ見たいです」


「よーし、決まりだな。で、ベイル。場所はどうする?」


「ギルドの裏にそれなりの広さの空き地がある。そこでやろうぜ」


「オーケー。じゃあさっそく移動しよう」




 空き地に移動すると、S級が戦うという話題性のおかげか、あっという間に野次馬が出来ていた。

 これは情けない戦いをしたら大恥だな。いや待て、マイナス思考になるな。これはチャンスととらえるべきだ。俺も前にギルドで剛腕のガイとかいうアホをワンパンKOしたこともあって、そこそこは有名になっているってエマから聞いたことあるし、ここでベイルを倒して、更に名を上げてやる。


「ユウトさーん! 頑張ってくださーい!」


 ミーシャが声援を送ってくれた。おう、まかせとけい。俺は手を振り返した。


「ユウトー! さすが負けるだろうけど、いい勝負しなさいよー!」


 引き続いてエミリアの声援だ。負ける前提なのは気にくわんが、まあここにいる大半の人間は俺が負けると思ってるだろうし、仕方ないか。まあ頑張るさ。


「うっし、ユウト、さっそく始めるか。周りに人が多いからとりあえず魔法の使用は無しにしようぜ」


「オーケー。じゃあ何で戦う?」


「そうだな。俺は別に肉弾戦だろうが剣だろうが何でもいいがなあ。ユウト、お前が決めていいぜ」


 お前が決めていい、ねえ。随分と余裕があるんだな。俺のこと強いって言ってくれたけど、やっぱあくまでもS級の自分の方が上だとは思ってるって事だろうか。それならば。


「なあベイル。あんたが一番得意な戦い方は何なんだ?」


「俺か? 俺は肉弾戦が一番得意だな」


「じゃあ肉弾戦で」


 俺は即座にそう返した。


「ほう……、いい度胸だ。後悔するなよ?」


「ああ、望むところだ」


 俺とベイルはニヤリと笑い、お互いに構える。

 さあ、行くぜS級!!

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