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異世界チートはお手の物  作者: スライド
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第12話 黒いマンドラゴラ

 俺たちは第1フロアの残り1体のリザードマンを無事倒し、今は第2フロアにいる。

 そして、第2フロアのモンスターである植物系モンスターのマンドラゴラと交戦中だ。


「ユウト! 沈黙魔法を!」


「オーケイ。サイレンス!」


 俺は沈黙魔法サイレンスをマンドラゴラにかけた。

 マンドラゴラの攻撃の1つとして叫び声があり、その声を聞いてしまうとめまいを起こしたり、場合によっては発狂して死んでしまうとも言われるため、マンドラゴラとの戦闘ではまず初めに沈黙魔法を使い、叫び声を封じるのがセオリーなのだ。


「これでよし。エミリア!」


「任せてっ!」


 俺の呼びかけにすぐ反応し、エミリアがマンドラゴラに斬りかかる。

 一刀両断。マンドラゴラは真っ二つになり息絶えた。


「凄いです凄いです! 2人の連携本当にお見事です! 2人ともすっごく強いんですね。見惚れちゃいました」


 大興奮のミーシャがピョンピョン跳ねながらそう言う。冒険者の戦闘を初めて見てテンションがかなり上がっているようだ。


「いやー、それほどでも。まあこのくらいできないと到底S級にはなれないだろうからな」


「え、ユウトさんはS級を目指してるんですか?」


「うん」


「やっぱり凄いです。志が高いんですね。エミリアさんもS級を目指してるんですか?」


「あ、あたし? うーん、なれたら嬉しいけど、あたしじゃあA級になるので精一杯でしょうねえ」


「そうなんですか。まあS級って人間やめてるっていいますし、それが普通ですよね」


「そうそう。冒険者S級とか変人ぐらいしか目指さないわよ」


「あー。となるとユウトさんは変人なんですね」


「まあそういう認識であってるわね」


「おーい、全部聞こえてるぞー」


「あら失礼。つい本音が」


「す、すみません。つい本音が」


 本音なのかい。まったく、本人の前でなんてこと言いやがる。その失礼な口を沈黙魔法で黙らせてやりたいぜ。


「まあいいや。とにかく残りのマンドラゴラをさっさと倒して進むぞ」


「はーい」


 その後俺たちは第2フロアを探索しつつ、マンドラゴラを着実に狩っていき、20体まで倒した。

 そしてさらに進むと広い部屋に出た。


「なんだこの部屋は?」


「さあ、意味ありげな部屋なのは確かね」


「あっ! なんかたくさんいますよ!」


 ミーシャの声に反応して見ると、マンドラゴラの群れがそこにはいた。

 数は全部で10体。残りのマンドラゴラ全てがここに集まっているようだ。


「よっしゃー! 1体ずつ探していく手間が省けたぜ! サイレンス!」


 俺は即座に10体全てにサイレンスをかけ、叫び声を封じる。


「一瞬で終わらせてやらあ! いくぜ、ファイアバースト!!」


 俺はファイアボールの上位互換魔法ファイアバーストを放った。

 俺の手から放たれた火球は、マンドラゴラの群れの中心へと到達し、次の瞬間大爆発を引き起こした。

 その爆発により、マンドラゴラ10体はあっという間に全滅した。よし、完璧だ。


「あー! 何勝手に全部倒してるのよ! あたしだって戦いたかったのに!!」


「悪い悪い。つい勢いでやってしまった」


「まあまだフロアは残ってるからいいけどね。さ、次のフロアに行きましょ」


「そうだな」


 俺とエミリアがそう話していたその時ミーシャが声を上げた。


「ユウトさーん。エミリアさーん。なんかここにまだ1体いますよー」


「何っ!?」


 慌ててミーシャの方を見ると、ミーシャの目の前に真っ黒な身体のマンドラゴラがいた。おかしいな、確かに10体全部倒したのに。

 と言うかなんだあいつは。明らかに普通のマンドラゴラじゃないぞ。確かエマが同じフロアには同じモンスターしかいないって言ってたはずだがどういうことだ。


「ミーシャ! なんかヤバそうよそいつ! 早く離れて!!」


「えっ」


 エミリアの叫び声と同時にその黒いマンドラゴラがミーシャに襲いかかる。まずい!!


「させないわよっ!!」


 しかし、間一髪のところでエミリアの剣撃がマンドラゴラに炸裂し、マンドラゴラはその場に倒れた。

 あ、あぶねー。危うくクエストに関係ないミーシャに怪我させるとこだったぜ。


 だが、俺がホッと胸をなでおろしたその直後だった。

 突然黒いマンドラゴラが破裂した。辺りに漆黒の体液が飛散する。


「きゃあっ!」


 そしてそれをうまく避けきれず、エミリアは右腕に体液をくらってしまう。


「エミリア!!」


 俺はすぐさまエミリアの元へ駆け寄る。やばいな。猛毒とかじゃないだろうな。


「だ、大丈夫か?」


 俺は恐る恐る声をかけた。


「……え、ええ。なんか大丈夫みたい。びっくりしたけど別に痛みもないし」


 体液のかかったところを拭きとりながら、そう言うエミリア。


「そ、そうか。なら良かった」


 確かにエミリアの右腕にはなんの損傷もなく大丈夫そうだった。まったくあのマンドラゴラめ、脅かしやがって。ただのあいつの血とかだったのかな。


「す、すみませんエミリアさん! ダメージは無かったとは言え、私のせいで危険な目に……」


 ミーシャが責任を感じ、エミリアに謝る。


「大丈夫よ、ミーシャ。気にしないで。結果的になんともなかったわけだし、何よりあなたに怪我させなくて済んでよかったわ」


「うう、エミリアさん。本当にありがとうございます」


 心からお礼を言うミーシャ。

 よし、エミリアもミーシャも大丈夫そうだし、次のフロアへ行くとしよう。

 それにしてもさっきの黒いマンドラゴラは何だったんだ? ギルド側のミスなのだろうか。ギルドに戻ったらエマに聞いてみるかな。

 俺はそんなことを考えながら、次のフロアへと歩みを進めた。




 その後、3、4フロアも特に苦戦することなくクリアし、俺たちは遂に第5フロアのボス部屋の扉の前にやってきた。


「いよいよボス戦か」


「ええ、なんだかどきどきしてきたわ」


「私もです」


「まあ油断せず全力で挑めばきっと大丈夫さ」


「そうね。じゃあ、開けましょう」


「おう」


 俺たちは3人で扉を押し、中へと入った。



 部屋に入るとすぐに扉が勝手に閉まった。

 部屋の中には明かりがなく、真っ暗で何も見えない。


「ま、真っ暗です。怖いです」


 ミーシャが脅え出す。正直俺も少しばかり怖い。どうなってんだ?


 すると突然ボボボと音を立てて壁の方で炎が灯り出した。

 どうやらこの部屋の壁一面に松明があったらしく、部屋に人が入ると灯るようになっていたようだ。


 そして、部屋が明るくなると同時にボスが姿を現す。

 巨大な赤いゴーレムと青いゴーレムがそこにいた。

 2体ともその手に巨大なハンマーを持って俺たちのことを見下ろしている。やべえ、めちゃくちゃ強そうだ。

 だが、ビビってなんかいられない。絶対倒して、俺はB級になってやる。


「いくぞゴーレム!!」


 さあ、ボス戦開始だ!!

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