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第81話 帝国の方針

ついに殲滅してしまいました。ゴロタとバイオレットさん、無敵です。チートです。これでは、創意と工夫が無さすぎです。

(9月8日です。)

  第3代皇帝スープラカエザー・ザウツブルコ・ヘンデル18世の執務室では、プーチキン宰相と、マーキン帝国魔導師長とパトロン帝国軍統合幕僚長が、悲痛な顔で集まっている。


  「宰相、すると、ダブリナ市は、本当に壊滅したのか?」


  「はい、衛士隊2000名、帝国軍3000名が全滅しました。」


  「そうすると、今、ダブリナ市は、誰が治めているんだ。」


  「形式上は、初級3等認証官の市長が治めていますが、実権は、奴隷解放戦線ダブリナ支部長のトラオと言う獣人が握っています。」


  「その『奴隷解放戦線』とは、何じゃ。」


  「よ、良く分かりませんが、突然、出現しました。現在、ダブリナ市には凡そ200名の戦線部隊がいる模様です。」


  「何、たった200名だと。何で、それっぽちで負けるんじゃ。」


  「いいえ、彼らは、全く、戦っておりません。戦ったのは、ゴロタ殿と100mを越える黒龍だけだったそうです。」


  「あの、恐ろしい女性達は、何もしていなかったのか。」


  「はい、何人かは治癒をしていましたが、一人は、鉱石の中から珍しい石を漁っていたそうです。」


  「何じゃ、それは。まあいい、それで、これからどうするのだ。」


  「一つは、解放戦線を排除して、実権を取り戻す事です。」


  「それで、どうなる。」


  「今までの経緯を考えると、ゴロタ殿と全面戦争になるかと。」


  「何で、そうなるのじゃ。たかが200名を排除するだけじゃぞ。」


  「調査によりますと、事の発端は、一人の奴隷が鞭打ちの刑で、死んでしまった事のようです。ゴロタ殿の判断基準は、どうも我々とは違うようです。」


  「パトロン将軍、ゴロタ殿と全面戦争になったとして、帝国はどうなる。」


  「帝国軍4万人は、1時間持たないかと。その後、帝都は壊滅すると思います。」


  「その後、ゴロタ殿は、皇帝に即位するのか?」


  「いえ、彼は、殲滅が目的で、その後はエルフ公国へ行ってしまうと思われます。」


  「パトロン将軍、帝国軍は、どう対応を取るのじゃ。」


  「はい、取り敢えず、北の国境辺りまで移動して、迎撃態勢を取ろうかと。」


  「何じゃ、それは。彼らの向かう先は、東ではないか。北に行って、何を迎撃するのじゃ。」


  「いや、もしもの事を考えまして。」


  「宰相、彼らの、要求は何じゃ。」


  「何もございません。」


  「はあ?それでは、彼らは、何をしに帝都に来るのじゃ。」


  「陛下が、帝都に必ず寄るようにと仰っておられましたが。」


  「ああ、そういえば。それで、もう一つの方法があるのか?」


  「はい、ゴロタ殿に恩賞を与えて、早くエルフ公国へ出国して貰う事が最善かと愚考します。」


  帝国の対応は決まった。


    ゴロタ殿に対しての、ワイバーン掃討の恩賞授与。


    帝国軍は、北の国境の防備を固める。


    帝国内での、奴隷への鞭打ちの禁止。


    市民権を持っている亜人達を集めて歓迎パーティーをする。


    可能であれば、まだ未婚の32歳の皇帝の娘とゴロタ殿を婚約させる。


  最後の計画に無理があるとは、全く気付かない皇帝陛下であった。






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  セント市は、ヘンデル帝国セント西中央郡の郡都、大きな街だ。帝国では、帝都の次に大きい。


  僕達は、セント市内の最高級ホテルに泊まることにした。ダンカンから回収した大金貨があるので、少しだけ贅沢をする。しかし、部屋は、ダブルに追加ベッド、ツインが1つと、いつもと一緒だ。


  「ねえ、ゴロタ君。少し背が伸びた?」


  「うん、どうだろう。」


  「じゃあ、測ってみよう。」


  ハッシュ村では、シスターが年に1回、8月に身体検査をしている。ゴロタは、10歳の男の子にも負ける143センチだった。


  今年は、まだ測っていないので、どのくらいなのか分からない。


  早速、測ってみようとフロントにメジャーを借りに行ったら、大浴場に測定器があるとのことだった。しかし、大浴場は混浴だから行けないと思っていたら、有料で貸し切りが出来るとの事だった。1時間、銀貨1枚だったが、借りる事にした。


  大浴場では、大測定大会が始まった。勿論、全員、素っ裸である。


    ゴロタ    151センチ

    シェルさん  157センチ

    エーデル姫  166センチ

    クレスタさん 174センチ

    ノエル    146センチ


  僕は、この1年間で8センチも伸びた。でも、まだまだ小さな子供体型だ。シェルさんは、2センチ伸びたそうだ。エーデル姫は、1センチ伸び、ノエルは分からない。でも、会った時は、僕よりちょっと小さいだけだったので、随分、差がついた。クレスタさんは、変化なしだった。


  体重も測ったが、僕には教えて貰えなかった。僕は、45キロだった。ローレルさんと言う人が考えた指数では、標準的だった。



  「あら、ゴロタ君、これ何?」


  シェルさんが、僕の左胸のアザを見つけた。丁度、心臓の下辺りに小さな丸を囲むように、扇形が3つの模様だ。僕には、怪我をした記憶がないので、自然に出来たかも知れない。しかし、これはアザと言うよりも、何かのマークみたいだった。


  大浴場の中では、僕を洗う争奪戦が始まった。しょうがないので、交代で全員に洗わせたが、肌が赤くなって痛い。


  夜、僕は、夢を見た。シルの夢だ。姿は見えない。光があるだけだ。声が聞こえる。


  『無から光は生まれた。光は力。力は、万物の元。光を統べる器。無限の力。光よりも早く。』


  目が覚めた。胸が熱い。何故だろう。自分に何かが、起ころうとしている。






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(9月9日です。)

  今日は、1日、観光をする事になった。おおきなショッピングモールの中を歩いてみる。女性用の専門店に入って行ったシェルさん達は、中々出てこない。僕は、近くの噴水の側のベンチに座っている。


  この後で、僕の服も買う事になっている。最近、サイズが合わなくなって来ているからだ。


  僕は、木綿の作業衣で充分だと思うのだが、ネズミ色か、紺色の襟付き上下で、ポケットが上の胸と脇に4つ、ズボンに4つ付いているし、太いベルトの留め具が付いている。機能的で、丈夫で、最近は作業者で無くても着ている人が多い。殆どが、おじさんだけど。この手の服の専門業者が色んな街に出来ている。店の名前が『働く男』という意味不明のネーミングだった。


  僕が今、着ているのは冒険者服だ。ピンク色のシャツと、紺色のオーバーオールズボン、それに緑色のチェック柄の丈の極端に短い上着のセットで、買ってから1年位経っている。あと、持っている服は、貴族服と紺色の作業服だ。冒険者服と作業服を交代交代で着ている。


  僕が、ボーッとしていると、一人の女の子が、若い男3人に追いかけられている。追いかけられているのは、兎人だった。


    「助けてー!」


  僕は、10m以上離れている距離を一気に飛び越えて、その女の子の前に立った。


    ドン!


  その子は、僕にぶつかってひっくり返った。スカートがめくれ上がったが、僕は、見なかった事にする。


  男達は、立ち止まって、僕を見た。普通に見れば、小さな男の子だ。しかし、腰に帯剣しているのを認めて、警戒を緩めない。


  男達のうち、真ん中に立っている男が、落ち着いた様子で、話しかけて来た。


  「その娘さんを渡してくれないか。その娘さんは、密入都者なのだ。」


  話を聞くと、彼らは、衛士さん達で、本日は私服で密入都者を取り締まっていると言う。


  僕が、その娘さんを見ると、涙を浮かべながら、


  「許して下さい。直ぐに出て行きますから。」


  と言っていた。衛士さん達は嘘を言っていない様だ。


  聞くと、獣人の密入都者は、奴隷密売人に見つかると、拉致されて売り飛ばされるらしいので、その前に身元を調べて保護しているのだと言う。身元が確認出来ない場合のみ、正規の奴隷商人に有料で引き渡すが、その金額が、奴隷が自由になるための保証金となるそうだ。


  この兎人は、きっと、身分証明書や旅行証明書を持たないまま、この街まで来たために、正規の手続きをしないで入城したのだろう。


  僕は、改めて、その兎人を見ると、服装や顔は汚れているが、赤く可愛らしい目をしている。悪い子ではなさそうだし、何か事情がありそうだ。このままにすると、きっと奴隷として処理されてしまうのだろう。


  僕が、困っていると、ちょうどシェルさん達が店から出て来た。僕達を見つけると、近づいてきて、衛士さん達と話をしてくれた。この兎人の子の保証人になるから、預からせてくれとお願いした。保証金も払うと言ったので、衛士さん達も、納得してくれた。


  皆で、近くの衛士詰所に行き、引き受けの書類を書いている最中に、僕達の身分証明が必要となり、冒険者証を見せた。


  衛士さん達は、それを見て、目が点になり、僕達の顔と服装を確認してから、その場で直立した。どうしたのかと思ったら、皇帝陛下から、『帝国の国賓だから、丁重に扱え。要望には、最大限答えろ。』との勅命が昨日出ているとの事だった。


  その後、受け取りを拒否する保障金を支払い、兎人の身分証明書を発行して貰った。


  兎人の名前は、サリーと言い、12歳だった。


  詰め所を出たあと、買い物とお風呂に行くことになった。


  サリーが、とにかく汚なく臭いのだ。聞くと、馬車に乗るお金がないので、ずっと歩いてきたらしい。


  昼は、野草を食べながら走り、夜は、魔物や獣の匂いのしないところで穴を掘って寝てたとの事。まあ、兎ならそうだろう。


  村は、ずっと南の方で、評判の悪いダブリナ市を迂回して来たので、2か月位かけて、セント市まで来たそうだ。


  王都に行く理由は、王都で働くお姉さんに会いに行くためだそうだ。何か、飲食店みたいなところで働いているらしく、毎月、生活費を送金して貰っている。サリーも学校を卒業したので、王都で働こうと思い、親に相談したら反対されたので、家出して来たそうだ。


あれ、これ以上、ハーレムを増やさないはずなんですが、まあ、違う子がいると新鮮ですかね。

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