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第70話 帝国皇帝の謁見

いよいよ第70話です。ゴロタ達は、無事、スカンダル市に入城しました。何か、ゴロタ達と違う思惑が動いています。

(7月5日です。)

  僕は、晩餐室の隣の控室に行き、ワイちゃんを呼んだ。素っ裸のワイちゃんが出てきた。でも、それだけではなく、あと2人、現れた。


  2人とも裸の女性だった。


  1人は、身長175センチ位、年齢35歳位の妙齢の女性で、ワイちゃんと同じ銀色の髪、漆黒の瞳、やや浅黒い肌、長い髪が女性の大事な部分を隠しているが、何も生えていないことをしっかり見た僕だった。もうナイスバディという言葉が逃げ出す位の素晴らしい体つきだった。


  もう1人は、身長165センチ位、年齢18歳位の若い女性で、先ほどの女性を、そのまま10代に戻したような女性だった。やはり、下半身にはl何も生えていなかった。


  僕は、目のやり場に困って、直ぐ部屋を出て、シェルさんの所に走っていった。シェルさんに相談すると、シェルさんは、立ち上がって、控え室に入って行った。


  すぐに出てきたシェルさんは、メイドさんの中で一番古参のようなメイドさんを控室に呼んだ。


  30分位してから、女性3人組が、イブニングドレスを着て控室から出てきた。ワイちゃんは、いつものプリーツ・スカートだった。


  3人分の席と料理は、準備されていた。僕が、エーデル姫を通じて、ゲール総督に頼んだのだ。


  3人の自己紹介が始まった。


  一番年長の女性は、ワイちゃんの祖母でノース・グレートスノウ・クイーンダムのブラック・ダークナイト女王陛下


  二番目の若い女性は、ワイちゃんの母親で同じくバイオレット・ダークナイト王女殿下


  一番小さな女の子がワイちゃん、正式な名前は成人するまでない習慣らしい。


  ゲール総督は、ガタガタ震えている。イレーヌさんは、キョトンとしている。


  シェルさん達は、全員がジト目で僕を見ている。


  『この、垂らし男。』


  ゲール総督は、ブラックさんに対し、


  「大変、恐れ多きことですが、もしかすると、あなた様は、あの大雪山脈の向こう側にあるというドラゴン王国の龍王族の長であらせらる女王陛下、ダークナイト・クイーン様ではないですか。」


  『そうじゃ。それが何か。』


  「いえいえ、とてもお美しく、ご尊顔を拝する栄誉を賜りまして、恐悦至極でございます。」


  『おべんちゃらは良い。妾は食事に来たのじゃ。早く食すぞ。人間のこのような正式な食事は300年ぶりじゃ。』


  『あら、お母様、私は初めてですわよ。どこで食されたのですか?』


  『忘れた。』


  楽しい食事が始まった。シェルさん達は、いつもの事のように食べて、飲んでいる。


  お祖母ちゃんは、飲んで、飲んで、飲んで、食べている。


  お母さんは、食べて、食べて、飲んでいる。すべての料理にお代わりを要求した。


  ワイちゃんは、チマチマと食べている。まあ、6歳の身体ではそんなもんです。


  ゲール総督は、食事もワインも喉を通らなかった。


  お祖母ちゃん達は、明日の皇帝主催歓迎晩さん会に出席することとなった。今日は、この迎賓館に泊まることにするそうだ。


  ゲール総督は、食後、郡長官に面会に行き、深夜遅くまで、明日の晩餐会について調整を行った。失敗は許されない。あのブラック女王陛下は、一瞬で我が国全土を殲滅できるだけの力を持っているそうだ。


  迎賓館では、イレーヌさんが、初めて買った透けるネグリジェを着て、ゲール総督の帰りを待っていた。当然、一緒の部屋だ。


  僕達は、それぞれの部屋で眠った。ぐっすりと。






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(7月6日です。)

  翌朝、僕達は、早い朝食をとる事にした。皇帝陛下との謁見の準備をしなければならないからだ。そのための服を買うため市内の洋服店を見て歩きたいが、午前中位しか時間が取れそうもないのだ。


  食堂に入ってきた女性陣を見て驚いた。シェルさん達ではない。龍王族の方々である。


  お祖母ちゃんはクレスタさんのミニスカートを、お母さんはエーデル姫のミニスカートを着ているのだ。はっきり言って、物凄く刺激的で似合っている。


  彼女達もまんざらでもないようだったが、シェルさん達の持っているバッグも欲しがっている。しかし、このバッグは予備がないので、今日、市内で探すそうだ。


  昨日着ていたイブニング・ドレスは今日の晩餐会でも着る予定なので、メイドさん達がしわを伸ばしているそうだ。


  僕は、皆と一緒に買い物に行くのを遠慮した。本日の謁見及び晩餐会での段取りを、ゲール総督に教えて貰うためだ。小心者の僕は、そのような大それた式には出たくなかったが、出るとなると失敗したくなかった。覚えた台詞を言うのは、会話ではないのである程度は平気だ。


  セリフを覚え、所作を覚えて、ゲール総督を皇帝陛下に見立てて練習した。それが終わったら、ダンスの練習だ。


  若いメイドさんを相手に練習する。腕を腰に回して、グッと引き付けて踊るのだが、あの、メイドさん?腰を擦り付けて来るのはやめて下さい。


  お昼に、シェルさん達が帰って来た。信じられない位大きい袋を、お付きの執事さんに持たせている。


  買い物は大変だったらしい。シェルさん達のようなミニスカ姿など、着ている女性がいないので、直ぐに昨日のパレードの女性達だとばれてしまい、老若男女構わず多くの市民が群がって来たそうだ。郡庁からの要請で衛士20人に、帝国軍50人が警備に当たっての買い物だったが、彼らは『もう二度とこの任務は嫌だ。』と言っていたことを、シェルさん達は知らない。


  余談だが、この後、大胆なミニスカートがこの郡都で流行し、それが瞬く間に帝国中に広まっていったのは、別の話となる。


  お祖母ちゃん達は、目的のバッグが買えたみたいだ。H社のバー何とかというバッグで、金貨1枚以上したらしい。


  突然、お祖母ちゃんが僕に向かって、


  『ゴロタよ、昨日から妾の事をお祖母ちゃんと呼んでおらぬか。そのように呼んでいるのが分かるのじゃ。妾はお祖母ちゃんではないぞ。ブラックさんと呼ぶが良い。』


  『あら、それなら私はバイオレットと呼んで。」


  どう見ても、僕より年上なのに、名前を呼び捨てなんてできそうにないので、さん付で呼ばせてもらいます。ところで、ブラックさん、今日買ってきたバッグ、どこで使うつもりですか? その疑問が、通じたのか、横を向いて口笛を吹く二人でした。






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  ヘンデル皇帝陛下は、午後3時頃、郡都に到着した。騎馬を乗り継いで来たらしく、馬も騎士もヘトヘトだった。騎馬隊も500名となると、宿舎もないので、郊外にキャンプすることになった。陛下と宰相たち一行は、騎乗のまま、郡都に入城した。


  僕とシェルさん達は、郡庁舎の前でお迎えする。ブラックさん達は、迎賓館の自室で待機となる。やはり1国の王となると、皇帝陛下の方から御挨拶に行くのが礼儀らしい。


  郡庁舎の長官室が、臨時の謁見の場となった。この場では、皇帝陛下に対し、臣下の礼を取るのが礼儀とされている。長官室のすべての什器類が片づけられ、一段高い台の上に玉座が設けられた。玉座といっても、迎賓館のソファを一つ持ってきただけだが。


  僕達が、長官室にぞろぞろと入り、入口近くに並ぶ。一人一人名前が呼ばれるので、呼ばれたら、所定の場所まで進み、臣下の礼をする。男性は、膝間付いて右手を胸に、左手は腰の後ろに回し、深く礼をする。


  女性は、カーテシをするが、腰を曲げて低頭するカーテシだ。終わったら、左側に並ぶ。右側、つまり反対側には宰相や帝国軍幕僚総長、魔導士長などの閣僚が並んでいる。


  全員の拝礼が済むと、人数分の椅子が用意され、その前に立って陛下のお言葉を待つ。


  「ふむ、大儀である。余が、ヘンデル帝国皇帝、スープラカエザー・ザウツブルコ・ヘンデル18世である。」


  一同が、再度、陛下に対して臣下の礼をして、謁見の儀式は終了である。


  宰相が、「一同お座りください。」との号令で、後ろの椅子に座る。おそらく、この庁舎で一番良い椅子なのだろう。座り心地が良い。閣僚も自分の後ろの椅子に座った。


  事務員達が、小さな丸テーブルを2人ずつの間に1つずつ置き、昨日のメイドさんが紅茶を持ってきた。これから、雑談タイムである。


  「ゴロタ殿、貴殿は今、おいくつになる。」


  「陛下。即答をお許しください。ゴロタ君は15歳になります。」


  「ふむ。貴殿の御両親は、健在か。」


  「ゴロタ君が7歳のときに母親が、10歳の時に父親が死んだことになっておりますが、先日、ゴロタ君が死んだときに母親に会っております。」


  「なんと、死んだと。それは如何なる状況でじゃ。」


  「はい、ワイバーンと戦った時に、わき腹から割かれたのでございます。その後、精霊たる母に会って、生き返ることが出来たのです。」


  この話には、陛下のみならず居並ぶ閣僚達も驚いていた。


  「貴殿の武勇伝はいろいろ聞き及んでいるが、その話は、初めてじゃな。」


  「ところで、貴殿が佩刀しているその剣、伝説の宝剣、『シン・イフリート・ソード』であると聞いたが、見せて貰える訳にはいかないか。」


  『ベルの剣』は、もうイフちゃんを開放して、単なる出入口にしか過ぎないので、だれが持っても呪われることは無い。僕は、『ベルの剣』のカバーを全て外して、将軍閣下に渡した。


  将軍閣下は、その剣を手にして、ワナワナと震え、涙を浮かべながら、陛下の方へ持って行った。陛下は、玉座から立ち上がると、両手で古式にのっとって受け取り、鞘から剣を引き抜いた。イフちゃんの力が無くても、剣そのものの力は何ら変わらない。陛下の力を受け取って、赤い刃が青く光り始めた。


  陛下をはじめ、帝国側全員が、大きく目を瞠った。


  「これほどの物とは。余の宝物庫にも宝剣、魔剣は数多くあるが、これほどの力を感じる剣など見たことが無い。」


  陛下は、『呪われた剣』の伝承も知っているので、直ぐに納刀して、僕に返してくれた。僕は、丁寧にカバーをして佩刀した。


  これで、謁見は終わりである。郡長官は、ホットした表情をしている。


  皇帝陛下は、忙しい。これから、迎賓館で龍族女王であるブラックさんに拝謁するらしい。聞くところによると、ブラックさんの元の姿は、全長300mの黒龍で、炎のブレスは、山をも溶かすほどだそうだ。おそらく帝都は、炎のブレス一吹きで焦土と化すとのことであった。僕は、ブラックさんって凄く恐ろしい人だったんだと思ったが、二つの大きな間違いを犯している事には気が付かなかった。

  

  まずブラックさんは、人ではない。それと、僕もブラックさん並みに恐ろしい力を持っていることを。

え、ワイちゃんのお祖母ちゃんって、帝国が消滅してしまいますよ。

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