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第68話 帝国の危機と二人だけの夜

  ついに70話目(68話)に突入です。ここまで長いようで、短いようで。ランクは低いですが、まだまだ書き続けます。応援して下さい。

  今回は、ゴロタの知らないところで大きく動く政治と、そんなことは知らないゴロタ達のエッチな夜です。

(7月2日です。)

  旅も5日目、あと少しで郡都スカンダル市だ。今は7月の初旬、最近、降り続いている雨もようやく止んで、夏本番がもうすぐそこまで近づいている。


  太陽が高い昼下がり、ここは、荒野のど真ん中、辺りには小高い岩山が並んでいる。


  突然、馬車の馬達が立ち止まって騒ぎ始めた。『どうしたのか?』と御者達が制御しようとするが、言うことを聞かない。そのうち、前方左側の丘の陰から、変な音が聞こえてきた。


    ズシン、ズシン、ズシン!


  丘の陰から出てきた魔物に吃驚した。サイクロプスだ。


  一つ目の巨人。食人鬼だ。顔の中央には大きな目が一つ。鼻は穴が二つ開いているだけ。歯は乱食い歯で、下の犬歯が異様に長く、口から飛び出ている。皮膚の色は、緑色で、淡茶色のトウモロコシの毛みたいなものが頭を覆っている。


  恐ろしいのは、その大きさで、体長7m位、体重は、800キロ位はありそうだ。武器は、トネリコの根で、振り回せば確実に死をもたらすであろう。


  これは、『当番』などとは言っていられないだろう。どうやって倒すのか、楽しみだ。と、思っていたゲール総督だったが、期待は裏切られる。今度は、ノエルが倒すそうだ。え、あの子は、料理当番ではないのか。


  「4大精霊にして至高の気高き風の精霊に我は希う。そは人の深甚にして罪深きものなれど、その業を知り、その為さざるを知り、われ思うに存在を許されたる者達よ。嵐の前にすべてが無効なり。すべてを切り裂き、すべてを砕くその風の化身よ。我は命ずる。顕現せよ。」


     「ウインド・スパイラル・カッター」


  上空に黒雲が立ち上り、激しいダウン・ブローとともに大竜巻が生じ、それがどんどん小さく集約されて1m位の空気の渦になった。それはすさまじいばかりの光の渦となったと同時に、サイクロプスの胴体、鳩尾辺りに向かって放たれた。


     ズババババババーーーーーーン!!!!!


  その光の渦は、サイクロプスの胴体を上下に真っ二つにし、サイクロプスが隠れていた丘の中腹の一部を大きく削り、いずれかへ消えて行った。


  サイクロプスは、出て来ただけの『雑魚キャラ』で終わってしまい、丘の削れた部分は、後世まで伝説となるであろう。ゲール総督は、あまりのチートさに、言葉どころか、その存在のすべてを失い、目の端に飛び回る黄色いスズメの数を数え始めた。シェルさん達が、サイクロプスの心臓あたりから、子供の頭ほどもある緑色の魔石をえぐり出していた。






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(ヘンデル皇帝の宮殿です。)

  「それでは、その少年1人で、衛士の駐屯地を壊滅させ、我が帝国軍の兵士200名以上を一瞬で殲滅させたというのか?」


  質問しているのは、年齢50歳位の銀髪の男性で、真っ赤なケープと、象牙でできた王笏を右手に持っている第3代皇帝『スープラカエザー・ザウツブルコ・ヘンデル18世』であった。


  「御意。その子は、15歳にして、すでに冒険者ランク『A』となっているそうです。」


  「して、使用した魔法は何じゃ。」


  「魔法竜騎士に至急、現地調査させたところ、次の通りでした。」


     駐屯所のドア及び壁   ファイア・ボール極大級


     衛士長の死因      ウインド・ブロウ極大級


     市長の息子の死因    アイス・ランス極大級


     駐屯所内衛士の死因   ファイア・ビーム極大級


     市長の死因       サンダーボルト・ストーム超極大級


     帝国軍兵士の死因    感電 (範囲:約100m)

  

  「マーキン帝国魔導士長、そのようなことは可能なのか?」


  「通常であれば、不可能かと、私如きの魔力では、一つでも放てば魔力切れとなり、気を失い申す。」


  いかにも『魔導士』という風情のおじいさんが答えた。


  「その他にも、重大な情報がいくつかあります。」


  「我が帝国に来る前に王国で『バンパイア・ロード』を討伐した際、『イフリート』と『漆黒の暴風龍』を見たとの報告があります。」


  「なに、『バンパイア・ロード』だと。あの亡国の吸血鬼、不死の王が討伐されただと。それに、何じゃ、その2つは?あまりにもチート過ぎるであろう。」


  「まだ、有ります。王国において、500匹あまりのスタンピードが発生した時は、その少年は一度の斬撃で範囲300m以内の魔物、400匹を殲滅したそうです。その際に使用した剣が、あの伝説の剣、『シン・イフリート・ソード』だったとの目撃証言もあります。」


  「何じゃ、それは。それでは、わが国1国では、直ぐに滅亡してしまうではないか。」


  「はい、まだ有ります。」


  「何じゃ、もう驚かぬ。申してみよ。」


  「この少年の父親は魔族にして魔王を約束されし者、母親は風の精霊にして4大精霊の1神、風のシルフィードとの噂もあり、冒険者カードにて確認済みだそうです。」


  「は、それではあの伝説の『帝王となりし者』ということか? 後は、無いのか。」


  「はい、この者、明鏡止水流の達人にして、総本山総長との試合で10本のうち、7本を取るそうです。」


  「後は?」


  「はい、この者、料理の達人にして、常に食材及び厨房セットを持ち歩いているそうです。」


  「段々、訳が分からなくなるな。後は?」


  「はい、この者、意気地無しの、コミュ障の、ヒッキーの、女性恐怖症のヲタクだそうです。」


  「うむ、それは、なかなか興味深いの。で、何系が・・・。うむ、後は?」


  「はい、この者の同行者もハンパネでありまして。」


  「もう良い。それで、その者は、わが国に何しに来たのじゃ。」


  「はい、それが、この者の同行者と深い関係がありまして。」


  「良い、申してみよ。もう絶対驚かぬ。」


  「この者の同行者には、婚約者が3名おりまして、うらやましい。オホン。実は、その婚約者のうちの1名が、エーデルワイス・フォンドボー・グレーテル第3王女殿下でして、」


  「ちょっと待て。それでは何か?その者は、グレーテル王国の王族に繋がる者という事か?」


  「御意。さらに、今回の帝国渡御の目的が、同じく同行者である婚約者シェルナブール・アスコット王女殿下、この方は隣国グリーンフォレスト連合公国のペニシュラ・シルフィード・アスコット3世大公の御息女だそうです。今回、このアスコット大公に婚約の御承認を得るための渡御と聞いております。」


  「宰相、お主、冗談をいっているのだろ。のう、そうだろ。では、何か。その娘は、あの『獅子王』の娘だというのか?」


  「御意。」


  「それでは、わが国は、西の王国と、東の公国の両方に繋がる者に手を出したという事か?」


  「御意。」


  「終わりじゃ。我が国はもう終わりじゃ。その者に殲滅させられるか、両国から攻められ、焦土となるか。宰相、どうしてその情報をもっと早く入手できなかったのじゃ。」


  「汗顔の至り。誠に遺憾に存じます。」


  「えーい、馬を引け、余自らお迎えに上がるぞ。宮廷にて接待漬けじゃ。」


(この皇帝も、もしかしたら残念かも知れません。)






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(7月4日です。)

  領都スカンダル市に到着する前日、ゴロタ達は、久しぶりにゆっくりとお風呂に入っている。今回の旅は、森が少なく、荒野ばかりだったので、体中が埃っぽくなってしまうのに、野営ばかり多くて参ってしまっていた。


  明日の夕方には、旅は終わりだ。今日は、ゆっくりしよう。そう思っているゴロタだった。今日の旅館の部屋割りは、僕がダブル1部屋、女性陣がツインを2部屋となっている。


  しかし、僕が一人で寝る訳でもなく、交代交代で夜のセレモニーをこなすことになっているのだ。今は、嵐の前の静けさというわけだ。勿論、シールドも張ってるし、アンチ『開錠』の魔法も掛けてある。


  最近、皆の行動が過激になり、毎日、貞操の危機を感じている。僕も、秋には16歳になるというのに、全く少年のままだし。


  セレモニーも、それなりに気持ちは良いが、あくまでも精神的なもので肉体的な気持ちよさとは縁遠い感覚である。


  ドアがノックされ、クレスタさんとノエルが入ってきた。普通にパジャマを着ている。しかし、部屋に入るなり、パジャマを脱ぎ捨てた。あなた達、下着は?


  すぐに明かりが消され、真っ暗になった。僕は暗視スキルがあるから、関係ないが、明るいと恥ずかしいらしい。


  今更、恥ずかしいもないが、いつものセレモニーを始める。クレスタさんの声は相変わらず大きいし、ノエルは、すぐに気を失ってしまう。


  約1時間後、シェルさんとエーデル姫が入って来て交代だ。彼女達も約1時間で終了するが、部屋に戻るのはエーデル姫だけだ。シェルさんが、僕に添い寝をする。女性達の暗黙の了解だ。あの事件のトラウマが消えるまで、今のパターンで行くそうだ。シェルさんは、疲れて寝てしまった。僕は、すぐ毛布を掛けてあげた。

  

最近、書いていて、一人でクスクス笑っています。変ですねえ。

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