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第2部第249話 竜に乗ってその1

新しい章が始まります。


(4月19日です。)

  今日は、ゴータ様と一緒に魔物討伐に行く予定なの。勿論、私は、ゴータ様のポーターとして一緒に行くだけなのよ。ポーターだから、主の冒険者様からいろいろ助けてもらって、あんな事やこんな事をして貰って、それで私は魔物に襲われて気を失うの。それをゴータ様は、私に人工呼吸をしたり、人工呼吸をしたり、人工呼吸をしたり。キャッ!


  と、そういう予定だったのに、ベルさん、ベラさん、それにベネッサさんまでどうして一緒にいるんですか。大体、ゴータ様がどんな人か、陰から見るだけって言ったのに、ゴータ様が現れたら、ダッシュで出て来たじゃない。それに、今日の冒険者服、どうして皆さんだけミニスカートなんですか。いつもだったらダブダブのパンツルックの癖に。あ、ベラさん、今日、お化粧してるでしょ。おかしいでしょ。私達って、男なんか何よの冒険者パーティだったでしょ。本当に。見てよ。ゴータ様、困ってるじゃない。ね、困ってるでしょ。え、困っていないって。どうしてですか。こんな年増達、ゴータ様には似合いませんよ。見た目で誤魔化されないでください。


  とりあえず、今日の依頼は、北の山にいる飛竜の討伐だって。北のゴブリン王国とエルフ王国の国王連盟の依頼何ですって。あのう、それって超『A』級、いえ『S級』の依頼じゃあないんですか。『C』ランクの私達はもちろん、ゴータ様でも受託できないと思うんですけど。え、エーデル様からの特命依頼なの。それってランク関係なしなの。へえ、知らなかった。ベルさん達も知らなかったみたい。


  でも、北の山って、ここから遠すぎる気がするんですけど。確か、地図ではここから北に1800キロ以上あるわよね。さすがに馬車では2カ月以上かかるわよね。それを今日中にやっつけるなんて。ベルさん、ベルさん!何、ゴータ様を見つめているんですか。ねえ、どうやってそこまで行けるのか聞かないの。仕方がない。私が聞いてあげるね。


  「あのう、ゴータ様。」


  「うん?」


  「あのう、どうやって北の山まで移動するんですか?馬車でも2カ月以上かかると思うんですが。」


  「ああ、マロニーちゃんは良く知っているね。でも、心配しないで。飛んでいくから。」


  「前も、一緒に飛んだでしょう。あれの応用で、5人一遍に飛んでいこうね。」


  でも、1800キロよ。時速300キロで普通に飛んだって、6時間以上かかるわよね。


  「取り敢えず、街の外まで出ようか。」


  私達は、ゴータ様と一緒に町の北門へ向かった。ベルさん達がいなければ、私、手をつないで歩きたかったのに。でも、さすがに、人目があるもの。我慢するわ。北の門から出たら、ゴロタさん、『さあ、2人ずつ手をつないで。』と言うの。私はベネッサさんと手をつないだんだけど。ベルさんはベアさんと手をつないで。それで、私の左手をゴータ様の右手が、ベルさんの右手をゴータ様の左手でつないで、ゴータ様が真ん中にお立ちになったの。あ、ベルさん、顔が真っ赤になっている。なんか悔しい。


  「さあ、行くよ。」


  号令とともに、ふわりと浮かび上がり、そのままどんどん上昇していくの。はっきり言って、怖い。高すぎる。ベネッサさん、私の右手をギュッとつかんでいるんだけど震えているのが分かるわ。そのまま、北に向かって前進するんだけど、何故か、私達の身体が水平になったの。それで加速していくんだけど、風が全く当たらないし、寒くも無い。きっとシールドが貼ってあるのね。でも風切音が凄まじい。どれくらいの速度が出ているのか、分からないんだけど、そのうち、変な感覚があったの。下界の景色が、瞬間で切り替わっちゃうの。え、何?


  シェルブール市を出てから1時間も経っていない。30分位かな、下界は深い森がずっと続き、その先には物凄く高い山が東西にそびえているの。これって北の山なの。一体、どんなスピードなの。普通の『飛翔』では絶対に無理な速度よね。私達は、北の山の奥、谷になっている場所の中腹に着地した。私はちゃんとしていたけど、3人は駄目ね。もう放心状態みたい。


  「ここからちょっと歩こうか。」


  私達はゴータ様を先頭に谷を登って行った。谷の向こう側には、何かいる気配がある。谷の上にも何かが飛んでいる。あれは、飛竜『ワイバーン』だ。でも、飛竜たちは私達に気が付かないみたい。『気配消去』か『秘匿』を使っていると思うんだけど、いつ、どうやって私達にもかけたのか全く分からないわ。


  谷の向こう側に飛竜の巣があるようで、あそこから卵を奪って、親飛竜を殲滅するらしいの。え、2匹を狩るんですか?1匹でも私達では絶対に無理なのに。ゴータ様は、私に弓を用意するように指示された。矢を番えると、『上で回っている飛竜が降下してきたら、威嚇で羽だけを射抜いてほしい。』と言われた。それで、上の飛竜に狙いを付けていたんだけど、ゴータ様、右に下げている剣を抜いたと思ったら、谷の向こう側の飛竜の巣めがけて大ジャンプ、当然、巣にいる飛竜は戦闘態勢に入っている。大きく羽を広げて、ゴータ様の方に向けて威嚇している。ゴータ様、構わずにすぐに着地すると、一瞬、飛竜の懐に入って行ったと思ったら、そのまま飛竜は崩れ落ちてしまったの。


 え、ゴータ様、今、何をしたの。飛竜は、傷一つなく絶命したみたい。あ、そうか。そのまま綺麗な姿で討伐したかったのね。じゃあ、私も。上空からゴータ様を狙って急降下してきた飛竜の翼の付け根に『雷』付与の矢を討ちこんでやった。瞬間、心臓が電流を受けて止まってしまったようだけど、竜種って心臓が幾つかあるって聞いたことがあるんだけど、あの飛竜はどうかしら。でも、谷の中腹のでっぱりに激突したみたい。向こう側には皆では行けないけど、私一人なら何とかいけるかもしれない。そう思って、メイド魔法『浮遊』を掛けようとしたんだけど、その前にゴータさん、私が討伐した飛竜をそのまま空間収納にしまってしまった。あのう、未だ生きていたかも知れないんですが。それから、巣の中で絶命している飛竜を収納してから、巣の中から何かを拾っている。あ、両手で持って上に持ち上げてくれた。卵だ。飛竜の卵だ。それも2個も。飛竜の卵っていい値段になるんだって。何でも、孵化したばかりのヒナって、最初に見た物を親だと思う習癖があり、竜騎士は、自分が騎乗する飛竜をヒナから育てていくんだって。へえ、面白いね。でも、あんな可愛くない龍種なんか、ヒナだって可愛くないに決まっているもんね。


  「マロニーちゃんもたいがいだけど、彼も、とんでもないわね。」


  ベルさんが呟いている。まあ、そう思うのも無理はないわね。彼の強さって別次元だから。あ、ゴータさん、一瞬消えたと思ったら、私達側の崖の上に転移してきた。あ、ゴータさん『空間転移』使えるんだ。あれ、ということはゴータさんと一緒なら、今でも帝都とか王都に転移できるのかな。まあ、今は用事ないけど。


  「お待たせ。じゃあ、帰ろうか。」


  帰りは、ゴブリン王国の王都にちょっと寄ってから、帰ったんだけど、ゴブリン王国、初めて見たけどゴブリンばっかりなのね。でも女王様はエルフだしどうなっているのかしら。昼食は、ゴブリン王国のレストランで食べたんだけど、山の幸と森の幸がとっても美味しいの。特に、茸のパスタが絶品だったわ。レシピもらえないかな。


  その日の夕方、冒険者ギルドに戻って、いつもの練習場で討伐した飛竜を出したんだけど、私が落とした飛竜は、まだ生きていたの。翼の付け根を怪我していて、飛べないんだけど、私達を『ギャーギャー!』って威嚇している。あれ、飛竜って、トカゲの仲間なのに、どうしてこんなにかわいい顔しているのかな。目が大きくて、黒目がキラキラ光っている。あ、かわいい。私は、そっと近づいて、飛竜の翼の怪我をしているところを、そっと直してあげたの。飛竜は、じっと私のすることを見ている。そのまま、彼?の頭を撫でて『よしよし!』をしていたら、頭をこちらに差し出して、『キュイーン!』て鳴くのよ。超、可愛い。あ、ベルさんが呆れていた。でも、可愛いじゃない。


  「マロニーちゃん、このワイバーン、君が飼えば?」


  え、ゴータ様、良いんですか。何となく嬉しい。というか、この飛竜、殺されなくて済むの?それなら是非飼いたいんですけど。ギルドの職員さんの話では、大きくなった飛竜は、通常テイムできないので、殺して素材にするしかないんですって。でも、この飛竜、私になついているんですけど。だから、是非、私に飼わせて下さい。お金なら払いますから。


  「そのワイバーンは、君が矢で射ち落したんだ。当然、君が貰う権利があるよ。だから、君の好きなようにすれば良いよ。僕は、この卵2個と死んだワイバーンの素材があればいいから。あ、連れの3人には討伐報酬の分け前を上げなくちゃね。」


  あ、討伐報酬いくらだったんだろう。確認すると1匹につき金貨30枚だった。ワイバーンは、あの谷から森まで狩りに来て多くのゴブリンやエルフが犠牲になっていたそうなんだ。2匹討伐したから、金貨60枚、それを5人で割ると、一人金貨12枚、でも私、飛竜を貰ったから報酬はいらないわ。あ、ゴータ様も報酬はいらないんだって。ワイバーンの1匹丸々の姿でオークションにかけると、貴族が争って買いたがるんですって。あと、卵も1個金貨10枚で売れるって言っていたわ。


  帰る間際になって、重大な問題に気が付いた。この飛竜、どこで飼えばいいの。それに餌は何を食べるのかしら。それに、この飛竜、名前を付けなくっちゃ。あ、結構、いろいろ問題が発生しているような気がしてきたんですけど。ねえ、金貨20枚ゲットして舞い上がってるベルさん、相談に乗ってよ。

飛竜ゲットでした。

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