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第60話 国境の谷 帝国領に入る

いよいよ、帝国領に入ります。しかし、ゴロタ達、たまには休んだらいいのに。あ、女性陣は交代交代なんですね。

(まだ6月8日です。)


  もう、いい加減、頭に来たゴロタが、少しきつめの『威嚇』を使った。途端に、その女性は、立ち上がって、震えながら土下座をし、


  「お許しください。すぐに手続きをいたしますので、書類を私めにお渡し下さい。」


  と、涙を流しながら申し述べた。


  シェルさんは、ジト目で書類一式を渡すと、震えながら席に戻ったその女性は、台帳に必要事項を記載して、『確認印』を全ての書類に押印した。


  その後、最終審査と言うことで、領事室に案内してくれた。領事室で、扉をノックしてから中に入った女性は、大声で領事に叱られていた。


  「馬鹿者、何故、今日申請したものを儂のところに通すのだ。最低でも3日は待たせろと言っているだろう。」


  「でも、領事、何か恐ろしい人たちのようで、断れなかったのです。」


  「何を言っているんだ。ここは領事館だぞ。王国の支配が及ばないんだ。そんなに恐ろしいなら、衛士を呼んで、始末させれば良いだろう。」


  ゴロタは、ノックもしないで、領事室の中に入っていった。領事が吃驚している間に、女性から必要書類を受領し、領事の机の上に置いた。


  「何だ、君たちは。無礼だろ。衛士を呼ぶぞ。」


  そう言いながら、領事は、自分の席の後ろにある紐を引いた。先ほどの女性は、逃げるように部屋を出て行った。


  領事は、ゴロタ達を見ていた。特にクレスタさんとシェルさんを見て、呆けたようになっていた。


  『この背の高い女性は、上玉だ。1か月は通わせよう。肩を揉ませたり、何を揉ませたり。そのうち、言うことを聞くだろう。このエルフも上玉だな。こいつは、わが国に入国したところを捕まえて、奴隷にしてやろう。フフ、今から楽しみだ。』


  こんな事を考えていることなど、お見通しのゴロタ達であった。


  衛士が10人ほど、領事室になだれ込んできた。皆、剣の柄に手を掛けている。ゴロタは、領事以外に『威嚇』を放った。衛士たちは、剣から手を放し、その場で土下座を始めた。何が何だか分からない領事は、キョトンとしてしまった。


  「貴様、何をやった。こんなことをしてタダで済むと思うなよ。」


  ベタな台詞をいう領事に、クレスタさんが、


  「あら、何の事かしら。それより、書類は揃っているんですもの。早く、入国許可をいただけません?」


  わざと、胸を領事の方に突き出して、挑発しながら囁いた。領事は、クレスタさんの胸を注視しながら


  「しかし、審査に日数が。通常なら1か月はかかるのじゃ。」


  「ねえ、そんなことは言わずに、オ・ネ・ガ・イ。」


  「じゃが、それには、ちゃんと審査を。」


  えーい、面倒臭い。ゴロタは思いっきり『威嚇』をばらまいた。土下座している衛士たちは、そのまま床を濡らしている。領事も、椅子から転がり落ち、ズボンにシミを作りながら泣き始めた。


  「ねえ、お願い。早くサインを頂戴。5人分。」


  「はい、わかりました。喜んで。」


  こうして、無事、入国許可証をゲットしたゴロタ達だった。聞いた話によると、その後、領事は心の病を患い、元に戻らないまま帝国に返されたそうだ。


  領事館を出たシェルさんは、怒りが収まらないようだったが、ホテルの近くのスイーツ屋さんに行って、ツルツルの極甘ゼリーを食べたら機嫌が直ったそうだ。


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  夕方、ゴロタ達は、代官屋敷を訪れた。ゴロタは貴族服を、シェルさん達は、ミニスカの中でも、フォーマルなものを着ていた。どこがフォーマルかと言うと、素材がシルクだった。


  シェルさん、一体いつ買ったんですか?こんな高い服。


  持っているバッグも、ゴロタが見たことが無いものばかりだった。L社とかP社のバッグは見たことがあるが、今日はG社のバッグを皆が持っていた。え、これって確か、大銀貨5枚位はする筈なんですが。


  代官屋敷では、最初に応接室に案内され、今日の入国許可証申請手続きの進捗状況について聞かれた。


  特に問題もなく、発行されたことを告げると、シルバー子爵は、非常に驚いていた。どうやったのか知りたがったが、ゴロタの『威嚇』のことは内緒なので、シェルさんが、私の色仕掛けで貰ったと、無い胸を前に突き出している。


  食堂に案内され、それぞれ指定の席に着くと、シルバー子爵の家族が入ってきた。自己紹介が終わると、それぞれ席に付いたが、ゴロタの両脇は、シルバー子爵の令嬢が座った。16歳と14歳だそうで、栗色の髪と、大きな瞳の可愛い女の子達だった。


  エーデル姫の隣には、18歳のご子息が座ったが、あまりの緊張で、顔が真っ青だった。可哀そう。


  それよりも、隣の16歳のご令嬢、名前をエバさんと言ったが、この子が食事中、ゴロタの足の間、特に中心部を撫でまわすのには参った。それに、ゴロタの手を握ってきて、自分の股間に当てようとするので、つい身体が傾いて、シェルさんにばれないか冷や冷やしていた。


  シェルさんのジト目を見て、これは完全にばれている、今日は正座かなと思うゴロタだった。


  会がお開きになり、今日のご厚情に感謝の意を表して、代官屋敷を後にした。街そのものは、あんまり大きくないのでホテルまで歩いて帰ったが、途中の歓楽街では、種々雑多な助平屋さんがあり、ノエルには手で目隠しするように言ったが、しっかり目の隙間から見ていたのをゴロタは知らない。


  夜、今日は、エーデル姫と一緒に寝る日だったが、エーデル姫が都合が悪いという事で、ノエルと寝ることになった。ノエルは、大きな声を出すことはないが、そのうち泣き始めるので、いじめているように思われるのではないか心配だ。


  しかし、皆は事情を知っているらしく、何も言わない。ノエルは、足の間のマッサージがお気に入りで、自分の手を添えて、入念にマッサージさせる。時々、ビュッと何かがかかるが何だろう。


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  ここランドルフ・フォートレス町が王国最後の町で、これからヘンデル帝国領との国境まで、集落はない。ただ、国境の谷のこちら側には監視小屋があり、騎士が6名、1週間交代で詰めているそうだ。


  馬車は、ヘンデル帝国最初の砦町ビッツまで行く予定だ。護衛の騎士団は、付かない。他国へ、自国の軍隊が行くということは、戦線布告とみなされるそうだ。また、護衛と称して、大量の軍隊を送り込まれるのを防ぐ狙いもあるそうだ。


  国境の谷までは2泊3日の旅だ。途中、野盗も魔物も出なかった。当然である。見渡す限りの荒野。野盗は、襲撃する村もなく、魔物も獲物が無いので生きていけない。行動範囲が広い大型の飛竜が営巣することがある位だ。


  テントの中では、皆、順番でゴロタと一緒に寝るのだが、最近、クレスタさんが遠慮しなくなってきた。大きな声を出すのだ。ゴロタは、『シールド』をテントの内側に張って、声が外の御者さんに聞こえないようにしているが、他の女性の皆さんは、平気なんですか?そういえば、その間、モゾモゾと手が腰の下あたりで動いているのは何故ですか?


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(6月12日です。)

  国境の谷は、深さ100m、幅1キロの大渓谷だ。


  西岸の崖のようなところをズーッと北に向かって降りて行き、それから湿地帯を渡っていく。ところどころ、木の板が渡されているが、1日に何度も泥に埋まってしまい、抜け出すのにひと苦労だ。それでも、ゴロタが身体強化を使えば、直ぐに脱出できるので、行程が大幅に遅れることはない。  


  渓谷の底を流れる川は、流れはゆっくりだが、幅が30m位ある。グレート・グレーテル大峡谷のように谷底にリザードマンの集落があって、渡しをしてくれることはない。馬車は、しばらく、湿地帯を北上していくと、渡河できる場所にでた。それは、水深が深くなって、流れが極端に遅くなっているところだ。そこには、2本の鎖が渡してあって、木製の筏がかけられている。


  その筏で向こうに渡るのだが、馬と馬車は別々だし、人間も別に運ぶので、全部で7回運ばなければならない。向こう岸について、馬車や馬が降りたら、ロープを手繰って、空の戻し、また、向こう岸に渡すの繰り返しだ。


  全員が、向こう岸に渡ったら、とりあえず、東側の崖を登って、渓谷の上に出る。


  出たところは、帝国側の監視所だが、こちら側には帝国軍6名が常駐している。


  一応、御者さんが、軍人さんに挨拶をするが、無視された。そして、野営する様子を見ていたが、見ているのは、エルフのシェルさんの方ばかりだった。その視線に男特有の粘つくものを感じたが、無視してテントをイフちゃんに出して貰う。


  軍人さん達は、突然現れたテントに吃驚していたが、何も言わなかった。野営セットで夕食を作り、皆で楽しく食事をしてから、テントの中に入って眠った。勿論、夜のセレモニーが終わってからだ。


  寝ていると、イフちゃんが念話で語りかけてきた。あいつら、近づい来ているよ。6人のうち、4人が近づいてきている。処理してしまってもいいが、その後が面倒なので、威嚇を飛ばした。


    ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ


  4人は、意識を失った。ついでに括約筋の意識も失って前後がダダ漏れとなっていた。


  朝、バンツとズボンを洗っている軍人さんが見えた。


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(6月16日です。)

  帝国領に入ってからも、町や村は無く、城砦町ビッツまでは、3泊4日の旅だ。実際は、3日目には到着するのだが、入国管理のための門が閉まった後に到着するため、門前でもう1泊しなければならないのだ。


  城砦町ビッツは、もう完全に城塞だ。周囲は幅広い堀で囲まれ、ぐるっと回って東側に行かなければ、城内に入れない。西側の見張り櫓はかなり高く、城壁には矢間、槍間が空けられている。西側からは入るのは、非常に困難な状況だ。


  旅行者は、その西側の馬車溜まりで野営するようにさだめられており、帝国軍に監視されている難民みたいな感じになる。


  さすがに、今日は夜のセレモニーは無いだろうと思ったら、クレスタさんが、寝袋の中にもぐりこんで来た。勿論、素っ裸だった。  

物語は、これで前半終了となるのかな。でも、剣も盾も見つかってないし、まだまだ続きそうですね。

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