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第58話 国境の村、ブロンズ村の夜

  いよいよ、帝国に近づいてまいりました。国境の村は、とてもいい村です。住民はあまり、いませんけど。

(6月5日です。)

  停車場の朝は早い。ゴロタ達が、いつもの格好で停車場につくと、既に他の乗客や警護の騎士団の人達が来ていた。騎士さんは全部で4人だった。随分少ないが、僕たちにも若干の警護料が支払われており、何かあったら対処する事になっている。


  馬車は2頭立ての小さいもので、馭者さんの他には、2人しか乗れない。これは、街道が狭く、山や谷を越えて行かなければならず、大型の馬車では通れなくなるからだ。辺境の守り、特に過去に何回も侵攻されている王国としては、当然である。


  馬車3台に分乗し、シェルさんとエーデル姫、クレスタさんとノエル、僕とイフちゃんのペアで乗車した。イフちゃんは、剣の中にいても良かったが、僕一人だと、知らないお客さんが乗ってくるかも知れないので、イフちゃんにも乗って貰ったのである。


  領都に一番近い村は、馬車で2日かかるので、1日目の夜は、野営となった。僕が、イフちゃんに頼んで、キャンプセットの入ったザックを出して貰う。スチールパイプを組み立ててテントの骨を作り、テント布地を上から被せる。隅を紐で縛り、中に、膨らませた鹿皮の渋引きの袋を敷く。天井に魔光石を吊して中のセットは終わりだ。後、四隅から垂れているロープを引っ張り、鉄の杭を地面に打ち込んで結びつけると、外も終わりだ。


  その時、僕は、この状態のまま、イフちゃんにしまって貰うと、セットの手間が無くなると言うことに気付いたが、暫く皆には黙っていよう。


  次に、木製の簡易テーブルを組み立てる。骨組みは木製だが、キャンバス生地で座面を張ったキャンプ用椅子を6脚組み立てておく。


  簡易竈門を2セット出して組み立て、1つは魔火石、もう1つは、枯れ木を集めて火をくべる。


  今日の料理は、久しぶりにバーベキューだ。下拵えは、クレスタさんとノエルが担当した。シェルさんとエーデル姫は、枯れ木集めだったが、驚くほど少なかった。エーデル姫なんか、わずか2本しか集めなかった。あの、エーデル姫、何処に遊びに行っていたのですか?


  バーベキューのいい匂いがしてきたら、騎士さん達が干し肉をかじりながら、こちらを見ていたので、招待してあげた。直ぐ、飛んできて、一緒に食べたが、肉も野菜もたっぷり有ったので、食べられるだけ焼いてあげていた。


  騎士さん達に、朝、剣の稽古をする事を話したら、是非、見せてくれと言うので、日の出と共に起きて貰うよう伝えた。誤解の無いように言うが、そのことを伝えたのはシェルさんだった。


  その日の夜、エーデル姫が、寝袋の中に入って来て、昨日のシェルさんと同じことをして来た。君達、馬車の中で何を話しているの。






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(6月6日早朝です。)

  翌日、日の出と共に起き出した僕は、野営地から少し離れた場所に行き、『ベルの剣』を抜いた。朝のヒンヤリした空気の中、剣を構える。最近は、大地の『気』と言うか、自分の体内以外の『気』の存在を感じられるようになって来た。


  騎士さん達も起きて来て、遠巻きに見学していたが、僕が型の最後の斬撃を打つと、ビクッと身体が引きつっていた。


  それから、いつもの『シールド』を張りながらの『瞬動』の練習をした。まず、『シールド』を身体に纏う。身体が白く輝き始める。一瞬、『シールド』の魔力の流れを静止させ、10m先に移動する。体内の『気』が爆発する。その時には、魔力の流れが再開しており、『シールド』は、張り続けたままになっている。何回か連続して練習をする。


  騎士さん達は、信じられない物を見ているようだった。僕が光ったと思うと、次々に位置が変わり、動きが分かるのは、光の奇跡があるからだ。


  稽古が終わった。テントに戻る。女性陣は、イフちゃん以外、全員、未だ寝ている。僕は、朝食の準備をする。昨日の お肉の残りを、スープの具にして、よく炒めた玉ねぎとパンを最後に入れる。


  お茶を沸かし、たっぷりのミルクを入れて、マグカップに注ぐ。フライパンにバターを敷き、焦げないうちに良く溶いた卵を流し込む。柔らかい内にスライスしたチーズを乗せて片隅に寄せてチーズオムレツの出来上がり。それを6人前、できた頃に、皆が起きて来た。


  皆は、カッターシャツに長ズボンと言う、まあ、キャンプに適した服装をしている。いつの間に、こんな服を買っていたのか知らないが、ミニスカでは、嫌な虫に刺されたりするので、この格好が最適である。


  楽しい朝食が始まった。騎士さん達は、固くなった黒パンと干し肉をお湯で飲み込んでいる。他の乗客も似たようなものだ。


  しかし、朝食まで面倒を見る訳には行かない。


  シェルさん達は、朝食が終わったら、ミニスカ姿に着替え、身だしなみを整える。着ているミニスカは、昨日と違うものだ。変だ。いくら旅行鞄が大きいと言っても、そんなに入るわけがない。『念話』でイフちゃんに聞いてみると、同じ鞄をもう1個ずつ持っているそうだ。『女性って!』と思った僕であった。


  出発に際して、テントは畳まずにしまって貰った。テーブルと椅子は、重ねた状態でテントの中に入れたままだった。


  それを見ていた、シェルさんが、僕に聞いてきた。


  「キャンプセットはザックに入れないの?」


    ドキッ!


  「その方が、出すときに楽だから。」


  「ふーん」


  何か、女性達で、こそこそ話し合ってる。シェルさん、あなたの考えは良く分かります。でも、自分達が冒険者だってことを自覚して下さいね。


  夕方、ブロンズ村に着いた。村と言うよりも、城塞であった。住民の3分の2は、騎士団だった。出入口は西側に1つだけ。周囲は、堀に囲まれている。最初に、騎士団の人が、馬から降りて、城門の方に歩いていった。暫くして、城門の鉄の格子が横にスライドして開けられた。


  村の旅館は1つしかなく、4人部屋のみがいくつかあり、後は、一人用の棚みたいなベッドだった。


  僕達は、4人部屋を2つとったが、食事なしで、1部屋銀貨4枚だった。独占企業だから高いのは分かるが、異常に高い。しかし仕方がない。


  夕食は、近くの食堂に行ったが、何処にも有るようなありふれた食事だった。早々に食事を終え、旅館に戻ったが、部屋に戻ってもやることがない。女性達は、あまり着ない服を鞄から出し、防具と食料品しか入っていないザックに次々としまっていった。あの、皆さん。そのザックは、冒険者の生命線なんですけど。


  それから、今の時期のミニスカを、試着して、コーデの仕方の意見交換会を始めた。


  僕が、見ていても仕方がないので、隣の部屋に行こうとしたら、シェルさんが、僕の首根っこを押さえて阻止された。本当に、シェルさん、僕に何をさせたいのですか?


  夜、寝るときになって、全員が僕と一緒の部屋に寝ることになった。それなら、銀貨4枚も出した隣の部屋には、誰が寝るんですか? 僕は、二つずつ並んでいるベッドの片側の方に寝たが、今日、一緒に寝るのはクレスタさんだった。最近、皆の夜やることが過激になっているので、心配だったが、具体的に何をしてはいけないとは言えないので、黙って寝ることにした。隣にくっつけたベッドには、ノエルが寝ている。


  部屋の明かりを消すと同時に、クレスタさんが、襲ってきた。上に被さるようにしながら、キスをして、同時に僕の下半身に手を伸ばしてきた。しばらくして、クレスタさんが、シャワーを浴びに行ったら、ノエルが隣に迫ってきて同じことをするように要求してきた。ノエルは、まだ13歳だったので、最初はダメだと言ったが、納得しない。結局、クレスタさんとのデチューン・バージョンで対応してあげた。次はエーデル姫、最後はシェルさんだったが、シェルさんは、くすぐったがって、直ぐやめてしまった。その夜は、シェルさんと一緒のベッドで朝まで寝たが、明け方、もう一度同じことをするように内緒で要求された。









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(6月7日です。)

  朝、起きたら、旅館の前で小さな女の子が焼きたてのパンを売っていた。その子は兎人の子であった。赤い目が可愛い。パンは1個、銅貨20枚だった。


  僕は、パンをあるだけ買おうとしたら、


  他のお客さんも買うので、20個しか売れないと言う。大銅貨5枚を渡すと、多いと言って返そうとした。僕は、しゃがみこんで、チップだと言って手に握らせた。


  その子は、ニコッと笑って、チュッと僕のほっぺにキスをしてくれた。顔を真っ赤にして、他のお客さんに向かったが、そのシーンを、ちょうど出てきたシェルさんに目撃された。


  シェルさんは、ジト目×2の顔をして、僕に冷ややかな口調で言った。


  「ついに、あんな小さい子まで、この垂らし!」


  いや、絶対に違います。それに『垂らし』って何ですか?


  朝食は、買ったパンとホットミルクのセットにした。キッチンがないので、ミルクはマグカップに入れて火魔法で温めた。朝食後、僕は、皆に提案をした。


  ●寝るときは、パンツをはいていること。


  ●ベッドの中でパンツを脱がないこと。


  ●僕の手を、下に引き込まないこと。


  ●僕の下半身に触らないこと。


  ●おっぱいを吸わせないこと。


  この提案を、黙って聞いていたシェルさん達は、こう、反論してきた。


  ●寝るとき、暑いからパンツを脱ぐのであって却下。


  ●ベッドの中が暑いから脱ぐので却下


  ●僕の手がひんやりして気持ちが良いので却下


  ●僕の下半身は、可愛らしいので却下


  ●おっぱいは吸わせない


  と言ったが、最後は、シェルさんだけが同意したみたいで、他の3人から猛反対された。それで、最終的に、一晩に1人限定にして貰った。


  夜のセレモニー、エスカレートし過ぎでしょうか。もっと、エスカレートしても良いとお考えの方は、ブックマークとポイント評価をお願いします。

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