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第54話 社交界デビューとノエルの実力

いやあ、次から次へと討伐依頼、まったりしている暇もありません。

(5月24日です。)

  翌日、僕達は、冒険者ギルドに行った。


  辺境伯邸のすぐ隣にギルドはあった。


  「いらっしゃいませ。サン・ダンベル市冒険者ギルドへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


  受付の女の子が、笑顔で話しかけてくれた。


  ゴロタ達は、ギルドに入った瞬間から、目立ちまくりだった。


  一番目立つのはクレスタさん、身長は高く、ナイスバディ、整った目鼻立ち、長くきれいな艶の赤茶髪、服装は、ミニスカに軽鎧、長いブーツから伸びた白い二ーソックスとスカートの下に覗く生足。男性冒険者は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。


  一緒に来たエルフもすこぶる付きの美少女だ。黒皮を貼った軽鎧にミニスカート、胸はほとんどないが、そういう趣味がある人にはたまりません。背中に背負った弓がアーチャーであることを物語っている。


  髪が緑と紫の間と言うか、両方の色が別々に生えているような感じのポニーテール、透き通るような空色の目はアーモンド型、肌の色は透き通るような白色と、どこかのアニメの主人公みたいだ。


  その後ろのレイピアを帯剣した女性冒険者だって悪く無い。いや悪くないどころか、超絶美少女だ。身長は165センチ位と普通だが髪の色はプラチナブロンド、顔付きも、お茶目で可愛らしい感じがした。ソバカスがあるところが愛嬌を感じてしまう。装備も、あれはミスリル製なのか超高級防具であることが一目見てわかる。


  あとは、可愛いけどジャリっ子だな。スルーしよう。(ノエルさん、可哀そうです。)


  僕は、当然に無言で下を向いている。背が小さいのに、下を向くから、本当に小さくなっている。シェルさんが、受付けの女の子に聞いた。

  

  「ダンベル辺境伯からの指名依頼が来てるはずなんだけど。」


  「あ、ゴロタ様達ですね。お待ちしておりました。」


  辺境伯からの指名依頼と聞いて、ギルド内に驚きが走った。ゴロタって誰だ。あの女の子ばかりのパーティの中にはいないようだが。


  「ギルドマスターが会いたいそうです。どうぞ、こちらへ。」


  僕達は、いつものことだと割り切って、案内に従う。カウンターの裏の通路から、事務棟に入っていき、会議室のようなところへ案内された。


  しばらくすると、中年の男性が入ってきた。大きな眼鏡を掛けている狼人だ。狼の耳とシッポが特徴だが、本当に真価を発揮するのは満月の時らしい。狼人が討伐の依頼を受けるのは、満月の前後3日間と決まっているということだ。


  「君がゴロタ君か。私は、ここのギルドマスターをしているベンだ。以後、よろしくな。」


  皆が、自己紹介する。その後、早速、今回の討伐の打ち合わせに入る。情報によるとかなり深刻らしい。直接の討伐ではないが、ノース村周辺の情報収集に行った冒険者チームが幾つも行方不明になっているし、ノース村への連絡馬車も行ったきり戻ってこなくなっている。


  この前の、ジェイク村のデーモン騒動の例もあるし、大変な状況になっている可能性があると言うのだ。


  「大変な状況と言いますと?」


  「闇の僕 (しもべ)、バンパイア・ロードの復活かも知れない。」


  僕は、バンパイア・ロードと言うものを知らない。バンパイアも見たことは無い。とにかく、魔物の中でも、闇に生きる者とその眷属らしい。強力な魔法も使えて、力も強く、変身能力もある。また、上位種になると空を自由に飛べるらしい。


  特にいやらしいのは、夜しか活動しないという事だ。レッサー・デーモンのように、魔物に近い者もいれば、バンパイアのように人間と見分けの付かない者まで、非常に種類が多いらしい。


  デーモンと言う名前のとおり、彼らは魔族でも、実体を持っている魔物に近い存在で、一般的には悪魔族に分類されている。魔界よりさらに深層の冥界から来ると言われている。人間の血を飲むことによって、超人的な力を得ることができる反面、太陽光線のような光に非常に弱い。低級なレッサーデーモン等は、太陽の下でも活動できるが、その時は、デーモンとしての再生能力などは失われているらしいのだ。


  弱点は、『聖なる力』と『炎』、『水』であり、物理攻撃は再生能力を上回らない限り、無効だそうだ。


  話を聞くと、なんとなくこのパーティーと相性が良いような気がしてきた。僕達は、基本的な討伐方針などを決めてから、ギルドマスターのベンさんにお願いをした。


  「ここにいるノエルなんですが、まだ13歳なので、冒険者登録出来ないんです。でも、レベル測定は出来ると思いますので、やってみて頂けませんでしょうか?」


  ベンさんは、最初、前例がないだの規定がどうのとか言っていたが、渋々承諾しくれた。


  測定機械は、隣の測定室にあるらしく、その部屋に移動した。


******************************************

【ユニーク情報】

名前:ノエル

種族:人間

生年月日:王国歴2007年9月30日(13歳)

性別:女

父の種族:人間族

母の種族:人間族

職業:無職

******************************************

【能力】

レベル    12

体力     60

魔力    220

スキル   100

攻撃力    40

防御力    30

俊敏性    60

魔法適性  聖 火 風 

固有スキル

【再生】【記憶】【念動】

習得魔術  ヒール  

      ファイア・ボール

      ウインド・カッター 

習得武技 なし

*****************************************


  まあ、予想していた通りだったが、魔力の高さと、適性が3つと言うのが特異と言えば特異である。このチーム、特異な人ばかりなのは何故かな。


  ギルドを出る前、最近、弓の能力が向上しているシェルさんも測定してみた。これは、カードをかざすだけだから簡単だ。



******************************************

【ユニーク情報】

名前:シェルナブール・アスコット

種族:ハイ・エルフ

生年月日:王国歴2005年4月23日(16歳)

性別:女

父の種族:エルフ族

母の種族:ハイ・エルフ族

職業:王族 冒険者:ランクB

******************************************

【能力】

レベル    35( 8UP)

体力    250(60UP)

魔力    180(20UP)

スキル   200(60UP)

攻撃力   290(70UP)

防御力   100(30UP)

俊敏性   250(90UP)

魔法適性    風

固有スキル

【治癒】【能力強化】【遠距離射撃】【誘導射撃】

習得魔術  ウインド・カッター 

習得武技  【連射】

*****************************************


  これは、物凄い上昇だ。こんなに短期間で上がるのは異常だ。まあ、Sクラスの魔物にバンバン弓矢を当てていたし、ワイバーンを仕留めたのもシェルさんだし。残りの二人も測定していたが、特に上昇もなかったので、がっかりしていた。


  ギルドを出た。これから、討伐に行ってもいいが、キャンプセットなども補充しなければいけないし、それに大事な用事が二つあるので、討伐は、明日出発という事にした。


  まず、教会に行った。闇の使徒に効果のあるという『聖水』を買うのだ。ガラスの瓶に入っていて、1瓶銀貨2枚だった。5本買った。販売所のシスターが、聖米とか聖餅とかを勧めて来たがスルーした。


  次に、防具屋に行ってみる。この前入手した鮫の皮を、僕の防具に張り直すのと、ノエルのアンダーウエアをもう一着、作って貰う。どうしても、アンダーで着ると汗臭くなるので、替えが必要らしい。上に着るタイプにしたらいいのに。ノエルは採寸をしてもらった。張替は、2週間、アンダーウエアは1週間でできるとのこと。


  どうしようか、迷ったが、これから帝国に行くのに、どうなるか分からないので、お願いすることにした。鮫の皮より上位の素材は、何か聞いたら、ワイバーンの皮だそうだ。いつも、後手後手のような気がする。


  僕の防具補修は、ノース村の討伐後に出すことにした。


  防具屋を出ようとすると、シェルさんが飾り棚の奥の方に飾ってある防具を見ていた。ミスリル製で、アーチャー用のセットだ。今の、シェルさんのは、軽金属製だが、ミスリル製の方が強度は比べ物にならないほど高い。その分、値段も高い。飾っているのは、男性用だが、基本、問題はない。


  試着して見ると、少し大きいかなと思うところがあるが、サービスで手直しできるという。


  金貨6枚もしたが、購入することにした。水竜の皮も張って貰うことにしたら、素材さえあればそれもサービスしてくれるとの事なので、依頼した。


  ホテルに戻ると、ダンベル辺境伯から、晩餐会の招待状が来ていた。ノース村討伐の壮行会も兼ねているそうだ。


  シェルさん達は、何を着ていくか迷っていた。冒険者服と言うわけには行かないし、去年の暮れに着ていたのは冬用で今の季節に合わないし、迷った末、全員、白のミニスカワンピにして、4色のリボンで、それぞれの腰に結んでアクセントにした。


  エーデル姫とシェルさんが、僕がプレゼントした指輪をして行くと言ったら、急にクレスタさんとノエルが泣き出した。自分たちは貰っていないというのだ。


  僕の夏用貴族服を買いに行くのと一緒に、宝石店に行って、金剛石の指輪を2個買った。1個、金貨3枚もした。王都より5割高いが、土地柄しょうがないと諦めた。


  シェルさんが、誕生日プレゼントに貰ったネックレスをしているのを見た3人が、自分達も何か首を飾りたいと言ったので、大銀貨1枚位のネックレスで気に入ったのを自分で買わせることにした。しかし、彼女達が支払っているのは、どうも大銀貨数枚以上のようだった。


  僕が着る貴族服は、子供用の水色の物にした。子供用といっても、子爵相当の飾りのついた正式の物だった。腕とズボンの裾を直して貰って、着てみると、シェルさん達が、褒めてくれた。社交用のフォーマルの靴も買わされてしまった。


  帰ろうとしたら、髪の毛をカットした方が良いと言われ、理髪店に行くことになった。女性達もついてきて、ああでもない、こうでもないと注文していたが、結局、無難なショートカットにしてもらった。もちろん、シェルさんが店員さんに説明してだ。


  ホテルに戻って、辻馬車を呼ぼうとしたら、辺境伯邸から迎えの馬車が来ていた。


  僕と、シェルさんは、首から『四精第1位白金大褒章』を3色のリボンでぶら下げている。さらに、僕は『ベルの剣』を右腰に帯剣して馬車に乗った。女性達は、白色のつば広帽子を被り、腰のリボンと同色のリボンで帽子を巻いて、長く垂らして飾っていた。シェルさん達の履いている靴は、ヒールが細く高いもので、絶対に歩きにくいだろうと思ったが、結構大丈夫だった。ノエルも、こわごわ履いていたが、クレスタさんに、『胸を張って歩けば大丈夫。』と言われ、チッパイを思いっきり前に突き出して歩いていた。


  辺境伯邸についたのは、夕闇が迫ってきた頃だった。邸宅の玄関前に馬車が横付けされ、皆で降りて、玄関から入ろうとすると、代行さんが、ちょっと待ってくれるように言って、1人で脇の小さな扉から入っていった。そして、内側から正面の扉が開かれると、中はきらびやかな社交界だった。


  「ゴーレシア・ロード・オブ・タイタン子爵、シェルナブール・アスコット男爵一行様、そしてお待ちかねエーデルワイス・フォンドボー・グレーテル第二王女殿下のご登場です。」


  楽団が、宮中音楽を弾き始める。僕は、真っ赤になっているが、シェルさんとエーデル姫は平気だ。クレスタさんとノエルは、緊張で顔が引きつっている。


  さあ、社交界デビュー、うまく行くでしょうか。


ノエルちゃん、社交界デビューです。頑張ってください。

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