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第50話 はじめての露天風呂

  最近のアニメでは、シリーズ中に必ず1回は、水着シーンか入浴シーンがあります。やはり、視聴者もそれを望んでいるのでしょうか。

(5月12日です。)

  僕達は、旅を続けた。


  盗賊も出ないし、順調に進み、ダンベル辺境伯領の最初の村、エルオ村に到着した。かなり大きな村で人口5000人位らしい。


  この村に来て気づいたのは、亜人が結構いることだ。兎や猫、犬等の獣と人間の間のような獣人、ドワーフやエルフ、そして西の大河にもいたリザードマン。人口の3割程が亜人なのだそうだ。


  実は、これには理由があり、隣国のヘンデル帝国は、徹底した人間族優先主義で、亜人は、特別の場合を除き奴隷として扱われるそうだ。


  そういう訳で、帝国が成立して、亜人に対する迫害が始まったとき、隣接するグレーテル王国の辺境伯領に逃げて来た人達が、定着して現在のようになったそうだ。


  この村で一番大きなホテルに泊まることにした。石造りの立派なホテルだ。このホテルには大浴場があり、貸し切りもできるそうだ。


  シェルさんは、1泊銀貨5枚もするキングサイズベッドのある特別室と、銀貨1.5枚のツインを頼んだ。特別室は、シェルさんとクレスタさんと僕、ツインはエーデル姫とノエルが泊まることになっている。


  食事も、まあまあだった。最近、充実したキャンプ生活をしているお陰か、ホテルの食事が味気なく感じてしまうのは贅沢だろうか。


  食事後、寝る前に大浴場を借り切って、皆で入ることになった。僕は、とても嫌だったので、部屋のお風呂に入るから、大浴場は、皆で行って来なよと言ったが、絶対それは許されなかった。


  大浴場は、屋外の露店風呂で、イフちゃんは、初めての大きなお風呂らしく、潜ったり走ったりと大喜びだった。あの、イフちゃん、素っ裸で走っていると大事なところが見えちゃうよ。安心してください。イフちゃんは、男でも女でもないのです。精神的存在ですから。だから、大事なところには何もありません。ツルッとしているだけです。


  さすがにシェルさん達は、そうはいかない。でも、平素見慣れているし、僕の前では、誰も前を隠そうとしない。


  僕は、なるべく見ないようにしていたが、ずっと目をつぶっている訳にもいかないので、平気な振りをしていた。しかし、クレスタさんがとんでもないことを始めた。石鹸を自分のモシャモシャに付けて泡立て、それで僕の身体を洗い始めたのだ。クレスタさん、そんなやり方、どこで覚えたのですか。


  当然、シェルさんは、真似できなかった。


  お風呂から上がって、寝ることになったが、いつものように、上半身は、何も着ないで寝るシェルさんとクレスタさん。僕の腕を股の間に挟んでいる。そこにエーデル姫とノエルが乱入してきた。部屋の鍵は掛けたはずなのに、防犯上、とっても危ない気がする。


  結局、全員で一緒に眠ることになったのである。翌朝、僕以外の全員が部屋のお風呂に入ることになった。





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(5月13日です。)

  次の野営のとき、チャンスがやってきた。野営地は、小高い丘の麓で、森が少し開けた場所だった。丘の向こうまで回れば、森が邪魔をしてほとんど何も見えない。僕は、丘の向こう側まで行って、イフちゃんを呼んだ。


  イフちゃんは、シェルさん達の手をつないで、現れた。何か、昔遊んだ『花、一●●目』のようだ。


  「出でよ『ワイ』、その姿を現わせ。」


  ワイちゃんが空中に現れた。その姿を見て、シェルさん達全員が、その姿に驚いた。


  「何、これ。ワイバーンじゃないじゃない。」


  「黒い竜、黒龍、漆黒の暴風」


  「暴虐の王、暗黒の使徒」


  「夜の支配者、殲滅の王」


  みな、それぞれ酷いことを言っている。その時、イフちゃんが、ワイちゃんに向かって


  「そなたは、あのダークナイト・クイーンの孫か。」


  『あ、お婆ちゃんの事、知ってるの。そうだよ。僕、ダーちゃんの孫だよ。』


  『ダーちゃん』って、誰、あの伝説の漆黒の暴風ことダークナイト・クイーンの事ですか。


  「そなたは、まだ幼生のようだが、今、いくつだ。」


  『僕、今、30歳だよ。』


  「ふむ、そなた、まだ人間への化身法を知らぬな。」


  『うん、おばあちゃんも、お母さんも、未だ早いと言って教えてくれないんだよ。』


  「そうか、ふむ、ふむ、近う寄れ。」


  イフちゃんが、ワイちゃんの耳元で何かを囁いている。うん、うん、うなずいているワイちゃん。


  何か、とっても嫌な予感がする。トラブルの予感がする。


  ワイちゃんが、突然、光り出した。光の中で、大きな黒龍が小さな光に集約して、光が消えたら、一人の女の子がいた。銀色の長髪、黒色の瞳、浅黒い肌、妖精のような顔立ち、そして何も着ていない6歳位の女の子だった。


  「わあ、本当に人間の姿になれた。」


  『念話』ではなく、普通の人間の声だ。よく見ると、股の間に女の子の特徴があるので、完全に女の子なのだろう。


  「ワイちゃんって、女の子だったの?」


  「そうだよ、僕、言わなかったっけ。」


  言っていません、絶対に。しかし、その恰好で、野営地には戻れないので、元の黒龍の姿に戻って貰い、今度、洋服を準備した時に、人間になって貰う事にした。


  「イフちゃん、お願いします。」


  イフちゃんが、大きな猪、2頭を出した。


  『えー、又、くれるの?』


  1頭は、ワイちゃんの分、もう1頭は、家族へのプレゼントだ。ワイちゃんは、元の姿に戻ってから、小さい方の猪を2回に分けて食べた。最後に、猪の牙を吐き出した。牙は、消化に悪いそうだ。


  ワイちゃんは、足で猪を掴んだまま飛び上がり、消えた。シェルさんが、ジト目で僕を睨みながら、


  「まさか、あの子まで、一緒に旅をする訳、無いよね。」


  僕には、分からなかった。ただ、ワイちゃんが30歳と分かったので、『ワイさん』と、呼ぼうと思ったのだった。

 

  野営地に戻って朝食にする。今日の朝食は、スクランブルエッグにフレンチトーストだ。






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(5月14日です。)

  ダンベル辺境伯までの行程で、唯一の町、フレグラン町に着いた。ここで、警護の冒険者さんとはお別れだった。まあまあ、大きな町だが、グルー町との大きな違いは、ギルド支部が有る事だった。魔物が、それだけ多いのかも知れない。


  この町では、2泊するそうなので、結構、上のランクのホテルを取った。


  キングサイズの部屋があるかどうか尋ねたら、受付の人が、ちょっと嫌な目付きをして、『銀貨12枚です。』と言って来たが、シェルさんが、大銀貨2枚を出して、ツインの部屋分も含めて支払ったら、態度が急に変わった。このホテルは、余り感じが良くない気がする。


  夕食は、外のレストランにした。肉料理は飽きてきたので、魚料理の店に行くことにした。その店は、魚を、串に刺して、目の前の魔炎石に当てて焼くのだが、白っぽい土に差している魚から、いい匂いがして、食欲をそそる。


  この辺では、珍しい大蟹の塩茹でを注文したら、大きなバケツに一杯の蟹の足が出てきた。それからは、皆、無言になった。途中から、米の醸造酒を飲み始めたシェルさんが、いつもの通り酔っぱらった。


  僕にお姫様抱っこをされながら、ホテルまで戻ったのだが、途中、僕にキスしようとして、エーデル姫に阻止されていた。


  キングサイズの部屋には、僕と一緒にエーデル姫とシェルさんが寝ることになった。


  エーデル姫が、お風呂に入っている間に、僕は、シェルさんの服を脱がせた。下着のシャツも脱がしたが、パンツはそのままにしていた。


  シェルさんの身体を、暖かい濡れタオルで拭いていたら、足をモジモジしてきた。僕は、構わず胸と背中、両腕と両足を吹いたが、胸と脇腹、内股を吹く時、変な声を出していた。


  僕が、シャワーを浴びて、部屋に戻ると、明かりは消されていた。今日も、直ぐに眠れないのかなと思いながら、二人の間に入って、上向きで横になった。


  直ぐエーデル姫が、お休みのキスを始めた。キスをしながら、僕の手を、股の間に引っ張っていく。僕は、エーデル姫の変な声を聞きながら眠ってしまった。






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(5月15日です。)

  翌日、冒険者ギルドに行ってみる。皆は、マチマチのミニスカ姿だ。何か、バッグも、この前のと違うのを持っている。


  ギルドに入って、受付カウンターに行くと、若い女性が受付をしている。モノクルを掛けているのは同じだった。茶髪のポチャッとした子で、そばかすが可愛らしい。


  「お、おはようございます。フレ、フレグラン町冒険者ギルド臨時支部へようこそ。」


  大分噛んでいる。新人さんみたいだ。クレスタさんの冒険者再登録をお願いした。


 「さ、再登録ですか。どのような事情だったのですか?」


  クレスタさんが事情を話した。仲間になった、冒険者チームに強姦されそうになったこと。魔法を撃って逃げ出したら、仲間から、金を奪って逃げたと訴えられた事。本当の事を言っても、仲間だった男3人の証言が信用され、資格を失った事などなどだ。


  受付の子は、吃驚して、ギルドマスターに相談しに行った。僕達は、直ぐにギルドマスターの事務室に呼ばれた。


  ギルドマスターは、驚いた事に、まだ若いエルフだった。メリルさんと言うそうだ。メリルさんは、話を聞いてから、何かの機械に魔力を流し込んでいた。


  「それで、その冒険者チームは、何て名だい?」


  クレスタさんが、『欲望の谷』と、答えた。


  メリルさんは、機械を操作しながら、


  「ふむ、これか。なるほど。ふーん。」


  と、一人で頷き、納得しているようだった。


  「分かりました。クレスタさんの再登録、認めましょう。」

  さあ、竜を僕として、何をする気なのでしょうか。タイトルに竜の事をちっとも書いていないのに、今後の重要キャラになる予定です。お楽しみに。

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