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第48話 え、これってワイバーン?

  プロローグも含めると、いよいよ、50話目に突入です。思えば長かった。本当は、全100話位を考えていたのですが、この調子では無理かも知れません。まあ、時間はあるので、ゆっくりやっていきます。でも、ゴロタ以外の男性がほとんど出ないのは問題かな。

(5月7日です。)

  竜騎士達は、ゴロタ達の座っているテーブルの隣のテーブルに座った。


  1人の竜騎士が、僕の方に近づき、ワイバーンの卵の鑑定が終わるまで、少し待ってもらうように言って来た。僕に異論はない。


  騎士の1人が、女将さんから卵を受け取ると、手をかざしていた。何をしているのかな、と思ったら、手の下から緑の光が出てきた。卵の中の様子が透けて見える。卵の中には、ワイバーンの赤ちゃんがいた。しきりに、身体を回転させている。大きく頷いた彼は、次の卵にも、同様に光を当てた。二つとも合格だったようで、彼が合図をすると、先ほどの竜騎士が、金貨6枚を僕達のテーブルの上に置いた。


  「ところで、町の外に置いてある、ワイバーンの死体だが、あれは君達が討伐した物かな?」


  シェルさんが、


  「ええ、そうよ。今は、ドンカ男爵の物だけどね。」


  竜騎士達は、シェルさんが答えたことに、少し不快そうな顔をした。どうも、最初からシェルさんの事を無視していたみたいだった。


  「そちは、彼の奴隷ではないのか?」


  「はあ、んな訳ないでしょ!こんな美少女が、奴隷なんて。」


  「それは失礼した。見たところ、エルフ族の様だったので。」


  そういえば、あの帝国では人間族以外は、ほとんど奴隷とされているみたいだった。


  クレセントさんが、話を引き継いだ。


  「それで、外のワイバーンの事で、何か用があるのかしら?」


  「うむ、あのワイバーンは、殆ど外傷がない。普通なら、バリスタにより、大きな傷があるか、魔法による酷い損傷があるのだが、どうやって倒したのか、教えて頂きたい。」


  聞けば、帝国では、野生のワイバーンが人々を襲い、大きな被害が出ているらしい。


  空から、猛毒を吐きながら襲ってくるワイバーンにより、村ひとつが全滅する事もあるそうだ。しかし、地上からの攻撃は、たかが知れている。通常の弓矢では、固い皮膚にはじかれてしまうのだ。強力な魔法があれば、撃墜できるのだが、上級魔法を使える者は、帝国と言えども、そう多くない。


  倒し方を教えてもらえれば、参考にしたいとの事だった。


  クレセントさんは、僕の『斬撃』の事と、死にかけたこと以外を教えてあげた。魔法を込めた弓矢で口の中を射抜くなど、通常、考えられない方法だったようで、非常に驚いていた。


  「ところで、ここの代官は、あのワイバーンをいくらで買ったのかな?」


  クレセントさんが、大金貨6枚で売ったことを告げると、帝国なら大金貨10枚でも売れるだろうと言ってくれた。あのような状態のいいワイバーンならば、幾らでも買い手がつくらしい。しかし、帝国まで持っていくこともできないだろうから、大金貨6枚なら、相場かなとも言っていた。


  僕達は、竜騎士たちが乗ってきたワイバーンを見せてもらった。


  全長7~8m位のワイバーンで、口に轡をはめ、羽の爪には、飾りのカバーがかけられている。首元に鞍が付けられ、1人乗りのようだった。


  僕達が討伐したワイバーンは、雌の小さい方でも、口先から尻尾の先まで約15m位あり、尻尾を除いても8m以上ある巨体だった。雄は、炭になってしまったので良く分からないが、雌よりも二回り位大きかったのは事実だ。


  竜騎士達は、ワイバーンに乗って、帝国の方に帰っていった。僕は、召喚魔法でワイバーンを召喚できたら、騎乗して空を飛べるのにと思ったが、自分だけ騎乗するわけにもいかないから、召喚するのを思いとどまった。


  その後、クレセントの防具が出来上がったので、引き取りに行き、試着をしていた。やはり、クレセントさんは、今、着ている、防御力ゼロの洋服の上に防具を着装している。非常にエロっぽく萌える。特に、前垂れの下から見えるスカートの裾と、白の二ーソックスの間の、素肌の太腿が、見る人を勇気付けるのだった。


  ついでに、水魔法特性を持つ魔法石をはめ込んだロッドを購入することにした。銀色に光るロッドと、水色の宝石のコラボがカッコいい。


  クレスタさんは、あまりお金を持っていなかったから、シェルさんが出したが、ワイバーン討伐の報酬の5分の1は、クレスタさんの権利だから、それに比べれば微々たるものだった。


  現在の僕達の所持金では、全員で豪華客船世界一周ができる位だ。そんな船は無いけど。


  夜、僕は、クレスタさんとノエルの二人と一緒に寝る予定の日だったが、クレスタさんは何か都合が悪いらしく、シェルさんと代わっていた。シェルさん以外は、月に一度、そういう時があるが、理由はよく分からなかった。



  シェルさんは、昨日と同じ様に上着の寝間着を着て、僕の腕枕で寝ていた。ノエルは、前の開いたシャツとパンツだけを着て寝ていた。どうして皆、寝間着のズボンをはかないんだろう。二人とも足を僕の足の上に絡ませて眠った。


  僕は、ぐっすり眠った。





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(5月8日です。)

  翌朝、僕は、町の外で、剣の稽古をしてから、一つの実験をしてみた。一旦は、止めようと思った『ワイバーンの召喚』をしてみようと思ったのだ。召喚した魔物は、また戻すことが出来るようなので、試しに召喚してみることにしたのだ。


  召喚魔法陣は、基本的には同じだ。召喚対象の古の名前と、召喚者との契約条項を記載している。あとは、4大精霊の力の根源たる4元素の記号を記載する。魔法陣が出来上がった。魔法陣の真ん中に魔石を置く。魔石は、なんでも良いそうなのだが、僕の持っている物で一番大きいのを使った。何の魔石だったかは忘れた。


  「4大精霊と天の神、地の支配者、我に力を与えし百の神、千の魂、古のかなたより朋に生きとし生ける者、その姿を顕現するは我の力なり、そなたの力なり。その力を我に与えし者達よ、今一度我に力を貸したまえ。我は命ずる。出でよ、『ワイバーン』、その姿を現わせ。」


  僕が、ベルの剣を前に差し出す。魔法陣が、白く光り輝き、その光の中に何かが見えてきた。光が止んだ時、全長20m以上はある雌のワイバーンが現れた。しかし、昨日、見たワイバーンと違い、色は真っ黒だった。


  『僕に何か用。』


  え、子供?それに男の子のようだし。それよりも喋れるし。


  『子供じゃないよ。大人だよ。』


  しかし、喋り方がどうも子供っぽい。ワイバーンは、あまり高度な竜種ではないため、思考力もそれなりなのだろうか。僕は、ワイバーンに名前を付けた。ワイバーンだから『ワイ』ちゃんだ。


  「あなたの名前は、『ワイ』ちゃんです。」


  ワイバーンの身体が白く光って消えた。ワイバーンは、名を貰って喜んでいる。ワイちゃんは、北の大雪山脈の向こう側にある『火の山地帯』に住んでいるそうだ。まだ、人が踏み入れたことのない地だ。そこには、ワイちゃん以外にも、色々な竜種が住んでいるとのことだった。


  何か、この辺にいるワイバーンとは、違うようだが、ワイちゃんのいうことには、あれは、知識のない下等種で、ワイちゃんとは違う種類だそうだ。人間とお猿さんの違いみたいなものかな。


  ワイちゃんが、『あいつらは、自分達を怖がって、火山には近づかない。』と教えてくれた。


  あと、あいつらは毒を吐くけど、ワイちゃんは、火を吐くそうだ。少し、吐いて貰ったら、ブレスというよりも、チロチロと燻っているみたいだ。『もう少し大きくなったら、もっと凄いのが吐けるようになる。』と言い訳していた。やはり子供だ、と思ったが黙っていた。


  もう、用はないので、帰って貰う。次に呼び出すときは、『出でよ『ワイ』、その姿を現わせ。』で、召喚されるそうだ。簡単で良い。


  ホテルに戻ると、大騒ぎになっていた。町の外に黒龍が出たというのだ。黒龍は、竜種の上位種で、滅多に人里には現れない。以前に目撃されたのは、80年程前だそうだ。


  僕は、知らん振りをしていたが、シェルさん達には、ジト目で見られていた。東に行く駅馬車が出るのは、明日の早朝だそうなので、もう1泊する事になった。町で見るものも無くなったので、今日は、1日『まったり』しようと思ったら、買い物に行くという。服と下着だそうだ。女性は、どんだけ買い物が好きなんだろう。僕は、荷物が増える事を心配していた。


  最初から、シェルさんの大きなザックは、一杯だった。ベルのザックも限界だ。これでは、もう一つザックを買わないといけない。仕方がないので、僕は、道具屋に行って、シェルさんのザックと同じ大きさのザックを買った。銀貨2枚もした。


  僕は、1人でホテルに戻り、部屋の片隅に置いたあるパンパンのザックを見た。これから、中を仕分けしないといけない。


  旅行必需品と、宿泊必需品。携行食料とキャンプ用品。それと、袋分けされている彼女達の衣類。後、クレスタさんとエーデル姫の化粧用品。


  全部出して見ると、もう一度ザックに入れる自信がない。1人で悩んでいると、イフちゃんが、現れた。


    「何を、悩んでおるのじゃ。」


  僕は、イフちゃんの荷物がないのだけが救いだった。今の問題点を話すと、哀れみの目で、僕を見ながら言った。


  「お主は、我がいつも何処にいると思っているのじゃ。」


  「え、どこって剣の中。」


  「愚か者め。このような小さな剣の中に、何百年もおられる訳ないじゃろ。この剣は、依代に過ぎぬのじゃ。」


  「じゃあ、いつもは何処に居るんですか。」


  「説明してもわからないじゃろうが、多次元空間の狭間じゃ。時の過ぎ行くことのない、暗黒世界じゃが、我は、精神的存在じゃから、空間を自由に創造して快適空間にしておるのじゃ。現し世との出入りのために、この剣があるのじゃ。」


  「だから?」


  「ええい、お主は馬鹿か!だから、我の存在空間は、無限の広がりを持っていると言う事じゃ。」


  「ふーん。」


  僕は、話の途中で、荷物をどうやってしまおうか、考え始めた。まず、荷物を二つに分けよう。イフちゃんが、怒り始めた。


  「えーい、人の話を聞かんか。この、ヒッキーが!」


  えーと、ヒッキーは関係無いんですけど。


  「だから、この荷物を、我が預かろうと言うんじゃ。」


  「え、預かってくれるんですか。でも、大きいですよ。持てるんですか?」


  イフちゃんは、大きな溜息をついて、説明するのを諦めた。


  「貸してみろ。」


  イフちゃんは、適当な袋を二つ持って消えた。


  再び、現れた時には、何も持っていなかった。


  え、荷物、どこに捨てたんですか? 


  「捨ててなどおらん。異次元空間に置いてきたのじゃ。」


  なるほどと、ようやく納得する僕だった。でも、それじゃあ、この前のワイバーンの時だって、もっと簡単にできたのにと思って、イフちゃんに言ったら、上の方を向いてスルーされた。

  ゴロタは、禁断の召喚術?によりワイバーンを仲間にしました。でも、このワイバーン、大丈夫なんでしょうか。残念なワイバーンって嫌ですよね。

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