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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第2部第2章 魔物が仲間になりました。
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第2部第36話 ビンセント君は頑張っています

(5月30日です。)

  セレンちゃんは、見た目は12〜3歳、身長150センチ位の女の子だ。肌の色は透き通るような白色で、輝くような銀髪だ。目の色は濃い青色で、アーモンド型の目はシェルとよく似た形だ。冒険者服を着ていると、絶対に魔物とは気が付かないだろう。


  ビンセント君は、セレンちゃんを見て、目が点になってしまった。今まで見たこともないような美少女が急に現れたのだ。ミリアさんは、美少女というよりも美人さんだし、シェルは超絶美少女だが、美形揃いのエルフ族だし。


  でも人間族ではないどころか、魔物だと聞いて、ちょっと引いていた。セレンちゃんは、現代の世界の言葉は話せない。海底での超音波を使った会話か、古代ルーン語しか話せないのだ。シェルは、翻訳機を首に巻いているから大丈夫だが、ミリアさん達とは言葉が通じないのだ。その内、シルフに作って貰おうと思っていたら、3日後には出来上がるそうだ。僕達と一緒にいるシルフではなく、帝国のシルフが作ってくれるそうだ。


  まあ、現代語は、おいおい覚えてもらう事にしよう。結局、今日の午後は、海水浴で終わってしまった。まあ、最初からそのつもりだから構わないけど。セレンちゃんは、水着姿で泳いでいる皆を興味深げに見ていた。


  街に戻ってから、ギルドでサハギンや大ヤドカリの魔石を換金した。大ヤドカリの魔石は、ダンジョンが出現してから初めての納品らしい。という事は、あの階層は僕達が初制覇となるのだろう。


  ホテルに戻ってから、セレンちゃんをどこに寝かそうかと悩んだが、結局、僕たちの部屋に簡易ベッドを追加してもらう事にした。ミリアさん達では、言葉が通じないので、ホテルの部屋の使い方を教えられないのだ。まあ、それはそうなんだが、セレンちゃん、あれからずっと僕のそばを離れないのだ。隷従の契約って、そういうことではないと思うのだが。


  シェルが僕と腕を組むと、反対側から腕を組んでくるし。その度に、シェルはプンプン怒るし。街に戻ってから、セレンちゃんの下着や靴、それに寝間着などの日用品を買う時にも、ずっと腕を組みっぱなし。ぼくと別れて試着室に連れて行こうとすると、本当に悲しそうに涙を浮かべるし。うーん、困った。


  レストランでは、当然にテーブルマナーなどできる訳がない。海底神殿では、食事など出ないので、自分で貝や魚を捕まえて生で食べていたらしいのだ。当然、手掴みで。シェルが、ひとつひとつ教えていたが、最初はフォークだけで食べている。まあ、仕方が無い。でも好き嫌いは無いみたいだ。シェル達が飲んでいるワインにも興味を示したが、酔って人魚に戻ったら大変なので、当分はジュースにして貰おう。


  お風呂もシェルと一緒に入って、体の洗い方を習っていたが、頭を洗うのが嫌だったみたいだった。シャンプーが目に染みて痛いらしいのだ。目を瞑るということが、分からなかったらしいのだ。そういえば、セレンちゃん、極端に瞬きが少ない。微妙にお魚の特質が出ているのかも知れない。


  夜、ベッドに入ったら、セレンちゃんも一緒に入って来た。シェルが怒っていたが、また泣き始めたのでしょうがない。諦めて一緒のベッドで3人で寝る事にする。当然、僕が真ん中だった。


  シェルもセレンちゃんも僕の足に片足を絡ませてくる。あのう、セレンちゃん、珍しいからって摘まないでくださいね。





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  次の日、僕とビンセント君、ミリアさん、メリちゃんはダンジョンの依頼を受けることにした。冒険者ランクアップが狙いだ。シェルとセレンちゃんは、街の中をお散歩だ。あのう、シェルさん、お買い物は必要最小限にしましょうね。


  僕達は、銀鉱石の採取を受注する。銀鉱石10キロを採取すれば完了だが、銀鉱石の買い取りを含めて、銀貨2枚の報酬だ。銀の含有量から計算すると、銀鉱石の買取価格は、銀の含有量にもよるが、平均キロ大銅貨1枚と銅貨80枚だ。と言う事は、採集の手数料は大銅貨2枚程度かな。それでも計算の苦手な冒険者達には、人気があるらしく、次々と依頼書がむしられていく。今日は、3件の依頼をこなしたいので、薬草採集も2件受注した。ダンジョンには、僕とビンセント君の2人で潜る事にし、薬草採集は、ミリアさんとメリちゃんにお願いした。当然シルフもミリアさん達に同行する。


  ダンジョン入り口で手続きをしてから、2人で一気に地下第4階層に潜っていく。上層階では、他の冒険者と被ってしまうので、トラブルになりがちだ。


  地下第4階層は、流石に冒険者も少ないので、採掘をしているパーティーもいない。ここで大量に採掘をしても、重い鉱石を持って地上まで戻る間に、魔物に襲われて全滅する恐れがあるからだ。ゴロタ達は、イフクロークがあるので、持ち帰りの心配はない。洞窟の壁を調べていくと、銀鉱石の鉱脈は直ぐに見つかった。銀色の筋が何本も露出している。ビンセント君にツルハシを渡して、何箇所か掘って貰う。あっという間に、依頼の量は採集できた。もうここには用はない。この先の、もっと貴重な金属を探索する。途中急降下で攻撃してくる飛び蜥蜴は、ビンセント君に任せている。火属性の魔力を込めたロングソードを振って、『斬撃』を飛ばす。外れても2の太刀、3の太刀で仕留めていた。だいぶ使えているが、威力はまだまだだ。せいぜい叩き落とす程度だ。


  僕は、金鉱石かミスリル鉱石の鉱脈を探す。2キロ位歩いただろうか。あった。大きな鉱脈だ。白っぽい銀色の鉱脈が岩の間から露出している。ミスリル鉱だ。僕は、土魔法で直径5センチ位の穴を開ける。深さは50センチくらいだ。いうつか開けた後、中にファイア・ボールを入れてゆく。全部の穴にファイア・ボールを入れてゆく。ビンセント君と一緒に物陰に隠れたら、ファイア・ボールを一気に爆発させる。


    ドドーン!!


  ちょっと小さな爆発だったが、密閉された穴の中での爆発だ。岩山の壁が30mに渡って崩れ落ちてしまった。ミスリル銀が含まれている欠片ばかりを集めておく。その間にも、ビンセント君は襲ってくる飛び蜥蜴を撃ち落としている。随分、上手くなって来た。ロング・ソードに魔力を込めるのと火炎弾を撃つのが、ほぼ同時にできている。僕は、ミスリル鉱石からミスリルのインゴットを作っている。10キロ位の鉱石から、300グラム位が『錬成』されていくので、あっという間に1キロのインゴット10個程度が出来上がる。これで、今日の採集は終了だ。


  最後に、階層ボスのストーン・ゴーレムを討伐しに行ったが、流石にビンセント君では火力不足だ。地道にアキレス腱狙いもいいが、今日は、ゴーレムの関節を固めずに、真正面から戦わせる。


  ビンセント君は、ミスリル製のロングソードに魔力を込めて、右下段のままゴーレムの足元に駆け込んで行く。刃体が真っ赤に燃え上がっている。


    ズバン!


  ゴーレムのアキレス腱を切り裂くが、ダメージは僅少だ。今日のゴーレムは自由に動けるので、片手でビンセント君を追い払おうとする。ビンセント君、一生懸命躱しているが、躱す方向が逆だった。もろに振り払いの直撃を受けて5m位跳ね飛ばされる。あ、あれは何本か折れているな。ゴーレムの動きを止めておいて、ビンセント君を回収する。折れている個所を『ヒール』を掛けて元通りにしてあげる。さあ、もうちょっと頑張って。別に意地悪しているわけではない。敵からダメージを食うと、体力ポイントと防御ポイントが入るのだ。相手が強ければ強い程、またダメージが大きければ大きい程、入るポイントが大きくなるのだ。今日は、死ぬことはないので、一生懸命頑張ってもらうつもりだ。この訓練、ミリアさんの前では絶対にできないから。


  ビンセント君、心が折れることなく果敢に攻めていく。うん、根性も付いているようだ。昨日、僕の手助けがあったにしても、倒している敵だ。それが自信になっているようだ。今回は22合でゴーレムのアキレス腱を切り落とした。『ズズーン!』という大きな音とともに、地面に転がってしまった。もう、動けない。ビンセント君に、『ファイア』で、ゴーレムを焼いて貰う。石でできているゴーレムは燃え上がることは無いが、熱で身体が真っ赤にはなる。真っ赤になったところに、僕が『シャワー』を掛けると、瞬間的に冷やされて脆く割れてしまう。何箇所か割ってから、頭を真っ赤に熱する。ビンセント君、なかなかエグイです。最後に、頭が粉々に割れて戦いは終わってしまった。ビンセント君の圧勝という訳ではないが、よく頑張りました。


  別に急ぐことはないので、地上までゆっくり歩いて帰ることにした。勿論、先頭はビンセント君だ。飛び蜥蜴やストーンゴーレムを追い払いながら、地下第3階層に行く。ゴリラは、もうビンセント君の敵ではなかった。真っ赤に熱せられたロングソードで、バターのように上下に切り離されてしまった。ヤマビルなどの虫類は、局所的な『ファイア・ボール』で焼き尽くしていく。まあ、直ぐに僕が『シャワー』で延焼を防いでいるんだけど。地下第2階層から上は、ミノタウロス等の武闘派モンスターだが、10合位で、相手の戦闘力を奪っている。うん、相手が良く見えているようだ。オークやゴブリンは『ファイアー・ボール』で広範囲殲滅をしている。うん、これなら能力的には『B』ランクは行くかな。まあ、依頼達成数が極端に少ないのでランク・アップは無理だろうけど。


  ギルドに戻ってから、依頼品の銀鉱石10キロを渡す。銀貨2枚を貰っておいた。次に、買取カウンターに行き、ミスリルの1キロインゴットを10個取り出す。買取担当者は、最初、何が取り出されているのか分からなかったようだ。


  「ミスリル100%のインゴットです。」


  担当者は、目が点になっている。ミスリルは、ゴロタ帝国の相場では、金の概ね3倍、キロ単位1500万ギルだ。こちらの通貨では、大金貨2枚というところだろうか。それが10個、このギルドで幾ら金庫に入っているか知らないが、直ぐに準備できるか疑問だ。結局、今日は預かりだけになってしまい、明日、全て換金してくれるそうだ。よし、帰ろう。あ、その前ビンセント君のレベル確認をして、それからホテルの近くのレストランで遅い昼食をたべよう。


******************************************

【ユニーク情報】2030.05.31

名前:ビンセント・アレス・ゲシュタルト

種族:人間族

生年月日:王国歴2022年4月12日(16歳)

性別:男

父の種族:人間族

母の種族:人間族

職業:貴族 男爵 冒険者ランク E

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【能力】

レベル    8 (+4)

体力    70 (+30)

魔力    50 (+20)

スキル   25 (+12)

攻撃力   40 (+20)

防御力   55 (+35)

俊敏性   35 (+15)

魔法適性  土  火

固有スキル なし

習得魔術  ファイア アースブロック

習得武技  【斬撃】

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