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第2部第31話 ミリアさん達は冒険者登録をします

(5月28日です。)

  今日は、イオラさん達と馬は休日にした。イオラさん達は、処遇上は僕の奴隷と言う事になっているが、イオラさんには、月に大銀貨2枚、イオイチ君には大銀貨1枚を給料として渡している。そのほか、旅行中の衣食住は必要経費として僕が支払うことになっているので、お金を使う必要はないはずだ。今日の昼食は、イオークも入れる食堂があるらしいので、そこで食べて貰う事にする。自由イオークは珍しいが、亜人・獣人が多いエリアだからきっと大丈夫だろう。まあ、悪徳奴隷商に拉致されても匂いと気配ですぐに探索できるけど。


  僕達は、5人で冒険者ギルドに向かった。冒険者ギルドは、ホテルのすぐ傍だった。ギルドの入り口には、イオークや獣人のポーターが屯していたが、人間の子供も何人か混じっていた。中には、こんなに小さな子がポーターなんかできるのだろうかと思うような幼い子もいた。人間のポーターは、今日の顧客を見つけなければいけないらしく、僕に声を掛けてきたが、メリちゃんというポーターがいるので、断ることにした。そもそも、今日、ダンジョンに潜るかどうかさえ決まっていないのだから。


  ギルドの中は、どこも一緒だ。依頼ボードの前には、冒険者が固まっており、必死の形相で依頼を見ている。近くに新しいダンジョンが発見されたので、ダンジョン内で自分たちのランクに合った割のいい依頼を探しているのだ。鉱石の採集は、報酬は高いが、重い鉱石を持ち帰らなければならないので、あまり割が良くないようだ。彼らが一生懸命探しているのは、弱い魔物を討伐する依頼だ。魔物の角や皮それに魔石を採取する依頼は、報酬以外に採取品の売却も見込めるので二度美味しいのだ。


  受付カウンターの前には、本日依頼を受ける手続きをする冒険者たちが並んでいた。レストランの方には、手続きをしている者達のパーティが、お酒を飲んで待っている。本当に、どこのギルドも一緒の風景だ。


  僕達が、ギルドに入ると注目を浴びた。身長だけは高いが、まだ幼い顔つきの僕と、みるからに弱そうなビンセント君、それと胸が大きい美人さんと可愛いエルフ、後この辺では見かけないコボルトの女の子のパーティーなのだ。注目されない訳がなかった。


  僕達は、依頼を受ける前に、まず冒険者登録コーナーに向かう。コーナーは、受付の反対側にあるパーテーションに区切られた所にあったが、職員は誰もいなかった。あれ、今日はやっていないのかなと思ったら、連絡を受けたのか、事務所の奥から職員が出てきた。


  「いらっしゃいませ。インカン王立冒険者ギルドゴトーダ支部へようこそ。本日は、冒険者の新規登録でしょうか。」


  うん、この口上、どこでも一緒だね。グレーテル大陸とこの大陸では交易が無いはずなのに、こういう情報って、どうやって入手するんだろうか。


  『過去に、空間転移が行われていたか、全ての大陸が一つになっていた可能性もあります。地層と地質を解析すれば、予測できますが、解析を開始しますか?』


  あ、すみません。結構です。それほど興味はありませんから。シルフさん、勝手に思念を読み取るの、やめていただきたいんですけど。しかし、『空間転移』か。そう言えば、過去の七つの災厄との戦いでは、この星レベルの戦いだったと聞いたことがある。あ、それにブラックさんなんかも、大陸間の移動なんて、まったく問題なくやってしまうのだろうな。と言う事は、地上を歩く者だけが、大陸間の移動をしていないと言う事か。なるほど。


  一人納得していたが、新規登録窓口では、シェルさんがどんどん話を進めていた。この国では、冒険者登録は12歳からできるらしいので、ミリアさん、ビンセント君そしてメリちゃんまで、今日登録して貰うことにした。登録料は、1人銀貨5枚だった。僕達が切り替えた時の審査料が銀貨3枚だったことを考えるとそんなものかと思ってしまう。


  ビンセント君から能力測定をして貰う。


******************************************

【ユニーク情報】

名前:ビンセント・アレス・ゲシュタルト

種族:人間族

生年月日:王国歴2022年4月12日(16歳)

性別:男

父の種族:人間族

母の種族:人間族

職業:貴族 男爵 冒険者ランク F

******************************************

【能力】

レベル    2

体力    25

魔力    20

スキル   10

攻撃力   12

防御力   18

俊敏性   15

魔法適性  土

固有スキル なし

習得魔術  アースブロック

習得武技  なし

*******************************************


  久しぶりに見る平均的レベルだ。特筆できるものが一つもない。それでも魔力と魔法適性があるだけでもましかも知れない。次は、ミリアさんだ。


******************************************

【ユニーク情報】

名前:ミリア・バーミット

種族:人間族

生年月日:王国歴2012年10月8日(17歳)

性別:女

父の種族:人間族

母の種族:人間族

職業:貴族 冒険者ランク F

******************************************

【能力】

レベル    4

体力    30

魔力    30

スキル   10

攻撃力   15

防御力   20

俊敏性   18

魔法適性  火 聖

固有スキル なし

習得魔術  『ファイア』

習得武技  なし

*******************************************


  なにも訓練をしなければ、基本レベルは1なのだが、ミリアさん、父上の仇を打つために何回か森で魔物と戦ったし、最後には、僕達の手伝いもあったが、仇を討ったのでレベルもそれなりに上がったようだ。でも、これでは冒険者としての戦いは無理だろう。最後は、メリちゃんだ。ゴロタ帝国では15歳以上でなければ冒険者登録は出来ないのだが、ここでは12歳からOKなので、一応、登録だけはしておく。早速能力を測定して貰った。


******************************************

【ユニーク情報】

名前:メリ

種族:コボルト族

生年月日:王国歴2017年2月7日(13歳)

性別:女

父の種族:コボルト族

母の種族:コボルト族

職業:冒険者ランク F

******************************************

【能力】

レベル    1

体力    12

魔力    60

スキル   10

攻撃力    5

防御力   10

俊敏性   20

魔法適性  風 雷

固有スキル

【治癒×】

習得魔術  なし

習得武技  なし

*******************************************


  今のレベルは最低だが、素質は一番あるかもしれない。特に魔力の『60』は素晴らしい。きっと、持って生まれたものだろう。それに魔法適性も2つもある。特筆すべきは、『治癒スキル』を持っている事だ。今はスキルレベルも低く、スキル発動もできないが、将来的には非常に楽しみだ。メリちゃんに聞いたら、村の呪術師が、気持ちの悪い魔法を使うらしいのだが、あとの皆は魔法など全く使えないし、使ったのを見たこともないらしいのだ。


  さあ、それでは皆で依頼でも受けますか。早速、5人でパーティを組む。僕達でパーティを組んでも、『最低ランク+1』のランクの依頼しか受けられない。と言う事は、『Eランク』の依頼だ。それでは薬草採集やペット探しそれに清掃、荷物運び位の仕事しかない。仕方がないので、依頼を受けずにダンジョンに潜ることにした。受付でダンジョン探索料を支払って潜ることにした。探索料は銀貨1枚だった。この登録をしていると、ダンジョンから戻らない場合、ギルドの責任において捜索隊をだしてくれるのだ。まあ、僕には必要ないだろうが、皆のルールだ。きちんと銀貨5枚を支払っておいた。ダンジョンに行く前に、ギルドの売店で売っている冒険者服をメリちゃんに買ってあげる。水色の可愛らしいものだ。あと、腰のベルトに付けるケース入りの解体ナイフも買ってあげた。


  ダンジョンは、町から歩いて1時間位の森の中にあった。森でもゴブリンやオークが数多く出現している。ダンジョンから溢れてきているのかも知れない。いつものように、ミリアさんが、ショートソードで軽く切りつけてから後方に退避する。メリちゃんは、僕から渡しておいた小石を何個か相手にばらまく。1個か2個当たれば良いのだ。ビンセント君が、ロングソードに魔力を込めて『斬撃』を討とうとするが、上手く行かない。とりあえず、剣からファイアを発動して、炎を纏ったロングソードを持って切りかかって行く。何匹化のゴブリンに切り傷をあたえてから、こちらに走って戻ってきた。ゴブリン達が血を流しながら追いかけてくる。後は、シェルの『ヘラクレイスの弓』の餌食だ。あっというまに5匹のゴブリンを仕留めてしまった。


  何回かの戦闘を繰り返してから、ダンジョン入口まで来た。このダンジョンは、『ゴトーダ・ダンジョン』と言うらしい。去年の夏に急に現れたらしいのだ。うん、きっと美味しいドロップ品が一杯出たはずだ。


  ダンジョン入口には、石造りの関所があり、ギルドから貰った鑑札を持っている者だけが潜れるようになっている。ダンジョン入口の門番は、馬系の獣人だった。もし、ダンジョンから強力な魔物が出てきたら、走って街まで知らせる役目があるらしいのだ。門番の人は、観察と僕達を見比べてからダンジョン入場を許可してくれた。


  さあ、いよいよ新パーティでダンジョン攻略だ。

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