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第2部第16話 シェルは全部知っていました。

(4月24日です。)

  もう時間をかけていられない。既に、子爵邸の前の道路に100人位、屋敷内には200人位の騎士団が隊列を組んでゴロタが近づくのを待っている。


  「皆さん、本当に逃げなくていいんですか?」


  ゴロタは、イフちゃんを呼んだ。いつものイフちゃんは、10歳位の女の子だけど、今はイフリート本来の姿になって貰っている。騎士団は、始めて見る伝説の火の精霊に、驚きと恐怖を感じ、ジリジリ下がり始めていた。勇気を出して、アーチャーが何本かの矢を射てきたのだが、当然、命中する前に燃え尽きてしまった。


  ゴロタは、イフちゃんに、なるべく殺さないようにお願いした。彼らを殲滅するのなら、逃げ道に炎壁を立てて塞いでから、前の方から『煉獄の炎』で皆殺しだが、今回は、前から徐々にレベルの低い炎を吹いて行く。騎士団はどんどん下がり始めた。


  路上の騎士団は、ほぼ逃げてしまったが、騎士団長と子飼いの騎士10人位が残っていた。イフちゃんに後ろに下がって貰って、ゴロタが前に出る。ヒゼンの刀を『脇構え』の型に構えた。騎士団長と子飼いの騎士たちは、ゴロタを見て、前進を始めた。こちらはイフちゃんと違って人間、それも15〜6歳位の少年だ。騎士達がゴロタに殺到した。左後ろの脇に構えた刀を地摺りから切り上げて、3人の左手首を切り落とす。返す刀で、4人の左手首を切り落とした。身体を回転しつつ、空中に飛び上がり着地と同時に、団長をはじめとする4人の左手首を切り落とした。もうゴロタに向かって来る騎士は路上にはいなかった。


  次は、屋敷の中だ。イフちゃんが、何発かの『地獄の煉獄』を前庭に落とした。物凄い轟音と共に、樹木が燃え始めた。戦闘はあっという間に終わった。屋敷内の騎士団は、全員降伏したのだ。取り敢えず、全員、団本部に帰隊してもらう。イフちゃんの攻撃で、死亡した騎士は6人、重傷者11人、軽傷者26人だった。死亡した人には可哀そうだが、しょうがない。重傷者については、『治癒』で痛みが無くなるくらいまでは回復させておいた。


  後は、ギュート子爵だ。邸内は、家令やメイド、下働きが何人かいたが、騎士や護衛は誰もいなくなっていた。一番年配の執事さんに、ギュート子爵の所在を聞くと、書斎の隠し部屋だと教えてくれた。この人はいい人だ。


  直ぐにギュート子爵は見つかった。表に引き摺り出し、『威嚇』をかけて、抵抗できないようにしておく。それから、例の行政事務官一家が埋められている住居に向かわせる。ギュート子爵を先頭にして、衆人環視の中、歩かせたのだ。市民は、それまで偉そうにしていた子爵閣下が、茫然自失のような態度で歩いている姿を興味深げに見ていた。


  市内北部の殺された行政事務官の住居の前には数台の霊柩馬車が止まっていた。まだ発掘中だそうだ。リビングの床が剥がされている。小さな子供の腐乱死体が、掘り出されて床に敷かれたシーツの上に「置かれていた。今は、奥さんの遺体を掘り出している最中だった。行政事務官


  ボーッとしているギュート子爵に『威嚇』を解除した。ハッと気がついたギュート子爵は、目の前の凄惨な光景に目を見開いている。自分の犯した罪に気が付いたのか、激しく嘔吐していた。


  もう、いいだろう。ゲートを開き、衛士隊本部と繋ぎ、デボラ隊長を先頭に、衛士隊のロビーに転移した。犯罪の容疑者といえども、領主で子爵だ。国王陛下の裁可がなければ、処断する事は出来ない。しかし、取り調べは可能だ。取調室で、エチゴヤと同じように供述調書を作成する。すべての取り調べが終ったあとで、ギュート子爵直筆の国王陛下に対するバーミット領返納願署を作成して貰う。最後に、ギュート子爵のサインと指輪のスタンプを押して貰って、全ての書類は完成した。


  これから、ギュート子爵を王都であるセントラル・インカン市まで搬送しなければならない。約1700キロの旅になる。馬車でも1か月半はかかるだろう。途中、何があるか分からない。子爵を護送するとなると、衛士隊だけでも200人は必要となるのではないかと、デボラ隊長が心配していた。現在のギュート市衛士隊には、人員的にも金銭的にもそれだけの余裕はないのだ。


  「隊長様、その心配はご無用ですわ。私とゴロタ君で、無事、王都まで護送いたします。勿論、ミリア様もご一緒ですわ。」


  「しかし、たった二人で護送するのは危険すぎるのでは。」


  「二人ではありませんの。先ほどのイフリート以外にも心強い味方がいるのですわ。ゴロタ君、お願い。」


  ゴロタは、最初、キョトンとしていたが、直ぐに意味を理解した。


  取り敢えずシルフを呼び出した。異次元の狭間から出てきた、身長150センチのシェルと瓜二つの女の子。今日の髪の毛は緑色だ。MP5を装備し、迷彩服を着ている。フルフェースのヘルメットは、今は付けていない。それから、ワイちゃんを呼びだす。本来の姿になって来て貰ったので、上空を旋回している。時々、火を吹きだしてデモンストレーションだ。


  イフちゃんにも本来の姿で現れて貰う。もう、何でもありだ。さすがにヴァイオレットさんや、ブラックさんは召喚することは遠慮した。


  最後に、シルフが『F35改ライトニングⅢ』を異次元クロークから取り出す。見たこともない銀色の不思議な物体だ。シルフが、ヘルメットを被り、搭乗する。あのう、ミニスカで搭乗するから、パンツが丸見えなんですが。シルフが、エンジンを始動した。物凄い轟音が隊庭に響く。そのまま垂直離陸を始める。高度100mで水平飛行に移った。アフターバーナーを点火して北に飛行していったが、あっという間に見えなくなってしまった。


  シェルが、更に補足説明を行う。


  「今のは、ゴロタ君が有する戦力の一部です。必要なら、必要な分だけの戦力を補充できますの。オホホホホ。」


  ああ、最後のあれさえなければ、超絶美少女で通るのに。ミリアさんが、デボラ隊長に何かを耳打ちしている。多分、ゴロタが神聖ゴロタ帝国の皇帝だと言う事をばらしているのだろう。デボラ隊長が目を見開いて、ゴロタを見ていた。なんか恥ずかしい。


  シルフが、上空で宙返りをしてから、隊庭に降下してきた。ギアを出し、着地したと同時にタラップが降りてくる。キャノピーが開き、シルフが降りてくる。また、パンツが丸見えだ。ヘルメットを脱ぐと、長い緑の髪をブルンと振って、『F35改ライトニングⅢ』を異次元クロークに収納する。ワイちゃんもいつの間にか、北の火の国に帰っていた。イフちゃんは、本来の姿から10歳の女の子の姿になっている。赤いワンピース姿は相変わらずだ。


  当面のギュート市の行政運営だが、治安関係については、デボラ隊長がいるので、安心だ。あと、騎士団員だが、全員を辞めさせるわけにはいかない。領地の防備が出来なくなるからだ。とりあえず前期師団長の子飼いの連中は、全員、腕を切り落とされて入院している。残った300名近い騎士たちは、上官の命令に従っただけの者が多いので、そのまま現任務続行とすることになった。ただし、団長も腕を切り落とされて入院しているので、デボラ隊長が臨時騎士団長に就任して貰う。また、現団員の中で最上位階級の者に、騎士団長補として、デボラ隊長を補佐して貰うことになった。


  行政庁は、行政官がいなくなったので、古参の行政事務官を行政官心得として、行政官業務を遂行して貰う。人間性や知識、能力に申し分のない人だが、正直すぎてギュート子爵に疎まれていたらしいのだ。


  それからは、衛士隊本部の食堂で飲めや歌えの大騒ぎとなった。シェルは、いつものようにガバガバとワインを飲み過ぎて、潰れてしまい、ゴロタがお姫様抱っこで連れ帰ることになったのも、いつもの通りだった。


  シェルをベッドに寝かせて、服を脱がせる。上着を脱がせて、ハンガーにかけ、シルクのホワイトシャツを脱がせて、洗濯用の水につけておく。ミニスカートを脱がして、ストッキングを脱がすと、いつもの下着のシャツとパンツだけになった。クロークから下着セットを出して、シャツとパンツを交換する。風邪をひかないように毛布を掛けてあげると、急にゴロタに抱き着いてきて、酒臭い口でキスを求めてきた。いい加減なキスをしてから、手を離したら、そのまま爆睡してしまった。


  ミリアさん、その様子をじっと見ている。変な事を考えたらいけませんよ。ミリアさんにお風呂に入るように促して、ゴロタは、いつものように、シェルの上着の皺を温風アイロンで取りながら、明日、シェルが着る服を出しておく。それから自分の来ていた冒険者服をハンガーにかけ、靴下や下着のシャツを、さっきの洗濯水につけておく。明日の朝、洗濯石で綺麗にして乾燥させるのもゴロタの役目だった。ミリアさんがお風呂から上がってくるのをボーっと待っていたら、上がってくる音がしていた。あまり、ミリアさんの方を見ないようにして、自分もお風呂に入る準備をする。タオルセットと洗濯石、それと替えの下着を準備するのだ。


  ここのお風呂は、かなり大きなお風呂なので、のんびり入ることが出来る。ミリアさんが、バスタオルを身体に巻いてでてきたので、今度は、ゴロタがお風呂に入る番だ。お風呂場のドアにカギをかけて、湯船にゆったりと浸かる。特に疲れていたわけではないが、フッと眠くなってしまった。


  気が付いたとき、目の前には、ミリアさんの豊かな胸があった。あれ、鍵を書けたはずなのに。下半身に違和感を感じた。ミリアさん、一生懸命、ゴロタの物を自分の中に入れようとしていたが、上手く行かないようだ。ゴロタは完全に臨戦態勢になっている。ちょっと腰を使えば、スルっと行くだろうが、そのまま、脱衣場に転移して逃げてしまった。クレスタの一件以来、人間の女性に対しての恐怖症を感じている。妻のエーデル達とは仕方がないので、夜の生活を続行しているが、絶対に妊娠しないようにしているのだ。


  ミリアさんが、お風呂場から追いかけて来た。ゴロタに抱き着き、濃厚なキスをしてきた。下半身を押し付けているが、ミリアさん、経験がないのだろう。上手くできないようだ。ゴロタは、ミリアさんの顔を両手で挟んで離し、


  「ミリアさん、ごめんなさい。僕、できないんです。」


  下半身をギンギンにしながら言っても、説得力がないかも知れないが、そのままミリアさんに『スリープ』を掛けてこん睡させてしまった。


  ミリアさんをベッドに運び、下着のシャツを着せてパンツをはかせた。ダブルベッド2つをつなげた巨大別途の一番端にミリアさんを寝かせ、ゴロタは、反対側のベッドにシェルと一緒に寝ることにした。シェルが、うっすらと目を開けている。全部、見ていたのだろう。ゴロタの下半身をつかんだまま、また目を閉じてしまった。

もう、いつものパターンが続きます。

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