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エピローグ5 これが青春だ!

久しぶりのエピローグ追記です。ただいま、外伝、執筆中ですが、ふと思いついたエピソードを追記することにしました。

(2033年9月19日です。)

  今日は、フェルマー王子の17歳の誕生日だ。17歳の男の子、もう青春真っ盛りと言う感じだ。鼻の下に薄い髭が伸び始めてきたし、朝、元気になってしまう事もある。身長も、176センチだ。この1年半で3センチしか伸びなかった。もうそろそろ、成長も止まってきた感じがする。180センチには届かないだろうとフェルマー王子はあきらめ始めている。


  フェルマー王子とドミノちゃんは、グレーテル王国の王都にある王立音楽学院付属高等部の2年生だ。フェルマー王子は声楽科、ドミノちゃんはピアノ科で学んでいる。


  授業は、午前中は数学や理科などの一般学科と音楽理論、午後は実技講習だ。ドミノちゃんの実技講習は、3年生のクラスで指導を受けている。というか、3年生の先輩達に模範演奏を見せているのだ。担当の教師は、とても楽をしているようだが、いつか自分のポストを奪われてしまうのではないかと戦々恐々としているのは誰にも内緒にしている。


  フェルマー王子の声楽科の実技講習は、最初から1年から3年までの合同授業だ。もともと、声楽科の募集人員が少ないうえに、圧倒的女性天国のため、男女混合合唱をしようとすると人数的にも、合同でなければできないのだ。声楽科では、もともと男子生徒をめぐって女子生徒の争奪戦が激しいが、フェルマー王子は対象外みたいだった。もちろん、見た目は超イケメン男子だが、学院1の超絶美少女のドミノちゃんがいるので、誰も狙ってこないのだ。しかし、毎日、軽く股間にタッチされたり、異様に顔を近づけて話してくる女子生徒達に、いつも逃げ回っているフェルマー王子だった。


  最近、ドミノちゃんは、王立魔法学院大学に通うのをやめている。ノエルさんとビラさんが、ゴロタ帝国の帝国セント・ゴロタ大学院魔法学部教授に赴任してしまったので、自然とやめてしまったのだ。その代わり、『フェル&ドミノ』の音楽活動が忙しくなってきた。


  平日の公演もあるので、どうしても授業を休まなければいけない。学校側も、午後の実技講習の代わりに校外活動を認めてくれているので、午前中の授業が終わってから、指定されている音楽堂に『転移』している。当然、シルフさんがゲートを開いてくれているのだ。


  シルフさんは、ずっと王都のグレーテル領事館別館にいるが、帝国の『白龍城』にもいるシルフさんは同じシルフさんなのだろうか。一度、フェルマー王子が聞いてみたら、『フフフ』と笑って、答えてくれなかった。


  今日は、さすがに公演も無いし、授業が終わってから、2人で王都屋敷に帰ることにした。王都屋敷までは、ゆっくり歩いても30分位だが、正門の両側には、グレーテル王国の衛士隊の方が2人立っている。


  王都屋敷の中には、帝国領事館があるので、外国公館を警備するのは、この国の衛士隊の仕事らしいのだ。


  二人に挨拶をしてから、門の中に入っていく。入ると、すぐ右側にゴロタ帝国グレーテル領事館がある。レンガ作りの立派な建物だ。最初は、木造の小さな建物だったのだが、職員も増えたので新しく立て直したのだ。


  その前を通って奥に行くと、また門があった。王都屋敷に入るための門で、ここには犬人族の方が見張りをしている。この人達は帝国警察本部の警察官だが、屋敷の警備以外にもいろいろと仕事をしているらしい。詳しくは、誰も教えてくれなかったが。


  屋敷には、カテリーナさんとシンシアちゃん、ミキさんとレオナちゃんしか住んでいない。以前は、シロッコさんやシズさん、ノエルさんにビラさんと大勢住んでいたのに、シズさんは、父親のダッシュさんと暮らしているし、ほかの人は皆、帝都に引っ越していった。


  カテリーナさんは、最近、まったくタマリンゴ美術大学に行かなくなった。1日中、屋敷の中のアトリエで絵を描いているのだ。レオナちゃんが帰ってくる頃になると、絵を描くのをやめて、レオナちゃんと一緒におやつを食べている。


  夕食は、メイドさんとシェフがいるので、カテリーナさんは作る必要が無いのだが、厨房で、新しい料理に挑戦している。以前は、掃除が好きみたいだったが、最近は、掃除はしなくなって料理が好きになったみたいだ。


  ドミノちゃんも、何度か料理に挑戦したが、当然、包丁を使うのはシルフさんが許してくれなかったので、盛り付けだけしかさせて貰えなかった。


  カテリーナさんは、昼過ぎからバースデーケーキに挑戦しているみたいだ。シェフから、いろいろ教わりながらだが、フェルマー王子達が帰ってきたころには、土台のスポンジケーキが焼きあがって、いい匂いが屋敷中に立ち込めていた。


  ドミノちゃん、すぐに厨房に行って、ケーキの飾りつけを手伝い始めた。シンシアちゃんとレオナちゃんは、もう小学校から帰って来ていた。シンシアちゃんは、本当は小学4年生の学齢だが、今、小学5年生だ。1年、早く入学している。というか、本当はもっと高学年でも良かったが、シェル様のお考えで、1年から始めさせたそうだ。


  レオナちゃんは、8歳なので、普通に小学3年生だ。かなり甘えん坊で、ミキさんがいないとカテリーナさんにべったりだ。シンシアちゃん、それをいつもニコニコ見ているだけだ。きっと、いつもお母さんのいないレオナちゃんを可哀そうと思っているのだろう。


  パーティの時間になった。カーマン王国の王城にいた時の誕生パーティとは比べ物にならない位、質素なパーティだが、フェルマー王子は満足だった。


  最近は、カーマン州連合行政庁の庁議も、ガタリオ行政長官に任せている。シルフさんがきちんと庁議内容を把握し、必要な指示をしているのだ。シルフさんは、『フェルマー王子は、自分を高めるための時間を大切にするべきだ。』と言っていた。庁議がくだらないわけではないが、それは大学を卒業し、州連合太守として執務に当たってからでも十分だという考えらしい。


  レオナちゃんは、ケーキが出てきた段階でロックオンしている。一番上に乗っているチョコレートのワンコが欲しいらしい。夕食もきちんと食べなければいけないので、チョコをレオナちゃんの前においてあげる。レオナちゃんは、ニコッと笑って、ビーフシチューを食べ始めた。レオナちゃんの食事は、1品は必ず肉料理だ。身体の作りから、どうしても必要らしいのだ。やはりライオン人の血を引いているのだろう。


  フェルマー王子の後ろには、誕生日プレゼントの山が置かれている。カーマン州連合内の知事達からのプレゼントは、旧王城の執務室に置いて貰っている。『フェル&ドミノ』のファンたちからのプレゼントは、ドエス企画の事務所に置いて貰っている。ここに置いてあるのは、ドミノちゃんをはじめ、お屋敷の皆からのものと、ゴロタ皇帝陛下やシェル様、それにエーデル姫様達からのものだ。ほとんどが、着るものか音楽関係の用品だった。そんなに高いものはない。


  食事が終ってから、一つ一つ開けるつもりだ。一番、気になるのは、ドミノちゃんからのプレゼントだ。というか、ドミノちゃんからのプレゼントを参考に、来月10日のドミノちゃんのプレゼントを決めるつもりなのだ。


  あと、ゴロタ皇帝陛下からのプレゼントは、何も包装されていないので、すぐに分かった。大剣の木刀だ。色は真黒で、何の木を使っているか分からない。しかし、その重さが異様だった。今まで、朝の千本素振りに使っている木刀だって、4キロの重さだが、この木刀は6キロ以上の重さがある。思い切り振ると、遠心力と慣性でその数倍の重さになってしまう。この、木刀、絶対に人間の振るものではないから。


  試しに、すぐ振ってみたが、今までの大剣木刀を初めて振った時みたいに、剣に振り回されてしまった。うん、明日から頑張ろう。そう決意したフェルマー王子だった。


  食事後、お楽しみのプレゼントを開く時間だ。一番、最初にドミノちゃんからのプレゼントを開けようとしたら、一番、最後にしてと言われた。なんだろう。小さな箱に入っていて、そんなに重くない。


  カテリーナさんからのプレゼントは、毛糸のマフラーだった。カテリーナさんの手編みらしい。うん、網目が酷いが、色のセンスは抜群だ。いろいろな色を織り込んで、遠くから見るとグラデーションで葉っぱが見える。絶対に商品化できるレベルだった。


  ミキさんからは、のどに良い飴玉セットだ。ミキさんもいつも持ち歩いているそうだ。フェルマー王子も持っているが、いくつあっても邪魔にはならないので、ありがたくいただいた。シンシアちゃんとレオナちゃんからは、綺麗な折り紙と鉛筆だった。ありがとう。


  シェル様からは、冒険用のナップザックだ。シェル様が冒険者になりたての頃に持ち歩いていたものと同じ大きさのものらしい。こんなに大きなナップザックを持って、どうやって小柄なシェル様が歩いていたのか謎だ。それに冒険にこんなに大きなザックはいらない。一体、何が入っていたのだろう。エーデル姫様達からは、ほとんどが音楽関係の本とレコードだった。うん、全て音楽学院にあるのだが、きちんとお礼状を書くつもりだ。


  最後に、ドミノちゃんのプレゼントだ。何が入っているのだろう。開けてみると、フォークギターのストラップだった。茶色の牛革をなめしたものに、小さな穴で模様が描かれている。その穴の中には、赤や黄色の塗料が埋められており、遠くから見ると『フェルマー』と書かれているのが分かるようになっている。ドミノちゃんのお手製らしい。早速、自室からマーチンのフォークギター『Dー45』を持ってきて、今までの物と交換した。


  肩から下げてみると、サイズもぴったりだった。すごくうれしかったが、来月10日のお返しが、すごく難しくなった。今から、作り始めても間に合いそうにない。どうしようかと悩んでいたら、ドミノちゃん、真っ赤な顔で、


  『お返しは指輪が良いな。』


  と『念話』で言ってきた。ドミノちゃんとだけは、『念話』が通じるのだ。きっと、今、フェルマー王子の悩んでいるのが聞こえてしまったのだろう。それよりも、『指輪』って、もしかして、あのダイヤの嵌まった、王都の中心街でも物凄く高級なので有名な『ティファサン』で売ってるやつですか?


  まあ、フェルマー王子個人の貯金は、かなりあるのだが、シェル様からは、月に必要な分しか貰っていないので、すぐにどうにかできる訳がない。フェルマー王子は、嬉しいのと不安な気持ちで、どうしたらよいか分からなくなってしまった。


  翌日は、土曜日だったので、学校は休みだった。フェルマー王子は、シルフさんと一緒に、朝早くからギルドに行く。お小遣いを稼ぐつもりだ。しかし、率の良い依頼は何も無かった。殆どは採集か警護で、報酬も銀貨1〜2枚だった。


  中に1枚、煤けた依頼があった。ダンジョン最下層の攻略だ。金貨1枚、いや3枚だった。1が消されて、3に訂正されている。きっと誰もが失敗しているのだろう。


  このダンジョンは、シルフさん達と去年、攻略したことがある。その時は、地下5階層までしか行かせて貰えなかった。それよりも地下は行ってはいけないと言われたのだ。


  この依頼は『A』ランクパーティー以上の依頼だが、『ソロでも可』とある。フェルマー王子は、この依頼を受けることにした。今、フェルマー王子は『B』ランクだが、ギルドの規程ではワンランク上位の依頼まで受けることができるのだ。


  早速、依頼を受けたが、ギルドの受付では、一瞬、駄目という雰囲気だった。しかし、シルフさんが一緒だったので許して貰った。何故か、このギルド、フェルマー王子には厳しいような気がする。


  フェルマー王子は、昨日シェルさんから貰った大きなバッグを背負っている。中には、お弁当しか入っていない。シェルさんが、替えのパンツを3枚準備するように言われた。何故か分からなかったが、一応準備しておいた。


  ダンジョンは、地下7階層から始めることにした。フェルマー王子は、『斬鉄剣・紅』を装備している。柄には、火属性の魔石を装備している。シルフさんは、いつもの『MP5』だ。


  地下7階層はビーチエリアだった。シルフさんは、直ぐ戦闘服を脱いだ。下着だけになる。『え、なんで?』と思ったが、答えは直ぐに分かった。敵は、海の中から攻撃をしてくるクラーケンだった。大きな触手が16本も海上に伸びている。


  フェルマー王子は、剣を抜いて、『紅蓮の炎・斬撃』をお見舞いする。海面すれすれを真っ赤な炎の刃が薙ぎ払っていく。全ての触手を切断した。


  その時だった。クラーケンの本体が姿を現すとともに、フェルマー王子達に真っ黒な墨を吐き出したのだ。広範囲に墨の雨が降ってくる。クラーケンは、そのまま逃げてしまった。


  2人は、真っ黒になってしまった。シルフさんは、そのまま海に入っていく。墨を流すのだろう。フェルマー王子も冒険者服を脱いで、パンツ1枚になって海に入っていく。


  体を綺麗にした後、冒険者服を洗濯石で綺麗にする。落としきれずに黒の迷彩になってしまった。替えの下着を交換したかったが、シルフさんが此方を見ている。後ろを向いて着替えた。冒険者服は、まだ濡れていたが仕方がない。そのまま着ることにした。


  着替え終わって、後ろを振り向くと、シルフさんが下着を交換していた。全く隠そうとしない。フェルマー王子の視線は、ある一点にロックオンしてしまった。股間もロックオンだった。しかし、シルフさんの視線が、フェルマー王子のズボンのテントに注目していたので、慌てて後ろを向いてしまった。


  シルフさんが、替えのパンツを用意しろと言ったのは、このためだったのかと思ったが、そうでは無かったらしい。


  階層ボスは、セイレーンだった。平素は人魚の姿だが、地上では女性の姿だ。しかも素っ裸だ。誘惑の歌を歌う。シルフが、耳を押さえるように言ったが、遅かった。フェルマー王子、フラフラとセイレーンの方に向かって歩いていく。股間をモッコリさせながら。



  シルフの『MP5』が火を拭く。30発の9ミリ弾がセイレーンの顔や身体に吸い込まれていく。足以外が、ミンチになってしまった。魔石は、諦めなければならない。だが、ドロップ品が出た。鉄の鎧だ。重いだけで価値は無い。何も回収せずに、地下8階層に潜っていく。


  地下8階層は、墓地エリアだった。十字架が延々と続いている。次々と吸血蝙蝠が襲ってくる。フェルマー皇子は、1匹ずつ剣で焼き払っている。


  いい加減、蝙蝠退治に飽きて来た頃、墓標の脇の土がボコッと盛り上がって来た。あいつだ。ゾンビだ。しかも女のゾンビだった。当然、顔も体もドロドロだ。片目が落ちかかっている。身体も、乳房は残骸が残っていない。股間からは気持ちの悪い何かが垂れている。


  フェルマー王子は、女ゾンビをこんがりと焼いてあげた。それからは、次から次へと土の中から這い出てくる。全て、女のゾンビだった。中には、今死んだばかりの女の子がいた。乳房やお腹に薄く青筋が浮かび上がっていたが、股間は綺麗だった。そのゾンビが、ことさらに広げて見せてくる。


  フェルマー王子、またまた一点にロックオンだ。シルフの一斉掃射に我に帰った。フェルマー王子が、聖なる光のビッグバンを放った。ゾンビどもは土塊になってしまい、第8階層はクリアになった。しかし、先ほどの女ゾンビの股間を見た時、つい漏らしてしまった。フェルマー王子は、今日、2回目のパンツを交換した。


  9階は、ハーピーの群れで、腐ったような女性の股間を嫌と言うほど見せつけられた。それに9階ボスは、女バンパイアだったが、当然、何も着ていなかった。結局、最下層に行くまでに最後のパンツまで履き替えてしまった。今度から10枚位持ってこようと思うフェルマー王子だった。


  最終ボスは、リッチだった。ありとあらゆる魔法が打たれてくる。聖なるシールドで防いでいるが、このままではシールドが持たない。フェルマー王子は、聖なる力を剣に込める。白い光が剣を包んでいる。


  明鏡止水流の『一の太刀』で『斬撃』を飛ばす。しかし、暗闇のようなシールドが、跳ね返してしまった。


  『二の太刀』、『三の太刀』と飛ばしていく。隣では、シルフさんが、『MP5』の連射だ。短い銃身が真っ赤になっているが、構わずに弾倉を入れ替えている。


  『七の太刀』で、リッチの闇のシールドがようやく消えた。そのまま、リッチに近づく。リッチが、虚空の目を見開いて、フェルマー王子を見つめる。『斬鉄剣・紅』の正面打ちだ。リッチの頭から、左右に切り裂かれていった。リッチは、そのままホコリのように消滅してしまった。大きな黒い魔石が転がり落ちた。


  ドロップ品は、鉄の鎧だった。そんな物は放っておいて、魔石だけ回収し、地上に帰還した。もう、夕方だった。


  ギルドに戻って、依頼の完了報告をする。証跡は、リッチの魔石だ。受付の女性職員は、魔石の大きさに吃驚していた。国家災害級の魔物を17歳の坊やが討伐したのだ。ギルドマスターのフレデリックさんに、根掘り葉掘り聞かれたが、ズルなどしていない。正直に答えるだけだった。


  報酬は、金貨3枚つまり帝国通貨で300万ギルだ。後、魔石の買取で大金貨1枚と金貨6枚、1600万ギルになった。全てナップザックに入れて、ギルドを出て行く。これから、あの店に行くのだ。


  王都でも超高級宝飾店の『ティファサン』は、総大理石作りの3回建てだ。クラーケンの墨で、迷彩に染められている冒険者服を着ているフェルマー王子には、敷居が物凄く高かったが、誰も制止せずに店内に入っていくことができた。


  店内は、足が埋まるのでは無いかと思えるほどの分厚い絨毯が敷き詰められ、ガラスのショーケースにはあらゆる宝石が飾られている。


  直ぐに、奥から年配の男性が飛んできた。


  「いらっしゃいませ。もしかしてゴロタ皇帝陛下のお屋敷のフェルマー王子様ですか?」


  あれ、バレてる。今日、初めて来たのにと思ったが、フェルマー王子、王都でも有名人だということを全く理解していなかった。シルフが、口を開いた。


  「今日は、婚約指輪を買いに来ました。宝石はブルーダイヤ、大きさは2カラット以上、サイズは9号でお願いします。」


  店長は、吃驚していた。ブルーダイヤは、普通のダイヤの5倍はする。しかも2カラット以上など、今、店内には無いのだ。


  「すみません。その大きさのブルーダイヤとなると、当店では準備出来かねます。もう少し、小さな物では駄目でしょうか?」


  店長は、2人を2階の特別室に案内する。大きなドアに何重にも鍵がかけられている。中に入ると、その奥に大きな金庫があった。


  そこから出して来たのは、1.4カラットのブルーダイヤの指輪だった。立て爪の指輪で、透き通った水色だ。


  シルフさんは、それを購入することにして、色々と注文していた。サイズ合わせと、裏に掘る文字についてだ。最後に、値段を聞いて驚いた。大金貨9枚半だった。


  え、帝国通貨で9500万ギル?


  とても買えないと思ったら、シルフさんが、何も無いところから大金貨7枚と金貨5枚を出した。フェルマー王子も、ナップザックの底から、今日ギルドから貰ったばかりの大金貨1枚と金貨9枚を出した。でも、金貨1枚が足りない。


  どうしようかと思ったら、金貨1枚はサービスしてくれた。シルフさん、最初から値引かせるつもりのようだった。もう、怖いので指輪はシルフさんに預かって貰った。


  ところでシルフさん、さっき『婚約指輪』って言っていませんでした?思い出したフェルマー王子、顔が真っ赤になったのはしょうが無かった。


  まだ17歳、青春、真っ盛りなのだから。

フェルマー王子とドミノちゃん、2人は簡単なキスから先には進展していません。ドミノちゃんはOKなのに、フェルマー王子がヘタレのようです。

ブルーダイヤは、通常ダイヤの10倍もするのがあるそうです。とても怖いダイヤです。

エピローグ、また思いついたら追記します。お楽しみに。


マリアちゃんが、異世界に転生してしまいます。転生先は、現代日本の杉並区です。何と、5歳児のマリアちゃん、14歳のJCになってしまいました。


  『紅き剣と蒼き盾 外伝』を新シリーズとしてアップしました。ブクマをよろしくお願いします。

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