エピローグ3 キティちゃんは、特別です。
久しぶりにエピローグを追加しました。今回は、東の大陸から来たキティちゃんのお話です。
(グレーテル暦2033年4月6日です。)
キティちゃんは、先月11歳になった。今日の始業式から、正真正銘の小学6年生だ。来年の4月からやっと中学に進学できる。6歳の時に、タイタン市のタイタン学院初等部1年に飛び級入学してから、もう6年経ってしまった。
3年前、セント・ゴロタ市の帝国大学附属小学校6年生に編入したが、ずっと生徒会長兼準教師をしていた。準教師と言っても、先生が授業できない時に、皆の自習の監督をするのだ。
自習時間中に歩き回る生徒には、『MP5』のBB弾がご褒美だ。以前、机の下に潜って交わそうとするクラスメイトがいたが、スキル『誘導弾』で背後から撃たれるので、今は、皆、大人しく自習している。
算数の自習の時は、キティちゃんが『猿でもわかる小学算数』を使って、授業を行なっている。キティちゃんの教え方は独特で、生徒の分からないところがあると、どこが分からないのか的確に把握し、必ず分かるように教えてあげるのだ。そのため、キティちゃんの授業を受けたがる他のクラスの生徒さん達も見学に来るくらいだ。
ある時は、国の教育委員会の方達が授業見学に来ていた。全国の学習指導要領を作成する参考にしたいと言う事らしかった。キティちゃんが使っている参考書も、出版会社の方からの依頼を受けて、算数の問題の解き方を図解してあげたものだ。教育界では、全国的に名前が売れているキティちゃんだった。
来年、中学校に進学することになるのだが、中学校の学区は広いので、新しいお友達もできるだろう。だが、すでにキティちゃんのことは市内の小学校中に知れ渡っており、友達になってくれるかどうか心配だ。
キティちゃんは、もうずっと友達がいない暮らしを続けている。それはそうだ。8歳の時に小学6年生になってから、3年間、卒業式で仲良くなった友達は中学校に行ってしまい、キティちゃんだけが小学校に残るのだ。卒業してから、2~3か月は、連絡があるが、そのうち連絡も途絶えてしまい、キティちゃんも新しいクラスメイトと上手くやれるようになっているのだ。
今日からは、先月まで、下級生だった子たちがクラスメイトになる。キティちゃんと同じクラスになりたがる生徒が多い中、選抜された30人が新クラスメイトだ。キティちゃんは、全員の顔と名前を憶えている。3年間、ずっと同じ学校内にいるのだ。自然と覚えてしまうのだ。
今度の新6年生は、ピートという男の子が学年委員長をしていた。キティちゃんがいるので、ピート君は副委員長になるのだが、どうもピート君、それが不満そうだ。始業式の時、新委員長や生徒会役員の任命式を行うのだが、ピート君、ずっと不貞腐れた態度で任命書を受け取っていた。
今日は、始業式後、授業はなくホームルームだけで学校は終わりになる。ホームルームでは、クラス委員の指名があるが、5年生の時のクラス委員長がそのまま、6年生のクラス委員長になるのが通常のパターンだった。しかし、今回、その委員長候補の子が、親の仕事の関係で転校してしまい、皆の推薦で新委員長を選ぶことになった。
先ほど、副委員長に任命されていたピート君が、新クラス委員長に推薦され、誰も反対しなかったので、そのままピート君が指名された。ピート君、キティちゃんをチラとみて、自慢げの顔をしていた。
キティちゃんは、『ああ、またか。』とため息をついてしまう。今まで、何回、こういうことがあったろうか。新しく6年生になった子の中には、キティちゃんの立場や能力を認めず、あらゆる面で挑戦してくるのだ。
キティちゃんは、3月25日生まれなので、他のクラスメイトと比べても頭半分以上小さい。それに身体能力は高いが、やせ型なので、ことさら幼く見えるようだ。
席は、常に一番前だった。今までは、学齢そのものが小さかったので、それも当然なのだが、今日、新しいクラスメイトを見ても、キティちゃんよりも小さい子は、1人もいなかった。それも、キティちゃんの実力を知らない子達が、キティちゃんを馬鹿にする原因の一つだった。
キティちゃんは、小学校入学の時から、ずっと、休みの時には、シルフさんと一緒にダンジョンンに潜っている。たまにフェルマー王子などと一緒だったが、フェルマー王子が、グレーテル王都の音楽学校に行ってからは、シルフさんと2人だけの時が多い。たまにクレスタさんも一緒だ。
クレスタさんは、物凄く大きい武器を持っている。以前の『M16』ではなく、『M134ミニガン』を携行用に改造したもので、毎分2000発の7.62mm弾が6本の銃身から発射される。キティちゃんも持ってみようとしたが、持ち上がらなかった。
シルフさんが言うには、通常の人間では、大の男2人でやっと搬送できるそうだ。それをクレスタさんは、軽々と肩に担ぎ、発射するときには、地面に後退防止用のペグを打ち込んで、片足をそこにかけて発射している。まあ、移動時は、肩に担がずに、時空間の狭間にしまい込んでいるのだが。
弾薬は、背中の四角い箱の中にしまわれており、ベルト式により肩に担いだ『M134』に給弾される。300発入りの箱だが、9秒で空になってしまう。実際、ダンジョンの中での使用は、音と煙がひどいので、使わないで欲しいと思うキティちゃんだった。
最近、キティちゃんは、ミスリル製のナイフではなく、『ポイズンダガー』を使用している。体術と瞬発力それに動態視力が抜群に良いので、『MP5』を使う機会が減ってきている。
しかし、『MP5』は、キティちゃんの守り神だ。決して手放さない。ダンジョンに潜るときは、いつも学校に持って行く樹脂製の玩具ではなく、鋼鉄製のものを持っていっている。3年前からは、子供用の物ではなく、帝国国防軍正規採用品を使用しているのだ。
キティちゃん用のものは、コンパクトモデルだが、重量は3キロ近くあり、9mmパラベラム弾30発を装填できるマガジンモデルだ。発射速度は、毎分800発だが、3発ずつの正確な点射ができるので、ダンジョン攻略中に2本のマガジンがあれば十分だ。
先月の誕生日に、久しぶりにギルドに行って、エーデル総本部長の特権で能力検査をしたところ、
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【ユニーク情報】
名前:キティ
種族:人間族
生年月日:王国歴2022年3月25日(11歳)
性別:女
父の種族:人間族
母の種族:人間族
職業:小学6年生
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【能力】
レベル 28(17UP)
体力 230(110UP)
魔力 180(100UP)
スキル 270(160UP)
攻撃力 180(130UP)
防御力 200(160UP)
俊敏性 190(100UP)
魔法適性 火 風 雷
固有スキル
【誘導射撃】【爆裂弾】【速射】
習得魔術 『ファイア・ボール』 『ウインド・カッター』 『サンダー・ボルト』
習得武技 【流れ撃ち】【指弾】【刺殺】
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もう、すでに一流冒険者のレベルを超越しているそうだ。エーデルさんは、この測定結果を見て、『もうダンジョンに行ってはいけない。』といっていたが、いつものようにウソ泣きをしたら、すぐに許してくれた。
エーデルさんは、もう立派な大人だが、やることや、性格のちょろさはクラスメイトと大差なかった。きっと、育ちが良く、人を疑うと言う事ができないのだろう。よく、あれでギルド総本部長ができると思ったが、スタッフが素晴らしいので、問題はないらしい。副本部長のヘレナさんが、サポートしてくれているおかげだとの評判だった。
ダンジョンで得た報酬は、全てキティちゃんが貰えることになっている。シルフさんやクレスタさん達はいらないのと聞いたら、自分たちは、金銭的に困っていないし、貰っても欲しいものがないので、必要ないそうだ。キティちゃんも、月々のお小遣いとして、100万ギル貰っているので、まったく必要がない。
しょうがないので貯金することにしている。このお小遣いは、必要な時に使える最大使用限度額というものらしい。実際には、毎日100ギル持って、学校に行っている。
誕生日の翌日、久しぶりにダンジョンに潜ってみた。勿論、キティちゃんは、シルフさんのポーターとして同行していた。15歳になるまで、冒険者登録ができないからだ。シルフさんは、7年前に初めて会った時から、まったく変わらない。
6年前に、冒険者登録をしたときに、15歳と言っていたが、あの時、身長は150センチ位で、15歳にしては小さな女の子だなと思ったが、あれから全く成長していないのだ。一度、シルフさんに、どうして大きくならないのと聞いたら『ウフフ』と笑うだけで、答えて貰えなかった。
シルフさんは、シェルさんの妹だとばかり思っていたけど、違うのかも知れない。でも、髪の色以外は、本当にそっくりなの。二人が並ぶと、成長前、成長後という比較をしているみたい。
あ、そんなことはどうでもいいの。この前のダンジョン、最下層まで行ったんだけど、その時、シルフさんから『MP5』は使わないで、クリアするようにって指示されたの。と言う事は、このナイフだけで戦うという事ね。でも、魔法は自由に使っていいそうなので、思いっきり魔法を放とうとしたら、シルフさんが、『このダンジョンが壊れない程度にね。』って念を押されてしまった。
ダンジョンは、帝都から路面電車で30分位のところにあるので、朝早く、『白龍城』を出たら、午前9時にはダンジョンに到着したの。
それから、ダンジョン管理人に入場料を払って、地下に潜っていったのだけれど、ダンジョン入口には、ポーターの男の子たちが一杯いたわ。さすがに、前のクラスメイトはいなかったけど、どう見ても、まだ中学生位の子達が一緒に連れて行って貰いたがっている。
最近の神聖ゴロタ帝国は、中学までは義務教育にしているので、学校に行かないでポーターをしている子はいないはずなんだけど、今は、春休みなので、アルバイト代わりにポーターをしている子達が多いらしいの。それに今の決まりだと、ポーターも冒険者の半分の報酬を貰えることになっているし、万が一、ポーターを死亡させたり負傷させたら、遺族に相当の賠償金を支払わなければならないの。勿論、そんな大金、一度に払える訳もないので、ギルドに借金をすることになるそうなの。
昔みたいに、ポーターを囮にしたり、盾代わりに使おうとしたら、一生借金払いになってしまうみたい。
それに、エーデル総本部長からの質問が厳しくて、絶対に誰も嘘を付けないらしいわ。その能力って、ゴロタさんとフェルマー王子も使えるみたい。どんな能力か聞いたら、『ウフフ』と笑って答えてくれななかった。
ダンジョン内の違法行為は、重罪で、軽くて犯罪奴隷落ち、重いと、武器・装備品を持たずにダンジョン最下層落としになるらしいの。それって、単純に死罪の方が楽な気がするんですけど。
シルフとキティちゃんは、最初からダンジョン地下8階層に転移した。勿論、シルフの能力だ。8階層は、山岳エリアだ。まだ秋になったばかりなのにここはもう真冬の真っただ中だ。キティちゃんは、『風魔法』のシールドを纏ったので、少しも寒くない。ただ、あまり人が通っていないので、積雪がひどく歩きにくい。それに、山を登る装備を持ってこなかったので、行く手を阻む崖を登ることができなかった。
シルフは、崖の上めがけて、ロープ付きフックを打上げた。崖の上の何かに引っかかって、しっかりと固定できている。これならキティちゃんも楽勝だ。『MP5』を背中に回し、ロープを持って、手だけで登っていく。下手に崖に足をかけて、滑り落ちないようにだ。
あっという間に、崖の上に到着したら、そこには、大きな雪男がいた。じっとこちらを見ている。もう何回も相手をしているので、向こうもこちらを覚えているようだ。ジリジリと後ずさりをしている。逃がす気はサラサラない。本当は、『MP5』を10発も打ち込めば、一瞬でカタが付くのだが、今日は使う事を禁止されている。キティちゃんは、腰の『ポイズン・ダガー』を抜き、右手で持って、相手の方に向ける。無詠唱で、ファイア・ボールを放つ。ナイフが、赤く光ったかと思うと、真っ赤な火柱が雪男めがけて放たれた。哀れ、雪男は、逃げることもできずに火だるまになって灰になってしまった。焼け解けた雪穴の中にガラスのような魔石が転がっていた。魔氷石だ。夏場は重宝する魔石だ。夏になれば、30万ギル位で取引きされる。
そのまま、山の峰を歩いて、階層ボスの所に向かう。途中、3体の雪男が出現した。『火魔法』で1体、『風魔法』で1体を倒して、最後は、雪玉で攻撃した。武技『指弾』の応用だ。心臓に命中した雪玉は、粉々に砕けたが、雪男は動かなくなった。心臓に衝撃を受けて止まってしまったらしい。
シルフが、魔石も回収せずに収納した。傷ひとつない雪男だ。剥製にしてオークションにかけるつもりだ。でも、あの大きい股間の物を隠さないで飾られても、絶対引くわ。そう思うキティちゃんだった。
次に氷男が出てきたが、雪玉をぶつけると砕けてしまった。レベル的には、雪男よりもかなり弱い。組成が氷なので、オークションにもかけられない。雑魚キャラだ。砕け散った氷の中から、魔氷石を探す。本当に探しづらい。
階層ボスは雪女だ。いつ見ても綺麗な女性だ。真っ白な面長の顔に真黒な髪、その先が凍って白くなっているので、パートカラーのようだ。真冬だというのに、和の国の浴衣のようなモノをきている。下着をつけていないので、放漫なおっぱいが見え隠れしている。男なら、必ず見とれてしまうだろう。そうなったら、もう雪女の餌食だ。濃厚な接吻により、精気と性気を吸い取られてしまい、骸になってしまう。
しかし、キティちゃん達は、女の子と、女の子もどきだ。まったく見とれることはなかった。雪女は、真っ白な顔をさらに白くして、ジリジリと後ずさりを始めた。また、このパターンだ。逃がさないように、雪女の後ろから、ミニ竜巻を吹き付ける。本当は『ウインド・トルネード』という魔法らしいが、イメージだけで発動しているので、魔法名を知らないキティちゃんだった。
竜巻に押しやられて前に出てきた雪女の胸を目指して、『ポイズン・ダガー』を突き刺す。さらさらと雪の結晶になって消えていく雪女。うつろな目が、少し可哀そうだった。魔石は、また魔氷石だった。ドロップ品もあった。浴衣だ。夏に着ると、冷房いらずの冷却浴衣『雪女の衣』だ。これは、かなり高額で取引されるはずだ。
今日は、これくらいで良いかと地上に帰ることにした。最近は、いつもそうだ。所要2時間以内を、目標にしている。今日は、約1時間30分位だった。雪男4体、氷男3体、それに雪女だ。あ、雪だるま軍団は、ゴブリンよりも弱いので、数にいれていなかった。
いつものように、ダンジョン管理人に出場の挨拶をして、帝都に戻ることにしたのだった。
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そんなダンジョンに比べて、まったく緊張感のない学校生活だ。始業式が終わって、『白龍城』に戻る途中、ピーター君から勝負を挑まれた。どちらが全校生徒会委員長にふさわしいかだ。
もう、毎年の恒例行事なので、キティちゃんは、深いため息をついた。さすがに、ピーター君、女の子相手に暴力をふるうわけにも行かず、勝負は、最近、帝都ではやっているオセロゲームだ。3本勝負で、2勝した方が勝ちだ。ピーター君が勝てば、キティちゃんは、明日、先生に委員長辞退を申し出る。キティちゃんが勝てば、ピーター君はあきらめて引き下がるそうだ。どう考えても、キティちゃんにメリットはないのだが、まあ、いいわと勝負を受けることにした。
結果は、当然、キティちゃんの圧勝だった。2本目は、盤上3分の1が余っている段階で、ピーター君の打つところがなかった。
顔を真っ赤にしたピーター君、次は、体力勝負を挑んできた。近くの大きな木に登る競争だ。下から10本目の梢、そこまで早く上った方が勝ちだそうだ。これは、絶対にずるい。なぜならキティちゃんは、ミニスカートだ。木登りなどしたら、絶対にパンツを見られてしまう。しかし、キティちゃん。勝負を受けることにした。最初は、ピーター君からだ。下で、キティちゃんが数を数える、
ピーター君、300を数えても、ゴールできなかった。7本目の枝のところで、止まったままだ。これ以上登れないばかりか、怖くて降りることもできないようだ。
しょうがない。深いため息をついて、キティちゃんは、ミニスカートの裾を、パンツの裾の中にまくり込み、ちょうちんブルマーのようにして、木登りを始めた。あっという間に、ピーター君の所まで登った。地上から、8m位だろうか。この上の枝までは、少し離れていて、手が届かないらしい。
キティちゃん、ピーター君を片手で支えて、『エイやっ』と枝から飛び降りた。途中、くるくると前回りをしながら、落下速度を調整し、『バン!』と地上に着地した。
着地直前に風魔法で速度を減速したのは内緒だ。ピーター君を支えている手を放そうとしたが、ピーター君、しっかりと握り締めて離さない。あ、漏らしている。木陰に連れて行って、休ませている間に、『白龍城』に走って戻って、フェルマー王子が昔着ていた服とズボン、それにパンツをメイドさんに出して貰って、また現場に戻った。
現場では、ピーター君がメソメソとべそを掻いていた。キティちゃんは、持ってきた替えのパンツや服を渡すと、何も言わずに『白龍城』に戻っていった。
次の日、ピーター君は、学校を休んだ。あれ、どうしたのかなと思っていたが、放課後、ピーター君のお母さんが学校に着て、キティちゃんと会いたいと言ってきた。え、嫌だなと思ったが、断る訳にもいかず、教員室の隣の応接室に行った。
そこには、綺麗な女の人とピーター君がいた。キティちゃんは、そのお母さんを見てドキドキしてしまった。キティちゃんは、母親を知らない。小さい時は、ーずっと孤児院育ちだった。だから、普通のお母さんを見ると、胸がドキドキしてしまうのだ。
その女の人は、キティちゃんの手を取って、涙を流して謝ってくれた。今朝、ピーター君は、おなかが痛いと言って、学校を休もうとした。今まで、そんなことは一度もなかったし、昨日、誰かのズボンとパンツをはいて帰って来たので、どうしたのかと聞いたがキチンと答えてくれなかった。
それで、お城に行っている父親に帰ってきて貰って、詰問してもらったところ、ようやく本当のことを話してくれたのだ。父親は、お城で上級公務員をしているそうで、当然、キティちゃんのことは良く知っていた。
天才少女としての噂ばかりではなく、ダンジョンではBクラス冒険者以上の働きをしているらしいとか、城内では、大学生レベルの図書まで読破しているとかだ。
父親は、今日はどうしても抜けられない仕事があるので、こうして母親だけで謝りに来たらしい。その母親はキティちゃんの手を取って、泣きながら許してくれるように頼んでいる。ピーター君も涙を流している。ちゃんと反省しているようだ。
その母親の手は、温かかった。良い匂いもする。これが母親の匂いなのかしら。自分には、一生、縁の無い匂いだ。縁のない手だった。キティちゃんは、その手をギュッと握りしめていた。知らず知らずに、涙が流れ落ちて止まらなかった。
いかがでしたでしょうか。登場人物のチートぶりは相変わらずです。この後、冒険者になるのか、学問の道に進むのか、キティちゃんのお話だけでも、結構ボリュームありそうですが、それは別の作品になる予定です。




