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エピローグ2 マリアちゃんは、まだまだ赤ちゃんです

エピローグは、はじめて書くので、あまりエピローグらしくありません。本当は、ゴロタ帝国の10年後くらいのシーンを書けばよいのですが(汗)

(2032年6月6日です。)

  マリアちゃんは、今年4月から、帝国セント・ゴロタ大学附属幼稚園に通園しています。市内で、唯一の幼稚園です。あとは、市立の保育園と私設の託児所しかありません。


  幼稚園は、月謝が月に2万8000ギルもかかるそうです。そのほかに給食費と教材費それに各種協力金で、月に4~5万ギルはかかるので、お貴族様や大商人それに高級官僚の子女しか通園してきません。幼稚園は、福祉目的ではないので、月謝を安くする必要が全くないというシルフ様の方針でした。


  もともと、小学校に入学する前の子供は、友達と遊んで、お昼寝して、余裕のある子は習い事をしているだけです。幼児教育など誰も考えませんでした。しかし、マリアちゃんの教育のためにも、幼稚園という施設が必要だということになり、急遽、大学附属という形で設置したのです。


  今年、開園したばかりの幼稚園なので、年少組のマリアちゃん達は、2クラス40人しかいません。年中組は2クラス50人、年長組は3クラス75人います。やはり、小学校に上がるのが近づくと、入園させようという親御さんが多いようです。去年まで、保育園に行っていた子も入園してきていますが、年少組は、本当ににぎやかです。みんな、親から離れるという経験がなかったせいか、入園したてのころは、いつも誰かが泣いていました。5月になってようやく落ち着いてきました。


  幼稚園の先生は、それまで保育園で保母さんをしていた人たちが中心です。帝国セント・ゴロタ大学に新設された、教育学部保育科の学生達も実習を兼ねたアルバイトに来ています。


  幼児教育は、まだ確立された学問ではないようで、研究対象に不自由はしませんでした。子供を伸び伸びと育てるべきか、躾を厳しくして団体行動を規律すべきか、誰も分かりませんでした。


  マリアちゃんは、非常に無口な子です。決して喋れないのではありません。人見知りが激しいのです。お友達が遊ぼうと誘っても、下を向いてじっとしているだけです。いつまでもそうしているので、先生が、


  「マリアちゃん、お友達のケンちゃんが遊ぼうって言っているわよ。」


  と言ってくれます。それでも、じっとしているだけでした。顔を上げようとしません。仕方がないので、ケンちゃんは他の子と遊び始めてしまいました。


  マリアちゃんは、お絵かきや、粘土細工などは得意で、夢中になってやっています。でも、お友達とのグループ活動がどうしても苦手です。担任のベティ先生が母様のクレスタさんに相談したのですが、クレスタさんは、ニコニコ笑っているだけで、何を考えているのか分からなかったそうです。


  ベティ先生は、マリアちゃんが、どこかのお貴族様の娘さんだろうと考えていましたが、身上調査書を見ても、住所と父親の名前が空欄になっているので確かめようがありません。


  母親欄には、『クレスタ』とだけ書かれており、職業欄は、空欄なので専業主婦なのかも知れないと思いました。それに、マリアちゃんは、いつもお屋敷のメイドさんやクレスタさんが送り迎えしているので、連絡先が分からなくても特に問題はありませんでした。


  でも、何かあった時の連絡先位は書いてもらいたかったと思うのです。最近は、帝都でも電話を設置する家庭が増え、帝都に居を構えるお貴族様や大商人達は、我先に購入して、自慢げに電話番号を大きく看板に書いています。何でも電話番号の局番が小さい方が、早く電話を設置したことの証明らしく、それが自慢になるらしいのです。


  メイドさんに、電話はないんですかと聞いたら、やはりニコリと笑って、『それはクレスタ様にお聞きください。』とはぐらかされてしまいました。


  そのお母様が、まるで頼りになりません。決して、知能が遅れているわけではなさそうなのですが、何を言っても黙って頷いて、決して反論しないのです。


  この前なんか、『マリアちゃんは、何か習い事をしているのですか?』と聞いたら、『はい。』と答えるだけで、何を習っているのか教えてくれません。このクレスタさん、飛び切りの美人さんなんだけど、常識に少し欠けているような気がするのは、私だけでしょうか。


--------/-----------------/-----------/-------


  「ねえ、母様、父様はいつお帰りになるの?」


  「今日は、閣議があると言っていたから、午後7時頃のはずですよ。」


  「私、父様にお願いがあるの。去年貰ったワンド、もう先っちょが割れているの。新しいの買ってくれないかな。」


  「それは、禁止されているのよ。使ったら壊れる程度のワンドしか使っちゃダメなんだって。ずっと遠くに行っている大奥様がお決めになったのよ。」


  「その大奥様って、お城のシェル様のお姉様?大奥様は、どこに行ってらっしゃるの?」


  「私も知らないの。随分遠くへいっているそうよ。」


  マリアちゃんは、とても不満でした。幼稚園では、絶対に魔法や力を使ってはいけないと言われているのです。


  だから、お城に帰ってきてから、思いっきり魔法を使いたいのに、あんな棒きれみたいなワンドでは、すぐに壊れてしまうのです。


  マリアちゃんは、思いました。

 

  『大体、あの幼稚園、いじめっ子と泣き虫ばかりじゃない。あんなところに行って、お歌を歌ったり、お遊戯をしたりなんて、絶対に嫌よ。男の子は、汚いし、臭いし。女の子たちは、生意気だし意地悪だし。』


  『それに、どうして幼稚園に行くのに、お城から離れたお家に転移してから、歩いていかなければならないのか訳が分からない。ここからパッと行って、パッと帰ってきた方が絶対に早いのに。』


  『大体、私一人でも転移できるんだから。」


  以前、マリアちゃん、なんとなくゲートに似たようなものを作りたいなと思ったら、目の前に大きな穴が開いてしまったのです。その先は、怖いから、お城の中の、お台所の前にしたら、ちゃんとそこに行けてしまいました。でも、クレスタさんが、力はむやみに使ってはいけないというので、誰にも内緒にしています。


  『あ、今日は、ドミノさんがピアノのお稽古に来てくれる日だ。ドミノさんって、すごい可愛い人なの。魔人族って言うんだけど、頭にお角が生えているの。真黒でつやつやしていてとっても綺麗。お城には魔人族の叔母さん達が大勢いらっしゃるけど、ドミノさんが一番きれいね。』


  ドミノさんが、グレーテル王都のゴロタ領事館からゲートを使って来てくれました。今日は、フェルマー王子様も一緒です。フェルマー王子様は、ドミノさんと同じ歳なのですが、ドミノさんより20センチ以上背が大きいのです。


  ドミノさんは、母親の血筋なのか、今、身長150センチちょいですが、もうこれ以上大きくならない可能性があるそうです。でも、父親が大きい人だったので、手の指が、身体に比べてとても長いのです。だから指を思いっきり開くと、ピアノの鍵盤のドから高音のドまで楽に届きます。


  フェルマー王子様は、いつ見てもイケメンです。物静かだし、優しいし。お城に来るときは、いつもあっちの国のケーキを買って来てくれます。レオナちゃんや、リトちゃん、シンシアちゃんにリサちゃんの分も買ってきています。


  最近、キティちゃんが、甘いものを食べなくなりました。すぐ太ってしまうからだそうです。でも、キティちゃん、スラっとして絶対に太ってなんかいないのに。


  ドミノさんは、ピアノの他に魔法も得意なんだけど、マリアちゃんには教えてくれません。マリアちゃんに魔法を教えるのはノエルさんだけです。ノエルさんは、変な機械をマリアちゃんの頭に乗せて、それで魔法を使わせています。


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  マリアちゃんは、ボロボロになったワンドを握って、魔法をイメージします。今日は、氷の魔法を使ってみます。頭の中で、真冬のバケツに張った氷を思い出します。


  あの氷がどんどん厚くなっていくイメージです。ワンドを持つ手が冷たくなったので、ハッと気が付いたら、ワンドが氷の柱の中に埋まって取れなくなっていました。うんうん、引っ張っていたら、ノエルさんが自分のワンドを振って溶かしてくれました。ノエルさんのワンドは、マリアちゃんのトネリコの木を削ったものではなく、不思議ないい匂いのする真黒な木を削って磨いたものです。


  マリアちゃんは、自分のワンドのあまりのボロさに、ものすごく悲しい思いがしました。もう我慢ができなくなってきて、涙がポロポロ零れてきました。ノエルさんが、困ってしまって、母様を呼びに行きました。


  シェル様がいけないんだ。マリアに良いワンドを買っちゃいけないなんて、意味が分かんない。


  ノエルさんと母様が来ました、母様が、マリアちゃんの両脇に腕を回して抱き上げてくれました。母様は、とても良い匂いがします。胸だって、一番大きいし、ポヨポヨして触ると気持ちがいいの。


  母様は、マリアちゃんの頭をよしよしします。涙は、とっくに止まっていたのですが、このチャンスにお願いをします。


  「母様、マリアね。新しいワンドが欲しいの。マリアさんが持っているようなちゃんとしたの。」


  ノエルさんが、優しく教えてくれました。


  「マリアちゃん、マリアちゃんはね、とても魔力が強いの。分かる?だから、弱い魔法しか使えないワンドでないと、お城がなくなってしまうの。そうなったら嫌でしょ。」


  マリアちゃんには、よく分かりませんでした。でも、お城がなくなったら嫌だったので、我慢することにしました。


  マリアちゃんは、自分のワンドをじっと見つめていました。先っちょが焦げて割れて、短くなっています。大きなひびが真ん中に走っています。


  本当は、思いっきり魔力を流し込んでみたいのだけれど、必ず途中で大きな音がして、ワンドが壊れてしまうの。


  壊れる前のワンドを思い出します。値段は分かりませんが、袋に無造作に入れられているので、高級品ではないようです。高級品って、もっと綺麗な箱に入っているはずなの。


  マリアちゃんは、自分に買って来てもらえるのは、いつも同じワンドで、真っ白な袋に無造作に入れられて、母様が『大事に使いなさい。』って無造作に渡されるの。


  マリアちゃんは、壊れたワンドをじっと見つめていると、手の平が熱くなってきました。その手のひらをそっとワンドに当ててみます。誰からも教えてもらっていないのに、そうすることが一番いい事だけは知っていました。


  手の平から何かが流れ出ていきます。魔法とは違う感覚でした。


  『あれ、治った?』


  手のひらをどかしてみると、買ってきて貰ったばかりの頃のワンドがそこにはありました。


  それを見ていたノエルさんが、何か一生懸命メモしたり、頭につけた機械を調べていました。


もうそろそろ、完結しようかと考えています。このままエピローグを描き続けると、きっと終わりが見えなくなります。皆さま、長い間、ご愛読ありがとうございます。


  これから、最初から読み直してみます。まず、第何話か分かるようにします。それと、誤字脱字、作品中の矛盾点、校正箇所が多すぎます。気長に直していきます。


  もしかすると、外伝や続編を書くかも知れません。皆様の評価次第です。ブックマーク件数も4けた欲しいです。


  これからは、少し、書き溜めてから掲載するようにします。それでは、新型コロナウイルスに負けずに、お元気で。


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