表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
439/753

第437話 タイタン市最後の聖夜

タイタン市とお別れの日が近づいてきました。もう、あの目くるめくような性夜、いえ聖夜はなくなるのでしょうか。

(12月24日です。)

  いつもの聖夜がやってきた。朝から、フェルマー王子は七面鳥狩で忙しい。シルフが一緒なので、狩った七面鳥を運ばなくても良い。


  ドミノちゃんも一緒だ。ドミノちゃんは、このような狩に適した魔法を持っていない。ただ、フェルマー王子に付いて来ているだけだ。


  フェルマー王子は、感覚を研ぎ澄ます。いた。あの木の上に、7羽の群れがいる。フェルマー王子は、『瞬動』で、木の下に移動すると同時に、思いっきり『威嚇』を放射する。バサバサと七面鳥が気を失って落ちてくる。フェルマー王子の『威嚇』の威力では、七面鳥は気を失うだけだ。


  シルフが開けた時空の狭間にどんどん入れていく。2時間程で、70羽程を捕獲する。フェルマー王子、もう息も絶え絶えだ。


  ゲートを使って、タイタン離宮に戻る。離宮では、執事さん達が、大きな鍋にお湯を沸かして待っている。七面鳥の血抜きと羽むしりだ。その後、メイドさん達が、大きな羽の芯をピンセットで抜いている。細く小さな根本は、そのままローストしてしまえば、なくなってしまう。


  午後、出来上がったローストターキーを配るのは、ゴロタとシルフの役目だった。もう今回で最後だ。来年は、事前に郵送するより仕方がないかもしれない。『翼改』をチャーターして配布してもらうのだ。


  来年、ゴロタはセント・ゴロタ市の帝城で国民に挨拶をしなければならない。1年間のお礼と感謝の言葉だ。この日と新年、それにゴロタの誕生日の3回、一般国民は、帝城の城郭内に入ることができる。いわゆる帝城参賀だ。


  そういえば、12月20日に帝城の足場が取れた。外壁等の工事が終了したのだ。これから照明や調度品それにカーテンなどの設置が始まる。工事は少し遅れ気味だが、来年3月の引き渡しには間に合うそうだ。現在、毎日300人の職人が働いている。


  最終引き渡しが3月31日となっており、遅れると契約高に対して年利18%の違約金が生じる。1日当たり、約30億ギルらしいが、計算が面倒なので詳しくは聞いていない。


  次の日、シェル達全員で、場内を見て回った。自分の部屋の壁紙とカーテンを決めて貰うのだ。朝10時にお城に行ったのだが、終わったのは午後8時だった。一旦決めても、他の部屋を見てもう一度検討し始めるのだ。決まる訳が無い。


  基本、カーテンはレースと絹の二重カーテンだが、人それぞれ、カーテン屋さんはクタクタになっていた。もっとかわいそうなのは、壁紙屋さんだ。せっかく決めても、カーテンが変わったから、壁紙をもう一度決めたいと我儘を言うのだ。一番酷いのがシェルで、エーデルも酷い。意外だったのはノエルだ。優柔不断、決められない女だった。


  その点、フミさんとミキさんは、業者さんが勧められるままに決めている。後で確認したら、一番高い製品だった。


  ゴロタと女性陣の居室は、全て4階だ。寝室とリビングそれとウオークインクロゼットの3室セットだ。勿論、バストイレ付きだ。 ゴロタの部屋は大きなリビングと応接室、事務室そして大きな寝室だ。隣のシェルの部屋とはドアで繋がっている。シェルの部屋にも、大きくは無いが事務室と応接室が付いている。


  4階は、屋上に上がるスペース以外、一般は立ち入り禁止だ。部屋の掃除は、掃除専用のアンドロイドがやるので、使用人が入る必要はない。


  食事は、基本的には3階の専用大食堂でとるが、朝食などは、4階のビュッフェで摂ることもできる。3階のバイキングルームの方が、品数も多いので、きっと皆も3階で食事になるだろう。


  宮殿は、間口200m、奥行300mもある広大な建物なので、女性陣の部屋も普通の家がすっぽり入るほど広い。ゴロタの部屋に至っては、こんなに広い部屋の必要が無いだろうと思うほど広いのだ。それでも奥には空き部屋が続いている。幅広い廊下には、真ん中に動く廊下がセットされている。


  最奥部はサンルームになっていて、デッキの庭園とつながっている。コマちゃんやトラちゃん、それに魔狼のリトは、きっとこのサンルームが居室になるだろう。観葉植物が鬱蒼と茂っていて、まるでジャングルだ。


  3階は、奥が皇帝の居住スペースで、手前は皇帝事務室だ。だが、各行政庁は別に庁舎を建てているので、皇帝事務室には、数十人の職員しかいない。


  2階は、謁見室、舞踏会用の大広間、晩餐会用の大食堂それに幾つあるか分からない貴賓室だ。しかし、別に迎賓館があるので、この貴賓室に泊まる賓客の予定はない。


  あ、ブラックさん達が泊まるかもしれない。まあ、部屋はいくらでもあるから良いが。


  帰り際にバンブーさんが会いたいと言ってきた。用件は、今回の建築資金のことだった。建物本体で2000億ギル、外周の城郭と、庭園、皇宮警察本部等で3000億ギルかかっているらしい。国債借入引当金で賄っているが、資金ショートしそうだと言ってきた。


  シルフに聞いたら、1000億ギルを直ぐ償還するそうだ。全額、償還できるほどの金備蓄があるが、金価格の暴落を防ぐため、年間最大1000億ギルの支払が限度らしい。


  バンブーさんは、ホッとしたような笑顔で帰っていった。さあ、いよいよゴロタ帝国の拠点が完成するのだ。


  しかし、まだまだ問題は山積している。


  地方自治制度の改革だ。一番小さな行政単位は、市町村で、首長は、特に問題がない限り、現行の市町村長が継続して任官する。任期は、今年の4月から4年だ。ここは、問題がなかった。市長の年収は、特別職地方公務員3級で1500万ギルだ。町長は、4級の1250万ギル、村長は6級の1000万ギルだ。


  問題は、これからだ。従前は、県知事がいて、市長経験者が県内の市長の互選で選任されていた。


  これからは、県知事以上の公務員は、認証官制度とする。認証官選考試験を受けて、等級を決め、上位の者から任官していくのだ。ヘンデル帝国の認証官制度とよく似ている。


  ただし、ヘンデル帝国と違うのは、受験の年齢制限がなく、公務員在歴経験が加点されるということだ。今回、7月に、全国一斉認証官試験を実施し、県知事89人を任官させた。給料は、特別職地方公務員2級で、年収2000万ギルだ。県知事も、任期途中で認定試験があり、合格すれば、最長12年、知事を務めることができる。


  6年目からは、特別職地方公務員1級になり、年収2500万ギルと、領地を持たない伯爵レベルの年収だ。


  州知事は、全部で21人任命している。西から、西タイタン州、東タイタン州、西カーマン州、中央カーマン州、東カーマン州、南カーマン州と、これで、西側の6州だ。そのうちの中央カーマン州知事は、フェルマー王子が、カーマン州連合太守と兼任している。


  帝国中央部分は、北のヘンデル帝国から割譲されたハルバラ州、それに南大陸の北東フェニック州、北西フェニック州、南西フェニック州、南東フェニック州、それに中央フェニック州にセバス州だ。中央フェニック州は、セディナ皇太子が、州知事とフェニック州連合太守を兼任している。


  他の州知事は、全て、旧帝国の上級貴族だが、領地を持たない者たちの中から選抜した。あ、セバス州だけは、執事長だったセバスさんだったので、今は伯爵に叙している。そのうち、侯爵まで叙爵してやる予定だ。


  最後は、旧ゴーダ―共和国だ。ここは、北ゴロタ州、北東ゴロタ州、東ロタ州、東南ゴロタ州。南ゴロタ州、南西ゴロタ州、西ゴロタ州、北西ゴロタ州という8つの辺境に接した州と中央ゴロタ州がある。最も広いのが中央ゴロjタ州で、宰相のカノッサダレスさんが州知事を兼任している。ゴロタ帝国本国、つまり旧ゴーダ―共和国の州知事だけは、全部で20人近くいた元州知事の内から、3人を選抜し、残りの5人は、ヘンデル帝国とグレーテル帝国の優秀な人材を抜擢した。


  州知事の年収は、毎年の州の歳入で決めることになっているが、最低保証が年4000万ギルだ。最高報酬は、年1億8000万ギルを与える予定だ。


  その給与条件を言ったら、グレーテル王国の宰相であるジェンキンさんが、グレーテル王国を辞めて再就職したいと冗談を言っていたが、目が笑っていなかった。


  州知事室には、大きな送受信機が置かれている。水晶板に画像が移るようになっているが、これは水晶に似ているが、液晶だとシルフが教えてくれた。はるか上空に静止している『アン』と『ドゥー』が乗っている宇宙船と、シルフが別に飛ばしたというか、『空間転移』した通信衛星を駆使して、大陸間の通信を可能にしている。


  毎月、WEBで州知事会議を開催し、年に1度、セント・ゴロタ市の帝城で集合会議を開催する。その際は、貴族への叙爵と年収の示達がある。州知事は、全員、配偶者を同伴して、晩餐会と舞踏会に参加することになっている。


  会議で、ゴロタが発言することはない。最初に、挨拶だけをして、退席するだけだ。


  内閣と国防軍それに司法制度も充実してきた。特に、国防軍は、近代的兵器を装備しているが、侵略ではなく防衛に特化しているので、索敵をメインの部隊は、最前線で活躍して貰っている。


  今の、南北大陸で、ゴロタ帝国へ侵略してくる国は皆無だが、魔物の大量発生、つまりスタンピードに対する備えだけは怠らないようにしている、


  この前、ゴロタ帝国本国の南ゴロタ州と南西ゴロタ州の州境で、ミニスタンピードが発生した。近隣に集落はなかったので、大事には至らなかったが、衛星画像から、敵の位置を特定し、誘導弾5発を撃ち込んで、敵を殲滅した。


  検証部隊が現地に行ったところ、魔物は400匹くらいだったろうが、肉片と骨片のみしか残っておらず、正確な数は分からなかったそうだ。


  セント・ゴロタ市郊外の発射基地から、距離にして1800キロ程度だったが、命中精度はかなりのものだ。シルフが、GPSがどうとか、誘導システムがどうとか言っていたが、無視することにした。シルフに、最大射程距離はどれくらいかと聞いたら、ロケットブースターを増設すれば、15000キロ、この星の裏側まで到達するそうだ。


  ああ、この科学チートめ。

もう、ほとんど世界を征服したようなものです。全てを統べる者、本当に災厄の神達まで統べています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ