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第432話 セント・ゴロタ城を建築中です。

ゴロタは、24歳の誕生日を迎えます。ハッシュ村を出てから、もう9年も経ってしまいました。

(9月3日です。)

  今日は、ゴロタの誕生日だ。この日は、『皇帝誕生日』として、国民の祝日に指定されている。帝国内の小中学校と高校、大学それに公務所と一般企業は休日だ。今日、働いているのは飲食店や洋服販売店それに劇場等、休日に売り上げを伸ばそうとしているところばかりだった。


  まだ、セント・ゴロタ市に建設中の帝城が完成していないので、帝城参賀などはないが、ラジオの全国放送で、全国民にゴロタの声が届けられた。


  「国民の皆さん、今年も僕の誕生日を祝ってくれてありがとうございます。これからも、この帝国が皆さんにとって住みよい国でありますようにお祈りしています。」


  短い、こんな短くてよいかとおもわれるほどだが、この玉音放送の前には、ドミノちゃんのピアノソロ、TIT48のヒットナンバー、フェル&ドミノのデュエット、最後にミキさんの独唱と、平素聞いたこともない特別番組を流していたので、ほとんどの国民が、ラジオの前に釘付けになっていた。


  今日は、シェルとシルフを連れて、新帝城の建設進捗状況の視察だ。外堀、城門、城壁それに宮殿は完成している。今は、内装の細かな作業をしているらしい。10月末には、本体工事はすべて終了し、あとは家具、調度品等の搬入・設置で完成引き渡しが、来年2月15日、入居が3月1日の予定だ。


  すでに、城門には、皇宮警察の衛士が警戒をしていた。シルフの指示で、真黒な毛の生えた大きな帽子を被り、真っ赤なジャケットに黒い負革付きの帯革、真っ白なズボンには真っ赤なラインが入り、ひざ下まである黒のブーツだ。手には、皇宮警察衛士専用の銃身の長いカービン銃を抱えている。重心の先には、ミスリル製の銃剣が装着されている。遠くから見ていると、まるで玩具の兵隊のようだ。シルフの指示で、立番中は絶対に笑ってはいけないそうだ。


  城門の前には幅広い濠が広がっている。通常は、50m幅なのだが、城門から半径100mの広さで、濠が広げられているので、城門前にかけられている橋は、長さが100m以上もある。市街地とは市との境には、やはり、警戒の交番が立てられているが、ここは市警察本部から派遣されている派出交番だ。橋の入口の中央部分には、馬車止めが設けられており、馬車が突入できないようにしている。


  城門から中に入ると、帝城に至る参道左右にロケット推進式誘導弾が16基設置されている。射程距離は2000キロ。西以外は、国境線を超えて飛翔する。


  その奥には短距離滑走路と駐機場がある。帝室専用の特別機『タイタニック号』と、『2座戦闘機『ファルコン・ゼロ』が駐機する予定だ。その他、国賓用に『翼改』型旅客機が3機同時に駐機できる広さのスペースがある。


  参道を挟んで反対側は、皇宮警察本部と近衛師団の隊本部だ。近衛連隊は、儀仗隊と音楽隊、それと飛翔弾射撃部隊だけだ。白兵戦用の部隊は、当面、必要がない。その分、郊外の中央方面軍の正規部隊に2個大隊増員している。


  その奥は、狼達や、コマちゃん、トラちゃんのために森になっている。手入れもしない雑木林だ。幅12mの参道の両脇に、樹々の梢枝が迫っており、昼なお薄暗い。しかし、照明が完備されているので、夜間、真っ暗になる事はない。


  森は、それほど深くはないが、その奥にある帝城の全容が見えないようになっている。


  帝城は、鉄骨で組まれた構造材を、自然石で囲んでおり、シルフの計算では、鉄骨の腐食防止材の耐用年数以内は、メンテナンスは要らないそうだ。腐食防止材の耐用年数は、約1000年だそうだ。うん、完全にチートだ。


  バンブーさんが、この腐食防止材を譲ってくれないかと言ってきたが、1度建てた建物の補修工事の注文が無くなると教えてあげると、絶対に市販しないでくれと頼んできた。


  帝城の入り口は2階にある。地上からは幅30mの大理石の階段で、入り口まで上がっていく。正面入り口の上は全てベランダになっており、太さ1m以上もある石柱6本で支えられている。


  玄関を入ると広い玄関ホールになっており、すでにブロンズ像や絵画が飾られている。シェルの好みで、金は一切使っていない。


  ただ、至る所に和の国から購入したい高級な黒檀材を使っており、荘厳な中にも贅を凝らしている。床は、大理石がモザイク模様に貼られ、中央にはタイタン家の紋章、龍と剣が、盾の中に描かれているクレストが、貼り付けられている。正面は、そのまま大広間兼謁見の間になっている。謁見式等の場合には、玉座が競り上がり、舞踏会や晩餐会の時は、フラットになるようになっている。全て、油圧式で作動するのだ。


  天井は、3階、正確には4階までの吹き抜けになっており、天井は、複雑な鉄骨構造になっているが、その構造材が見えないように、樹脂製のステンドグラスになっていて、照明で明るくなっている。樹脂製にしたのは、もちろん軽量化と、落下した場合の被害防止のためだ。


  作業員の皆は、足場を組んで、高所での細かい作業をしている。皆、設計図と見比べながら、部材を張り込んでいる。パーツパーツの装飾なので、全体は、足場を外さないとわからないのだ。


  玄関ホール右側に設置されているエレベーターに乗ってみる。今日のために、非常電源を起動している。この城の照明や冷暖房そして動力源は、郊外の火力発電所から、専用線を引いているが、非常電源として、ミニ発電所が敷地内に建設されている。通常燃料は重油だが、ゴロタのミニ太陽又はイフちゃんの煉獄の炎でも発電できるようにしている。今は、ゴロタのミニ太陽でボイラーを沸かしている。


  真っ直ぐ4階まで行ってみる。4階の部屋の窓からは、セント・ゴロタ市が一望できる。セント・ゴロタ市内の建物は高くても3階建てまでだし、城を囲んでいる樹木も、せいぜい20m位の高さしかないので、4階からは、森の木越しに、建物の屋根が見えるのだ。


  この4階が、実質的にゴロタ達の住まいになる。部屋数は、大小取り混ぜて30室。全室、バス、トイレ付きだ。大浴場もある。食堂とリビングは、3階だ。大食堂が2つと、喫茶室兼軽食を取れる部屋が3つだ。後、図書室や音楽ホール、研究室などがある。


  2階は、先ほどの大広間の他に、皇帝の執務室や、会議室そして道場となっている。道場は、体術のみならず、魔法の練習場にもなっているので、完全シールドが貼られている。一番奥は、聖堂になっており、聖霊ゼロス様像が祀られている。この聖堂の絵画類だけで、普通の城が建つと噂されていた。


  1階は、補給、兵站そして警備のためのスペースだ。全ての出入り口、窓にはセンサーが設置されて、不審者侵入の場合には、自動で分厚い扉が降りてきて、エリアごとに分離される。その中央制御室だ。


  しかし、シルフのコマンドが最優先されるので、この中央制御室を占拠されても、全く影響はない。この中央制御室には、万一のためにシアンガス充満装置が設置されているが、それはシルフとゴロタ、シェルの3人しか知らない。


  この城の使用人は、200名を超えるそうだ。帝城の裏に、使用人専用の宿舎があり、その宿舎用に掃除、洗濯それに食事の準備をする使用人がいる。


  使用人のトップは、侍従長という職名で、タイタン離宮の執事長のセビリアさんにお願いした。タイタン離宮の執事長は、執事次長のイソップさんが執事長に昇格だ。最初、グレーテル王国の執事長兼領事をしているレブロンさんにお願いしようと思ったが、本人が、まだ屋敷には幼いお子様もおりますのでと、丁重に断られてしまった。本当は、グレーテル市内に持ち家があり、休みの時に、そこに帰ってお孫さんと遊ぶのが唯一の楽しみらしいのだ。


  セビリアさんも、年齢こそ60近いが、まだまだ健康で、200人の執事、メイドそれに厩務員やシェフを指揮・指導するのにいささかも不安が無い。セビリアさんは、セント・ゴロタ市に来る際、腹心として同じタイタン離宮のナンバー3のグリムさんを連れて来ていた。このグリムさんも、大学を卒業したが、貴族の6男だと言う事で、就職先を探していて、当時、破格の給料だったタイタン公爵邸に就職したのだった。今度は、副侍従長と言う事で、将来は貴族に叙爵されるはずだ。あ、セビリアさんは、今回、男爵に叙爵している。


  メイド長は、嫌がるのを説得してダルビさんにお願いした。ダルビさんは、魔人族だが、角もそれほど大きくなく、メイド帽を付けると全く分からない。それに、婚約者になるかも知れない魔人族の少女が3人とドミノちゃんがいるので、絶対来てもらわなくては困ると説得した。


  セビリアさんとダルビさんは、3階の執務フロアの一角に個室を与えて、そこで暮らしてもらう。執事及びメイドは、交代制で毎日20人が夜勤をすることになっている。ゴロタは、最初、夜勤は必要ないといったが、セビリアさんとダルビさんの強い反対で、認めることになった。


  4階から、屋上に上がる階段があった。屋上は、かなり広大な平面で、10mおき位に、変なものが設置されている。樹脂製のカバーに隠されているが、長い銃身が飛び出ているので、武器であることが分かる。シルフによると、20ミリ機関砲らしい。たしか、それって『ファルコン・ゼロ』に搭載されている武器だと思ったが、それを地上戦用に改良したものらしい。30mの高さから狙い撃ちされたら、どんな軍勢だって太刀打ちできないだろう。、


  最後に、城の四隅に設置されている尖塔に上ってみる。高さは、50m以上ある。最初は、30m位の予定だったが、本館の屋上がそれくらいの高さになってしまったので、塔の頂上はかなり高いものになってしまった。シルフは、屋根の先端に避雷針とアンテナを立てているが、お皿のようなものが南を向いているアンテナと、グルグル回っているアンテナを覆う丸いドーム状のものまで設置されている。勿論、設置した職人達は何に使うのか皆目見当も使いないようだ。


  最近、シルフは面白いものを開発した。形は、大型の鷹だが、小さなプロペラが2つ、左右の翼に付いている。飛び上がるのは、飛行石の力だが、前に進む力は、プロベラが受け持っている。胸には、小さなレンズがついており、そのレンズをとおして、体内の小さな部品に外の風景が映し出される。その画像が、そのまま、大きな機械の画面に映し出されるのだ。仕組みは、シルフにしか分からないが、同じ仕組みのものを異世界で見てきたゴロタは、ああ、ついにこれまで作ってしまったのかと思った。この偵察鳥の名前は、『ホーク・アイ』と言うらしい。それって、どこかの国の早期警戒機の名前だったような気がしたが、黙っていることにしよう。


  この調子では、まもなくテレビジョン放送が始まるだろう。いや、その前に劇場での映画上映が先かもしれない。シルフは、すべて、段階を追って新技術をリリースしている。その方が、確実に利益が出せるそうだ。未だに自動車を一般化しないのは、鉄道事業が未だ開発途上だからだ。まあ、あの世界で200年位かけて発展していった技術を、10年程度に短縮しているのだから、それでも急激なのではあるが。

ゴロタと同じ24歳の妻は、シェル、エーデル、ビラです。でも、エーデルは、間もなく25歳になります。

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