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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第40章 それぞれの道が見えてきます
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第420話 ゴロタ帝国は、とても豊かな国になりました

ゴロタ帝国は、豊かな資源と優秀な人材によりどんどん発展していきます。一番優秀なのは、シルフです。

(4月15日です。)

  今日は、新生ゴロタ帝国の2回目の閣議だった。コリンダーツ行政副長官兼タイタン州連合統括責任者から2028年度の財政状況について報告があった。ゴロタには、内容がよく分からなかったが、とても良い状態だそうだ。


  国の収入の基本となる農業・畜産業及び水産業の収入は、近年にないほどの指数を占めている農産物の作付指数は148、平年よりも48%も良いらしい。水産資源も沿岸並びに沖合ともに豊漁が続き、グレーテル王国はじめ、各国へ輸出をしている。さらに畜産業も、乳製品生産高及び畜肉生産量は、一昨年の倍以上となっている。これは、周辺の魔物を殲滅したおかげで損耗が極端に減ったためだ。


  あと、工業製品および海運・鉄道などのサービス産業の税収だが、これも順調に伸びている。鉄道については、低利の建設国債を発行したおかげで、毎年の返済を上回る運賃収入があり、そのほか、駅におけるショッピングアーケードやイベント会場それに車内販売も好調だ。


  それに鉄道、船舶とホテルがタイアップした旅行計画には、国民のみならず他国からも引き合いがあり、旅行公社は超優良企業となっている。公社といっても、運営主体はあくまで民間で、公社からの上納金で、鉄道運行の利便を図ってやるなど双方ともに損のない商売をしている。


  今年度の国家予算は、23兆8000億ギルで、昨年度歳入が28兆3000億ギルだったそうだ。これに建設国債の償却分を引いても、国庫には3兆ギルほど残るそうだ。これで、来年から今年度、租税免除になる旧中央フェニック帝国及びカーマン王国の収入が入ってくるのでは、いったい幾ら歳入超過になるか分からないそうだ。もう、タイタン州の娼館経営などやめてしまおうと思ったら、それはゴロタ皇帝個人の収入なので、やめる必要はない。ただし、皇帝陛下が直接経営していると思われてもいけないので、一旦、娼館名義をドエス商会に移すことにした。会社は、譲渡金を社債発行で賄い、その社債をゴロタが持っていると、経営とは切り離して、あくまでも投資物件として扱えるそうだ。


  あと、TIT48とイブニング娘についてだが、活動に伴う収益は微々たるものだが、爆発的に売れているラジオとレコードプレーヤーそれにレコードの売り上げが馬鹿にできないそうだ。その収入のすべてがゴロタ個人の収入となっているが、すべてシェルが管理しているので、詳しいことは分からなかった。


  カノッサダレス宰相が、南大陸で間もなく始まる感謝祭において皇帝陛下からのお下賜品として、全戸にラジオ受信機を配布したらどうかと言ってきた。1世帯に1台となると、最低でも5000万台は必要だ。現在、ラジオの量産品は、1台1500ギルするので、総額750億ギルのプレゼントとなる訳だ。金額は大したことはないが、生産力が間に合わないと思うというと、とりあえず引換券を渡し、申し込み順で受け取れるようにすればよいと言われた。全国民に行き渡るのは、来年までかかっても、皇帝陛下からのプレゼントとなれば、ありがたく頂くはずだ。


  これは、シルフからの提案だったが、セント・ゴロタ市に電波塔を建て、全国津々浦々まで、放送が受信できるようにする必要があるそうだ。しかし、いくら高い電波塔でも、セント・ゴロタ市からタイタン市までは、放送が届かないだろうというと、それは衛星を使って、リアルタイムで放送が可能なので、電波塔建設をぜひ進めてもらいたい。この費用は、最終的に放送局開設を申請している者に負担させれば、国の財政は痛まない算段だ。


  うん、それはいい考えだ。ゴロタは、難しいことは分からないが、お金がかからないと言う事は、何となく良いことのように思えるのだ。


  ゴロタ帝国は、現在、鉄道網が急速に広がっている。以前は、タイタン市からエクレア市まで鉄道を引くのに、1年以上掛かっていたが、今は、各市から東西南北に伸びて行くのだ。


  土魔道士が引っ張りだこだ。土魔道士の年収が2000万ギルを超えたと言う噂も聞いている。しかし、すぐに魔力切れを起こしてしまうので、ゴロタ特製の魔力石が爆売れしている。ゴブリンなどから採取したクズ魔石を錬成して作るのだ。これはシェルの発案だ。ゴロタが夜、寝る前に、100個程作るのが日課だ。一編に10個ずつ作るので、1時間位でできてしまう。これで200万ギルにもなるのだ。辞められない。しかし、自宅で内職をしている皇帝など聞いたこともない。


  ゴロタ帝国南部の鉱山都市では、溶鉱炉もフル操業である。帝都まで鋼材を運ぶ簡易鉄道も、しっかり利益を出している。


  シェルは、この区間のフル規格電化を予定しているようだ。これまでは、ヘンデル帝国への鉱石輸出が主な取引だったので、利益も薄かったが、鋼材や鉄道の線路を大量生産するようになると、SLでは経費がかかりすぎるようだ。当然、民間出資を頼んでいる。


  各エリアの商人や貴族は、鉄道経営が莫大な利益を生み出すことに気がついて、我先に出資しようとしている。シルフが、自動車を製作しない理由がよく分かった。


  自動車は、タイタン屋敷内のみ限定走行で、既に完成していた。エルフ公国の南部で生産される生ゴムを使ってのタイヤやチューブの作成に手間がかかったが、既に生産機械は出来ていた。


  後は、アルミ合金鋳物の精度を上げて行くのと電装品の細かなパーツを大量生産できるかどうかだが、今後10年間はリリースしない予定だ。


  近距離コミューターとしての電気自動車が早いかもしれない。その前に自転車を生産する。ゴムタイヤの生産に目処がついたので、今、新型自転車を試作中だ。


  試作品の名前は『銀輪1号』だ。外装1 2段変速機付きだ。フレームは、アルミ合金製で、細かなパーツはスチール製だ。1台36000ギルで販売予定だ。


  ゴロタは、シンシアちゃんとリサちゃんのために子供用三輪車を作ってあげた。あ、王都のレオナちゃんにも忘れてはならない。


  レオナちゃんには、真っ赤な三輪車にした。暫くしてミキさんから、後、3台、何とかならないかとの依頼がきた。聞けば、お屋敷の外の公園で遊んだらしい。それを見ていた他の子が欲しがり、大銀貨1枚で譲ってくれないかと言われたそうだ。


  こんなものでも商売になるのならと、設計図を書いて、王都の馬車職人に作らせることにした。座面が馬革の贅を尽くした作りで、馬車職人は、鉄板をたたいて、パイプ状にして、熱で曲げながら設計図通りに作成した。ただ、タイヤ部分だけは、マネができないので、シルフの指定タイヤ工場で作成させている。タイヤ工場は、タイタン市の郊外に造成した工業団地の一角にあり、馬車、飛行機、自転車、三輪車とありとあらゆるタイヤを生産する。


  飛行機用と馬車用のタイヤは、ゴムの中にスチールワイヤを入れた、いわゆるスチールラジアルタイヤである。スチールを何層入れているかによって、タイヤの耐荷重が決まるので、重すぎないようにかつ必要十分な強度を持つように綿密な計算で設計されている。


  まあ、異世界のスーパーコンピューターに保存されている設計データを手直ししているだけなのだが。それはシルフだけが知っていることだった。


  最近、シルフは、シリコン樹脂で怪しげなものを作っている。人工口腔と女性の股間にある大切な部分だ。単に穴をあけるだけでなく、内容物から分泌物まで全く同じものを再現しようとしている。


  しかし、シェルのデータが不足しているので、どうしても再現できないそうだ。当然、再現する必要などないので、要求は無視することにしている。


  タイタン市では、各商店及び個人宅に電話が普及してきた。まだ、かなり高価なので、一気に普及というわけにはいかないが、すでに電話番号は、6桁になっている。局番2桁の末尾番号4桁で、現在は、21局の●●●●となっているので、11万回線位契約している。そのうち商店や官公庁等の法人契約が7割以上なので、個人で契約しているのは、3万世帯位かも知れない。


  最も最新のデータでは、タイタン市は、人口が20万人を超え、商店や工場など法人が2万社程だそうだ。もうすぐ、隣のグレーテル王国の王都を抜くかも知れない。


  現在、技術の発信基地がタイタン市になっているので、当然かも知れないが、今後、セント・ゴロタ市に建設中の宮殿が完成すれば、当然、ゴロタ達はセント・ゴロタ市に転居することになる。そうなると、タイタン市は、一地方都市になるのだろうが、ここまで技術革新が進んだ街だ。もう後戻りはできないし、技術開発の中心的役割はずっと続くだろう。


  そのために、タイタン学院に理工学部を作ったし、工業団地もつくったのだから。そういえば、工業団地の名前だが、シルフは『シリコン・バレー』と名付けたかったらしいが、ゴロタが、タイタンの名前を付けたいといったので、『タイタン・インダストリー・バレー』、略してTIVとなった。


  現在の工業団地では、電気製品と、ゴム製品や樹脂製品の製造が中心だが、自動織機や航空機製造、鉄道製作などもこれから本格化する予定なので、世界の工場と言われるようになるだろう。


  そういえば、モンド王国との連絡トンネルも順調に工事が進んでいる。総延長300キロのトンネルが間もなく開通するとのことだ。


  当初、トンネルの中に3カ所は宿場町を作る予定だったが、必要なさそうだった。トンネルの中に、単線の鉄道を敷設する計画があるからだ。当然、電化をしなければならない。蒸気機関車では煙たくてたまらない。


  そのためには、高出力の発電所が必要であり、石油は、フェニック州連合のセバス州で算出されるが、発電プラントの建設には、2年近くかかるので、トンネル内に鉄道が走るのは、おおむね3年後位かも知れない。


  まあ、その間は馬車で頑張ってもらおう。一応、8頭立ての馬車2台がすれ違うほどの道路があり、両脇には歩行者用の歩道が設けられている。


  トンネル内照明は、電化されるまで魔光石に頼らざるを得ないが、それでも直線で300キロほどのトンネルだ。すべてを明るく照らすことは、現在のところ、無理と言わざるを得ない。まあ、モンド王国としては、念願の北へのトンネルができ、これから本格的に交易が始まるので、国王陛下以下、国を挙げてのお祭り騒ぎだったらしい。

最近、シュタイン博士の顔が見えません。今は、次から次へと新技術が開発されていくので、ついていくのが難しくなってきたそうです。まあ、二度と本篇に出てくることがないかも知れません。

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