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第40話 シェルさん 16歳の誕生日

キャッシュ市に着きました。グレーテル王国の伯爵領です。領土を持てるのは、伯爵からのようです。

(4月13日です。)

  僕達の出発の日が決まった。明後日、4月15日だ。


  王都から、駅馬車で東に向かう事にした。馬車を買うことも考えたが、自分達で馬車を維持するのは大変なので諦めた。


  出発前に、国王陛下に挨拶をしに行ったら、王立魔法学院の騒動を処理したことを感謝され、褒賞として大金貨1枚を授けられた。当然、エルフ王国への旅費に当てることとした。ただし、大金貨では使いにくいので、金貨と大銀貨に両替して貰った。


  イフちゃんの『空間転移魔法』を使うことも考えたが、あれは、どんなところからでも、『ベルの剣』のある所へ帰って来る魔法で、どこかに行くという事はできないそうだ。まあ、そうだろうと思っていたから、そう残念でもない。


  注文していた僕の防具も出来上がってきた。生まれて初めて装備する防具は、軽く、装着している感じが全くない。僕の身体能力が半端ないのも原因だが、ミスリル鋼の本来の軽さが生かされているのだ。


  僕が成長して小さくなったら、サイズの合った物と安く交換してくれることになっている。ダッシュさんとシズさんには、本当に世話になった。借りている二階はそのまま借り続けることにして、1年分の家賃を前払いした。


  出発前夜、ささやかな送別会を行った。ダッシュさんとシズさん、そしてマーリン校長先生やエーデル姫の専属メイドだったジェーンさんを招待した。


  今日の料理は、皆で食べられるカニ鍋にした。ブイヤベースで野菜を煮込み、そこにぶつ切のカニをぶち込むだけの簡単料理だが、抜群にうまい。大好評だった。いつものように、シェルさんが飲み過ぎて服を脱ごうとし始めたのを皆で抑えたのも、いい思い出になるだろう。


  シズさん、今日は、泣く日ではないですよ。


  突然、シズさんが立ち上がって、僕の傍に来て、僕の顔を抑えてキスをしてきた。一瞬のことだったので、誰も止められなかった。泣きながら舌を入れてきたが、僕はなされるままにしていた。


  その後、ダッシュさんが、怒り狂い、『責任を取れ。』だの、『一緒に連れて行け。』だのと大騒ぎしたが、シクシク泣いているシズさんを見て、黙って帰っていった。


  送別会は、お開きになった。


  後片付けをして、お風呂に入っていると、エーデル姫とノエルが乱入してきた。つい、ノエルを見てしまったら、シェルさんと違って、やや大人だった。すぐに目を閉じて、背中や胸を洗って貰った。途中、無理やりキスをしてきた子がいたが、雰囲気からノエルだと思った。でも、いつも通り、下半身を手で隠し続けるのに必死だったので、よく分からなかった。


  今日は、バスタオルを巻いただけの、ほぼ全裸のシェルさんを簡易ベッドに寝かせ、エーデル姫とノエルの二人と一緒に寝た。二人の胸の攻撃はすさまじかったが、約束だけはきちんと守っていてくれた。


  前日までに、荷造りは終えていた。今度は、荷物の中身を厳選したので、いらないドレスとか、着ない下着等は全て置いていくことにして、その代わりテント、寝袋、鍋、フライパン等の生活必需品と食料品や調味料をたっぷり準備した。それでも、シェルさんが持っていた大型ザックは、パンパンになってしまった。





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(4月15日です。)

  出発は、日の出直後であった。僕達は、駅馬車の停留所ががある王都東門まで暗い中、歩いて行った。


  ノエルが、途中で疲れ切ってしまい、このままでは出発に間に合わなくなる恐れがあったので、僕がお姫様抱っこで、急ぐことにした。


  停留所に着くと、他の旅行客や警護の人達が集まっていた。駅馬車の警護は、騎士団か冒険者チームが当たることになっているが、今回は、Cランクのチームが当たる事になっていた。王都から隣の伯爵領までは道も整備され、盗賊や魔物もそんなに出ないので、そのランクでも大丈夫と判断されたのだ。冒険者チームを見て、驚いた。キキちゃんのお兄ちゃんが入っているパーティーだった。お兄ちゃんは、シェルさんに気が付いて、ペコリと会釈をした。


  駅馬車で、隣村まで、2日の行程だ。途中、野営をしなければならない。野営場所に着いたら、直ぐにテントを張った。4人一緒に寝れる大きめのテントだ。それから、簡易竈門を作った。鉄の角材を組み立てて作るもので、周りを、その辺に転がっている石で囲めば出来上がりだ。


  水を入れた鍋を竈門に掛け、その辺の枯れ木をセットする。もし、枯れ木が無くても、魔法石を置いて火の魔力を流せば、普通にお湯が沸く。今日の食事は、卵とハムの炒めたものに、あらかじめ僕が作っておいた簡単スープの基にお湯を入れ、固くなったパンを戻したものにした。


  見張りは置かない。イフちゃんが、『ベルの剣』から思念体だけを飛ばし、周囲300m位を一晩中警戒してくれるからだ。


  寝る場所が問題になった。普通に考えれば、それぞれが寝袋に入って寝れば、どこに寝ようと関係無いはずだが、3人のうち1人が、僕の寝袋に入ると言うことになって、誰が入るかが問題になったわけだ。冒険者組合で買った僕の寝袋だけ、いやに大きかったのはそういう理由か。


  僕としては、一番小さいノエルと一緒に寝るのが良いのだが、そう、うまくは行かない。しかし、初日と言うことでノエルが最初になった。


  お休みのキスは、シェルさん、エーデル姫、ノエルの番だったが、ノエルもしっかり身体を密着しての唇を合わせて来た。


  ノエルとは確か、頬にチュッの筈だったのに、皆さん、これでいいのですか。シェルさんとエーデル姫は見て見ぬ振りをしていた。ノエルの就寝スタイルは、パンツと下着のシャツだけである。野営でパジャマなどの寝間着を着る訳にもいかないだろうが、かなりきわどい格好だ。特にパンツが、極端に小さいのだ。ノエルさん、今日何をするつもりですか?


  顔を赤くしながら寝袋に入ってきたノエルは、僕の首筋に手を回し、自分の足の間を僕に押し付けながら寝ようとしたので、じっと数を数えながら寝た僕だった。こんな夜が続いたら、寝不足になってしまう。


  夜、イフちゃんが時々いなくなっていた。それに気が付いた僕は、周辺に探知を飛ばしたが、野犬か狼の群れが近づいてきて、イフちゃんに焼かれているのが分かったので、すぐにまた寝ることにした。




(4月16日です。)

  翌日の夜は、エフ村に宿泊となった。村には、宿が3つあったが、一番良い宿をとった。部屋は、ツインを一つ取り、追加の簡易ベッドを置いて貰った。宿代が、朝夕4人分付きで銀貨3枚、追加ベッドが大銅貨4枚だった。


  部屋にはシャワーしかなく、お湯が出なかったので、4人分のお湯を貰うことにした。さすがに4月では、水はまだ冷たい。宿の食事は、まあまあだった。シェルさんが、ワインを飲み始めたが、今日、僕と寝るのはシェルさんだったので、あまり飲まないように注意した。


  部屋では、僕とシェルさんが一緒に寝て、エーデル姫はもう一つのベッドに独りで、ノエルは簡易ベッドで一人で寝ることになった。


  エーデル姫は、いつもの目のやり場に困る姿だったが、ノエルはしっかりバジャマだった。昨日の姿は、特別だったらしい。


  寝るときのキスは、ノエル、エーデル姫、シェルさんだった。今日のシェルさんは、下半身を押し付けてきながらディープなキスをしていたので、このままでは、眠れなくなると思い、僕の方から身体を引き離した。


  ベッドの中でも、予想通り、体の一部まあ股間だが、を押し付けてきている。最初は知らんぷりをしていたが、そのうちパンツを脱ごうとしたので、手を抑えつけたまま眠ることにした。シェルさん、あなた、本当に何をしたいのですか?


  このようにして、野営の時は、寝袋の中で迫られ、宿では、ベッドの中で迫られ、いつも危険であると分かったのだった。





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(4月23日です。)

  出発してから1週間、キャッシュ伯爵領のキャッシュ市に到着した。ノエルの実家は、キャッシュ伯爵領の東側にあるとの事だったが、今夜はキャッシュ市に宿泊することにした。


  キャッシュ市に入る時には身分確認をすることになっているが、僕達は冒険者カードがあるので問題ない。ノエルは、グレーテル市長が発行した旅行者証を持っているので、こちらも問題なかった。


  今日は4月23日、シェルさんの16歳の誕生日だ。普通、16歳と言うと、胸も大人のサイズになっているのだが、シェルさんの場合は、ほとんど無かった。しかし、初めて会ったときには、幼女のような胸だったのが、ああ、女の子だなと分かる程度には膨らんできている気がする。本当に気持ち程度。気のせいかも知れない。


  そんなことはどうでも良い。今日、『誕生祝』をすることになった。ホテルのレストランを予約してフルコースディナーを4人分頼んだ。それと、スパークリングワインを1本、キンキンに冷やして持って来てもらう。


  食事の前、かなり前から準備していた誕生日プレゼントを、シェルさんに渡す。プラチナのネックレスだ。凄く喜んでくれたシェルさんが、僕にお礼のキスをしてくれたが、どうもお礼のキスにしては深すぎるようで、周りのお客さん達がドン引きしていた。しかし、そんなことは全く気にしていない、相変わらずのシェルさんだった。


  ホテルの部屋は、ダブルベッドの部屋が一つとツインの部屋を一つとっていた。今日は、誕生日だったので、シェルさんと僕の二人でダブルベッドの部屋に寝ることになった。皆さん、今日、僕がどうなっても良いのですか?


  シェルさんと二人でお風呂に入る。しっかりと大事なところを隠しながら、お互いの背中を流した。


  お風呂から上がったら、スッポンポンのシェルさんが、バスタオルを胸に巻いて、ベッドに腰かけていた。僕が、眠ろうとベッドに近づくと


  「優しくしてね。」


  いえ、何もしませんから。何もできませんから。


  ベッドの中で、何十回もお休みのキスをさせられ、パンツを履いていない足を、僕の足に絡ませて眠るシェルさんでした。決して、僕はヘタレではなく、本当に何もできないので誤解しないでください。


  翌日は、1日、休養日だった。駅馬車の人達も、疲れてしまうので、休養が必要だそうだ。僕達は、屋台を食べ歩いたり、見世物小屋を覗いたりと1日遊んでいた。


  そのうち、ちょっとだけ、ギルドを覗こうということになり、市内のほぼ真ん中にあるギルドに行ってみた。ギルドの中は、まあ、普通というかどこにでもあるギルドのようだったのだが、僕達を女、子供だけのパーティと思ったバカ冒険者が、近づいてきた。


  年齢30歳位の髭がムサイ男と、もう少し若いが、おでこが広く、将来必ずもっと広くなるだろうと思われる細っこい男の二人組だった。


  「お嬢ちゃん達、ここに何をしに来たのかな。お兄さんが相談に乗ってやるよ。」


  もう、このパターン、飽きました。僕とノエルは、小さな子供として扱われているので、後ろに下がります。シェルさんはアーチャーなので、近接戦は一応不得意なことになってます。


  エーデル姫が、相手をする。ひどいジト目で、


  「あなた達みたいに、弱い冒険者に相談することなど無いのです、」


  と言って、完全スルーをしようとした。


  「あんた達に無くても、俺たちにはあるんだよ。」


  と、エーデル姫の腕を掴もうとした瞬間、男たちは二人とも宙を舞った。そして、エーデル姫の抜いたレイピアに一人はのどを狙われ、もう一人はエーデル姫に、片足で押さえつけられていた。あの、エーデル姫、ミニスカートでその恰好はやめましょうね。恥ずかしいから。


  皆に笑われながら、ギルドから走り去る二人の男であった。

シェルさん、16歳の誕生日おめでとう。胸は大きくなりましたか?でも、ハイ・エルフの成人は30歳らしいので、15歳で成人する人間と比較すると、8歳程度ですか。まあ、そんなもんかなと思います。

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