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第402話 ベゼ・タウン・ショップ

今日は、シズの誕生日旅行でマングローブ帝国にいきます。

(1月12日です。)

  今日から、シズと旅行に出る。誕生日は、先週だったが、正月休みだったので、今日まで伸ばしていた。もう行きたい所も無い様だったので、新大陸に行くことにした。新大陸で、最後にいた都市、つまりパシフィック大陸のマングローブ帝国ベント州の州都、ヘンダーソン市まで『空間転移』した。


  初めてくる新大陸にシズは興奮していた。街行く人の半分位は、キティちゃんと同じ褐色の肌をしている。中には、かなり色黒の人もいるが、大体は、薄い褐色、いわゆる小麦色の肌だ。この地域は、赤道に近いせいか1月だと言うのにかなり暑い。


  まず、言語通訳首輪を首に巻く。シルフは、『インタープリター・ネックベルト』と呼んでいたが、付き合ってられない。


  シズと一緒に洋服屋に行く。女性用の半袖シャツを買おうとしたら、水着のブラジャーのような服を買っている。シズも、胸は小さい方なので、お店の人が一生懸命、胸に何かを詰めていた。下はゆったりしたズボンで、裾が閉まっている。と言うか、ベルトラインがかなり下なので、お臍が丸見えだ。


  この国では、これが普通の格好らしい。肌は露出しているのに、顔の半分は、薄いベールで隠している。価値観が分からない。シズの真っ白な肌に、その恰好は、ある意味犯罪だ。


  今日は、市内観光だ。その前にホテルを予約する。『ホテル・インペリアル・ベント店』と言う名前のホテルに行く。いかにも南国という雰囲気のリゾートホテルだ。市の近くに大きな湖があり、湖水客が泊まるらしい。この前両替した金貨1枚を出して、スイートルームを予約した。


  それから、市内の工芸店に行った。工芸店というよりも、古物商と民芸店が一緒になったような店だ。店内をブラブラ歩いていると、奥の壁に装飾用のショートソードが飾られている。


  見せてもらったら、飾りの宝石はクズ宝石だし、飾りの金属も真っ黒になっている銀製だった。ただ、鞘をくるんでいる皮は、ボロイがワイバーンの皮だ。柄にも水竜の皮が使われている。鍔は、元々有った物では無いようだ。安物の銅製の鍔だ。


  抜こうとしたが、抜けない。中で、鞘が歪んだらしい。しかし、持った感じが通常の鋼やミスリル銀の重さではない。軽いが、しっかりした感触が伝わって来る。


  この店では、飾りということで、それなりの値段をつけたつもりだろうが、大銀貨1枚は、安い。でも交渉はシズに任せた。


  シズの批評は辛辣だ。宝石が安物だの、銀は磨くのに手間がかかるだの、欠点を挙げつらう。店のマスターは、二束三文で引き取った剣もどきなので、大幅値引きをした。銀貨2枚だった。これ以上は負けられないと言う。


  シズは、自分の『竜のアギト』を見せて、価値のある剣は、こう言う物だと教えてあげた。怖い。急に、剣が空間から飛び出てきて、禍々しさいっぱいの剣を、ギラリと抜いて見せるのだ。誰でも引いてしまう。


  結局、銀貨1枚になってしまった。絶対に脅迫以外の何物でもない。店を出てから、誰も見ていないところで、剣に『復元』をかけた。鞘の曲がりが治った。スラリと剣を抜いてみる。やはり、思った通りだ。剣は、ヒヒイロカネとオリハルコンのハイブリッド剣だった。


  フェルマー王子への土産ができた。シズも持ってみたが、シズには、少し大きいみたいだった。と言うことは、フェルマー王子にとってはロングソード並の長さになるだろう。この剣は、ダッシュさんに作り直して貰おう。


  夜、ワニ料理を食べた。ワニの肉は、鶏肉みたいに淡白で柔らかい。結構行ける。シズもお酒を飲まないので、トロピカルジュースを飲みながら、モリモリ食べ続けている。2人を呆れたように見ている店員がいた。


  この日の夜、シズは3回も求めてきたが、避妊はしっかりしていたゴロタだった。


  次の日、シズはワニ皮のハンドバックを買っていた。王都のブランドバッグに比べたら確かに安かったが、金貨1枚もした。


  街を出て、『ファルコン・ゼロ型』飛行艇を取り出す。夏用の飛行服に着替えてから、タラップで搭乗する。全ての機器を確認する。オールグリーンだ。飛行石を制御して、ゆっくりと浮上する。高度1000m、水平飛行に移る。どんどん加速する。


  現在速度は、音速の2倍だそうだ。1時間少々で、帝都であるセント・グローブ市に到着した。街道から外れた所に、降下して、冒険服に着替えた。シズは、昨日購入した刺激的な服になっている。下着は付けているが、かなりエロい感じだった。


  市内は、西の大陸とは全く違う感じで、白を基調とした建物と服装だ。女性は、頭からすっぽりと白いシーツの様な物を被っている。聞くと、日焼け止めらしい。確かに、太陽が近く感じるぐらいギラついた暑さだ。シズは、ダッシュで洋服屋に走り込み、そのシーツを買っていた。


  この町では、以前、約束していた『ベゼ・タウン・ショップ』を訪れた。この店は、店名からお土産屋さんかなと思っていたら、大きな店だった。レンガ作り3階建てで1階から3階まで、全て売り場だった。この国では、百貨店というらしい。


  帝都でも、このような店を作ったらいいかなと思った。今度できる鉄道駅の真ん前に作るのだ。駅に併設して作ってもいいかも知れない。


  店の中に入ったら、シズの目の色が変わった。欲しい物ばかりだったようだ。1階は、宝飾品と高級バッグそれに靴売り場だ。色々なブランドの品があったが、西の大陸では聞いたこともないブランドばかりだった。まあ、交易がないのだから、当たり前だ。


  この建物には、地下売り場があり、肉や魚などの食料品を売っている。お土産のお菓子類も売っていたので、適当に買って置いた。


  2階は、服売り場、3階は、書籍、文具それとレストランになっている。屋上は、簡単な食事ができるようになっており、夜はビールを飲ましてくれるようだ。ビールやエールが嫌いなゴロタにとって、関係のない話だ。


  店に入ってすぐの所に、受付があり、女の人2人が座っていた。社長のベゼさんに会いたいと申し伝えたら、この裏の建物にいると教えてくれた。


  百貨店の裏に回ったら、大きな2階建ての建物があり、ベゼ商事という看板がかかっていた。中に入って用件を言うと、2階奥の社長室に案内された。


  ベゼさんは、笑顔で迎えてくれて、その後の様子を聞きたがっていたが、ゴロタの連れている女性が、この前と違っているのに気がついたようだ。しかし、敢えてその事には触れず、早速、交易のことについて相談が始まった。


  交易船を購入もしくはチャーターする事と、交易船をどの港に入港させたら良いかなどと実務的な面と、最重要な交易品の事についてだ。


  一度、西の大陸に渡航してみたいが、どうやったら渡航できるのかわからないらしい。ゴロタは、今月中に案内できるから、必要な調査人員を選抜してもらいたい。大陸内を案内するからと伝えた。


  調査人員は、20名程度で、来月初めに出発できるらしい。ゴロタが迎えに来ることで話が纏まった。


  その日の夜、ゴロタの歓迎レセプションが行われた。急遽だった割には、産業界の主要人物が集まっている。鉱山資源採掘や織物業者、貴金属加工業者、食料品総合商社それに製材業者などだ。皆、恰幅は良いが、街の商店の親父という感じだった。


  特に熱心に声を掛けてきたのが、造船業者の方だった。是非、ゴロタ帝国の造船所を視察したいようだった。さすがに、ジェットフォイル船の構造までは教えられないが、既存のシーサイドタウンにある造船所なら特に問題ないので、承諾しておいた。


  宴会も賑やかになってきて、ベゼさんが遠慮がちに聞いてきた。


  「あの、ゴロタ殿。去年来られた時は別の女性が奥方だったような気がするのですが?」


  シズが、笑いながら答えた。自分は、第2夫人だと。シズさん、順位が上がっているのは何故ですか?しかし、そのことについては、あえて何も言わないで、ゴロタもニコニコ笑っている。


  この国では、愛人は居ても、妻は一人しか持てないようだ。皆、うらやましそうな顔をしていた。愛人だと、子供ができた時に、庶子として扱われるため、正妻が養子縁組を認めない限り、自分の子として認知しても、相続権などは半分以下の権利しか主張できないそうだ。


  正妻と愛人、どこが違うのかよく分からないが、そういうものらしい。シェルは、第1夫人で正妻で皇后だが、エーデル達だって正規の妻で皇族だ。


  慣例により、第1夫人が正妻としての立場にあるが、権利的には何ら変化はない。子供だって、生まれた順で長男、次男となるし、皇太子は、原則、長男がなるものである。


  国によって、長男が貴族以外の子に産まれた場合に、皇太子になれない場合もあるが、理由のない廃嫡は御家騒動のもとになってしまう。


  ゴロタ帝国では、今のところマリアが皇帝になる権利を持っている。男子が生まれるかどうか分からないからだ。


  もうクレスタの二の舞は御免だ。あの悲しみに比べたら、帝国など他人にくれてやっても、なんとも思わない。もともと、あの森の近くの小さな小屋で暮らしたかったのだし、今もそれは変わらない。


  いつもの余興になった。シズが、参会の皆の中から3人を選んで、バラバラに立たせた。頭の上にリンゴを乗せた。シズは小さな弓を取り出し、可愛らしい矢を1本取り出した。あんな弓矢、どこから手に入れたのだろう。後で聞いたら、余興用にダッシュさんに作って貰ったらしい。


  シズは、ハンカチで目隠しして貰って、矢をつがえた。あらぬ方を向いている。皆、ニヤニヤしながら見ている。あの方向では、高そうな花瓶が粉々だろう。


  矢が放たれた。矢は、ギュンギュン曲がって、最初のリンゴを貫通した。矢は止まることなく、あっちやこっちに進路を曲げて、全てのリンゴに命中した。


  皆、驚嘆していた。このようなことは、皇帝主催の武道奨励会でも見たことはなかった。それではとゴロタも何か披露する事にした。


  テーブルの上に10個のリンゴを横に並べる。ゴロタは、ピーナッツを10個持ち、次々と指弾で撃ち続ける。余りにも早いので、何をしているのか良く分からないが、次々と飛んでいくのは分かった。


  10個のリンゴは、全て二つに割れてしまった。アーモンドは、念動で回収した。掌から10個のアーモンドが、そのままの形で溢れていった。


  これで余興は終わりだ。手品でも何でもない。練習さえすれば、誰でもできる技だ。その筈だ。多分。


  宴会終了後、1人の商人が相談に来た。その商人は、下町で洋品や宝飾品を扱っているのだが、最近、商品が入って来ないそうだ。聞くと魔物を使う野盗が出現しているらしい。衛士隊に頼んで、討伐隊を編成したが、敗走して戻ってきてしまうので、いまだに商品が入ってこないので、困っているそうだ。。


  1回の討伐隊編成に何枚もの金貨を使っているが、全て無駄になってしまった。何とか出来ないだろうかと言う相談だった。


  ゴロタは、久しぶりの冒険者らしい仕事に二つ返事で承諾した。あ、いけない。報酬を確認していなかった。バレたらシェルに叱られる。

相変わらずチートなシズちゃんでした。

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