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第401話 新しい夜明け

ゴロタ帝国の新しい夜明けです。

(1月9日です。)

  今日は、タイタン市の行政庁バルコニーで、皇帝陛下参賀が行われる。行政庁は、中央大広場に面して、北西側に位置している。


  大広場は、直径200mもあり、広さは30000平方メートル以上あるが、中央に噴水の池があるため、せいぜい2万人程度しか入れない。この日は、整理券を配っており、3回に分けて実施する。いつもと趣向を変え、最初はコンサートだ。


  トップは、ミキさんのソロだ。伴奏はジェリーちゃんだ。バルコニーにアップライトピアノを設置している。当然、ゴロタの『念動』を使っている。2曲歌ってから、TIT48の歌と踊りが2曲だ。次は、イヴニング娘の歌と踊りで2曲、最後はフェル&ドミノのデュエットだ。


  もう、皇帝陛下など構っていられない。物凄い熱気だ。今日は、ミニ太陽も小さめにしている。最後にロイヤルファミリーの登壇だ。皇帝陛下、皇后陛下それとクレスタとマリアちゃん。しっかりシルフも並んでいる。


  セディナ大公閣下とフェルマー大公閣下候補が並ぶ。後は、妻達だ。ジルちゃん以下は、今日は並ばない。広場の後ろ、『クレスタの想い出』店でグッズ販売だ。隣では、小型ラジオを販売している。ゲルマニウムやシリコンを使った増幅装置を使っているらしい。超小型だが、性能は真空管装置よりも高いそうだ。


  後、同じく高性能アンプを組み込んだレコードプレーヤーを売り出している。今買えば、漏れなくレコードセットが付いてくると言う商売をしている。今日だけで100セットを売るそうだ。


  売り子は、白薔薇会の皆さんと屋敷のメイドさん達だ。今日だけで、完売したそうだ。


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  まもなく、エクレア市からニュータイタン市まで鉄道が開通する。それからは、南に伸びてシーサイドタウン、以前のシーサイド村まで延伸する予定だ。


  シーサイドタウンは、貿易の街であるとともに、造船の街になっている。ドッグが3つあり、最大のドッグでは、大型タンカーを造船中だ。


  鉄道が延びるのが早いか、大型タンカーの進水が早いか、どちらにしろ、タイタン州連合は、もっともっと豊かになるはずだ。州連合の統治官はコリンダーツ西タイタン州知事が兼務する。侯爵にも叙爵した。


  タイタン州連合の将来は安泰だろう。


  ノエルが、ドミノちゃんの魔力を測定したいと言う。どうも、この前の魔障が気になるようだ。


  闇魔法と聖魔法は、4大精霊の加護もない代わりに、使った人間の精神状態や肉体を対価に求めるらしい。


  聖魔法の『シールド』や『ヒール』は、自分の体力やMPを消費するだけだが、闇魔法の場合は、研究が進んでいないので、よく分からない。ドミノちゃんの場合は、視力が対価のようだった。


  フェルマー王子の聖なる力が、闇の力を払ったようだ。フェルマー王子の聖魔法も調べなければならない。


  しかし、2人の王立音楽学院の受験が迫っている。まあ、受験が終わってからでも良いだろうと言うことになった。


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(1月10日です。)

  今日、2029年初の閣議だ。各大臣及び各州知事が一堂に会する会議となる。場所は、タイタン市の帝国離宮大広間だ。ゴロタと、シェルそれにジェーンが参加する。大臣は、カノッサダレス宰相の他は、国防軍統括本部司令官がダンヒル将軍、警察庁長官がダーツ将軍だ。他の大臣は、すべてハルバラ市の行政官から選抜されている。旧ゴーダー共和国内の各州知事は、現行の県知事の中から古参の方たちにお願いしているが、最終的に能力認定選考試験に合格しないと、3月末で職を失うことになる予定だ。


  閣議は、来年度の予算と、今年度の収支見込の報告だ。各州は豊作で、予算的には潤沢だが、福利厚生関連予算と鉄道等インフラ整備予算が膨大だ。インフラ予算は、年5%の起債で経費を賄う予定だ。すべての起債には、ゴロタの保証があるので、紙くずになることはない。この前、第1回募集をしたが、国内外の大商人がこぞって買い求めていて、現在は、発行額の1.6倍の時価になっているそうだ。鉄道、電気、それと空港、港湾、トンネル、道路建設は特別会計として一般会計とは切り離している。予算も歳入もすべて特別会計内で賄ってもらう予定だ。道路は、トンネルと橋の通行量で建設費をねん出する。一般道路は、州道路として、州政府が建設することになっている。


  通貨制度は、順調に浸透しているようだ。やはり、常に定量の金と交換できる、兌換通貨としての機能が評価されているみたいだった。また、廃止・追放された貴族の財産が馬鹿にならず、すべて国庫に入金されているので、通貨発行量以上の金や貴金属が内部留保されている。


  あと、鉄道整備計画だが、南大陸横断鉄道を早急に完成させる必要があり、各州単位で同時施設をすることにした。勿論、聖ゼロス教大司教国も通過するので、国際列車となる予定だ。


  また、民間航空会社の参入を促すため、国営の飛行機生産工場を南大陸フェニック北州に建設する。同様に、フェニック南州の大規模石油コンビナートにカーマン王国から大量の労働者を投入することにした。


  ゴーダ―南州にある鉄鋼採石場を国営化し、すぐそばに大規模製鉄所と軽金属精錬所を建設する。とにかく、すべての産業が技術革新により、生産量が倍増し、かつ次々と職場を提供している。今後3か年計画で、国民の所得倍増を図るつもりだ。


  最後に帝立ギルド総本部の設立だ。現在は、グレーテル王国の王立ギルド総本部の指揮下になっているが、ギルド数及びギルドで登録している冒険者数も本家を圧倒している。


  セント・ゴロタ市に総本部を建設する予定だ。もう、敷地の購入は終わっている。今年3月には建設に入れるはずだ。建設費は、ギルド債を発行し、冒険者たちに購入してもらう。


  金利が付くので、単にギルドに財産を預けるよりも有利なはずだ。ギルド債権は、権利書をなくしても、クラウドで管理しているので、仮想通過としての機能も持たせる予定だ。当然シルフの考案だ。これも莫大な利益が見込まれる。


  シルフが作成した、年頭の閣議において皇帝勅語を読み上げる。すでにペーパーを配布しているが、読み上げることに意義があるそうだ。国内主要都市ではラジオ放送もあるらしい。


  国民の皆様、新年あけましておめでとうございます。ゴロタ帝国の新しい年を平穏に迎えられたことと思います。今年は、わがゴロタ帝国の飛躍の年になるものと思います。専専制と隷従、圧迫と偏狭をこの世界から永遠に無くすことを国民の皆様に約束します。しかし、今後まだ、そのような者がいたとしたら、法と正義に従って必ず殲滅します。もう一度言います。必ず殲滅します。豊かで楽しく、皆が幸福になる世界、わがゴロタ帝国をそういう国に使用ではありませんか。今年のスローガンは『飛躍』です。私と一緒に大きく飛躍しましょう。


  2029年1月10日 ゴロタ帝国皇帝 ゴーレシア・ロード・オブ・タイタン


  これで、初閣議は終わった。


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(1月19日です。)

  今日は、フェルマー王子とドミノちゃんの、グレーテル王立音楽学院中等部の入学試験がある。


  初日は、学科試験、2日目が実技試験だ。学科試験は、まったく問題なかった。二人とも中学生レベルの学力を持っているので、ほぼ満点が取れているようだ。ただ、合格点に達したらすべて合格ではなく、成績上位者から30名という定員があるので、油断は禁物だ。1点でも他の受験生より劣っていれば不合格になるのだ。


  翌日、実技試験は、選択課程ごとに受験する。フェルマー王子は、声楽科定員5名だ。ドミノちゃんはピアノ科定員10名だ。残りは、バイオリン科、管楽器科それに打楽器科だ。午前中は、課題曲を演奏又は歌唱する。


  フェルマー王子は、『ともし火』と『家路』を歌った。ピアノの伴奏が、練習の時のドミノちゃんの演奏よりもレベルが低いため、少し歌いにくかったが、まあ、自分では上手く歌えたと思った。


  歌い終わったら、審査員の先生達5人が涙を拭いていた。え、何か不味いことをしたかなと思ったら、フェルマー王子の歌が心に響いて涙が出てしまったらしい。それって、良いことかどうか分からなかったので、午後は楽しい歌を歌うことにしようと思った。


  ドミノちゃんは、今日の実技試験は、絶対受かる自信があった。あらかじめ課題曲は教えてもらっていたので、何回も何回も、楽譜を暗譜できるくらい練習したのだ。


  課題曲は、ベートーベンのピアノソナタ第8番ハ短調作品13第2楽章『悲愴』だ。この曲は、コンサートでも引いたが、試験となると、情景よりも正確性を要求される。ほぼノーミスで弾けた。うん、良かった。ほっとするドミノちゃんだった。この曲を弾いていると、フェルマー君に結婚を申し込まれた時のことが思い出される。


  午後は、自由選択曲だ。声楽科は、楽器演奏が必須だ。フェルマー王子は、当然、ギターを選択する。局は、カーペンターズのナンバーから数曲を選択した。あと、自分で作った曲も1曲披露することにした。この前、ドミノちゃんの眼が見えなくなった時の曲だった。


  ♪夕日の当たる家がある 今、君はこの夕日を見ることができない

  ♪冥界の王に見初められ 闇の深淵を覗き見る君

  ♪だめだ、君はそんなところにいちゃだめだ

  ♪早く戻っておいで 僕のところに帰ってきてよ

  ♪僕は君がいなくちゃ何もできない 僕を助けてくれた君

  ♪僕は何もいらないから 命さえ捨てたって惜しくない

  ♪早くかえってきておくれ 君に闇の深淵は似合わない

  ♪君を見つけたときのように いつも光の中で笑っていて


  全部で4番まであるのだが、2番までで時間が来てしまった。受験会場の教室の外には、大勢の人が集まっていた。先生や生徒さん達だ。皆、フェルマー王子の歌を聴きに来ていたのだ。フェルマー王子の試験は終わった。


  ドミノちゃんは、フランツ・リストの作曲した、ピアノのための12の練習曲第4番二短調『マゼッパ』と第6番ト短調『幻影』である。ほぼ完ぺきに弾けた。審査員の先生5人は、もう開いた口が閉じられなかった。中等部、いや高等部の入学試験でも、この超絶技巧練習曲を弾く者などいなかった。それほど難しいのだ。


  試験は、終わった。二人とも、3年生に特進できる成績だったが、1年生からゆっくり学ぶことにした。まだまだ、急ぐ必要がなかった。

フェルマー王子とドミノちゃんは、グレーテル王立音楽院に留学が決まりました。

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