第38話 ノエルさん 結構、役に立ちます
連載をはじめてから、40話となりました。ちょっと、ペースが速いような気がします。誤字脱字が多くてすみません。ブックマーク登録をして、指摘していただけるとありがたいのですが(汗)
ノエルがパーティに加わったのですが、13歳とはいえ自活していただけあって、女子力高いです。それに魔法もハンパネだったようです。
南のダンジョン攻略は、順調に進んだ。
ゴブリン・ソルジャー、オークそしてトロールまでノエル一人で殲滅できた。しかし、魔力を使い過ぎて、魔力切れを起こしてしまい、僕がお姫様抱っこをすることになった。
シェルさん達がジト目で見ていたが、自分達だって、いつもお姫様抱っこをしてもらっていたのに、『ノエルがされるのは許せない。』ということは、絶対におかしいと思う。ノエルは、恥ずかしそうに、いや嬉しそうにしていた。でも、ノエルちゃん、ミニスカートの下からパンツが見えているんですが。
それからは、いつものパターンで、最初にエーデル姫が魔法攻撃をし、シェルさんが弓矢攻撃をし、最後にイフちゃんが殲滅するという、王道攻略で10層まで来てしまった。階層ボスは、最近、攻略されているので出現していない。
最下層の奥には、体力、魔力を復活させるヒールポイントがあり、その上に立つだけで全回復するので、ノエルを立たせようとしたら、『怖いから絶対に嫌だ。』と言い始めた。魂胆が見え透いているので、シェルさん達が嫌がるノエルを力づくで僕から引きはがし、立たせていた。女って怖い。
帰りは、帰還石に触って、一遍に帰るか、また来た道を戻るかとなったが、急ぐ用もないので、ゆっくり歩いて帰ることにした。
途中、攻略中のパーティと何度かすれ違ったが、僕達の、ダンジョンに似合わない格好と和やかな雰囲気に呆気に取られてしまうのだった。
結局、僕は単に、荷物持ちとノエルをお姫様抱っこしただけで、経験値獲得ゼロであった。ダンジョンを出ると、夕方近かった。日が落ちてからの城門通過は、審査が厳しいので急ぐことにし、ノエルを背負い、エーデル姫をお姫様抱っこして走ることにした。シェルさんは、『身体強化』のうちの『持久力強化』で追走することにした。
日没前には城門前に到着したが、シェルさんは、ハアハア激しい息遣いをしている。僕は、全く乱れていなかった。アッシュ村では、この倍の距離を、シェルさんをお姫様抱っこで走ったのだから、平気なのは当然であった。
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ギルドに寄って成果品を換金してから、自宅に帰ると夕食の準備だ。驚いたことに、ノエルも料理ができるということで、二人で台所に向かう。
シェルさん達は、シャワーを浴びることにしたが、いつものように鎧と上着を脱ぎ棄て、パンツ一つの恰好になる。シェルさんは、バスタオルを肩にかけ、エーデル姫は、最近ますます透けてきたネグリジェの上着だけを着る。
その姿を見て、驚くノエルだったが、段々怒りの表情になってきた。お姉さん達だけ狡いというのだ。そりゃそうだろう、どう見ても子供のノエルと僕が料理をして、シェルさん達は何もしないでシャワーを浴びるんだから。そう思っていたら、どうやら違うようだ。
ノエルが言うには、お姉さんたちは僕を誘惑できるのに、自分だけ分厚いバジャマを着せられて、絶対に狡い、狡過ぎるというのだ。
あの、ノエルちゃん、まだ13歳なんだから、どこかの国では、中学2年生なんだから我慢しようね。
ノエルは、何か用を思い出したらしく、ちょっと用足しに外に出てくると言った。『もう、辺りは薄暗いから、出かけるのはやめたら。』と言っても、言う事を聞かないで出て行ってしまった。仕方が無いので、僕一人で料理を続ける。今日の料理は、イカのリングフライと、イカみそとげそのバター炒め、小エビのサラダにオーロラソースをかけて、それと、屋台で買って冷蔵していた極太フランクフルトを辛子ソース炒めにした。付け合わせは、バケットを厚切りにして、トーストしたものをコンソメスープに浮かばせてチーズを乗せオーブンで焼いたものだ。
部屋の中にイカバターの美味そうな香りが充満してきた頃、ノエルが帰って来た。何やら、紙袋を持っている。帰ってくるなり、私も、シャワーを浴びると言って、浴室に入っていった。
シェルさん達は、シャワーを浴び終わって、ゆっくりとスパークリングワインを飲んでいる。
料理も完成し、テーブルの上に並べる。6人分のお皿を並べ、中央の大皿に料理を大盛にして置いていく。あとは、ノエルが出てきたら、食事開始だ。ノエルにはリンゴジュースを準備してある。
ノエルが出てきた。だが、その姿を見たとき、皆は口をアングリとしてしまった。白いダブダブの男物のワイシャツとピンクのパンツのみで、ワイシャツのボタンは一つも掛けていないのだ。暑いからボタンは外したままにすると言う。
上半身素っ裸のシェルさんや、ほぼ裸のエーデル姫には文句を付けられない。厚い寝間着というのは、透き通らないシャツでも条件的には合っている。ボタンについては、言及していなかったので、文句は言えない。ズボンも履く、履かないについてはまったく決めなかったので、誰も何も言えなかった。
ノエルちゃん、そんなシャツ、どこで買ってきたの。
本当は、シャツはその辺の店で適当に買ったのだが、見せパンがなかなか気に入ったのが無くて、時間がかかったそうだ。これは、後でシェルさんに聞いたのだが。
ああ、女の子は分からない。
寝ることになった。ノエルは今日が初ベッドデビューだ。シェルさんが左側、ノエルが右側だ。いつものように、シェルさんの左足が、僕の左足に絡んできて、左手が僕の胸の上にある。
ノエルがオズオズと右の素足を僕の右足の上に乗せてくる。そして、僕の右腕を両腕で抱え込んで来た。あの、ノエルちゃん、それだと、ノエルちゃんのポッチが僕の腕に当たっているんですけど。直に。しかし、何も言えずに眠る僕だった。
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ノエルをパーティに入れてから1週間が経った。
今日は、ノエルの防具が出来上がる日だった。ダッシュさんの店で、防具を受け取り、その場でサイズの微調整をしてから、一旦、部屋に戻った。何着かのスカートを持って、隣のベッドルームで試着していたが、どうも気にいらないようだ。
結局、装備を付けて、出てきたときには、いつもの恰好と変わっていなかった。上着の下には、アンダーウエアとしての防具を付けているのだが、ボディラインにフィットした作りなので、目立たないそうだ。問題は、半ズボンで、どうやっても、スカートの下から少し見えてしまうし、見せパンみたいに可愛くないので、気に入らないそうだ。
結局、ミニスカートの下は、普通の見せパンのみにして、アンダースカートタイプの防具は無しで行くことにしたそうだ。
あのー、見せパンって、誰にパンツ見せるんですか?
シェルさん達も、最近、防具の下はミニスカートのみになってしまい、以前のような半ズボンは絶対に履かなくなった。ノエルちゃん、あなた皆に何をしたの?
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3月末の温かい日、今日は、ノエルと二人で王立学院を訪ねることになった。国王陛下からの依頼で、是非一度、学院に顔を出してくれとの事だった。執事の方が紹介状を持って来てくれたので、断るわけにもいかない。国王陛下専用の封蝋スタンプを押しているものだ。普通、この封筒を開けるときは、膝まづかなければいけないそうだ。まあ、開けるのは、僕ではないから良いけど。
シェルさんと、エーデル姫は、今日、ギルドの指名依頼を受けて、北の谷で魔物討伐中だ。
ノエルは、チェックのプリーツミニスカートに青色ギンガムのカッターシャツ、紺色のニットベストを着ている。カッターシャツの下には、例のアンダーを着こんでいる。ノエルが言うには、このアンダーを着ていると、ブラジャーがいらないそうだ。理由は、僕には、よくわからない。その服装で、腰に差しているワンダが、ちょっと似合わないが、これは仕方がない。
僕は、いつものダッシュさんの店で買った布の服とズボンだ。これが、一番丈夫で着やすい。
学院は、かなり広い敷地内に、初等部、中等部、高等部と後頭部とあり、大学と研究室は別の区画にあるそうだ。今日、訪ねるのは高等部だ。
門番の人に、高等部主席教授をたずねて来たことを告げる。当然、ノエルがだ。
しばらく待っていると、若いお姉さんが、門のところに来た。上下、紺色のスーツを着た、いかにもキャリアがありますと言う雰囲気だ。
「ゴロタさんですね。私、高等部事務局のスターシャと申します。ご案内しますので、こちらにどうぞ。」
僕達は、案内に従い、構内に入っていった。構内は、正面が、高等部、左側が中等部、右側が初等部となっているみたいで、右側からは、子供たちの歓声が聞こえてくる。左側からも時たま生徒たちの声が聞こえるが、正面の高等部校舎からは、物音ひとつしない。
校舎の2階が主席教授の部屋となっている。部屋に行ってみると、中年の女性がおり、彼女が主席教授らしい。
お互いに自己紹介をする。勿論、僕のことはノエルが紹介してくれた。首席教授の名前は、マリアンヌと言うらしい。とても可愛らしい名前だが、この女性も若い時は可愛らしかったのだろうと一人で納得する。
用件というのは、魔物に関することであった。最近、地下の訓練所で、召喚魔法の練習をしていたのだが、ある生徒が魔法陣の記載を失敗して、予想外の強力な召喚獣が出現し、全く言う事を聞かないで地下で暴れているので困っているそうだ。
本来なら討伐隊を編成して、駆逐するのだが、現在、学院の存続価値が問われており、討伐隊などを学内に入れたら、すぐに責任問題になり、下手をすると高等部を閉鎖されかねない状況らしい。
僕は、なんとなく理由が分かった。本来、魔法を学ぶのに、初等部6年、中等部3年あれば十分で、即戦力ではなくても、使っているうちにスキルが上がり、高等部、いや大学部の学生よりも魔法力の高い者が出てくることが多いのが現実だ。そうなると、何故、高等部以上が必要かと言う議論になってくる。
魔法の基礎を15歳までに学び、あとは実践でスキルアップを果たした方が、王国の負担も少なく、かつ魔法使いを育成するという効果は同じではないかという意見は、普通に出るはずだ。乱暴な話だが、『高等部以上をなくしてしまえ。』という事だそうだ。
でも、それは今回は関係ない。要は、騎士団等の討伐隊を学内に入れずに処理する必要があるという事だ。僕達は、マリアンヌさんにその召喚獣の種類を聞いた。
「ええ、それはキマイラです。」
ノエルちゃん、お姉さんたちと張り合うとひどい目にあいますよ。あんなことや、こんなことなど、日本だったらゴロタは警察に捕まってしまいます。