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第388話 カーマン州連合は豊かです。

カーマン州連合は、今までの領地と違い、飢餓大地ではありません。

(11月10日です。)

  今日は、カーマン州連合の初めての閣議だ。まず、ブリザード侯爵とベロン伯爵の公開処刑について、報告があった。この処刑については、全ての貴族が立ち会うように指示していた。領地にいて、間に合わない貴族には、在京の家令に立ち合わせ、必ず主人に報告する様に命じている。


  国の有り様は、ゴロタ帝国の他の州と同様、州知事制を取ることにした。王城のあるシャウルス市は、特別市として現市長が、そのまま就任する。


  あと国内は8つの州に区分する。中央州と、東西南北の4州、それに北辺境州と東西辺境州の3つだ。南は、辺境州を設けず、南側全域を一つの州としている。


  南側の正式名称は、ゴロタ帝国カーマン南州だが、州知事が貴族の場合、貴族名を州名の通称とすることもできる。つまりガーッリク州と呼称しても良いのだ。


  ガーリック侯爵は、公爵に叙爵し、南部一帯を統治する大貴族となった。当然、州は領地では無く、相続もないが、特段の事情がなければ、世襲を認める予定だ。


  カーマン家は大公爵に叙せられ、中央州の州知事兼州連合の統括官つまり太守となる。各州の知事は、太守の指揮下に入るし、州連合国防軍の統帥権も、皇帝の代理として遂行する。現内閣は、そのまま州連合政府の内閣となる。


  貴族制度は、現行の通りとするが、領地持ちの貴族は、領地を失う代わりに、相当の年金を給付されることになる。但し、これから詮議が始まる、今までの領地運営の是非に問題がなかった場合に限るのであるが。


  カーマン王国には、カーマン王家と血縁のあった公爵が4人いたが、全員侯爵に降格となった。


  公爵は、ゴロタと姻戚関係のある者にのみ叙されるので、今のところガーリック公爵のみである。フェルマー王子は、腹違いの妹のシンシア姫が、マリアの御学友であるに過ぎないので、公爵ではないが、その上位の大公爵に叙しているので問題はない。


  あと、大公爵はフェニック州連合のセディナ大公爵だけだ。行く行くは、東西タイタン州もその様にしたいが、まだまだ先だろう。


  今のところ、カーマン州連合には侯爵が8人、伯爵が9人、子爵が14人、男爵が21人いる。ガーリック侯爵と現閣僚の8人以外は、ゴロタの叙爵審査を経てから叙爵することにした。


  叙爵審査は、決められた質問事項に答えて貰うだけだ。勿論、『威嚇』を掛けて嘘は言えないようにする。叙爵式は、11月30日に行うので、28日までには、連合州都シャウルス市に来て貰うことにした。と言うか、殆どの貴族は、現在シャウルス市内の貴族邸に滞在している。


  審査で過去の不正が明らかになったり、正当な理由なく、審査を忌避した場合は、爵位剥奪となる。


  叙爵された場合は、領地ではないが、相応の屋敷用敷地とシャウルス市の貴族屋敷が、そのまま維持できる。


  また、年金も十分過ぎるほど支給するが、貴族領軍は全て国軍に編入される。もちろん、国軍であるから、国内どこでも赴任しなければならない。また、将軍の子息は、自動的に将校として任用される現行制度は廃止する。


  セント・ゴロタ市の郊外に国防大学を設立し、将来の将校候補者を養成するが、必ず将軍になれるわけではない。能力と功績が全てだ。


  カーマン州連合内は、統治者に問題はあったが、国内経済は安定しており、農作物も豊作が続いている。大きな戦争もなく、外交上の問題がないのだ。


  非合法人身売買組織や未成年者の売春組織も、その内無くなるはずだ。


  今日の閣議は終わった。次回は、病院や孤児院などの福祉施設について討議することにした。すべては帝国憲法を参考にして貰いたい。


  夕方、シルフと一緒に街中に出て風俗街に行ってみる。他人から見たら、幼い少女を連れているお兄ちゃんと言う雰囲気だ。


  直ぐに、声が掛かって来た。いかにもゴロツキのような男だ。髪を剃り上げ、蜘蛛の刺青が額に彫られている。シルフを銀貨10枚で買うそうだ。


  未だ12歳だが、大丈夫かと聞いたら、処女なら銀貨15枚になるから店まで来てくれと言うのだ。シルフは、何も知らない女の子の振りをしている。


  大きな店の奥に連れて行かれる。途中、ほぼ全裸の少女が何人もいた。亜人も何人かいたが、エルフ族はいなかった。


  悲鳴が聞こえた。見ると、ゴロツキ風の大男が少女の髪を掴んで引き摺っている。商売品だから、殺されることは無いだろう。


  奥の事務室には、中年女性がデスクに座っていた。シルフをチラッと見て、相合を崩した。


  「いらっしゃい。上玉だねえ。エルフかい?うん、高く出すよ。銀貨13枚でどうかね?」


  「北の大陸では、最低でも金貨10枚で買ってくれるそうだが。」


  「おや、そうかい。じゃあ、北の大陸に売りに行きな。うちは、買うんじゃ無くて、商売して貰う支度金だからね。奴隷で売りたいんなら、他を当たっておくれ。」


  なるほど、ギリギリ合法を装っている。しかし未成年者売春の段階でアウトだ。


  「ところで、この店では未成年者もOKなのか?」


  「ああ、6歳から挿れようとすれば入るからね。まあ、入らなくたって口でサービスすれば大丈夫だよ。その娘は幾つだい?」


  「11」


  シルフが答える。


  「なら大丈夫。処女かい?」


  シルフが黙っている。


  「ふん、調べりゃ直ぐ分かるよ。パンツを脱いで、そこに寝な。」


  顎で、粗末なソファを示す。どうやら、股の間を覗いて確認するようだ。


  「契約書を見せてくれ。」


  「いや、商品を確認してからだよ。」


  「そうじゃない。他の女の子の契約書を見せてくれ。」


  女は、初めてゴロタを見た。仕立ての良い冒険服。身長は高いが少年のような顔立ち。女の子も、身長は小学生程度だが、整い過ぎた顔、高級そうなシルクのミニスカート、金に困って女を売りに来たわけではなさそうだ。


  「あんた達、何だい。うちは、ベロン衛士隊本部長の許可を貰っている特別な店だよ。売る気が無いなら帰っとくれ。」


  「ベロンは死んだ。」


  未だ、ベロンが断頭台で処刑されたことを知らないらしい。女は、少し吃驚していたが、直ぐに大声で手下を呼んだ。それが、彼女の最後の言葉だった。


  彼女の脳味噌が、頭蓋骨内で破裂した。女は、あらぬ方向に白目を向いて死んだ。


  後は、殺戮の嵐だ。男は、全員、女ボスと同じ運命だ。客も同様だ。さっき、少女を引きずっていた男も同じだ。客引きも同じ運命だった。


  全てが終わった。娼婦達が悲鳴を上げて逃げ出して来た。中には、最中だったのか股間から精液を垂らしながら逃げ出す女もいた。


  ゴロタは、事務室奥の金庫をイフクロークに収納して、店を出た。次に、隣の店に入って行く。何事かと表に出てきた男を捕まえ、ボスの所へ案内させる。その店も、前の店と同じ運命だった。


  この日、ゴロタはあと3店を潰してから、風俗街を後にした。衛士隊に看板を出させた。


  『違法興業の店は、ゴロタ新皇帝に処断される。助かりたければ、自首すること。』


  この日、ゴロタは、市内の超一流ホテルのスイートルームを予約した。夕食後、夜の街に出てみるつもりだ。


  ホテルでは、直ぐゴロタの正体がバレた。支配人が、部屋に挨拶に来て、床に平伏している。流石、一流ホテル、情報収集力は半端では無い。


  ゴロタは、部屋で早い夕食を取った後、街に出るので、最も評判の悪い店を教えてくれと頼んだ。流石に、支配人はそこまでは知らないようで、夕食後までには調べてくれることになった。


  夕食は、素晴らしいものだったが、脇に支配人を始め、10人程のシェフやボーイ、メイドが控えているのには参った。


  夕食後、支配人が教えてくれた店に行ってみた。その店は、1階がカジノ、2階が娼館、3階が麻薬窟になっていた。入り口に大柄な男2人が立って、客を選別している。多くの客は、銀貨を渡して通っているが、ゴロタは、男達を一瞥しただけで、通過した。


  真っ直ぐ3階に上がって行く。途中、邪魔をする男達は、脚と腕をそれぞれ切り落とされている。ゴロタの手刀だ。切った瞬間に、血管が焼けてしまうので、流血はない。ただの手刀ではなかった。紅き剣の力を薄く纏った手刀だった。男達は、これからの長い人生を不具者として生きて行くのだ。生きていければの話だが。


  奥の事務室まで、30人位はいたろうか。皆、床に転がっている。血は出ないが、痛みは消えない。あまりの痛さに気を失っている。


  事務室には、大男のボスがいた。虎人の血が入っているようだ。


  「てめえ、誰だ?何のようだ?」


  「僕は、ゴロタ。この国の皇帝だ。」


  「うん?ゴロタ?ゲッ!殲滅の。」


  脳が爆発した。後は、逃げ出そうとする男達を殲滅して行く。当然、金庫は回収だ。10分もせずに全てが終わった。


  客と女達を店の外に出す。全員、出たのを確認したのち、店は大爆発した。生き残っていた男どもは、きっと死んだだろうが、構っていられない。延焼しないように、店をシールドしたので、中から逃げ出そうにも逃げられないのだ。


  シルフと2人でホテルに戻った。今日は疲れた。風呂に入ってゆっくり寝ることにする。


  風呂に入っていると、シルフが背中を流しに入ってくる。もちろん、服は着ていない。まあ、相手はアンドロイドだ。背中を流させていると、妙な感触がする。シルフの小さな手がゴロタの股間を擦っている。


  これ以上は危ないので、立ち上がって、早々に風呂から上がる。シルフは、今日、絶対に襲ってくるだろう。誰だ、アンドロイドは機械だと言ったのは。


  次の日、王城内の会議室に行くと、宰相以下が揃っていた。昨日の様子を聞いていたらしく、ゴロタを拍手で迎えてくれた。


  街の様子は、大変なことになっているらしい。ほとんどの風俗店が、廃業してしまい、市内から逃げ始めているらしいのだ。また、市内3か所の救護院には、多勢の娼婦達が押し寄せているとのことだった。


  ゴロタは、昨日押収した金庫6個を全て並べ、すべての鍵を開場した。最後の店の金庫には、大金貨が山のように入っていた。これで、娼婦達の身の処遇も大丈夫だろう。


今回は、容赦のないゴロタでした。

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