第387話 カーマン王国の腐れ貴族と魔物達
フェルマー王子は、カーマン州連合の太守になる予定です。
(11月6日です。)
昨日、カーマン王国が、ゴロタ帝国に併合される事が、国王名で宣言された。当面の執政は、内閣での助言によりゴロタ皇帝が執行することになった。皇太子殿下は、一切の権限を持たず、。ブリザード侯爵の件で謹慎している。
今日から、フェルマー王子が、タイタン帝国に留学になる。部屋は別館の1階、貴賓室だ。2階にはドミノちゃん親子とデリカちゃん、キティちゃんがいる。その内、カテリーナさん親子も同居する予定だ。
フェルマー王子とドミノちゃん、年齢が近いようだし、学校も同じクラスになるかも知れない。身長も、ドミノちゃんと同じ位だ。。
まずフェルマー王子の装備を揃えてから能力測定だ。タイタン学院への転入試験も受けて貰う。妻達の紹介は夕食の時でいいだろう。
王子の武器を選定する。本人は、ロングソードを使いたいようだが、身長が150センチ位しかないのでショートソードにする。刀身はミスリルだが、刃体にヒヒイロカネを使ったショートソードを与えた。和の国から持ってきたヒヒイロカネの鋼材を、ガチンコさんに鍛えて貰ったものだ。魔石を1個嵌められるように、魔力の通り道を作り込んでいる。鞘は、ワイバーンの皮でくるんでいる。通常で買うと1億ギル以上はするだろうが、原材料は全てゴロタが、提供したので、手間賃で1千万ギルだけだった。
後、ダッシュさんの店に行って、防具をそろえた。防具はミスリルセットにして、カブトではなく簡単な鉢金にした。あまり高価なものにしなかったのは、まだまだ成長する筈なので、修業用として装備させたのである。
グレーテル王都に行って、最初にグレーテル国王陛下に面会を申し込んだ。昔は拝謁していたが、今は面会である。フェルマー王子は緊張しまくりだった。臣下の礼こそ取らないが、最敬礼だ。まあ、長幼の序からしても当然であろう。
カーマン王国を併合し、このフェルマー王子が大公爵として、カーマン連合州を統治することをグレーテル国王陛下に伝えた。ジェンキン宰相以下、皆が驚きの顔をしていた。無理もない。これで、南大陸は、ほぼゴロタ帝国になってしまったからだ。しかし、それに反対する理由は一つもなかったので、お祝いを述べる事しかできなかったようだ。
王城を後にして、一旦、グレーテル市ゴロタ帝国離宮に戻る。昼食を食べることにする。丁度、ミキさんも食事のために帰って来ていた。レオナちゃんがいるので、お昼は必ず一緒に食べることにしているのだ。
フェルマー王子は、美しいミキさんと半獣人のレオナちゃんを見て、顔を真っ赤にしていた。シズとノエル、ビラまでお昼に戻っていたので、なんだか、フェルマー王子の歓迎会のようだった。
明日から、早朝稽古はシズが見てくれるし、魔法については、ノエルとビラが指導することになっているので、それぞれに自己紹介して貰う。フェルマー王子は、美女、美少女に囲まれ、大汗をかきながら挨拶をしていた。
ミキさんに最近の様子を聞くと、来年春、王立音楽大学に飛び級進学するそうだ。まあ、年齢からいっても、少し遅れている位だから喜んであげよう。将来は、音大の教授か歌手か迷っているそうだ。大学に進学したら、音楽プロヂューサーと専属契約をして、歌手デビューし、歌手活動と学業を両立させれば良いと助言してあげた。
食後、王立冒険者ギルド総本部へ行く。例の能力測定だ。機械の前に座って、測定してみた。
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【ユニーク情報】
名前:フェルマー・テーリ・ド・カーマン
種族:人間族
生年月日:王国歴2016年09月19日(12歳)
性別:男
父の種族:人間族
母の種族:人間族
職業:王族
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【能力】
レベル 3
体力 10
魔力 10
スキル 40
攻撃力 10
防御力 10
俊敏性 10
魔法適性 火 聖
固有スキル
【威嚇×】
習得魔術 なし
習得武技 なし
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レベルとしては、こんなものだろう。フェルマー王子は、体力、魔力よりも智力で勝負する方が合ってるのかも知れない。しかし、将来の獲得スキルに『威嚇』があるのは、楽しみだ。王族男子としては、絶対に有利なスキルだ。
次は、タイタン市に戻って、タイタン学院大学付属初等部6年の転入試験だ。ドミノちゃんと同じクラスになれば安心だ。本人は、当然、学校に通った事など無いが、家庭教師からは、既に高校レベルの授業を受けているみたいなのだ。
試験の結果、学科試験は、中学生レベルまで満点だったらしいが、体力検査では小学3年生レベルだったそうだ。うん、それでいい。これから鍛えるのだから、鍛えがいがあると言うものだ。
取り敢えず、ドミノちゃんと一緒のクラスにして貰う。同じ別館に住んでいるので都合がよかった。母親のデミアさんもいるので、しっかりしつけて貰いたい。
翌朝、午前5時、本館の裏庭に来て貰った。剣術の早朝稽古だ。シズちゃんも来ている。ゴロタは、木刀の大剣を出した。持たせてみると、剣先がプルプル震えている。重たいのだ。大人でも、持つのがやっとの重さだ。12歳の少年が持てる訳がない。
構わずに持たせた。左手を手前、右手を剣先側に持つ。間は、こぶし2つ半だ。左手は、自分のお臍の前あたりにゆっくりと構えさせる。次に、右足と左足のバランスよい立ち方を教えてから、足さばきの練習だ。その際、絶対に腕に力を入れてはいけない。自然と、剣が、左右前後に動くように足さばきをする。最初からできる訳が無かった。できなくても良い。兎に角、慣れることだ。30分もやったら、ぶっ倒れてしまった。これは、先が思いやられる。
学校が休みの時は、カーマン王国内の行脚とダンジョンの攻略をしてみようと思う。とりあえず、実戦経験を積むことで、実力アップを図って行く予定だ。
今日は、シルフとともに、カーマン王国の衛士隊本部に行く。本部長は、北方の領主持ち貴族だが、何故か衛士隊の本部長をしている。名誉職ではあるが、領主持ち貴族がなるポストではない。衛士隊本部は、繁華街のど真ん中にあるが、周辺の風紀は最悪である。ゴロタとシルフが歩いていると、下卑た視線や言葉が浴びせかけられる。しかし、完全無視をして衛士隊本部の前まで来た。入口の前には警戒の衛士が2人立っているが、娼婦を相手に無駄口を叩いている。隊本部の中に入ろうとしているゴロタ達に気づいて、前に立ちはだかる。
「お前たち、どこに行く。本部の中に入りたければ、俺様の許可を得てからしな。」
口調は、まったくのゴロツキだ。驚いたことに酒臭い。まだ陽も高いと言うのに、もう酒を飲んでいるようだ。
「本部長に会いにきた。僕は、ゴロタ、今度この国の皇帝になった者だ。」
「へ、おめえが皇帝、なら俺は国王だ。本部長様がおめえなんかに会うもんか。帰んな。」
話にならない。ゴロタは、構わず隊本部の中に入って行った。後ろから、追いかけてこようとする気配があったが、急に静かになった。
そのまま、真っ直ぐ本部長室に向かった。皆、ゴロタ達を見ているだけだった。
本部長室のドアをノックした。中から怒鳴り声がした。
「誰だ。誰も入るなと言っているだろう。」
ゴロタは、構わずドアのカギを解錠して、部屋の中に入った。中では、本部長と思われる50代の男性が、ソファで若い女性を下にして、腰を振っている最中だった。
ゴロタ達が入って来たことに気づいた男は、慌てて立ち上がり、ズボンを引き上げた。女も慌てて床に散らかっている服を体に巻いて、部屋の奥に逃げて行った。
男は、大声で部下を呼ぶが誰も入って来ない。シルフが、女に早く出て行くように指示した。
女が出た後、ゴロタは、そのまま本部長のデスクに座った。本部長はベロン伯爵という男で、一昨日、王城内の謁見の間で、挨拶を受けた男だ。
「ベロン伯爵、これはいかなる仕儀ですか?執務室での所業、本部長としての品位と職責を蔑ろにしております。この時点で、職務を解任します。明日、王城に出頭して下さい。」
ベロン伯爵、悔しそうな顔をしているが、直ぐに泣き顔になった。ゴロタが、強く『威嚇』をかけたのだ。そのまま本部長室の金庫を開けて中を確認したところ、金貨の山だった。金庫ごとイフクロークに収納する。
次に、衛士達を10人ずつ本部長室に入れる。一人一人、今までの悪行を自白させる。隊員は、『威嚇』の効果で、嘘がつけない。正直に自白している。全て、シルフが記憶している。
隊員達を、現任務続行者、職を失う者、逮捕される者に分けた。さっきの門番は、強姦罪で逮捕だった。
本日の隊本部勤務者300名の衛士の内、60名が逮捕され、70名が免職となった。残った170名の中で、最上位階級者はドロー大佐だった。以前、人身売買組織を殲滅したときに、一緒に行動していたこともあり、よく覚えていた。あの頃から、衛士体の中では、悪徳衛士と憂国の衛士に分かれていたらしい。彼を本部長に任命し、残りの隊員300名の処分を一任した。
不足している衛士達は、タイタン州から応援を貰う。また新規隊員を募集しなければならない。聞けば、長年、新卒採用は無く、情実の中途採用ばかりだったそうだ。当然、衛士隊のレベルに至らない者ばかりが採用されて来たそうだ。
衛士学校は、長年使われていなかったが、養成費を着服するため、施設と事務員は維持されていたらしい。早速、来年4月採用の新卒試験と、1月入校、4月実戦配備の中途採用をお願いした。
これから国内の全市を対象に選別しなければならないが、クレスタが応援することになった。ゴロタには分からないが、電極を両腕に貼って貰うと、相手が嘘を言っている事が判明するらしい。では、明日から、まず隊本部員の選別から応援して貰うことにした。
ああ、これからやる事が多そうだ。
これからカーマン州連合を浄化していくのは大変です。