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第35話 魔法セミナー校長 マーリング

ゴロタの魔法習得は順調なようです。でもノエルさん、教えることが無くなったようですが、大丈夫ですか?このまま、ゴロタ達は、旅に出てしまいますよ。

(3月25日です。)

  僕は、毎日、日の出前に起き出して、『ベルの剣』を持って裏庭に行く。裏庭では、最初にイフちゃんを呼び出す。『ベルの剣』を抜き、真っすぐ水平に前に突き出し、『出でよ、イフちゃん。』と念じる。本当は、『出てくれ。』と念じるだけでいいらしいのだが、最初に召喚した時の雰囲気が好きだったので、呼ぶときはこう念じている。


  一瞬、剣が赤く光り、赤い吊りスカートを着たイフちゃんが姿を現わす。これで、剣の中にイフちゃんはいなくなり、『ベルの剣』は単なるショートソードになった。それから、剣を水平にしたまま、剣に魔力を流し込む。最近は、すべての魔力を次々に流し込むことができるようになった。


   赤色   火

   青色   風

   橙色   土  

   緑色   水

   薄青色  氷

   青白色  雷

   白色   聖

   黒色   闇


  魔法属性により色は変わるが、魔力の大きさで、光の大きさも調整できるようになった。例えば赤色なら、最初、徐々に刃体が赤く光り、段々光が大きくなるとともに、赤色が強くなり、最後は、炎のように揺らぎながら刃体を中心に光り続けている。その後、徐々に小さく弱くし、最後は何事もなかったように静かに消え去る。この動作を、各魔法属性毎にやっていく。すべて終わるのに、40分位かかってしまう。


  次に、明鏡止水流の『小太刀の型』を練習する。途中、剣を振り下ろしたり、振り上げる時に、それぞれの魔法を少しだけ剣に流し込んで放つ。魔法は、ほんのちょっとだけ、剣を離れてから消えていく。この型の練習を約50分やってから、軽く汗を拭いて、部屋に戻る。


  部屋に戻ると、シェルさん達がすでに起きている。さすがに、寝ているときの姿ではない。シェルさんは、寝間着上下をきちんと着ているし、エーデル姫は、洗濯をして綺麗なブラジャーをして、ネグリジェの上下をちゃんと着ている。でも、決して、普段着の服に着替えようとはしないのは何故だろう。


  僕は、さっそく朝食の準備をする。フライパンで卵と燻製肉のスライスしたものを焼き、薄切りパンを鉄板の上に載せて、上下から焼く。焦げ目がついたら、バターとシナモンを付けてお皿に載せていく。スープは作り置きのコンソメで、玉ねぎをスライスして加えてから温め直したものである。イチゴジャムとブルーベリージャムは僕の特性で、牛乳を発酵させてドロッとしたものに混ぜて食べるようにしてある。


  あと、チーズスライスと、季節の生野菜を添えて、朝食の準備終了。


  火魔法を覚えてから、本当に料理が手早くなった。一瞬で、温かくなるし、食材の中から温めることもできるので、応用が広くなった気がする。


  朝食を食べ終わると、シェルさん達は、ギルドへの出発準備だ。シェルさんは、いつもパンツ一つになってから、装備品を着装するのだが、その間、僕は台所の流しの方を向いて洗い物をしているので、まったく気にならない。


  たまに、後ろを振り向くことがあるが、その時のシェルさんの態度は、まったく平然、どこを見られても平気と言う感じなので、僕の方が恥ずかしくなる。エーデル姫に悪い影響を与えなければ良いのだが。


  出発前、シェルさん達とキスの時間だ。キスの順番は、毎日、交代である。とにかく、出発の時のキス、お帰りのキス、そして寝る前のキスと1日3回キスをするようになった。僕は、そんなにキスしたいと思わないが、女性は僕とは感覚が違うのだろうか。特に、夜のキスは、とても長いし、キスしている間、両足をモジモジ動かしていることがよくあり、トイレに行きたいなら早くいけば良いのにと思うことがある。


  二人が出発してから、掃除、洗濯そして魔法書の勉強だ。最初に買った本は、ほとんど読み終わってしまい、今、読んでいるのは『一から始める召喚魔法』と言う本だ。召喚魔法に必要なのは、詠唱と魔法陣、それに召喚に必要な媒体らしい。しかし、僕には召喚魔法をうまくやれる自信がない。なぜなら、召喚してもコミュ障だと、召喚獣に命令することができないことがあるかもしれない。それで戦いになり、召喚獣に殺されたんでは話にならないからだ。


  最近は、魔法セミナーにあまり行かなくなった。ノエル先生が、ゴロタに教えることが無くなったからだ。でも、月謝はちゃんと払っている。月謝を持って行った時の、ノエルさんの笑顔を見ると、もう来ないとは言えなかった。


  午前中の読書もひと段落し、お昼の準備でもしようかと思っていたら、ドアを叩く音がした。ゴロタは、嫌だなと思った。お客さんだったらどうしよう。シェルさんはいないし、どうやって話したらいいんだ。ここは、黙って居留守かな。そう思っていると、再度、ドアがノックされ


  「ゴロタ君、私、ノエルよ。いるんでしょ。開けて頂戴。」


  ノエル先生だ。何の用だろう。ドアを開けると、ノエル先生が一人で立っていた。


  「ちょいと、寒いでしょ。早く入れてよ。」


  外は、3月とはいえ、残雪が残る季節だ。確かに寒い。ノエル先生は、丈の短いワンピースに真っ白な羽毛入りのジャケットを着ている。履いているのは、膝まである黒いブーツだ。


  ノエル先生は、部屋に入ってくるときに、ブーツを脱ぐのに苦労していたが、そんなに苦労するのなら、もっと脱ぎやすい物を履けば良いのに。


  ノエル先生は、入ってきてから、スカートの裾を気にしながら、ダイニングテーブルの椅子に座って、部屋の様子を見ていた。


  「何か、この部屋、女の子臭い。女の子と住んでるの?」


  とても、誤解を招くような言葉だ。確かに住んでいるが、婚約者同士だし、なにもしていないし。キスは、挨拶のようなものだとシェルさんやエーデル姫も言っていたし。だから、その質問にはスルーしよう。ノエル先生に紅茶を出してあげた。うん、お湯だって、一人分だったら、すぐ沸くし。火魔法って、本当に便利だ。お茶を飲んだら、出て行ってくれるかな。若い男と女が、一つ部屋の中にいるって良くないとシェルさんが言っていた。でも、ノエル先生は、ちっとも気にしないで、用件を言った。


  「そうそう、私のお師匠さんが帰って来たの。それで、裏の大穴を見て、直ぐ、ゴロタ君を連れて来いって。」


  え、それって、もう弁償終わっているし。これ以上、何か払えっていうのかな。また、シェルさんに怒られる。


  「さあ、早く行きましょう。準備して。」


  ノエル先生が、隣に来て、僕の腕を引っ張る。あの、スカートがめくれあがって、見てはいけないものが見えているんですが。僕は、見ていなかった振りをして、厚めのジャケットを着て、『ベルの剣』を帯剣し、出かける準備を終えた。


  魔法セミナーまで、ノエル先生と一緒に行ったが、何故か、ノエル先生が腕を組んで離れてくれなかった。ノエル先生は、13歳とはいえ、結構発達しているので、左腕に当たるノエル先生の胸が気になるのですが。


  魔法セミナーに到着すると、さすがにノエル先生は、腕を離してくれた。さも、残念そうに。そして、先に店に入ると、大きな声で


  「師匠、ゴロタ君を連れてきました。」


  と叫んだ。師匠は、裏口からゆっくりと入ってきた。


  師匠と呼ばれるマーリング校長は、年齢50歳位、身長160センチ位、かなり太めの紳士で、僕のイメージとは大分違う。


  ゴロタのイメージする校長先生って、背が高く、鷲鼻で、白い髭が胸まで伸び、三角帽子に黒いマントを着ている老人だが、そのイメージって、きっと何かで見た人物だろうと思う。


  マーリング校長は、僕をジッと見てから、僕の右手の掌をジッと見ていた。次に、左も同じように見てから、体をポンポンと両手で確認しながら、最後は、背中を力を込めて撫でていた。


  この人、変な趣味の人じゃないよねと思ったら、最後に、僕の頭の左右を撫で始めた。僕は、そこを撫ぜられるのが嫌いだったので、嫌な顔をしたが、校長先生は、構うことなく撫で続けた。


    「ふむ、ふむ。」


  と言って、僕に裏庭に来るように言った。


  校長先生と、僕、ノエル先生の3人で裏庭に行くと、ゴロタに、剣を抜いて、魔力を流し込むように言われた。


  え、剣の中にはイフちゃんがいるので、今は無理です。頭の中にイフちゃんの声が聞こえた。


  『ゴロタよ。大丈夫じゃ。問題ない。』


  イフちゃんがそう言うなら大丈夫か。僕は、毎朝、家の裏でやっている訓練をここでやって見せた。ノエル先生は、吃驚したような、うっとりしたような目をしていたが、校長先生は、鋭い目つきで剣先を見ていた。


  すべてが、終わり、剣を納めると、その剣を貸してくれるように言われた。


  剣を貸してはいけないとは、誰にも言われていないので、黙って、鞘ごと渡した。校長先生は、剣を抜き、剣を前後に振っていたが、剣はなかなか光らず、何回かの後、最後に薄く光っただけで、直ぐに光は消えてしまった。校長先生は、大きくうなずきながら、ゴロタに剣を返してくれた。


  2階に上がってから、校長先生は、いろんな事を教えてくれた。まず、僕のことであるが、僕は、今、15歳である。しかし、人間でいえば、10歳程度の発育状態であること。これから、5~10年近くを掛けて大きくなるので、本当の成人は、25歳位だと考えておくようにといわれた。それって、発育不良ではないですか。つまり、結婚も20歳位にならないと、肉体的にできないとのことだった。


  僕は、肉体的に結婚できないという事が、どういうことかよく分からないが、きっと、まだまだ子供時代が続くという事だと思った。次に、種族についてだが、僕の種族は、今は存在していない古の種族だという事だった。


  両親は、それぞれに現実世界では存在が難しいことから、父親は魔人を、母親は人間を依り代にして、結婚したものと考えられると言っていた。


  そして、これは大事な事だが、僕の両親が、生きているかどうかは、今のところ分からないというそうだ。と言う事は、死んだかどうかも分からないということになる。なんか、嬉しい。


  『ベルの剣』については、大魔法使いにして至高の創造者、ゼビアース様が作られし剣という事は分かっているが、現在は、魔力をほとんど有していない。


  しかし、僕の場合、魔法をどんどん込めることができるが、これは誰でもできることではなく、膨大な魔力を持っている者だけが可能であることらしい。最終的には、『あらゆる物を統べる剣』の依り代となるかも知れない剣であるとの事であった。

マーリング校長先生。あの有名な魔法学校の校長先生とは、大分イメージが違うようですが、結構、博識のようです。ゴロタの秘密を少しでも解き明かしてくれればよいのですが。

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