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第367話 不死身のダンジョン・ボス

いよいよ最下層です。エッチなダンジョンの最下層は、どんなんでしょうか?

(まだ7月1日です。)

  最終階層は、城塞エリアだった。ゴロタ達は、大きな城塞の入口に立っている。空はどんよりと曇っており、薄暗い。化けガラスが、枯れ木の上に止まって、君の悪い声で鳴いている。


  城門に至る橋の上を渡る。下の濠の中には、人間の死体が浮いている。いやな雰囲気だ。城門は閉じていたが、だれも見張りがいない。ゴロタが門扉を押してみると、『ギギ―』と音を立てて開いて行く。


  城壁の中に入っていく。ずっと先にはお城が見えるが、かなり距離がありそうだ。途中、住居なのか詰め所なのか分からないが、廃屋が並んでいる。普通に歩いていくと、1軒の廃屋の扉が開いた。見ると、黒髪の女性が立っている。しかし、何も着ていない。ハーピーとかニンフ、インキュバスではなさそうだ。極端に顔色が青白いこと以外は、普通の女性に見える。股間にも黒いものがちゃんと生えている。


  どうしたのだろうか。こんなところに普通の人間が住んでいるわけがないし、そもそも素っ裸というのがおかしい。


  その女性は、ゴロタのそばに近づくと、腕を首に回した。顔を寄せてくる。キスでもしかねない様子だ。シェルが、『ヘラクレイスの弓』を構えている。


  女性は、ゴロタの首筋を嘗め回してきた。ゾクッとする。その瞬間、『碧き盾』が出現し、女性が弾き飛ばされた。大きく開けた口には、鋭く伸びた犬歯が見える。


  彼女は、『バンパイア』だ。しかし、何故女性で、素っ裸なのか理解に苦しむ。絶対、このダンジョン、とてもエッチだ。


  ゴロタは、女バンパイアを『聖なる光』で包み込む。女バンパイアは悶え苦しみながら徐々に炭になっていく。最後は、土くれのようになって、風に飛ばされていった。1人にこんなに時間をかけていられない。次は、別の手を考えよう。


  次は、3人の女バンパイアだ。やはり、皆、裸だった。とりあえず股間の違いを確認していたら、シェルにどつかれてしまった。今度は、首を撥ねて殲滅しようとしたが、落ちた首は土になってしまうが、すぐ肩から首が生えてくる。首は致命傷にはならないようだ。


  ゴロタは、『オロチの刀』を抜いた。『聖なる光』を刃に込める。真っ白に輝いた刀を、女バンパイアの心臓めがけて突き刺す。さすがに、瞬間で土埃になってしまった。


  次々と女バンパイアを殲滅していく。しかし、数が多い。すべての廃屋に2〜3人はいるようだ。もういい加減、見飽きてしまったので、単調な作業になってしまう。


  扉から飛び出してくる。心臓を狙って刺しぬく。抜く必要はない。土埃になってしまうからだ。次の女バンパイアを刺し貫く。


  不思議なことに、女バンパイアはシェルを狙わない。中には、若い女バンパイアが、シェルを餌食にしようとするのだが、他の女バンパイアに叱られている。きっと、シェルには他の目的があるのだろう。見当はついているが、今はそれどころではない。次々と殲滅していく。


  恐れていたことが起きた。幼女のバンパイアだ。小さい。キティちゃんと同じ位かそれよりも小さい。当然、何も着ていない。しかし、どんなに小さくてもバンパイアだ。


  ゴロタの体によじ登って、首筋を狙ってくる。かわいいが、咬まれる訳にはいかない。ゴロタ全体を『聖なる光』で包む。ぽとぽと幼女バンパイアが落ちていく。あ、そんなに足をバタバタしたら見えちゃうよ。あ、見えてしまった。


  また、シェルに殴られてしまった。『碧き盾』が、シェルの攻撃を防がないのが不思議だ。この裏切り者盾め。


  ついにお城の中に入っていく。さすがに、このお城の中まで素っ裸の女バンパイアはいないと思ったら、メイド姿のバンパイアがいた。かわいらしいが、エブロンしかしていない。胸は完全に露出している。単に、前のモシャモシャを隠しているに過ぎない。そのメイドさん達が襲い掛かってくる。


  基本的には、屋外の女バンパイアと同じ処理だ。『オロチの刀』に『聖なる光』を纏わせて心臓を一突きだ。しかし、大広間いっぱいに広がっている。見る分だけなら、楽しいが、一人ずつ刺し殺してゆくのも飽きてきたので、『ホーリーランス』10本で、皆を刺し貫く。最後に『聖なる光』の大爆発だ。


  人間に怪我人がいれば、治癒されるのだろうが、あいにく誰も怪我をしていない。女バンパイア達は完全消滅してしまった。通常は、お城の塔屋の上にボスがいるのだが、ここは地下最下層のバンパイアエリアだ。絶対に地下に眠っているに違いない。


  ゴロタが先頭で、地下に潜る階段を下りていく。照明もなく薄暗い。ゴロタは暗視が効くので平気だが、シェルのためにライティングで回りを照らす。コウモリが、天井にびっしりだ。床は、コウモリの糞だらけかと思ったら、綺麗なものだった。おかしい、このコウモリ達ってもしかして。


  予感は、当たった。コウモリの群れすべてがバンパイアだった。コウモリが飛び回り、床に降り立つと同時に女バンパイアになってしまう。今度は、メイド姿ではない。普通の女性の姿だが、素っ裸だから普通ではないと訂正する。


  一斉にゴロタに飛びかかってくる。とても女臭い。脇の匂いと『あそこ』の匂いが混じった匂いだ。この匂いが好きな男もいるのだろうが、ゴロタは、それほど好きでもない。『聖なる光』を身に纏って、爆発させる。


    『ギャーッ!!!』


  女バンパイアが、一斉に飛びのける。シェルが、『ヘラクレイスの弓』で、10本ずつ連射しているが、まったく効果がない。通常の物理攻撃は無効のようだ。


  しかし、全裸の女に囲まれているゴロタを見て、じっとしていられないのだろう。半べそをかきながら、連射し続けている。うん、このダンジョン、絶対に女性の敵だ。


  仕方がない。ゴロタは、『瞬動』でシェルのところに行き、シェルを抱きかかえてから、体の奥の熱い力を開放する。だだっ広い地下室にミニ太陽が出現する。


  突然、現れた太陽により、すべてのバンパイアが一瞬で灰となってしまった。6000度の高熱だが、ゴロタの周りは、『碧き盾』が完全防御してくれる。もちろん、シェルも一緒だ。


  シェルを降ろすと、シェルは、涙を拭きながら『ゴロタ君の馬鹿。』と、怒っていた。女バンパイアに囲まれた時、ニヤついていたのを見られてしまったのだろう。男なら、それはしょうがないと思うのだが。きっと今日は、2時間正座だ。


  最下層のその下に潜っていく。と言うことは、このダンジョン、地下11階層が最下層なのだろうか。面倒臭いダンジョンだ。


  さすがに、もうコウモリはいない。気味の悪い石像が立っている。その奥に、棺が一つ、置かれていた。開けるのも面倒くさいので、火球を棺の中に出現させた。棺から、男が飛び出してきた。


    「あちちちちちちち!!!」


  吸血鬼だ。黒いマントが燃え上がっているが、すぐに消えてしまった。


  「何、しまんねん。人がよう眠っている時に、突然、火をつけるなんて、あんさん、人でなしやで。」


  吸血鬼に、「人でなし』とは言われたくないが、ゴロタは黙っていた。


  「あ、お姉さん、えらい別嬪さんやなあ。うちとこのスベタどもとは、偉い違いや。どや、嫁はんにならへんか?永遠の命、ごっつう好きやろ?」


  この馬鹿吸血鬼、ハイエルフが不死に近いということを知らないみたいだ。それに、さっきの女バンパイア達だって、そこそこ綺麗だったはず。それを『スベタ』なん

て、かわいそうに。


  「あれ、男連れでっかいな。そら残念。なら、その男を始末してしまいまっか。」


  突然、闇の力がゴロタの体を包み込んだ。動けない。初めての経験だ。魔法ではない。魔力と闇の力の混合だ。『蒼き盾』が、間に合わなかった。


  「それじゃあ、そのままミイラになってえや。」


  言うことが恐ろしい。このまま何百年も放置するつもりらしい。なぜ『碧き盾』が発動しなかったか分からなかったが、何とかしなければ不味い。


  『この力は、今まで経験したどの攻撃とも違うものだったので、反応がコンマゼロゼロゼロサン秒遅れてしまいました。次からは、完全防御となります。』


  シルフが、地上から念話で教えてくれた。無駄知識ありがとう。ゴロタは、相手が

『闇の力』ならと『聖なる力』で対抗する。体を包んでいた闇が霧散する。


  「あらあら、『聖』でっか?それならコレならどうや?」


  今度は、目の前に大きな渦が生じた。渦の真ん中には何も無い暗黒が広がっている。シルフの『念話』が、警戒音を伝えて来る。


  『ピコーン、ピコーン。重力場の変動を検知しました。エネルギー量10の24乗級です。時空間の綻びを強制的に封鎖します。』


  闇の渦は、消滅した。コレには、吸血鬼もびっくりしたようだ。


  「アチャー、コレも駄目でっか。ほな、仕方ありまへん。」


  吸血鬼の姿がブレたかと思うと、左側の首筋から『ギャン!』と言う音が鳴った。吸血鬼の右腕が、剣の刃のようになり、ゴロタの首筋を狙ったのだ。『蒼き盾』が防いでくれたから、無事のようだったが、全く見えなかった。


  ゴロタは、『瞬動』で跳び下がった。不味い。シェルと一緒だと、思うように動けない。ゲートを開き、シェルを投げ込んだ。目線は、吸血鬼から一瞬も話せない。シェル、ごめん。


  「ほう、あんさん、『空間転移』も使えるんでっか。まあ、あの別嬪はんは後でいただくとして、ほな、死んでもらいまっせ。」


  奴も『瞬動』が使える。ゴロタは、一瞬の予測で、右に避ける。左側に凄まじい剣風が巻き起こった。ゴロタが、左に袈裟斬りで打ち込む。奴の影を切っただけだった。後は、数合、奴の剣と打ち合う。


  「その剣、普通じゃおまへんなぁ?とっくに折れているはずやけど。」


  アダマンタイト鋼を鍛え上げた技物だ。欠けたり折れることはない筈だ。


  一瞬の隙をついて、ゴロタが「斬撃』を放つ。奴の身体が、縦に真っ二つだ。しかし、モヤモヤしたものが引き合い、直ぐくっついてしまった。狡い。とても狡い。


  こうなったら仕方がない。『オロチの刀』を納刀し、『紅き剣』を出現させる。何ものをも断ち切る剣だ。奴の顔色が変わった。


 「あんさん、そ、それ、もしかして、あの『紅き剣』でっか。それにさっきから見えているあの蒼いシールド、あれ、『蒼き盾』ちゃいまっか。あちゃー、あんさん、早う言うてえな。」


  奴の腕の剣が消えた。後ろに虚無の暗黒が現れた。


  「ほな、さいなら。」


  奴は、虚無の暗黒の中に飛び込んで行ってしまった。

いや、強すぎです。ヤバいです。このまま戦っていたら、大変な事になってしまったかも知れません。

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