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第365話 ダンジョンがありました。

魔物か盗賊、ゴロツキ冒険にはつきものですが、この大陸の魔物は別格のようです。

(6月30日です。)

  ベント州の州都、ヘンダーソン市に着いたのは夜の8時だった。この市は、城壁に囲まれている。城門は、もう閉まっており、市内に入る事が出来ない。西の大陸では、当たり前なのだが、此処では初めての経験だった。


  なんでも、近くにダンジョンがあり、夜間に大量に湧いてくるので、城門を閉めざるを得ないらしい。


  城門の外には、石造りの頑丈そうな簡易宿屋があり、そこで1夜を明かすらしい。それなら、この簡易宿屋と市内を繋げるトンネルでも作れば良いのにと思ったが、入場検査を24時間できないので仕方がないのだろう。


  簡易旅館と言っても、普通の旅館とあまり変わらず、部屋にはシャワー室があった。ツインを2つ取って、ゴロタとシェル、シルフとキティちゃんに分けたのだが、キティちゃんがゴロタと一緒がいいと言うので、いつものように、シングル二つをくっ付けて、ゴロタが真ん中で寝ることにした。


  夜中に、近辺を魔物が徘徊しているようだったので、イフちゃんに殲滅をお願いした。2〜3度魔物の悲鳴が聞こえたが、それから全く静かになった。暫くは近づかないだろう。


  翌日、市内に入ってから冒険者組合に行ってみる。それほど大きい街でも無いのに冒険者が溢れていた。依頼ボードには、沢山の依頼が貼られていたが、殆んどが魔物依頼それもダンジョンがらみのものばかりだった。


  ここで管理しているダンジョンは、危険度『A』クラス、これでは受注できる依頼が少なく、冒険者は仕事に溢れるわけだ。


  ゴロタは、一番報酬の多い依頼を受けることにした。例のダンジョンの攻略制覇だ。報酬は、大金貨1枚、依頼人は市長だった。


  ゴロタが、その依頼用紙をボードから剥がすと、周りの冒険者達が、『オーッ!』と言う声を上げた。


  この依頼さえクリアできれば、他の依頼はグッと楽になる。受付に行って、受注手続きをした。受付の女性は、可哀想にと言う顔をして、坦々と説明をしていた。


  ゴロタ達を見て、身長はあるが、どう見ても15歳位の男の子と同じ位の歳のエルフの女の子、あと二人の女の子達がポーターだったら、きっと1階層で敗退間違い無しと思われたのだ。


  今までの攻略情報を聞くと、2階層まで行って帰って来た者はいないそうだ。1階層は、ゴブリンエリアだが半端ない数のゴブリンで、それもゴブリンソルジャーの部隊だそうだ。


  街の北にあるダンジョンまでは、現在、馬車が無いので、徒歩で5時間、20キロ程の距離らしい。当然、ゴロタ達は、街を外れてから『タイタニック号』でダンジョンに向かう。


  ダンジョン入り口はすぐ見つかった。受付所や物品販売所の小屋が有るが、無人だ。ゴブリンやオークが徘徊しているのが見える。この調子では、ダンジョンの中は酷い事になっているんだろう。


  少し離れた所に着陸する。『タイタニック号』を回収してから、ダンジョン入り口方面に向けて、思いっきり『威嚇』を放射する。これで、低レベル魔物はショック死するだろう。


  先遣隊は、シルフとシェルだ。シルフは、迷彩の上下に鉄ヘルメット。変な眼鏡をヘルメットに付けている。暗視ゴーグルと言うらしいが、元々、能力は低いが暗視能力と索敵能力を持っているシルフには、絶対にいらない装備だ。腰のベルトには、丸い手榴弾をぶら下げている。

  シルフの一斉掃射の後、撃ち漏らしをシェルが殲滅する。物陰に隠れていても、シェルの『誘導射撃』の餌食だ。


  『威嚇』により、意識はないが、死んでいない魔物は、キティちゃんのBB弾の餌食だ。最後はゴロタの指鉄砲でトドメを刺す。


  ダンジョンの入り口まで、どの位の魔物を倒しただろうか。数えるのも面倒だ。スタンピード手前の状況だ。


  最初にダンジョンに入るのは、シルフだ。手榴弾のピンを抜き、ダンジョンの中に投げ入れる。3秒後、大爆発だ。その後、シルフが『MP5』を構えて入って行く。


  その後は、シェルフだ。『ヘラクレイスの弓』を構えながら、入って行く。キティちゃんも、子供用『MP5』エアガンを構えている。


  さっきから、キティちゃんのBB弾が、曲がりながら魔物に命中している。絶対『誘導』スキルだ。恐ろしい。


  ゴロタは、虫の息の魔物に、トドメを刺す。その前に、キティちゃんに攻撃させているが、もう何回スキルアップの発光があっただろうか?


  大して苦労せずに第4階層に来た。ここまでは、数は多いが脅威になるような魔物はいなかった。これからが本番だ。ここは森林エリアだ。大型の猫型魔物が樹上に潜んでいる。また猿型は、集団で襲ってくる。面倒臭い。


  ゴロタは、初めて『オロチの刀』を抜いた。進行方向180度の範囲で斬撃を飛ばす。樹々が倒れ、殆どの魔物達が殲滅された。生き残った魔物達が、ゴロタ達を目掛けて襲いかかる。当然、シルフとシェルの攻撃を受け、全て殲滅された。


  500m位先まで、見通しが良くなった。ダンジョンは、回復力が早いので、元の密林になるのも、あっという間だろう。


  その先も同じだった。何度か、『斬撃』、殲滅掃討を繰り返して行くと、4階層ボスエリアに到着した。ボスは、キメラの特殊個体だ。頭が七面鳥、首から下がライオンだが足が6本だ。尻尾は、コブラだが目が4つ付いている。


  七面鳥の首からは炎が吹き出され、コブラの尻尾からは毒霧が吐き出されている。シルフが、『MP5』を連射するが、白いシールドを張っていて、全て跳ね返されてしまう。


  シェルが『ヘラクレイスの弓』に通常の矢をつがえてを引き絞る。ヤジリが青く光っている。エアカッターを纏った矢が放たれる。シールドと矢が、ぶつかって光り輝いたが、矢が勝ったようで、シールドを貫通してキメラの肩に突き刺さった。しかし、致命傷にはならなかったようだ。


  突然、キメラの尻尾が毒霧を紫色の光線のように吐き出してきた。あ、間に合わない。


  「キャーッ!!」


  毒はシェル目掛けて一直線だ。シェルの持っている魔道具『赤きシールド』が、瞬間シールドを張るが、突き抜けてしまった。


  シェルの肩に命中した。腕が飛ばされ、毒で傷口が気持ち悪く膨れてきた。不味い。早く措置をしないと、毒が回って命が危ない。


  ゴロタは、体内の力を熱に変えて、キメラの頭蓋骨内に送ってやった。空間転移なので、シールドは効かない。キメラは、口から煙を吐き出しながら悶絶死した。


  すぐにシェルのところに走っていく。気を失っている。キティちゃんが泣き出していた。ゴロタは、シェルの体内に回っている毒素を念動で傷口から絞り出した。


  落ちていた腕も同じく、中の毒素を絞り出す。強力な毒素で、地上に落ちた毒液がブツブツと音を立てている。


  取れた腕を肩の傷口に当て、『復元』スキルを使う。

あっという間に、元通りになった。ゴロタが、シェルを抱きながら治癒していたため、シェルは、いつまでも目を開けなかった。もう気が付いていることは分かっていたが、抱き続けてあげた。


  キティちゃんが心配そうにしている。ゴロタは、『もう、大丈夫だよ。お姉ちゃんはどこも悪くないよ。』と教えてあげた。シェルさん、キティちゃんが心配しているから、嘘寝はやめましょう。


  キメラの魔石は、大きな毒魔石と火魔石だった。ドロップ品は、ポイズン・ダガーだ。装飾が素晴らしい。キティちゃんのミスリルナイフよりは、強力そうなので、キティちゃんに預けた。


  ミスリルナイフは回収した。このダガー、とても危険なので、むやみに抜かないように注意しておいた。


  地下5階層は、山岳エリアだ。とても険しい山道を進む。道を踏み外すと、深い谷に落ちてしまう。道は狭いし急坂で、皆で、命綱を結んで落下防止対策だ。


  キティちゃんは、ゴロタが背負って登っていく。空には、物凄く大きなコンドルが飛んでいる。翼幅20mはありそうだ。急降下で攻撃してくる。しかも何羽もだ。このダンジョン、とんでもなくデンジャラスなダンジョンだった。


  しかし、シールド等の特殊能力はないようだったので、シルフとシェルの餌食だった。キティちゃんもゴロタの背中でBB弾を打ち続けている。このBB弾、30mは飛んでいるようなのですが、子供に持たせてもいいのですか?


  BB弾が何発か当たっているのだが、驚いたことに、当たった個所が小爆発を起こしている。コンドルにとっては、きわめて小さな爆発だが、明らかに嫌がっている。おもちゃの『MP5』が赤く光っている。このスキルって、いったい何だろう。でも、コンドル達に有効なら、あまり考えないことにしよう。


  山の頂上には、大きな巣があった。営巣しているのは、ワイバーン特殊個体のつがいだ。色が紫色だ。とても嫌な気がする。ゴロタの予想は大当たりだった。1匹のワイバーンが飛び上がり、上空から毒霧を浴びせて来る。


  ゴロタ達は、あらかじめ、『蒼き盾』で防護していたので、まったく攻撃を受け付けない。


  シルフが『MP5』で攻撃するが、上空に向けているので、威力が半減され、ワイバーンの固い皮を貫通できないようだ。どれだけ固いのだろう。


  シルフが『ヘラクレイスの弓』を構える。10射全矢が命中する。さすがに、これは痛いようで、錐もみ状態で落下するが、致命傷ではなかったようで、途中から大きく翼を羽ばたいて、体勢を持ち直した。


  シルフが『MP5』に変なものを付けている。短い銃身の下に、筒のようなものをつけているのだ。


  シルフが『M203』と呼んでいるが、何に使うのか分からない。それをワイバーンに向けて、何かを発射した。シュルシュルと煙を引きながら飛んでいく、ワイバーンに命中したと同時に爆発した。


  さすがに、ワイバーンも耐え切れず、胸に大きな穴を開けて谷底に落ちていった。山頂のもう一匹のワイバーンが飛来してきた。同じく毒霧攻撃だ。あとは、急降下での爪攻撃だ。うん、完全に防御している。


  ゴロタが、心臓の中から火球を爆発させる。錐もみ状態で落ちていくワイバーンをイフクロークの大きな裂け目が待ち構えていた。


  この紫色のワイバーン、大金貨10枚以上でオークションにかけるつもりだ。


  ドロップ品は、またポイズンダガーだった。嫌な予感がする。

久しぶりに命の危険に直面しました。これからが心配です。このダンジョン、またドロップ品は単一のようです。

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