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第358話 ダンジョンって、どこも同じ?

ダンジョンは、どこも一緒だと思いますが、ここはちょっと違うかも知れません。

(6月6日です。)

  今日は、ダンジョン行きの馬車が無いので、明日、ダンジョンに行く事にした。取り合えず、ホテルを予約する。何か、昔を思い出す。


  街で一番大きなホテルに入る。大きなザックを背負って、如何にも旅行者と言う感じの3人に、ドアマンやポーターも近づかない。


  フロントで、部屋を予約する。スイートにしようかと思ったが、ここは、初心に返り、ダブルに追加ベッドだ。銀貨2枚半だった。荷物を部屋に置いてから、街の観光に出る。


  シェルは、洋服店や宝石店を見て歩く。小腹が空いたので、スイーツを食べることにした。マンゴーやバナナ、パイナップルなど南国の果物が豊富だ。


  シェルは、大きなガラスのコップに入ったトロピカルドリンクを頼んだ。あのビビットな緑色、絶対に気持ち悪いものが入っているはずだ。


  シルフは、水だけだ。水は、冷却用に使うらしい。その後、エーデル達へのお土産を探したが、大したものは無かった。


  シェルは、いつものように大量の洋服を買っていた。しかたが無いので、イフクロークにしまって上げた。昔は、旅行鞄に入る分だけの荷物しか持てなかったが、いつからこうなってしまったのだろう。不思議なことに、この国でもミニスカートは一般的だった。


  夕食は、ホテルのレストランで食べる事にした。シルフは、またタイタン離宮に戻っている。最近、夜はいつもそうだ。ディナーは、まあまあだった。牛肉だと思うが、少し硬かった。きっと肉牛の育て方が違うのだろう。海鮮料理は、非常に美味しかった。この付近に海があるのか分からないが、新鮮なまま輸送する手段があるのだろう。


  シェルは、久しぶりのベッドなので、今日はゆっくり眠ると言っていた。うん、この頃ずっと夜のセレモニーが続いているので、今日は早く寝ましょう。


  次の日、朝食も早々にホテルを出た。今日も止まる予定なので、連泊予約をしている。荷物は、部屋に起きっぱなしだ。


  ダンジョン行きの馬車を待っていると、ここでもポーター志望の子供達が寄ってくる。中に、小さな女の子がいたので、その子を連れて行く事にした。


  男の子達が、『そいつはグズで力もない役立たずだ。』と言っていたが無視した。その子の分まで馬車代を払って一緒に乗る。いつもは、馬車の後を走って付いて行くらしく、ビックリしていた。一緒に、男3人のパーティーが乗ってきたが、ポーターの男の子は、後ろから走って付いてきている。


  馬車で1時間、ダンジョン入り口に到着した。ポーターの女の子の名前は、『キティ』と言うそうだ。肌は少し褐色だが、大陸の少女が真夏に日焼けした程度の色だ。身長は、かなり小さく120センチは無さそうだ。髪の色は銀色だが、薄汚れて灰色に見える。目は透き通った青色でクリッとしている。腰に、肉捌き用のナイフを差しているが、如何にも安物と言う感じだった。


  年齢を聞くと、今、12歳だそうだ。しかし、どう見ても7〜8歳程度にしか見えない。この国では、10歳からポーターが出来るそうだが、証明も要らないので、もっと小さい子もいるようだ。


  ポーターの契約料金は、1日大銅貨4枚だそうだ。必ず前金で渡すことになっている。後で払わない冒険者もいるので、用心のためだそうだ。


  馬車で一緒だったパーティーが、ポーターを怒鳴っている。遅いのに苛立っているみたいだ。ポーターの男の子が可哀想だが仕方がない。ゴロタ達は4人でダンジョンに潜る事にした。ダンジョンの受付で、職員に3人分の手数料を払う。ポーターはポーター証を見せるだけでOKだ。


  第1階層は、冒険者で一杯だった。直ぐに第2階層に降りる。少し、冒険者達が少なくなったが、まだまだ多い。至るところで、ゴブリンやオークと戦っているが、スルーした。


  第3階層に降りる所で階層ボスが現れた。あれ、誰も倒していないのかなと思ったが、倒しても再出現までの時間が短いらしい。


  階層ボスは、オーガだったが、シェルの3連射で、倒してしまった。キティちゃんが、直ぐに魔石を回収して、ゴロタに渡そうとしたが、持っているように指示した。


  キティちゃんは、ビックリしていた。下らない鉱石や重い魔物の武器は持たせるのに、魔石のような貴重品は、絶対にポーターに持たせないのが常識なのだ。それは、魔石だけ持って逃げられるのを防ぐためだ。勿論、ゴロタは、そんな下らない魔石など欲しくもない。


  第3階層は、蜥蜴ゾーンだ。あらゆる蜥蜴が出現する。大きさも犬程度から、馬位の大きさまでマチマチだ。シルフが『MP5』の3連射で殲滅していく。キティちゃんが、気持ち悪いのを我慢して魔石を回収しようとしていたが、回収しなくて良いと指示した。『へ?』と言う顔をしていたが、シェルがニッコリ微笑んで、


  「私達は要らないけど、キティちゃんが欲しければ回収しても良いわよ。」


  と言って上げた。キティちゃんは、『有り難う。』と言って、大きな蜥蜴の魔石だけ回収していた。


  階層ボスは、サラマンダーだった。炎を吹き掛けてきたが、ゴロタ達はるか全くダメージを受けない。エネルギーを放射して、熱を跳ね返したのだ。シェルが、『ウインドカッター』を放った。極大級の『ウインドカッター』だ。サラマンダーは、真っ二つになって沈黙した。ミスリルナイフがドロップした。


  全て、キティちゃんに上げると言ったら、泣き始めてしまった。シェルが、『どうしたの?』と聞いたら、去年、お兄ちゃんがこのサラマンダーに殺されたらしい。


  その仇を打てて嬉しかったらしいのだ。お兄ちゃんは、ポーターだったけど、質の悪いパーティーに誘われたらしい。良くある話だった。初心者の冒険者やポーターを囮に使うつもりでパーティーに誘うのだ。


  感傷に浸っている暇はない。直ぐに、第4階層に降りていく。ここは、昆虫ゾーンだ。シェルとキティちゃんが震えている。シルフは、平気そうだ。当たり前だ。


  ここの昆虫は、地を這い、死肉を喰らう蟲ばかりだ。特に、あの黒いGが群れて羽音を鳴らしている。もう、殲滅しかない。


  ゴロタは、小さな火球を蟲すれすれに移動させる。一瞬で、蟲達は灰になっていく。G以外にも脚の多い蟲やグニョグニョの蟲など全てを焼き尽くす。


  上からは、羽蟲が襲ってくるが、これはシェルが『ストリーム』で、地上に叩き落とす。それで、ゴロタの炎を浴びるのでは、あっという間に全滅だ。


  階層ボスは、大ムカデだ。とてもデカイ。ゴロタが、『飛翔』しながら、『オロチの刃』で、一節ずつ切り離していく。60節位切ったら、動かなくなった。魔石は、頭の節に有るようだ。ドロップ品は、ミスリルナイフだった。あ、あのパターンかな?


  第5階層は、バンパイヤゾーンだ。ありとあらゆる吸血生物が出現する。ヒルにノミ、シラミ、南京虫。ダニに蚊にブヨ。それが、人間の頭くらいの大きさで、攻撃してくる。シルフの『MP5』が火を噴く。気持ち良いくらいに粉々になって行く。


  階層ボスは、正真正銘のバンパイヤだった。ゴロタの『ホーリーゴスペル』で、土塊になってしまった。真っ赤な魔石とミスリルナイフはキティちゃんにあげた。


  第6階層は、シーサイドゾーンだ。いつものクラーケンは出てこない。『あれ?』と思ったが、出現したのは、大型フナムシだった。


  大型と言っても、全長3mも有るとキモい。こんなのばっかりだ。甲羅が硬そうだったので、中からコンガリと焼いて殲滅した。エビの焼いた匂いが漂うが、フナムシだから、絶対に食べない。シェルが、帰りたいとベソをかき始めた。


  階層ボスは、全長5mも有るサハギンだった。銛を次々に投げつけてくる。ウザい。シルフが、全身に9ミリ弾を打ち込む。全弾命中だ。青い血を垂れ流しながら絶命した。ドロップ品は、ミスリルナイフだった。キティちゃん、ミスリルナイフと魔石でリュックが一杯になってきた。


  第7階層に行く前にお昼過ぎになったが、フナムシの焼けた匂いが充満しているので、取り敢えず第7階層に降りることにした。


  しかし、この選択は間違いだと直ぐに気が付いた。第7階層はゾンビゾーンだった。諦めて、一旦地上に戻ることにした。ゲートを使って、地上まで戻ると、キティちゃんは、最下層からの召喚石が、あそこにあったかなと不思議がっていた。


  お昼は、ホテルで準備して貰ったサンドイッチだ。シルフの分をキティちゃんにあげた。キティちゃん、サンドイッチの美味しさに感動していた。


  ダンジョンの受付に回収品を預けたが、午前中だけで第6階層までクリアした事に驚いていた。


  食後、第7階層に転移した。予め、全員の体の周りをシールドで覆っていたので、匂いは平気だった。シルフの『MP5』の点射で、確実にゾンビの頭を吹き飛ばして行く。ゾンビは動きが遅いので、百発百中だ。


  階層ボスは、レブナントだ。シェルの弓矢は跳ね返してしまった。ゴロタは、熱を解放した。レビナントは、頭から徐々に炭になってしまった。真っ黒な魔石がコロンと転がった。ドロップ品は、ミスリルナイフだった。


  第8階層は、飛翔体ゾーンだ。大型蝙蝠や火吹き鳥達が空を埋め尽くしている。次々と上から急降下をしてくるのだ。シェルとシルフが、ホバリングしている飛翔体を撃ち落とす。急降下攻撃して来るものは、ゴロタの『斬撃』の餌食だ。


  階層ボスは、キメラだ。空を飛びながら、尻尾の蛇が毒を撒き散らす。ゴロタは、キメラの遥か上空から『オロチの刃』を突き出して急降下攻撃を仕掛ける。やられたらやり返せだ。キメラは、胴体で前後二つに分かれてしまった。赤い魔石が回収できた。ドロップ品はミスリルナイフだ。キティちゃんが、一生懸命回収している。


  第9階層は竜ゾーンだ。ワイバーンが数匹空を飛んでいる。地上には、大型蜥蜴のような竜が這い回っている。ワイバーン達はシェルの餌食だ。地上の龍もどきは、シルフが穴だらけにしてしまう。キティちゃんが、魔石を一生懸命回収している。


  階層ボスは、ワイバーンの固有種だ。久しぶりに見る。これは、大切にしないといけない。ゴロタが、とても小さな火球を、脳内で爆発させた。ワイバーンは、鼻から煙を吐きながら落ちてしまった。


  魔石を取り出してから、傷口を『復元』で塞いで、イフクロークに収納だ。魔石は、キティちゃんに上げた。

このダンジョンは、気味が悪いものばかりだ。女性は、嫌がるようですが、ゴロタは気にしません。

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