表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/753

第33話 チョコレートの日 危険な人達

  ゴロタは、一生懸命、魔法を勉強しています。今日、チョコを貰いまくりますが、決して作者の体験談ではありません。今日、チョコをくれた女の子の中に、次の旅に加わる子がいます。フフフン♪。

(2月14日です。)


  僕は、毎日、魔法セミナーに通った。シェルさん達は、イフちゃんを連れて、ギルドの依頼をこなしている。結構、お金を稼いでいるらしいが、興味がないので詳しいことは知らない。魔法セミナーも、初級の中盤くらいまで進んでいた。どうも、魔法というものは、理論を知らないと使えないらしい。


  ・魔法が発動する理論。

  ・呪文を構成する文法の理論。

  ・魔法と魔力の構造体理論。

  ・魔法陣に記載される絵図の理論。


  無駄に買わされた本の中に図解付きの理論書があったので、セミナーが終わってから、自宅で勉強した。セミナーのノエル・マーリング校長先生は、本当は、校長ではなく、セミナーの下の魔法具店の店員で、小さな子供相手の講師もしていることが判明した。ノエル・マーリングというのも自称の名前で、『ノエル』が本当の名前らしい。


  もっと驚いたのは、この子、13歳の女の子だった。でも、魔法は中級レベルまで使えるので、年齢からするとスゴイらしい。僕は、中級魔法というものがどういうモノか知らないが、ノエル先生が言うには、『ズバーッ、ドバーッ、シュビシュビ。』と言うくらい凄いそうだ。本当の校長先生は、マーリングといい、今、王国の用事で、他国へ出張中らしい。なんでも、元、宮廷魔導士をしていて、今でも、特別な任務などがあるらしいのだ。この店とセミナーは、退職金で建てたもので、町の子供達に、初級魔法を教えるのが目的だったらしい。


  僕は、いくつかの魔法を覚えた。


    ファイア・ボール


    ウインド・カッター


    ボルト


    ウオータ・カッター


    アイス・アロー


    アース・ブロック


    ヒール


    シールド


    ブラインド


  ノエル先生は、僕が新しい魔法を覚えて、使う度に驚いている。普通、魔法を使うのには、本人の適性というものがあり、精霊からの加護があって初めて使えるらしいのだ。しかし、僕には精霊の加護などない。あるかも知れないが、頼ったことが無いので分からない。


  魔法の構造が分かれば、あとは魔力をその構造体に流し込んでやれば発動する。なんとなく、そんな気がした。『魔法の構造体』という概念をノエル先生に伝えたところ、不思議な顔をされた。あ、決して話して伝えたのではなく、自宅で勉強しているときに書いたメモを見せたのだけど。


  僕が、最も不得意だったのは、呪文の詠唱だった。ノエル先生に見られていると、どうもうまく言えない。必ず、途中で噛んでしまうのだ。だから、ほとんど声を出さずに、口の中だけで詠唱をしてみたら、うまく行った。無詠唱とは違う。口内詠唱だ。


  後は、初級魔法の威力アップと中級魔法以上の習得だが、中級魔法は、店の裏の修練場では、狭くて使えないそうなので、魔力を制御できない場合は、詠唱の訓練だけをするのだそうだ。当然、僕は直ぐに制御のやり方をおぼえてしまった。上級魔法は、ノエル先生も使えないので、種類と構造を本から学ぶのだが、肝心のところは、秘伝らしく本に記載はない。3月になると、校長先生が帰ってくるから、その時に教わることにしよう。





------------------------------------------------------------------------------------------

  2月も中旬になった。そう、あの2月14日、多くの男性ががっかりし、多くの女性が夢破れる日である。王国でも、この日だけは、女性から愛を告白できる日とされている。しかし、僕は、シェルさんとエーデル姫に婚約を迫られてはいたが、僕から告白をしたことはない。


  いまさら、二人から愛を告白されても『はい、そうですか。』である。この日、シェルさん達は、ギルドにもいかず、朝から、一生懸命、何かを作っている。台所の上と、ダイニングテーブルの上は、色々なものが散らかり、ひどい有様だった。しかし、僕には、早くセミナーに行くように言われたので、気になりながらも家を出た。あまり、家を汚さないで貰いたい。掃除するのは僕なんだから、と思いながら。


  セミナーに行く途中、キキちゃんに会った。久しぶりである。キキちゃんは、何か綺麗な包みを持っていて、顔を真っ赤にして、僕にくれた。貰う理由もないが、断ったらいけない気がして、受け取ることにした。キキちゃんはホッとしたのか、物凄く嬉しそうにして帰っていった。


  セミナーに着くと、本を見ながら中級魔法の練習をする。ノエル先生は、最近はほとんど教えてくれない。いつも、下の店で店番をしている。今日は、中級魔法の内でも威力の高い、サンダー・ストームの練習だ。魔力の注ぎ方を10分の1にしているので、近くの立ち木が消滅する程度で済んだ。


  セミナーが終わって帰るとき、ノエル先生から、可愛らしい包みを貰った。顔が真っ赤にまなっていた。貰う理由が分からなかったが、『ありがとう』と小さな声で言って受け取った。


  そう言えば、ノエル先生、今日は朝から、ソワソワしていたな。服装だって、いつもの黒のフード付きマントでは無く、真っ赤なセーターに、ピンクのミニスカートだったし。何か、太股が眩しかったような。


  ノエル先生は、まだ13歳なのに、胸だってシェルさんより、全然あるし。エーデル姫には負けるけど。それに、フードを脱ぐと、黒い髪が背中まで真っ直ぐ伸びていて、王国には珍しい色だなと思った。


  何でも、母親が東の海の向こうの人だったらしい。今、両親は、王都の東の方の村で暮らしており、パパは教会の牧師を、ママは治癒師をしているといっていた。


  今日の勉強が終ったので、セミナーを出たら、金髪に青い大きな瞳の可愛らしい女の子が、外で待っていた。真っ赤な外套が、人目を惹く。冬だし、寒かったろうと思ったが、その子が何処の誰か全く分からなかった。




  「ゴロタ様、スターバの娘、ジェリーです。これ、私の気持ちです。受け取ってください。キャッ!」


  ああ、あの子だ。思い出した。あの残念な子だ。僕は、その子が差し出した綺麗な包みを受け取った。そうしたら、その子が右手を差し出してきたので、何かなと思っていたら、真っ赤になって、じっとこちらを見ていた。


  「あ、そうか!」


  と思って握手をしてあげた。また、『キャッ!』と言って、走って馬車の方に走っていった。自宅の前で、つまり『カメの甲羅武器店』の前に来たら、シズさんが走って店から出てきた。手には綺麗な包みを持っている。


  「あの、これ。あ、変な意味じゃないからね。この前の聖夜の日のご馳走のお礼だから。」


  と言いながら、包みを差し出した。顔が真っ赤だったが、気にしないでおこう。


  「どうも、ありがとう。」


  小さな声で言ったら、店の中に走って入っていった。家に帰ったら、ジェーンさんが家の中にいて、皇后陛下、第一王女殿下そしてジェーンさんからのプレゼントだと言って、綺麗な包みを3つ渡してくれた。ジェーンさんに、夕食を一緒に食べないですかと、エーデル姫を通じて聞いたら、『フフ・・・』と怪しげな笑いを残して帰っていった。


  テーブルの上には、貰った包みを置いて、食事の準備を始めた。包みは全部で7個あった。シェルさん達に、誰から貰ったのかを聞かれたので、教えてあげたら、キキちゃんとジェリーちゃん、そしてシズさんが怪しいと言っていた。何が怪しいのか分からない。ノエル先生は、講師としての義理だろうと言っていた。義理でも、何かくれるのは嬉しい。


  今日の夕食は、久しぶりに肉のミンチ焼きにした。豚と牛の肉を細かく刻み、玉ねぎとパン粉を混ぜて、お団子にし、フライパンで焼くのだ。そのとき、パンパンと手の平にたたきつけて、中の空気を抜かないと、焼く途中で破裂してしまう。焼き汁は捨てずに、トマトとハーブを入れてワインを足してソースを作った。どこかの国では、ハンブルクとかハンベルクというらしいが、僕にはよくわからない。


  食事を終えて、食器を片付け終えたら、シェルさん達がプレゼントがあると言って、後ろを向くように言われた。僕は、何か分からないまま、後ろを向いたら、何やらゴソゴソしている。振り向いて良いと言われたので、振り向くと、綺麗な紙とリボンで包まれた物を渡された。僕が、黙って受け取ると、『こういう時は、感謝のキスをするのよ。』と言われた。僕は仕方なく、シェルさんからキスをした。


  すぐに離れようとしたが、シェルさんは、話して話してくれなかった。そればかりか、唇だけのキスのはずなのに、舌を入れようとしてくる。僕は、なんとなく、それを許すと大変なことになると思い、キッと唇を噛んで、阻止した。5分以上、攻防が続いてから、諦めたシェルさんが離れてくれたが、顔が真っ赤で、目がトロンとしていた。


  続いて、エーデル姫の番だったか、全く同じ状況が再現された。エーデル姫の場合は、胸が攻撃的で、阻止する意識が飛びそうになったが、ここで許したら、僕は、二度とここには住めないだろうと思って、グッと我慢した。


  二人は満足したのか、お風呂に入ることになり、僕は包みを開けてみることにした。驚いたことに、中身はすべて同じお菓子で、王国では、今日だけバカ売れする『チョコレート』というものだそうだ。甘く、ほろ苦いお菓子で、僕は、何度か食べたが嫌いな方ではない。


  シェルさんとエーデル姫から貰ったチョコレートは、何か、ハートのマークのような形だったが、片方は形が崩れるほど柔らかく、もう片方は歯が立たなかった。でも、おいしく食べました。


  この日、久しぶりに、僕がお風呂に入っている時に二人に乱入された。なんか、二人の様子がおかしいので、しっかり鍵を掛けてから入ったのだが、役に立たなかった。不思議だ。今度、鍵を交換しておこう。


  今日は、二人は酔っていないのに、裸のまま、先ほどのキスの続きを要求された。それでは、大事なところを隠している手が離れてしまうので、じっと我慢していると、シェルさんが、前に回ってきて、僕の顔を両手で持ち上げて、キスして来た。キスの途中、目をつぶるのと、手で隠すのに意識が行ってしまい、シェルさんの舌攻撃を防げなかった。


  シェルさんの次は、エーデルさんの番だった。僕は、仕方がなく、目をつぶったまま、シェルさんと同じことをさせてあげたが、やはり胸、特に先っちょの固くなっているところが、僕の胸を圧迫して、意識が本当に飛びそうになってしまった。


  もう嫌だ。絶対に、ちゃんと鍵のかかるお風呂のある家に引っ越そう。そう思う、僕だった。




------------------------------------------------------------------------------------------

(3月21日です。)

  もうすぐ4月のある日、魔法セミナーの前まで行くと、制服を着た男の子3人と、女の子2人がいた。僕は、その制服が何なのか知らなかったが、セミナーの前にいたので、店のお客さんかセミナーに入りたい人なのかなと思った。


  その子たちの前を通り過ぎようとしたら、声を掛けられた。


  「おい、待てよ。お前、このセミナーの子だろ。」


  セミナーの子とは、セミナーに通っている子かという事かなと思ったが、黙っていた。


  「何とか言えよ。セミナーの子だったら、どんな魔法を習っているんだ。言ってみろ。」


  男の子の中で、一番大きな子が聞いてきた。金髪で、太っていて、顔にそばかすのある、いわゆる典型的な『いじめっ子タイプ』だ。永遠のコミュ障でヒッキーの僕にとって、最も不得意な相手だった。靴を隠されたり、背中に何かを付けられたりされたら嫌だなと思っていた。一人の女の子が、その子に声を掛けた。


  「やめなさいよ。怖がっているじゃない。用があるのは、このセミナーの講師でしょ。」


  もう一人の女の子も、


  「そうよ、こんな小さな子を虐めてもしょうがないわ。ねえ、あんた、あの講師の女を連れて来てよ。」


  「おお、この前の魔法合戦のリベンジに来たと伝えろ。早く。」


  僕は、背中を強く押され、転びそうになりながら、店の中に入って行った。

  めくるめく性バレンタインデー、いかがでしたか?


  ゴロタと、二人は新たな段階に入りました。これからどうなるのでしょうか?

ゴロタの純潔は、守られるのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ