第342話 イブニング娘
TIT48、絶対あのグループです。と言うことで、妻達でユニットを組みました。
(3月1日です。)
今日、フランちゃんと結婚した。聖ゼロス教会大司教国の総本山である大聖堂において、ジェリー大司教の立ち合いのもと、終生の愛を誓ったのだ。
新婚旅行は、タイタン帝国周辺の町や村にした。南は、未開の森だと言うが、100キロほどの森を越したら南極海だった。
南極海に大きく伸びている半島がある。かなり大きな半島だ。東西に200キロ、南北に300キロほどありそうだ。真ん中は険しい山になっており、周囲は平原になっている。南の森が邪魔をして、ここまで来た人はいないみたいだ。
最南端の岬に降りてみる。風が強い。うん、今日はここに泊まろう。テントを張り、キャンプセットを出した。お風呂も大きいものを作る。
フランちゃんは、未開の地で、南の星々を見ながら処女を失った。
(3月7日です。)
今日は、シェル達のデビューの日だ。クレスタの店から、少し離れた所に、300名収容の常設劇場が完成した。名前が『TIT劇場』と言うらしい。
鉄骨と木製パネルをつなぎ合わせた構造で、プレハブとか言っていたが、その辺の煉瓦作りよりも頑丈だそうだ。工期が極端に短いらしい
シェル達『イブニング娘』は、この劇場でデビューするらしい。平素は、入場料無料だが、今日は銀貨1枚だ。
場内は、満員だった。椅子はない。皆、立って観ている。それぞれに、光る棒を持っていた。最初は、『TIT48』だ。5曲を歌ったが、最後のフォーチュン・ケーキの時には、場内のお客さん達全員が涙を浮かべていた。
次は、いよいよ『イブニング娘』だ。最初は、『恋マシーン』だ。
センターは、シェルだ。衣装は、白のミニスカスーツの上から、黒のレースのオーバーコートだ。首に、大きなリボンを巻いている。ミニのフレアスカートの中は、ピンクのフリル付きのアンダースカートで膨らませている。膨らませているのはそこだけではなかった。胸も、普通サイズ位には膨らんでいた。
真っ赤な靴に、太腿までの黒のストッキングを履いている。
♪タイタンの未来は(Wow Wow Wow Wow)
♪イブニング娘も(Wow Wow Wow Wow)
♪ゴロタもシェルも(Yeah Yeah Yeah Yeah)
♪シェルもみんなも(Wow Wow Wow Wow)
♪ダンス ダンス この夜
何の意味かわからない。しかし、ノリがいい。もう、場内は興奮の坩堝だ。
大きなスピーカーから大音量が流れてくる。色の付いた照明がクルクル回る。照明担当は、執事さん達だ。グッズ販売は、メイドさん達が頑張っている。
王都から多勢の劇場関係者が来ている。きっと王都公演の勧誘だろう。
公演終了後はサイン会だ。整理券を1000枚準備したが、完売だ。TIT48のメンバーとイブニング娘達が1列になり、それぞれの目的の子の列に並ぶが、一番人気はシルフだった。え、シルフは違うだろう。シルフは、自分専用の衣装を作っていた。
王都の劇場関係者が、挨拶に来た。是非、うちの劇場で公演をお願いしたいと言ってきたが、王都公演は、この前来た男のプロダクションを通じてくれとお願いした。
この劇場の音響と照明の装置を、うちの劇場にも付けてくれと言うので、シルフが対応した。ワンセット大金貨2枚以上も要求している。しかし、劇場間で争いになっている。結局、くじ引きでセッティング順を決めていた。
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(3月10日です。)
今日は、高校の終業式だ。ミキさんが、王都別邸に引っ越す日だ。レオナの面倒を見ている乳母さん以外は、この別館に残ることにした。空き家にする訳にも行かないが、妻達は、誰も住みたがらない。まあ、誰か来た時のための迎賓館にしておこう。
現在、タイタン市の東南方向の郊外に工場を作っている。職人街の先だ。工場では、電話機、音響装置、照明装置を製造予定だ。レコードプレーヤーや電球も作ることになっている。
工場の名前は、『タイソニック電器』だ。工場そのものは、3か月もあれば十分らしいが、生産ラインの構築とと職人養成に半年以上かかるようだ。
シルフの要請で、タイタン学院高等部に『電気通信科』を開設した。この世界の科学には、電気通信に関する知識が欠けている。魔法があるので必要ないようなのだ。
もう音響・照明装置は10セット以上予約注文が来ている。また、電球については、どれだけの売り上げがあるか分からない。
取り敢えず、今、タイタン離宮本館裏の作業場で、何人かの技術者がレコードプレーヤーを作っている。小さなモーターを作るところから始めているが、金型プレス機で躯体を作り、旋盤でシャフトを作る。プラスチック樹脂を整形する。オイルベアリングを作る。
細かな作業だ。女性も技術者として働いている。レコード針の制作は、女性が向いているようだ。プレーヤー1000台分に必要なパーツを作るのに3週間、組み立てるのに1週間、月産1000台だ。技術者を10人雇っているので、賃金が金貨3枚、部材に金貨1枚程度掛かっている。
単純に計算すると、1台当たり、大銅貨4枚が原価だ。これに開発費、製造機械費その他諸経費を加算すると、製造単価は銀貨1枚程度だ。今後、銀貨3枚で売り出すので、大金貨2枚の利益になる。
タイタン市やエクレア市の電化工事が終われば、各家庭に電気が供給できる。電球を本格生産できれば、各家庭の電化は飛躍的に進むはずだ。それまで、このプレーヤーは、電気を蓄電した魔石を電源にしている。
シルフが言うには、現在は、真空管アンプとスピーカーが一体となった躯体なので、かなり大きいが、将来的には、小さなものにする予定らしい。
別館大広間は、レコーディングスタジオとダンス練習場になっている。今日は、イブニング娘の練習日だ。ピアノ伴奏は、ジェリーちゃんの演奏をレコーディングしたものを再生している。
オリジナル曲も何曲か作っている。イブニング娘、略してイブ娘のセンターは、シェルなので、シェルのソロパートがある。
シェルの声は、ソプラノの綺麗な声だが、少し音程が外れる所がある。シルフが、それ位の方が人気が出るそうだ。理由は、教えてくれなかった。
イブ娘の中で、一番歌が上手いのがシズちゃんだ。メゾソプラノの伸びのある声だ。将来は、ソロデビューさせるつもりだそうだ。
何だか知らないが、タイタン領内の視察も大切なので、イブ娘の後はシルフに任せることにした。
イブ娘の活動は、全員のスケジュール調整が大変だ。特に、フランちゃんのスケジュールが厳しい。重篤の患者が来ると、キャンセルになってしまう。
本人は、やる気まんまんだった。今まで、こんな経験は無かったので、とても楽しいらしい。新婚旅行があったので、練習もあまりしなかったが、結構上手く出来たと思っているようだ。
ジェーンさんは、ダンスが抜群に上手い。ターンなど見ていて気持ちが良いくらいだ。最初は、もう歳だからと言って尻込みしていたが、今は吹っ切れたようだ。
例のプロダクションから、男がやってきた。驚いたことにドエスさんも一緒だった。この前は、良く確認しなかったが、契約書には『ドエス企画』と書いてあったような気がする。
ドエスさんは、TIT劇場を興味深く見ていた。今、タイタン離宮と別館のメイドさん達15人が集まってダンスの練習をしている。シルフが言うには、なんでもバックダンサーが必要なので、編成したそうだ。『メイド48』と言うユニット名だ。シルフは、48の意味を未だ教えてくれない。
ドエスさんが、ゴロタの方を向いて、土下座をした。
『ゴロタはん、嫌、ゴロタ陛下はん、お願いや。来月、3日間だけ王都の劇場で公演してんか。もう、皆からやいのやいの言われて、叶わんのや。』
あれ、ドエスさんって関西弁?聞いたら、芸能界ではこっちの方が便利だそうだ。
それから、レコードプレーヤーを見て、王都での専属販売権を契約したいと言ってきた。ドエスさんは、やることはえげつないが、信義に厚い事は知っていたので、シルフ立ち合いのもと、契約することにした。
シルフが関西弁で交渉するのも、聞いていて面白かった。シルフは、失われた言語も含めて1800か国語、方言を話せるそうだ。
公演は4月6日から3日間だ。少し忙しい。パンフレットとポスターの作成をしなければならない。チケットは劇場の方で売ってくれる。王都公演に備えて、新曲の練習だ。今回は、メイドさん達のバックダンス付きだ。メイドさん達の衣装は、メイド服は変わらずに、猫耳カチューシャと黒色尻尾を付けるだけだった。
新学期が始まったばかりなのだが、ジルちゃん達は金曜日の夜だけ休ませて貰う事になった。
毎日、午後6時から2時間練習だ。シズちゃんのソロパートもある。と言うか、シズちゃんがソロで歌う。シェル達も、その時はバックダンスだけだ。
公演は、王都で一番広い劇場が皮切りだ。初日には、グレーテル国王陛下も来るらしい。自分の娘の姿を見て、きっと驚くことだろう。
シルフが、タイタン領内に住む中学生以下の女の子を対象にしたオーディションをしたいそうだ。
TIT48の次に売り出すユニットを今の内に作っておきたいそうだ。勿論、キキちゃん、ドミノちゃんは今のままだ。
将来的には、無線音声伝送装置、略してラジオが普及するだろうから、その時には大きな収入が見込まれるそうだ。
このユニットには、フミさんは入りませんでした。クレスタも入らないと思います。シロッコさんは、どうでしょうか?