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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第33章 ゴーダー共和国が消滅する日
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第338話 共和国軍壊滅

ゴロタにとって、戦争とは戦いではありません。殲滅です。相手が何十万人いようと関係ありません。

(まだ1月20日です。)

  ゴロタは、ゴーダー共和国防衛軍総本部に行った。シルフの話では、5000人位駐屯しているらしい。


  防衛軍総本部は、党本部の近くにあったが、党本部の爆撃を受け、騒然としていた。ゴロタは、『オロチの刀』を背中に背負って、正門から堂々と入ろうとした。


  普通なら、正門の左右には警戒の兵士が立っている筈だが誰もいなかった。


  正門に入ると同時に、正面から一斉射撃を受けた。凡そ30人の横隊だ。全て、『蒼き盾』が防ぐ。撃ち終わった横隊がしゃがむと、その後ろの横隊が立ち上がり、一斉射撃だ。当然、一発も当たらない。ゴロタは、ゆっくりと『オロチの刀』を抜き、『斬撃』を放つ。横隊3列まで、胴体が上下二つになった。銃撃隊の第1陣は壊滅した。


  ゴロタは、刀を左手に下げたまま隊庭を進む。ファイアボールが撃たれてきた。今度は、魔道士部隊だ。それと物陰や屋根の上から火縄銃を撃ってくる。


  ゴロタは、刀に力を込めた。『オロチの刀』が、赤く光る。『斬撃』を放つ。今度は、先程とは威力が違う。本部庁舎を含めて、幅50m奥行200mの広さで、全てのものが消滅した。当然、人間もだ。総本部はこの世界から消えた。


  もうゴロタを狙う者はいなかった。兵士達は、銃を投げ捨て、丸腰で投降してきた。損耗した兵士は、概ね1000名程度だ。斬撃の巻き添えを食って、腕や足を無くした者が200名ほどいる。ゴロタは、構わず投降兵の中で最上階級の者を呼んだ。テリウス中佐だった。ネチス党員ではなかった。


  ゴロタは、テリウス中佐に武器庫に案内させ、シールドで封印した。解除出来る者は、ゴロタ以上の魔力の保持者だが、現実的ではなかった。ゴロタは、総本部庁舎があった所にテントを張った。テリウス中佐に、衛士隊の中で、ネチス党員でない者の最上位階級の者を寄越すように命じた。


  シルフに、『タイタニック号』をここに持ってくるように命じた。直ぐに、銀色に輝く機体が飛来してきた。シェル達が降りてきた。テントの中でゆっくりお茶を飲んでいたら、衛士隊のエデル少佐がテリウス中佐と一緒にやって来た。二人にお茶を勧めてから、当面の任務を下命した。


  ・元ネチス党員だった者は、公職を追放する。


  ・党員時代の悪行は、第三者委員会の調査を経て厳しく処断する。


  ・財産の移動を禁止する。首都を出ようとする者は、持ち物検査を行い、金貨1枚までの財物しか持ち出せない。


  ・衛士隊と防衛軍は、協力して、首都の治安維持に当たること。


  ・召集をかけている西部遠征軍は、解散し各市町村に帰参すること。


  ゴロタ達は、行方不明の宰相を早急に捜索して連れてくるようにも命じた。エデル少佐が、


  「ワイマー行政部最高統括官なら、現在、衛士隊本部にいるので直ぐに連行します。」


  と言って、飛び出していった。


  暫くすると、ワイマー行政部最高統括官が、手錠をはめられ、20人の衛士に囲まれて連れて来られた。顔は、真っ青だった。ゴロタを見ると、目に涙を浮かべながら跪いた。


  ゴロタは、静かに聞いた。


  「あなたは、ネチス党員ですか?」


  ワイマー行政部最高統括官は、激しく首を横に振った。エデル少佐を見ると、黙って頷いていた。ゴロタは、ワイマー行政部最高統括官の両腕に食い込んでいる手錠を、念動ではずしてあげた。衛士達は、ゴロタが手も触れないで手錠を外してしまったのに驚いていた。


  「失礼しました。どうぞ、こちらにお座り下さい。」


  ゴロタは、テーブルにつかせ、シェルにお茶を入れてくれるように目で合図した。ワイマーさんは、手が震えて、上手くお茶が飲めなかった。


  まあ、しょうがない。処刑されるものとばかり思っていたのが、どうも助かりそうだと分かったのだ。身体が震えるのも、生理現象としては当然だろう。


  ゴロタは、ゴーダー共和国への要求事項を伝えた。


  ・共和制は廃止する。今後は、タイタン帝国となり、皇帝はゴロタが即位する。


  ・各県知事は、県民の選挙により選ばれるが、現知事は、新憲法施行まで現任務を続行する。


  ・行政・司法の長は皇帝が任命する。


  ・防衛軍は、皇帝が統帥する。


  ・全ての国政は、皇帝が管理するが、行政・司法の長に一任することも出来る。


  ワイマー行政部最高統括官は、ポカンとしていた。ネチス党が生まれた元凶の知事及び知事会を残すなんて、それでいいのだろうか。今の話では、ゴーダー共和国、いやタイタン帝国だが、その統治機構に大きな変更が無いのではないだろうか。


  ゴロタは、今の内容を含んだ憲法の改正をお願いした。憲法が公布された日、即位の礼を行う。国教は、ゼロス教とし、戴冠式は大司教にお願いすることにする。


  後、細かいことは、要相談だ。ゴロタは、今日は、タイタン市に帰るが、明日、行政庁を訪問するので準備するように伝えた。


  ワイマー行政部最高統括官は、頭が混乱していた。今の世界は、共和制か君主制だ。ゴロタ陛下の案だと、君主はいるが、統治は共和制なのか?そんな国家体制など聞いたことはない。


  この国は、かつては君主制だった。しかし、余りの専制・苛政のためクーデターが起こり、今の共和制になったのだ。


  これから忙しくなる。今まで例の無い、政治形態を考えなければならない。うん、やりがいはあるぞ。ワイマー行政部最高統括官は、早速、行政庁に戻って、各部局の長に新憲法草案に盛り込む事項を検討するように命じた。


  次の日、一人で行政庁を訪ねたゴロタは、ワイマー行政部最高統括官の案内で、各部局を回った。庁内はやや人が少ない感じがしたが、ネチス党員追放令で、だいぶ退職者がいたようだ。


  ゴロタは、今後設立される委員会で訴追されなければ、復職も考えて良いと伝えた。行政各部が、人材不足で停滞したのでは、元も子もない。


  その後、ゴロタはグレーテル王国を皮切りに、各国の国王陛下、皇帝陛下に帝国樹立と皇帝就任について説明した。


  カーマン国王陛下以外は、頭を抱えてしまった。少なからぬ領地の扱いをどうしたら良いか分からないのだ。返して貰っても困る。統治できないから、ゴロタに任せたのだし、と言って他国の皇帝を臣下には出来ないし。


  結局、グレーテル王国では、名誉公爵とし、領地はタイタン帝国の飛び地扱いとした。賦課金の上納は、現行通りとするが、名目は、行政関連協力費にした。


  ヘンデル帝国と中央フェニック帝国も同様だ。まあ、ゴロタのことだから、安心できると言うのが偽らざる気持ちだった。


  皇居は、ゴルゴンゾーラ市に建設することになった。場所は、旧ネチス党本部のあった所だ。ネチス党本部には、親衛隊が隣接してあり、練兵場も含めると広大だった。


  ワイマー行政部最高統括官に、国内の主だった建設会社を聞いたところ、皇居のような建物は建てた経験がないので、現状での受注は無理だと言う。ああ、またバンブー・セントラル建設にお願いするしかないようだ。


  皇居が完成するまでは、タイタン市の領主館から通勤することになるので、行政庁の会議室を1つ借りてゲート部屋にした。部屋の鍵は、ワイマー行政部最高統括官のみが持っている。ゴロタも持っていない。必要ないからだ。


  この国の防衛軍は、他国同様、徴兵された兵士と、職業軍人で構成されている。常時、2万人を擁しているそうだ。ゴロタは、徴兵された者は、解除して国へ返すように命じた。それでは、国の守りが危ないと言う軍部の意見に、周辺国は、全てゴロタの領地を有しており、侵略はあり得ないし、ゴロタだけで国防は達成出来ると説明して納得して貰った。


  これで、国防軍は3000人になった。各地の駐屯地は、全て処分し、首都の総本部に集めることにした。


  冒険者ギルドが無いのは、以前来たときのままだった。魔物がいないわけではない。いや、多いくらいだ。しかし、国民の大部分が、公的勤務に就いているこの国で、命の危険もある冒険者になろうとする者は少ない。魔物の討伐は、衛士隊や防衛軍或いは町や村の若者だ。


  ゴロタは、この国の制度そのものを変えていかなければならないような気がするのであった。


  翌日、タイタン市に来たワイマー行政部最高統括官は、街の活気と斬新さ、清潔さに驚いていた。又、鉄道を見て、是非、我が国にも敷設していただきたいと懇願された。


  その日は、領主館に泊まることになり、妻達を紹介したところ、その人数と美しさに驚かれ、さらにグレーテル王室、グリーンフォレスト公国連合大公家それにフェニック皇室の血縁者がいるのにも驚かれた。


  そして、最も驚かれたのは、やはりシルフであった。共和国の天才科学者が弟子入りするほどの頭脳と、普通の女の子なら裸足で逃げ出すほどの超絶美少女がゴーレムとは、もう夢の世界に来たような気持ちだった。 

ああ、ついに皇帝になってしまいました。しかし、この国は、強いリーダーシップが必要なようです。

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