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第326話 未知との遭遇って?

宇宙人って、タコみたいな生物か、頭でっかちで華奢な体では面白くありません。

(10月20日です。)

  南西800m程の大きなケヤキの木の上に彼らはいた。男の子が3人と女の子が2人だ。木の下では、レッサーウルフが10頭以上群れて、彼らに向かって吠えている。しかし、木の上の彼らには、なにも出来ないようだ。


  アンとドゥーが変な機械を向けて、光を発射した。いや、光ではなく高速の円盤だ。あまりの高速で、光って見える。常人では、円盤は見えないだろう。


  『超電磁誘導銃いわゆるレールガンです。製作可能ですが、製作しますか?』


  いや、今は要らないから。撃たれたレッサーウルフは、殆ど原形がない。それどころか、子供たちのいる木の幹にも当ててしまい、子供達は木の幹ごと落ちて来た。ゴロタは、『念動』で、彼らを浮かせ、ゆっくりと地上に降ろした。


  『ちょっと、失敗したね。ウフ!』


  何て奴等だ。『ウフ!』で、終わんないだろ。あの高さで落ちたら、怪我では済まない。子供達は、地上に降りても、彼らの事を、怯えて見ている。そりゃそうだろう。目も口も無いノッペラボウの面に、大きな箱や小さな箱を前にも後ろにもつけているんだ。おまけに、左腕には、伸び縮みする3本の剣が生えている。気持ち悪いったらありゃしない。


  ゴロタは、子供達を村に連れて帰ることにして、アン達には、もう帰って貰うようにお願いした。気持ち良く返事をしてくれたが、全然、帰るそぶりがない。


  ゴロタは、ゲートを開き、子供達と一緒に村に戻った。アン達は、別のゲートを使って、ゴロタ達の後を付いて来てしまった。


  村は、シェル達女性陣が総出で村人達に食事を与えたり、簡単な診療をしていた。村人達は、アン達を見て、逃げようとしたが、子供達を連れていたので、逃げないで思いとどまっていた。


  子供たちの父親達が飛び出てきた。心配していたらしい。母親は、遠い村に避難していた。親戚や友達を頼って行ったのだろう。来年の3月に収穫が出来れば帰ってこれるだろう。しかし、種籾まで取られたこの村では、今、蒔ける種がない。と言うことは、来年、収穫は望めないということだ。


  この事態を打開するためには、種籾をどこかから調達しなければならない。しかし、これから種蒔きの時期を迎える南大陸では、種籾の余裕などない。ゴロタは、北のハッシュ町に行って、種籾を分けて貰う。それから、タイタン領の北部の村々を回って脱穀する前の籾を分けて貰った。中には、これから収穫と言う村もあったので、収穫を手伝うとともに種籾を分けて貰ったのだ。収穫も、『念動』を使えば、次々と俵の中が一杯になってしまう。


  種籾200俵をグレタ村の村長宅の前に積み上げた。そのほかに、トウモロコシの種と、家畜の飼料も十分な量だけイフクロークから出してあげた。これで、この村も、来年3月には豊作を迎えるだろう。


  村の若い者が、東の村々へ、避難している妻や子供達を迎えに行こうとした。ゴロタは、『タイタニック号』に乗せて、東の村へ向かった。村々では、ゲートを開き、女性と子供達を村まで『転移』させた。


  もう、この村でやることはない。後は、南の森で魔物や害獣を駆逐するだけだが、それは今度来た時にやればよいだろう。気になるのは、木の枝に子供の死体をぶら下げていた奴だ。豹みたいな獣ならいいが、魔物だとすると、すこし厄介かも知れない。


  取り敢えず、一旦、タイタン市に帰ることにする。シェルに聞いたら、応急措置は終わったそうだ。何人かは、入院が必要なので、タイタン市に転送する必要があるが、2~3日で退院できるだろうとの事だった。


  すべての措置を終え、ゲートを開いて、領主館に戻ろうとすると、アン達までゲートをくぐって来た。あの、用はもうないのですが。


  シェルが、『ご用は何ですか?』と聞いたら、『この星の食事をしてみたい。』と言ってきた。食事と言っても、口も鼻もない仮面をかぶって食事などできないだろうと思ったら、その時は、外すそうだ。


  口が縦に割れ、牙が左右にあるような顔を見たくないと思ったが、黙っていると、『とりあえず、着替えたいので部屋を貸してくれ。』と言ってきた。


  1階の貴賓室に案内した。メイドがお茶を持ってきたが、怖いのか、手が震えていた。


  アンが、銀色の面を外した。切れ目も無いのに、アンが片手を右耳辺りに当てると、何故か、真ん中から割れて取り外せるようになった。アンは両手で、面を取り外した。


  アンは、金髪の長い髪を丸めており、肌の色は緑色だった。目は金色で、顔立ちは女神さまの様に美しい顔だった。箱の一杯ついている服も片手をどこかに触れると、縦に二つに割れ、中からブラジャーとパンツだけの女性の身体が出て来た。ナイスバディだ。


  ドゥーも同じように面と服を脱いだら、こちらは短髪の男性だった。決して、口が縦に割れていたり、牙が左右に4本生えていて、その中に、また牙の生えている口があるような怖い顔ではなかった。


  アンが、『こんな緑色の肌は気持ち悪いでしょ?』と言ってきたが、とても可愛らしい声だった。きっと、あの面のせいで言葉が分からなくなったのだろう。最初から、面を外していれば良いのに、空気成分を検査するのに、時間がかかったらしい。空中浮遊物質に免疫のない細菌がいないか、培養試験をするのに時間がかかるみたいだ。シルフの無駄知識が教えてくれた。


  着る物は、イフクロークみたいな収納ゲートを持っているので、何やらそこから出して着ていたが、胸や腰回りがぴったりしている上下繋ぎの服だった。身体の線がはっきりわかる服だったので、目のやり場に困ってしまった。


  シェルが、上着を持ってきて、彼女に着るように言っていた。渋々着ていたが、ゴロタをチラチラ見ている。アンさん、何をしたいのですか?


  今日の夕食は、カレーライスだった。最近、簡単に作れるカレー粉をクレスタが開発した。四角い箱に入っていて、肉野菜スープに溶かすだけで、美味しいカレーができるのだ。今、グレーテル王国中で大流行しているらしい。クレスタは、王都の郊外に大規模食品工場を作って大量生産するつもりだと言っていた。


  アン達は、直ぐに食べ終わって、長い緑色の舌で皿を舐めていたので、お代わりをしてあげた。もう、用はないので、食べ終わったら帰ってください。


  食後、貴賓室でお茶請けに出たお菓子は、何て言うお菓子か聞いてきたので、『タイタンの月』と『白い愛人達』と言うお菓子だと教えてあげた。


  『お土産にほしいが、この星の通貨を持っていない。何かして貰いたい事はないか?』


  特に、して貰いたいことは無いので、黙っていると、シルフが、


  『この星の高解像度の衛星写真、赤外線写真それに地表の組成分析データが欲しいです。』


  と言ってきた。皆が、シルフを見た。今言ったものが何かは知らないが、シルフが欲しがるものって何だろうと思ってしまう。最近、シルフは1日、作業部屋に籠っている。腕や脚も作り直している。継ぎ目もなく、プニプニしていて、さわっただけでは、人間の生身と見分けが付かなくなっている。


  そんなシルフが欲しがるものって。


  アンさんは、空間から、薄い板を出してきた。板の片面には画像が浮かんでいる。その板に向かって、


  「この星の最新画像データ、ダウンロード。」


  板がピコピコ光った。シルフの目も、ピコピコ青く光っている。怖い。


  「リンク終了。データシンクロ成功。データをマスタークラウドに保管します。」


  うん、シルフはいつもおかしいことを言うが、放っておこう。


  「このアンドロイドは、ゴロタさんが作ったの?」


  アンが聞いてきたが、ゴロタが作ったのは、骨格だけなので、黙っていた。アンとドゥーが、シルフを色々触っていたが、シルフが変な声を出している。シルフさん、ふざけるのはやめてください。


  結局、アン達は暫くこの星、いや領主館内に滞在することになった。二人は、夫婦でも兄弟でもないのに一緒の部屋が良いと言った。あやしい。


  暫くして、シルフが、鉄工所に直径30センチ位の長いパイプを何本も作らせていた。鉄鉱石を生成するときに排出される物質にわずかに含まれているクロムと言う金属を10%以上混ぜて精錬してもらう。後、変な部品が一杯だった。全てができてから、一緒にグレタ村まで来てくれと言う。


  

  グレタ村は、南部タイタン領のイチロー市の西側、ドコドコ町の更に西南側、カーマン王国の国教から50キロ位の地点にある村だ。


  グレタ村まで転移すると、カーマン王国との国境付近へ行こうと言う。国境は、小さな川になっているが、変な臭いがするので、農業用水にも使えないそうだ。行ってみると、確かに臭い。


  川の近く、平らに窪んでいる所まで行って、ここに穴を掘ってくれと言う。シルフは、次元空間からこの前作っていたパイプやら色々出してきた。


  ここに井戸を掘るらしい。ゴロタが、土魔法で、ドンドン掘っていく。50mも掘ったら真っ黒い液体が噴き出てきた。直ぐに『念動』でパイプを差し込み、掘った穴が塞がれない様にした。パイプの先にバルブをつけて、吹き出るのを止めた。ゴロタ達は、直ぐにシールドを張ったから無事だったが、そうでなかったら真っ黒の油まみれになっていただろう。


  シルフは、10リットルくらいをガラス瓶に入れて、収納すると領主館に帰ってしまった。この原油をどうしたら良いのか分からないので、ゴロタも戻る事にした。

本当に、プレデタ⚫みたいな宇宙人でも良かったんですが、基本、ラブコメですから。

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