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第323話 ドミノちゃんの日常。

ドミノちゃんは、魔人の子ですが、小人種なので、とても小さいです。人間族ではまだ、8歳位です。でもとても早熟なようです。魔人族ですから。

(10月10日です。)

  今日は、ドミノちゃんの11歳の誕生日だ。皆でお祝いをするが、誕生日プレゼントの旅行はない。プレゼントは、大きな熊の縫いぐるみだ。


  ドミノちゃんは、ブリちゃんのメイドとして2年前にモンド王国から来たが、直ぐに小学生だと分かったので、仕事はしていない。タイタン領内では児童福祉何とかと言う法律で、小学生以下に労働させてはいけないことにしている。例外は、子役として芝居に出るとか、少年少女合唱団などでの演奏会など芸能活動のような、少年少女の健全育成に資する活動で、学業に支障を及ぼさない範囲でしか認められないのだ。


  住み込みのメイドをしているところを見つかったら、雇い主は奴隷落ち決定だ。ドミノちゃんが9歳と判明した時点で、ブリちゃん付きのメイドから、同居人になって、部屋も別になった。


  次の日から、ドミノちゃんはタイタン学院付属第1小学校4年生に転入した。クラスは35人学級で、亜人は、エルフ族が5人、獸人が6人、ドワーフやコボル族が3人だった。魔人族はドミノちゃんだけだった。


  この街には、きっとドミノちゃんの他に、ブリちゃんとデビちゃんだけしか魔人はいないようだ。


  モンド王国では、12歳で婚約、15歳で結婚と言うのが普通だ。種族的に早熟なのだろう。ドミノちゃんも、10歳になった時に女のシルシがあった。最初はビックリしたようだが、ブリちゃんに対処法を聞いていたので、きちんと対応出来たようだ。


  その後で、保健の授業で、詳しく教えて貰ったのだが、ドミノちゃんには、全て知っていることばかりだった。ドミノちゃんにとって、クラスの男の子達は、子供過ぎて全く興味がなかった。


  ドミノちゃんは、クラスでも抜きん出た存在だった。身長こそ、小人種のせいで、クラスで一番小さいが、成績はトップだったし、体育でも、男子に負けることはなかった。


  魔法だって、元々、ブリちゃんの生活補助として魔法を使う目的で、ここに来たのだから、かなりの魔力を持っている。小学校での魔法技術の授業は、5年生から始まる。最初は、誰も魔法などできないので、ワンドを持って、魔法を流し込み、光らせる練習をするのだ。ほとんどの子は、何も出来なかった。僅かにエルフの子で1人、人間族の子で2人だけが、ほんの僅かだが先っぽを光らせた。


  ドミノちゃんの番だ。簡単な魔法だったが、ライティングを発動させた。完全無詠唱だ。教室の中が、一際明るくなる。クラスの皆が、『オー!!』と声を出して驚いていたが、教師が一番驚いていた。まだ10歳の子がライティングを使うなんて前代未聞だ。


  あれから、ドミノちゃんはクラスの人気者だ。それまでも、何でもそつなく出来る子と言う評価だったのが、超カッコいい女の子になったのだ。


  何人かの男の子が、ドミノちゃんに交際を申し込んできたのだが、余りにも子供っぽいし、好きなタイプでもなかったので、『いつまでもお友だちでいてね。』って断ってしまった。しかし、何か『友達からなら。』て言う意味に取られたみたいだった。ドミノちゃんは、『ガキね。』と思うのであった・


  ドミノちゃんにとっては、同い年の子達に比べたら、ゴロタの方がずっと素敵に見えた。背は大きいし、超絶イケメンだし、お金持ちだし。


  ドミノちゃんは、自分の母親みたいな愛人にはなりたくなかった。ちゃんとした妻になりたかったのだが、此処では、何人もの女性と結婚できるようなので、自分もちゃんとした妻になれるんだと思っていた。


-----/----------/----------/-----


(ドミノちゃんの回想)

  この春から、キキちゃんという子が王都の公爵邸に住み始めたの。学校は、王都の公立学校に行っていたという事だったのに、苛められていたみたいで、5月過ぎから、タイタン学院の中等部2年に転入してきたの。


  キキちゃんは、ブリちゃん達の方が歳は近いのに、結構幼いところがあるみたいで、私と一緒に通学しているわ。学校まで、1時間くらい歩くんだけど、その間、いろんな話をするんだ。


  キキちゃんは、中学生なのに、お兄さんと一緒にダンジョンに入ったりしてたんだって。まあ、荷物持ちだったらしいけど。ダンジョンか。一回、入ってみたいな。ゴロタさんと2人っきりで。


  大体、クラスのみんなは、魔物と魔人を一緒に考えているの。バッカじゃないの。バンパイヤやリッチなんかに、こんな美しい角が生えてるわけないでしょ。この角は、魔王様の血を引く証なんだから。誰かが、魔族の仲間だって言っていたけど、そいつも魔族ってなんだか知らない様ね。私も、良く知らないけど。


  魔族って、言い伝えだと、神様達の仲間らしいんだけど、見たことはないわ。サタンとかベルなんとかとか、天使と仲が悪いらしいんだけど。


  あ、そう言えば、キキちゃんって、お小遣い貰ってないみたい。シェルさんに言えば、直ぐにくれるのに。今日だって、キキちゃんと一緒にクレスタさんの店のスイーツを食べに行くと言ったら、ちゃんとお金をくれたの。1個銅貨68枚だから、2人で大銅貨1枚と銅貨36枚くれたの。


  いつも、お釣りのない様にくれるの。それに、クレスタさんの店以外に行ってはいけないって言われてる。本当は、後でシェルさんが払ってもいいんだけど、勉強だからって預けてくれるの。


  朝、お金を貰うと、本当に緊張しちゃう。無くしたらどうしようとか思ってしまう。お昼とかに、隠れて確認してしまうわ。勿論、キキちゃんには内緒よ。私の方が、ここは長いんだから。


  キキちゃんて、子供よ。まだ始まってないし。背だって、私よりは大きいけど、普通の女の子に比べれば小さいし。胸だってペッタンコ。本当に13歳かしら?私なんか、最近、本当に大きくなって来たんだから。シェルさんは、必要ないって言うんだけど、ブラジャーだってもうそろそろするつもり。


  今日は、午後から魔法の実習。ノエルさんが、特別講師で来てくれるんですって。王国一の魔道士って評判で、もう魔法学院大学の教授なんだ。


  いつも、お屋敷で一緒だって自慢してやったの。本当は、王都の公爵邸にいることの方が多いんだけど。私と同じ黒髪だし、背が小さいから、もしかしたら、小人種かも知れないわね。それなら、魔法が優秀なのも納得できるわ。


  魔人族は、巨人種と小人種で能力が違うの。巨人種は体力が優れているし、私みたいな小人種は魔力が優れているの。きっとノエルさんも小人種の血が流れているのよ。でも、角はどうしたのかしら?切っちゃったのかな。


  授業は、皆で、中庭に魔法陣を描くんだけど、魔法属性ごとの班に別れて描くの。それなのに、私の属性の魔法陣なんて絶対に無いし、仕方がないので火属性魔法のグループに入ってみたわ。


  みんな、一生懸命描いているんだけど、間違いだらけだったわ。絵の順番も違うし、あんな古代文字、あるわけ無いじゃない。あ、それで呪文を詠唱したって、火は起きないわよ。


  ほら、失敗してる。しょうがないわ。絵だって、意味があるんだから。それさえ分かれば、何も見なくたって書けるのよ。見てなさい。


  ほら、出来た。後、呪文じゃないの。魔力を流すのよ。さあ、やって見て。


-----/----------/----------/-----


  ドミノちゃんは、魔法陣を描き終わったら、後は皆に任せた。グループの女の子のうちの一人が、たどたどしい呪文詠唱をし終えると、ポッと炎が上がった。皆が大喜びだった。ドミノちゃんは、後ろの方で、黙って見ているだけだった。


  ノエルが、ドミノちゃんを名指しで呼んだ。ドミノちゃんは、『あれ、何かしたかな?』と思って、ドキッとしてしまった。クラスの皆が、黙ってしまった。


  「ドミノちゃん、あなた、この魔法陣、誰に習ったの。」


  「え?今日、初めて見たんですけど。」


  「ふーん、じゃあ、どうして呪文詠唱しなかったの。」


  ドミノちゃんは、ノエルの言葉つきがきつかったので、少し涙ぐんでしまった。


  「だって、魔力を流すのに、呪文は要らないと思ったんです。火の精霊への要請は、魔法陣に書いてあるし。」


  ノエルは、目を見張った。今の魔法陣理論は、高校か大学でしか習わないはずだ。


  「あなた、誰に聞いたの?」


  「ノエルさんの本に書いてあったし。」


  そう言えば、領主館の居間の書棚に『魔法陣の考察と実践』という本を置いていたのを思い出した。


  「じゃあ、ドミノちゃん、この魔方陣に魔力を流し込んでみて。ワンドは、これを貸してあげるわ。」


  ノエルは『天空の杖』を貸してあげた。ドミノちゃんは、ワンドを頭上高くあげて、目を閉じた。魔力をワンドに流し込む。ワンドが白く光り輝く。ドミノちゃんの髪の毛が逆立ってきた。


  不味い。ノエルは、聖なるシールドを張る。皆を、シールドの陰に招き入れる。


  「紅き紅蓮の炎の精霊よ。天空と地上を支配する全ての炎の代理人たる力を持てる者よ。その姿を顕現し、力を放て。我の名前はドミノ。炎を支配する力を持てる者なり。我は命ずる。力を示せ。」


  「ファイア。」


  魔法陣が、燃え上がった。上空300m以上まで炎の柱が舞い上がった。その炎の中に、人の様な影が見えた。


  「誰じゃ。儂を召喚するなど、人間の分際で300年早いわ」


  イフリートのイフちゃんだった。


  「何じゃ、ゴロタのところのドミノじゃないか?ダメじゃぞ、用もないのに呼んじゃ。儂も忙しいのじゃ。」


  イフちゃんは消えてしまった。同時に火柱も消えてしまった。


  この魔法で、校舎の一部が焼失してしまい、何人かの生徒が火傷をしてしまった。ノエルは、負傷者の救助と保護者への謝罪で、この日はタイタン市に泊まることになってしまった。


  ドミノちゃんは、それから、週に2回、王立魔法学院大学に通うことになってしまった。


  この事は、すぐにマリンピア魔法学院長に伝えられ、国王陛下にも上奏された。10歳の女の子が、極大級魔法を使いこなし、あのイフリートを召喚してしまったのだ。国王陛下は、何故、ゴロタ殿のところばかりに集まってしまうのかと、頭を抱えてしまった。

ドミノちゃん、余りにもチート過ぎます。将来が楽しみです。

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