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第318話 王国の思惑

パレードで、絶対的戦闘力を見せるのは内外の憂いを取り除くつもりだからです。

(8月29日です。)

  戴冠式とパレードは無事に終わった。夜は、祝賀会だ。全員が参加する。ゴロタは、後見人として、セディナ陛下の傍に立っている。シェルら女性陣には、次から次へとダンスの申し込みが殺到した。


  余興の時間になった。ドミノちゃんのお遊戯や、高1トリオの合唱が終わり、フィナーレはミキさんだった。


  皆、戸外に出る。空には、満天の星々が輝いている。ミキさんが、キキちゃんから『聖なる光の杖』を借りている。杖を掲げて詠唱に入る。杖が白く光っている。


  詠唱が終わって最後の呪文を唱える。


    『メテオ』


  それは、誰も見た事が無い光景だった。空の星が全て落ちてくるかの様な流星群だった。流星群の光で、夜の闇が駆逐される。しかし、流星が地上に落ちることは無かった。空中で燃え尽きてしまうのだ。


  祝賀会は、成功裏に終わった。応援に来た騎士団は、明日、全員が帰ることになっている。今日の飲食と宿泊代は、ゴロタ持ちだった。皆、帝国料理と酒を楽しんでくれた。


  次の日、タイタン領騎士団以外の騎士団のみなさんを、其々の王都に送り返してから、ガダリロ宰相とミキさん達の処遇について話し合っていた。


  後宮には、意地悪な愛妾さん達が居なくなったので、後宮に戻っても良いかという相談だった。ガダリロ宰相には異論は無かった。国の威信が高まった今、ミキの宮様がどこに住まわれても、全く問題が無かったのだ。それに、他の愛妾達からのいじめ問題も解決したし、ガタリロ宰相を悩ます事象が無くなったのだ。


  しかし、ミキさんは違った。ゴロタの事が好きになっている事に気が付いたのだ。もう離れるのは嫌だった。しかし、ゴロタは娘の婚約者、ゴロタとの不倫は、絶対に人に知られてはならない。


  ミキさんは、自分の将来よりも、ゴロタと別れる事が辛くて、大粒の涙をこぼし始めた。右の薬指にはめているダイヤの指輪を左手で握り締めながら。


  それを見ていたシェルが、今、新築中の別館が無駄になるので、エレナ姫が成人するまでタイタン領に住まわれたらどうかと提案した。


  こうして、ミキさんとエレナちゃんは、タイタン領に帰還する事ができたのだった。


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(9月3日です。)

  カーマン王国の王都、シャウルス市は、隣国の内乱情報に緊張を高めていたが、南部のガーリック辺境伯爵の娘婿であるゴロタ殿が、平定したという噂が流れ、落ち着きを取り戻していた。


  ただ、王城の中、ブリ・ド・モー・カーマン8世陛下の執務室では、陛下とフォンデュ宰相、ヘンリ騎士団長の密議が緊張感を持って進んでいた。


  今回、フェニック帝国新皇帝の威儀を高めるため先の衛士隊300名の他に騎士団を400名を派遣している。あわよくば、そのまま駐屯して、未だ治安状態が悪いであろう帝都の実権を握るつもりだった。


  今まで、中央フェニック帝国とは、帝国側の国境の街セバス市と王国側の国境の街ギフト市の間にある国境を巡り、しばしば争いが勃発している状況だったのだ。


  それに、ゴロタ殿が、こちらの動きを静観視してくれる可能性もあるのだ。


  しかし、戴冠式とそれに続くパレードを見て来たフォンデュ宰相、ヘンリ騎士団長は、絶対、フェニック帝国に手を出すべきではない。帝国側がが欲しいと言うなら、ギフト市位くれてやっても良い位だと言った。


  国王陛下は、理由を聞いて落胆した。もはやゴロタ殿は、我々の想像の域をはるかに超える存在になってしまった。彼の逆鱗に触れる行為は、例え王室といえども殲滅の対象だろうし、我が国が最大動員の軍事力で対抗しようとしても、30分も立たずに、我が国が焦土と化すであろう事を知ったのであった。


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  グレーテル王国の王城内、国王陛下執務室では、娘婿のゴロタ公爵閣下の評価をしていた。先の中央フェニック帝国の戴冠式に参列したジェンキン宰相は、ゴロタの戦力を細かく分析していた。


  通常の王国や帝国の戦力は、最大でも人口の2割程度、グレーテル王国では、4万人が最大規模だ。この最大規模の兵力をもってしても、太刀打ちできない脅威を目撃してしまった。


  まず、黒龍だ。これは騎士団や徴兵された国軍がどうのというレベルではない。おそらく、国が無くなるレベルだ。それに、あの黒龍の女王ブラック殿がいなかった。恐らく、最大化されれば、全長500mを超えるだろうし、国どころか星の形が変わるレベルだろう。


  次にイフリート、これを殲滅する戦力は我が軍には無い。おそらく縦横無尽に蹂躙されてしまうだけであろう。


  次にユニコーン、これは騎士団1万人でも殲滅は難しいかも知れない。特に角から発せられる雷撃は、防ぎようが無く脅威だ。


  狛犬や白虎等の神獣。この戦力は未知だと言える。しかし、我が軍は、間違いなく壊滅させられるであろうことは想像できるレベルだろう。


  そして、エーデル姫をはじめとする女性陣。彼女達は笑えないレベルの戦闘力だ。わが王国の騎士学校や魔法学院で教鞭をとっていただいているが、その能力は底知れず、最近では誰も近づかなくなっているそうだ。


  あの、晩餐会の夜、空から降って来た流星群、あれが地上をめがけてきたら、おそらく我が国は、この世界から存在を失ってしまうだろう。


  そして、一番、恐ろしいのはゴロタ公爵閣下だ。その実力は、黒龍に勝るとも劣らない。あの、災厄の神を退け、全ての暴力組織を壊滅させている。『殲滅の死神』など、まだ可愛い。『世界を終わらせる者』にして『世界を統べる者』になっていること間違いなしだ。エーデル姫様を奥様にしておいて本当に良かったと思うジェンキン宰相だった。


  感想を聞いたグレーテル国王陛下以下、王国の主だった者は、ゴロタ公爵が覇権には全く興味がない事に安堵しているのであった。


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  今日は、ゴロタの22歳の誕生日だ。今まで、女性陣は、ゴロタにまともな誕生日プレゼントをあげた事が無かった。本人が欲しがる物が無いのが原因だが、今年は、趣向を変えた誕生日にした。


  クレスタの店で、ゴロタが誕生日プレゼントを市民から受け取るという趣向だ。貰ったプレゼントは、全て孤児院や救護院へ寄付すると言うものだ。


  当然、プレゼントは、クレスタの店で買ったもの以外は受け取らない。値段は、銀貨1枚から大銀貨1枚とかなり高価だ、


  銀貨1枚は、限定20個で、子供用の下着セットだ。ゴロタとの握手5秒間の権利付きだ。


  銀貨5枚は、限定50個で、子供用の洋服セットだ。ゴロタからのハグ10秒間の権利付き。


  大銀貨1枚は、限定20個で、子供用のおもちゃと洋服、教材セットだ。ゴロタとのキス10秒間の権利付き。ただし、舌を入れたら、その場で中止。


  数量限定、早い者勝ちだったので、前日から並んでいる人がいて、朝には、100人以上の女性が『クレスタの想い出』前に並んでいた。売れて行くのは高額商品からで、クレスタの店で商品を買うと、そのまま奥の部屋に行って、ゴロタにプレゼントを渡すのだ。


  ゴロタは、『ありがとう。』と言って、プレゼントの金額相当のサービスをするのだが、最初は、キスのお客さんばかりだった。皆、極端に短いスカートを履いている。


  ゴロタが、プレゼントを受け取り、脇に置いて、相手の肩を抱き寄せる。そっとキスをするのだが、最初から、舌を入れて来る。そればかりではない。ゴロタの手を取って、自分の股間に持って行くのだ。やはり、パンツを履いていなかった。それでも、ゴロタは10秒間、我慢する。絶対に舌と手を動かさない。10秒立つと、クレスタとサクラさんが女性を引きはがしていく。


  キスの対象者が終わると、次は、ハグだ。女性の肩に手を回してハグをするのだが、必ずキスをして来ようとする。その段階で、クレスタ達に引きはがされている。


  最後の握手は、なかなか手を放してくれない。そればかりか、自分の股間に手を持って行こうとする。当然、クレスタ達に引きはがされる。


  午後2時頃、全てのイベントが終わった。一旦、領主館に帰ったら、シェルに直ぐにお風呂に入れられ、手と首から上を丹念に洗われた。それから、3回、歯磨きをさせられた。その後、孤児院の慰問に行く。


  タイタン市の孤児院は、昨日、慰問に行っているので、今日はエクレア市の孤児院に行く事にする。


  エクレア市の孤児院は、全部で3院あり、一つ一つの収容人員は少ないが、総勢147名の孤児が収容されている。運営は、ゼロス教会以外の宗派がそれぞれ担当しているが、アリエス教会運営の孤児院が一番大きいのだ。


  全ての孤児院を回り、プレゼントを渡したら、子供達がお礼のお遊戯とお歌の合唱をお返ししてくれる。このプレゼントがゴロタには一番嬉しかった。


  事故は仕方が無いが、貧困や戦争で孤児になる子がいない国、そんな国を作って行きたいと思うゴロタだった。

ゴロタは、どんどん勢力が大きくなってきます。

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