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第300話 シロッコさんって、幾つですか?

  いよいよ本編300話目に入りました。書き初めの頃は、200話程度で納めようと思っていたのですが。

  エルフは長命種です。ドワーフも長命ですが、エルフほどではありません。

(5月2日です。)

  次の日、シズが村の若い衆に弓を教えている。皆、弓に必要なスキルは持っているようだが、使いこなせていないのだ。


  まず、遠距離射撃だ。100m位は射てる様にして貰いたい。シズが射ると、100m先の木が裂けてしまう。


  次に連射誘導だ。最初は2本で練習だ。しかし、誰もできない。シズが手本を見せる。一度に5本の矢を、50m先の5つの的に命中させる。


  シズがやると簡単そうだが、村のエルフ達は誰もできない。こんな技は初めて見るそうだ。シェルが居なくて良かった。


  新婚旅行中だが、一旦、王都に戻ることにした。シロッコさんを、このままにはしておけない。シロッコさんは、他国の、しかも人間がほとんどの街で暮らすのに抵抗があったようだが、毎日、好きなだけお茶が飲めるからと言ったら、喜んで同意してくれた。


  ゴロタ達は、王都の公爵邸のゲート部屋に転移した。まず、執事長やメイド長を紹介する。


  執事長は、セバスさんが行政庁の仕事をするようになったので、他の執事のうちで最年長のレブロンさんにやって貰っている。メイド長は、最初からいる魔人族のダルビさんだ。


  シロッコさんの事は、『シロッコ大奥様』と呼ぶようにお願いした。単なる『大奥様』は、シェルの母親だけだそうだ。ゴロタには、分からないこだわりだった。


 その後、昼食までの間、シズと一緒にシロッコさんを連れて買い物に行くことにした。着るものが、余りにも粗末だったのだ。


  シズに、ひとつだけお願いした。ミニスカだけは、絶対にやめてくれと。


  そう言えば、シロッコさんには年齢を聞いていなかったが、シズの母親シオンさんが冒険者になると言って家を出たのが50年前。その時のシオンさんの年齢が20歳だったとすると、70年前にシオンさんを産んだ事になる。その時、シロッコさんが20歳だったとすると。


  うん、これ以上考えるのはやめよう。


  シロッコさんが買ってきた洋服は、やはりミニスカスタイルだった。


  午後、『亀の甲羅亭』に行き、ダッシュさんと対面させた。ダッシュさんは、『シオン、シオン。』と呼びながら泣き続けた。抱きついたら、引き剥がそうと思っていたが、流石にそれは無かった。今日、夕食会をするので、ダッシュさんを招待した。


  夕方、シェル達が公爵邸にやって来た。シロッコさんに皆を紹介する。とても覚え切れない。まあ、そのうち覚えて貰えば良いか。その日の夜、またニース・タウンの別荘でシズと2人っきりになった。


  今度は、朝食はゴロタが作った。


  朝食の時、シズに、次はどこに行きたいか聞いたら、どこでも良いそうだ。天気もいいし、久しぶりに南の渓谷に行く事にした。


  また、宝石の原石が流れ込んでいるかも知れない。釣りセットも、擬似餌を補充しておく。南の渓谷へは、『ゼロ』で行く事にする。


  ニース・タウンからフライス村までは舗装された直線道路だ。今回は、ジェット推進力だけで離陸してみる。まず、フラップをいっぱいに下げる。スロットルを目一杯引く。『ゼロ』が、細かな水滴を後ろに噴射して、物凄い加速で進んでいく。時速200キロになったので、静かに操縦桿を引く。『ゼロ』は、離陸した。


  その後、急角度で上昇し続ける。機内は、与圧されているので耳がおかしくなったりしない。高度7000mで水平飛行に移る。進路は南だ。前方にマッキンロー山脈が立ちはだかっている。赤道に近いのだが、標高6000m以上は、万年雪が覆っている。


  ゴロタは、もう少し高度を稼ごうと、操縦捍を引いた。機体は上昇を始めるが、念動力で機体の上昇を補助する。上昇姿勢のまま加速を始める。


  これで、高度9000mまで上昇する。山脈を飛び越えた。眼下にカーマン王国の穀倉地帯が広がる。まだ種を撒いて日が浅いので、ようやく苗にまで伸びた状況だ。


  速度は巡航速度だ。マッハ1.5で一定に飛ぶ。空が真っ青だ。暫く飛ぶと、雲が出てきた。と言っても、遥か眼下にだが。


  今の高度では、絹雲位しか周りにはない。眼下の雲海のはるか先に、ヒラマヤ山脈の頭が覗いている。その先には魔人の国、モンド王国がある。王都の脇を通りすぎて目的の渓谷まで一気に行く。


  徐々に高度を下げていく。谷の真上に来た。逆噴射で速度を落とすと共に、飛行石に魔力を流す回路を解放する。飛行速度ゼロで制止する。徐々に高度を落とし、あの河原に着地した。キャノピーを上に跳ね上げ、梯子を使って降りる。


  紅葉の時期は終わっていた。川の流れは、渇水期のため少ない。もうすぐ、初雪だろう。ゴロタは、早速キャンプセットを出した。それから、露天風呂を作った。いつものように、土魔法で、穴を掘り下げ、底を固める。回りに河原や川に転がっている岩を並べる。


  次は温泉だ。深さ50m位まで掘ると、温泉が出てきた。浴槽に流し込んで、天然温泉かけ流しの完成だ。


  昼食を食べ終わってから、まず今日の夕食を釣る事にした。この川はイワナ、ヤマメの宝庫だ。今日、食べる分はすぐに釣れた。全てシズに釣らせたのだが、キャーキャー言いながら釣っていた。疑似餌だが、針をはずすのはゴロタの仕事だった。釣った魚は、すぐに腹を開き内蔵を取り出す。


  イヌワシが、餌を求めて近くにいる。ハラワタを投げると綺麗にキャッチして飛び去っていった。塩をすり込んでグリルで薫製にする。後はのんびり石拾いと思ったら、シズがお風呂に入りたいと言う。


  お風呂は、ちょうど良い温度だ。川の水の流れ込む量で温度調節している。二人でお風呂にはいると、シズが直ぐに抱きついてきた。シズは、シェルと違って、胸も膨らんでいる。シズは、谷間に大きな声を響かせ始めた。


  お風呂から上がり、身体を完全に乾かしてから、石拾いだ。寒いので、完全防寒装備だ。まあ、エルフ大公国軍の冬季仕様戦闘服だが、白を基調とした迷彩服で、各国軍服の中で最も洒落ている。

川の水が冷たいので、足元だけ熱シールドで包んで上げた。


  ダイヤの原石で一番大きな石は、ゴロタの拳よりも大きかった。また、エメラルドやルビーの原石も見つかった。値崩れが起きては大変なので、石拾いはこれくらいにして、次は砂金拾いだ。砂金と言っても、親指よりも大きいものを拾うのだ。これは、面白いらしく、シズは熱中した。


  夕食の後は、星空を見ながら、お風呂にはいる。シズが、向かい合って、ゴロタに跨がる。大きな大きな声が谷の中に響き渡った。


  この谷には、3泊した。シズが、こんなに好きだとは思わなかった。シズも、こんなに気持ちが良いものとは思わなかったらしい。


  これからは、一杯したいそうだ。あ、エーデルの真似はしないようにお願いします。


  谷を出発して、ゴロタ達は極地を目指す。南の山脈を越えると極地らしいが、シルフが言うには、まだかなりあるらしい。


  シルフは、真北にある北極星と、星の位置それと太陽の位置で、この星の大きさが解ったそうだ。この星は、異世界の地球とほぼ同じ大きさだ。赤道は、マッキンロウ山脈の直ぐ南側らしい。メディテレン海のほぼ真ん中を赤道が通っている。道理で、船の旅は暑かったわけだ。


  北の大陸は、東西7000キロ、南北6000キロだ。北のザイランド王国に行くのに大雪山脈を飛竜で超えるのに、ワイちゃんで1日がかりだったが、山脈だけで2000キロの幅はありそうだった。それで、ザイランド王国の北側は、ほぼ寒冷地で、人が住めそうにないが、広さだけは広大だった。それでも、この前オーロラを見に行った時には、北極点はまだ随分先だったような気がする。


  東西もかなりの広さだ。ハッシュ村から、和の国まで駅馬車で急いでも、3か月以上はかかるのもうなずける。駅馬車は、1日で100キロ進むのがやっとだ。普通は、馬の疲労を考えて60~80キロ位だ。1か月で、2500キロ、3か月で7500キロとなる。


  シルフが、この北の大陸の反対側にも大きな大陸が3つ程あるそうだ。帝国タイタン領が完全に平定したら、今度行ってみようと思っている。


  せっかくだから、南極まで行ってみることにした。南の渓谷から、ずっと森が続いているが、かなり南に来たところで、標高5000m程度の山脈が見えて来た。誰も来たことがないところなので、山脈の名前もないようだ。モンド王国の地図にも載っていなかった。


  シルフが、位置情報を教えてくれた。南緯78度、かなり南まで来たようだ。一気にその山脈を超えたら、辺りは、薄暗くなってきた。5月は、まだ冬の真っ盛りだそうだ。


  構わずに、南に進むと、漸く南極点に到着した。降下をしていくと、かなり大きな氷の山の上に着陸した。シルフが、この下には、大陸があるのだが、殆ど雪に覆われているので、正確な大陸地図は作成が難しいらしい。


  空には、オーロラが輝いていた。シズは幻想的な光景にうっとりしていた。遠くの海では、クジラが鳴いていた。うん、クジラを釣って帰ろうと思ったが、シルフに止められた。今、クジラは個体数が少ないため、種の保存のために、むやみに狩ってはいけないそうだ。良く分からない理屈だった。


  少し短いが、これでシズの新婚旅行は終わりにする。早く王都に帰って、シロッコさんの様子を確認しなくてはと考えていた。王都まで、ゲートを使おうかと提案したが、『ゼロ』で、ゆっくり帰りたいと言われた。


  『ゼロ』を高度9000mまで、上昇させ、自動操縦モードにしてマッハ1.5で飛行する。操縦席をリクライニングさせ、ゆっくりする。シズが覆いかぶさって来た。シズさん、いつパンツを脱いだのですか。機内は狭いんです。ここでは無理です。


  なんとか、頑張ってしまいました。これからは、副操縦席は後ろにした方が良いと思ったゴロタだった。

エルフの100歳は、まだまだ女盛りなようです。

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